アリサは驚愕していた。
紅い液体が集まり、何かを形をなしていたその中かから人が出てきた。
長い金髪、金色の瞳、少し白い肌、赤い口紅、そして赤いドレス。
身長は170cmと言ったところだろうか。
性別は胸を見れば一目瞭然、となるほど大きかった。
「どっから湧いてきたの?これ」
アリサは銃の標準をそれの胸に狙いをつけた。
それはゆっくりと動き始め、喋り始めた。
「ふむ、何事かと思えばこれは、賊でも入ったか?」
その容姿には似合わない口調で話し始めた。
「にしても可愛い賊じゃのう。してあの狂真珠の影響を受けぬとはまったく不思議じゃのう。」
「狂真珠?あの赤い宝石みたいなやつのこと?」
アリサはそれに質問を投げかけてみる。
「そう、狂真珠。ある洞窟に置かれていた真っ赤に染まった真珠。それ情報を聞き欲し洞窟に入ったもの達は気が狂ったように殺し合い、最後の一人は首を掻っ切る。聞いたことはないかのう?」
アリサは少し考えた。
「そして、その石は生血を啜り、鬼を作り更なる血を求めるだろう・・・」
アリサは似た話を聞いたことがあった。
それは邪の物が作りし、禍々しくも美しい宝石。
「鬼の吸血石、か」
「ほう、知っておるか。博識じゃのう。」
「そんな石から出てきたっていうことは貴女は鬼ってこと?」
「近からず遠からず、じゃな」
「少なくとも人間じゃないのね?」
「そうじゃな。人間というには醜いのう。」
アリサは女の奥の方を指さした。
「私たちはその奥に用がある。通してもらっても?」
女は振り返り後ろを見た後、アリサの方に向き直る。
「残念じゃが、無理じゃな。あの銅像紛いや夫婦と会い、戦い、勝ち抜いてきたのだろう?」
女は瞼をゆっくり閉じ、一呼吸置くと鋭い目でアリサに視線を向ける。
「じゃあ、儂がここにいる意味もわかろう・・・」
女は首につけたチョーカーに手を当てる。
「ブラッドローズ」
彼女はそう呟きチョーカーから手を離すと、手に繋がるように蔦の様なものが伸び、それには茨がついてるようにも見えた。
「まぁ、そんな気はしたわ。」
「さぁ、このイザベラの人形になりて儂を楽しませよ!!!!」
イザベラと名乗った女は腕を大きく振る。
その振りに合わせ手から伸びた蔦がアリサを襲う。
「っ!」
アリサは屈み、跳び、反り蔦を避け続ける。
攻撃をするにも相手の間合いがあまりにも遠く、そして攻撃速度が早かった。
「ダンスはあんまり好きじゃないんだけど、な!」
アリサは蔦を避けながらイザベラに向かって銃を撃つ。
が、蔦はそれを弾いた。
「…マジ??」
アリサは予想外の出来事に驚きを隠せなかった。
蔦で銃弾が防がれるのは予想はしていたが、的確に弾いてくるとは思わなかった。
「へぇ…鉄を飛ばすものとはこれまた奇妙な玩具ね。よく見せてもらうわ」
イザベラはそう言うと腕を横に大きく振る。
そして蔦はアリサの手に絡み、締め付けた。
「いった!!」
腕を潰されるような圧迫感と突き刺さる茨の鋭い痛みに思わず手のひらを開き銃を落とす。
イザベラはそれを確認すると逆方向に手を振る。
蔦はアリサを壁で放り投げた。
思いっきり壁に叩き付けられたアリサは一瞬息が出来なかった。
「ぐっ…ゴホッ!!」
必死に息を整えようとするアリサ。
苦しくてもイザベラに視線を向けたまま警戒した。
彼女はアリサの持っていた銃を手にしていた。
「ほぉ…この様な小さな物で鉄を飛ばしてきておるのか…ここから出るのか?」
イザベラは銃口を覗き込む。
「何も見えんの…これを引けばよいのか?」
そしてそのまま彼女トリガーを引いた。
発砲が鳴り響きイザベラの左目は吹き飛ぶ。
「なっ!?」
息を整えたアリサは今起きた事に動揺するしかなかった。
戦っていたはずの敵が銃口を覗き込み自殺したのだ。
彼女はそれが武器だと知り、銃口から弾が出る事も理解し、トリガーを引けばそれが放たれるのも理解していたはずだ。
にも関わらず、トリガー引いた。
「好奇心で自殺?笑えないわね…」
「これこら、私は死んではおらぬわ。」
「な!?」
イザベラは吹き飛んだその顔でアリサを見た。
「面白いものを持っておるの!これは鉄の中に何か火薬が入っておるのか?中で爆発してるようにも見えたぞ!」
イザベラは興奮しながらアリサに話しかける。
が、左目が吹き飛んだその顔は不気味でしかない。笑顔ならば尚更。
アリサはその不気味さに青ざめた。
「何じゃ、答えぬか…ああなるほどな。顔が吹き飛んで喋りおるから不気味で仕方がないと?なればこれで良かろう?」
イザベラはそう言うと左手で左頬の辺りを少し触る。
すると紅い液体が吹き飛んだ部分に集まった。
やがで吹き飛ぶ前の顔の形になり、紅いそれはひび割れ、落ちていく。
そこにあったのは吹き飛ぶ前と何ら変わらない目。
「治った…ってこと?」
アリサは刀を構え戦闘態勢を整える。
「うむ…この程度朝飯前じゃな。」
「見た目は人間でも中身は化け物ってことね。」
鼻で笑いながらアリサは言う。
それに対してイザベラは笑いながら返した。
「人のことをそういうではない、私からすれば主もかなり人間離れしておるぞ?」
「なんのことよ?」
イザベラは鋭い目つきで彼女睨みつけながら指を指す。
「飼っておるのじゃろ?貴様の中にとてつもない化け物を。」