突然の罠に襲われながらも次の部屋に着いたアリサ達を待っていたのはまるで社交ダンスが行われてたような舞台のある廃墟みたいな部屋だった。
「広い…」
「何があるか分かりません。気を付けてください。」
ここに来るまで二つの部屋を通ったどちらも番人がいた。ここも居ておかしくないと、四人は警戒する。
「…ん?」
アリサは何が聞こえた。それを聞こうと耳を澄ます。
『……』
「……」
「雪音さん?どうかしました?」
「いや、リッカちゃん、なんか歌声聞こえない?」
「歌?」
アリサに言われ、リツカは耳を澄ます。
『…』
「…微かに」
「キアラ、セツラ、注意して何かいる…ってあれ?」
キアラとセツラに話しかけようと振り向いたアリサだが、そこには二人の姿はなかった。
「雪音さん!!」
突然リツカが叫ぶ。
何を伝えたいかは分からなかったが、必死になっている。
アリサは咄嗟に何も無い前方に跳び回避行動をとる。
着地後、後ろを確認する。
「セツラ!?」
アリサは驚きの声を上げる。
セツラはアリサに向かって、マジックに配られる学院支給の護身用ナイフで振りかぶった体勢から整え、アリサの方に顔を向ける。
その顔はまるで意識が無いように見えた。
アリサは冷静に状況を確認する。
リツカを確認すると頭を抱えてその場に座り込んでいた。
キアラも同じく、アリサの後ろで蹲っていた。
アリサは一番近いキアラに駆け寄る。
「キアラ、大丈夫?」
「物凄く、頭が痛い。頭の中でずっと歌が聞こえるっ!!!」
「歌?」
キアラと話している最中、前が暗くなった。
アリサは前方を確認するとセツラが目の前に来ていた。
そしてナイフを振りかぶろうとしていた。
「やば!」
アリサはキアラを守るためセツラに背中を向けて、己を盾にする。
あぁ、結構痛いんだろうな。
そんなこと考えていた時、背後で金属がぶつかり合う音がする。
アリサがすぐに振り向くと、先ほどまで座り込んでいたリツカがダガーを持ち、セツラの攻撃を受け止めていた。
リツカはそのまま勢いよくセツラの腹に膝蹴りを入れる。
それを受けたセツラは一瞬、苦しそうな声を上げ、その場に倒れた。
アリサはキアラを部屋の隅にやり、次に倒れたセツラを部屋の隅に運んびリツカに駆け寄る。
「リッカちゃん、助かった。ありがとう。」
「お礼を言うのはまだ早いみたいですよ。」
リツカは礼を言ったアリサに青ざめた顔を向けて応える。
「もしかして、リッカちゃんも」
「はい、歌が頭の中で物凄く響いてきて今はもう、意識を保つのもやっとな状態です。」
アリサとリツカは『歌』の発生源を必死に探すべく辺りを見渡すがそれらしきものは見当たらない。
「リッカちゃん、見つけた?」
アリサはリツカに尋ねながらリツカの方を向く。
リツカは下に俯いたまま、真っ直ぐより少し上を指した。
指した所には紅い宝石のようなものがあった。
「!あれか!」
アリサはすぐに銃を向け発砲する。
銃弾が放たれる重い音の後、ガラスがわれるような軽い音がする。
壊れた宝石から紅い液体が大量に漏れ、まるでバケツに入った水を流してるかのような音を立てる。
そして、歌は消えた。
「リッカちゃん、大丈夫?」
「はい、なんとか大丈夫です。」
リツカはアリサに手を借りて起き上がり、部屋の隅に置いた2人のところに行く。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫、気分は最悪だけどな。」
キアラは顔を上に向け、気分を落ち着かせながら話す。
タイミングよく、セツラが目を覚ます。
「大丈夫?」
「私…」
「変な洗脳?みたいなのにかかったの。無理しないで休んで」
アリサはセツラを横にする。
その時、紅い液体がここまで流れていることに気づく。
その液体に触り匂いを嗅いだ。
「これって…血?」
後ろを振り向くと辺り一面に血らしきものが広がっていた。
「なに…この気配?」
誰かそこにいるかのような気配を感じるアリサ。
が、周りを見渡しても誰もいない。
そしてなんとも言えない違和感。
何かがおかしい。
アリサはそう感じた。
「?血が…集まってる!?」
血のような紅い液体は先程アリサが撃ち抜いた赤い宝石の真下辺りに集まり、何かの形をなしていた。
「まだなんかあるの?やってらんないわね!」
リツカやセツラ、キアラが今動けない以上何が起きてもアリサが1人で対応するしかなくなった。
アリサは刀を構え、何かに向かって構えた。