アリサがトヒルを試している時、リツカは扉の前に避難させた2人を迎えに行った。
「もう大丈夫です。2人とも」
2人はリツカを見ると少し安心した顔を見せた。
2人は外を出ると真っ先にアリサの姿を見る。
リツカも2人の怪我がないことを確認した後すぐにアリサを見た。
その視線は疑いを向ける視線。
敵意を見せれば攻撃する、そんな殺気を込めた視線。
アリサは視線に気付き振り返る。
「…あの、皆、何?」
アリサは首をかしげながら質問をする。
「何って、私たちが聞きたい事分かってるでしょ。」
セツラは少し怒り口調で行ってきた。
「そんな事言われても…何から説明すれば…」
アリサは指で頬撫でなる。
「わかりました。こちらから質問するので素直に答えてください。雪音さん」
リツカは真っ直ぐな瞳でアリサを見る。
「まず、貴女は学院の登録上では適合タイプは『ポゼッション』だけでしたね?」
「え?うんそうだけど」
アリサは意外な質問に少し遅れて返答する。
「この騒ぎが起き始めて貴女がここに飛ぶために使った『ジャンプ』。あれは『フィジカル』の技術です。他のタイプでも使えなくはないですが、あれだけの距離と速度。上位の『フィジカル』の人しか扱えません。」
「うっ…」
アリサはリツカに痛いところ突かれたかのような反応を示す。
「いつあれを扱えるように?」
「えっと…2ヶ月前?」
「適合タイプが2タイプになったんですか?」
「それは分からないわ。試験の時、私休んだし…」
セツラはアリサのセリフを聞いて閃く。
「それって、あの事件があった後だからだよね?」
「ええ、そう。」
「あの事件?」
セツラとアリサの会話にキアラが入る。
「アリサか…その誘拐された…」
「あぁ、あれか。そっからだよな。被害者面し始めたの」
キアラはアリサを睨みながら言う。
「何よ。」
「別に、なんでねぇよ。」
「そんな事より、もうひとついいかしら、雪音さん」
セツラはこれ以上空気が悪くならないように会話を戻す。
「貴方が刺された時の事、どうして助かった教えて。」
「えっと、それは」
「雪音家に伝わる祝福、または呪い…」
アリサが説明しようとしたとき、女の声が彼女の言葉を切る。
その声はアリサは間違えるはずのない声だった。
「アンリミテッド・ライフによるもの」
声のする門の方を見るとそこにはアリサの目的の人物が立っていた。
「ルミ…」
羽織の下に学院の制服を着て、左手には白く刀を備えている。鞘は紫色の花柄描かれていた。
「アンリミテッド・ライフ?」
ルミの解説にセツラは疑問を投げる。
「そう、アンリミテッド・ライフ。人間にはライフを持てる上限がある。持てる量とライフの質によって、ランクが決まる。ただし、質のいいものを持つと体に害を及ぼすため、少量しか持てない。持とうとすると体が拒絶反応を起こす。これが普通のライファー。しかし私達は害はあれど拒絶反応は起こさない。質のいいライフを幾らでも持てる。」
「そんな話はどうでもいいのよ。なんなのこれ」
今度はルミの話をアリサが切る。
「人をこんなに場所に呼び出して、何したいのよ」
「ここはね、昔、鬼と言われたモノの力が眠ってる所、その封印を解いて、世界を壊す…」
「…は?」
唐突の姉の世界破壊宣言に困惑するアリサ。
そんなことを気にせず、ルミはただアリサを真っ直ぐ見た。
「本気で言ってるの?」
アリサはあまりにも現実味のない回答が本意なのか確認する。
「ええ…本気よ…」
アリサは一度下を向き、ため息を漏らす。
「行方不明になって心配してたら、瞳を紅に染めて力に堕ちたと思ったら…頭もイッちゃったのかしら!」
アリサは腰に備えてある学位支給の刀を抜き、ルミに斬り掛かる。
ルミはそれに対して刀を鞘に納めたまま、左手でそのまま振りアリサの斬撃を弾き、吹き飛ばした。
吹き飛ばされたアリサは上手く着地をする。
「その程度の力、か…もっと力を付けなさい」
「は?何言って…」
アリサは刀を持った右に違和感を覚えた。
あまりにも軽かった。
刀を見ると刃が折られていた。
「くっ!」
アリサは刀を捨て右足で蹴り掛かる。
ルミは右手でアリサの受け止め、刀の柄頭でアリサの顎に思いっきり突きつく。
アリサはまたも吹き飛ばされる。今度は着地は愚か、受身も取れずに地面に転がる。持っていた荷物が飛び散る。
「私は上にいる。そこで待っているわ。私を倒してみなさい、アリサ」
アリサは地面から顔を上げルミの顔を見る。
その表情はどこか悲しげに感じた。
「他の人は戻ることを進めるわ」
ルミは他の3人に告げると刀を抜き、空を十字に切る。
すると空間が裂けた。ルミはそこに足を踏み入れる。
「くっそ!」
アリサは力を振り絞り、バックから落ちたであろう抜くことの出来ない刀を彼女に向かって投げる。
しかし、空間は閉じてしまい門に突き刺さる。
「何だったんだ…」
キアラは突然の出来事に唖然とする。
セツラは攻撃を受けたアリサを介抱する。
リツカは周りを警戒していた。
「おい、雪音、今の話は本当なのか」
キアラはアリサに近寄り襟を掴む。
「ちょっと!朝堂院さん!」
セツラは止めに入る。
「てめぇ!そんな大層なもん持ってんのにD組に来て、私ら負け組を見下して影で笑ってたのか!?あん!?」
「違う!!」
アリサはキアラの手を振り払った。
「アンリミテッド・ライフは確かに質のいいライフを幾らでも持ち、扱える。けれど、体に害が無いわけじゃない。拒絶反応というブレーキがないと言うだけだから、ひとつ間違えれば自爆するのよ。」
「それと私らと同じクラスってのに何の関係があるんだよ!」
「…私は、学院に来るまでにライフを扱った事がないのよ。」
「え?」
「なんだと?」
キアラは掴んでいたアリサの襟をゆっくり離す。
「普通なら小学、中学とかでライフの基礎を学ぶらしいけれど、私はそんなもの学ばせて貰えなかった。私は当主になるであろうルミの支えになるため、家にこもって、政治やら歴史やらを教えられてたからね。」
セツラとキアラは言葉を失った。
アリサがこんな生き方を強いられていたとは知りもしなかった。
まるで人形の様な生き方。
そして、身近な人にそんな生き方をしている者がいるとは思わなかった。
「さて、休憩は終わりです。さっさとここから出て学院に戻りましょう」
リツカはこのままでは行けないと思い会話を終わらせた。