「まったく…なんなのよ」
アリサは後ずさりながら、文句を言う。
それは落下の衝撃でまった周りの埃の霧から姿を見せた。
ライオンのような胴体、蛇のような頭が三つ、象のような顔が後ろにあり鼻が尻尾のようになった、氷の塊。
アリサが真ん中に位置する蛇のような顔の一つの目を見ると、氷の塊は動き、アリサを威嚇するように、雄叫びをあげた。
物凄い風圧を感じ、アリサは手を顔の前に出す。
雄叫びと風圧が止まり、手を下げると目の前には蛇ような顔があった。
「立ち去れ!人間!ここは貴様のような童が入っていい場所ではないぞ!」
「像が喋った?」
アリサは両手叩きながら笑い出した。
「ぞ、像が、あはは、喋ってる。これは博物館とかに出せば人気が出そうね!」
「貴様、我を愚弄するか!」
像が右前脚をあげ、思いっきり床をストンプする。
そこからライファーのマジックの人達が使うライフを使用して攻撃する時に現れる陣の一つ、『スクエア』が浮かび上がる。
アリサはスクエアを見た瞬間、足にライフを溜め『ジャンプ』を発動させ、横に飛ぶ。
像が出したスクエアからは無数の氷の槍が飛んできた。
アリサは上体を上に向け、背中を少し反る。
その真下を槍の一本が通り、お腹のすぐ上に1本通り過ぎる。
地面に後転しながら着地したアリサは槍が着弾した壁を見た。
物の見事に壁に穴を開け、刺さっていた。
「人間如きが我を侮辱するなどあってはならぬ!だが、このケロべロスは、寛大だ。今立ち去るなら許そう。その奇跡的に回避し拾った命、無駄にしたくはなかろう」
三つの蛇の頭がアリサの目の前に来る。
「なんて凶暴な像なのかしら。何処か掛けてる?それとも汚れが付いてるのかしら?お掃除の時間?」
アリサは真ん中に位置する蛇の頭を下から除き込むように見る。
「貴様、死にたいのか?」
「私は死なないわ。死ぬのは貴方よ。あ、いや壊れる、かな?」
「貴様がそこまで言うなら殺してやろう!どのような死に方でも文句を言うなよ!」
「さて、ショータイムかしら!」
アリサは二つリボルバーに弾を込め、頭の横で銃を四回転させ、グリップを握りケロべロスに向けて構える。
「いらっしゃい、かわいいケロちゃん!」
広い庭園をセツラ、キアラ、リツカが走っていた。
セツラは袋を抱えていた。その袋からは四角形の細い棒状の物が飛び出していた。
「本当にそれ、雪音のなのか?」
キアラは袋から飛び出したものを見ながらセツラに聞いた。
「し、知らないわよ。でもアリサのロッカーにあったし使えるなら持っていったほうがいいでしょ?」
「二人とも、そろそろ戦闘準備してください。もし雪音さんの報告に間違いがあったらあれは攻撃できる距離に入ります。」
リツカが2人に警告した後、背中からダガーを取り出す。
それと同時にキアラは大剣を持ち、セツラは杖を持ち出す。
「敵が襲ってきた場合、私が囮となります。その隙に2人が倒してください。」
「はい」
「りょーかいだ」
リツカが作戦を伝え、2人が返事したの確認し、前を確認した。
そこには確かにプレダトゥールがいた。
セツラとキアラは息を飲んだ。
この恐ろしい姿をしたモノを相手にするのは初めて。
無理もなかった。
しかし、リツカは幾度も戦ってきた。だから闘うを覚悟はできていた。
故に相手を前にしても戸惑うことはなかった。
のだが、リツカは違和感を覚える。
「…ライフが、吸われていない?」
プレダトゥールは無慈悲に容赦なくライフを吸収し、生きる。
そのため、彼らの周りにはライフがない。
だが、このモノたちにはライフがある。
偽物か?という疑問が浮かんだ。
それはこのモノを目の前に確信に変わる。
「間違いないですね。マジックの『スクリーン』」
「なんだそれ」
リツカの呟きにキアラは訪ねる。
「マジックのBクラスが扱うことの出来るものです。簡単に言うと幻覚。ライフを相手に見たい形にライフを集中させ、指示すればこの様に本物のように見せられるんです。」
「てことは、Bクラスのマジックがいるわけか。」
リツカはなるべく短く説明する。
今こんなことよりアリサの安否が心配だったからだ。
「これは無視しても構いません、先にいそ」
リツカが台詞を言い終わる前に物凄い地響きと爆発音が聞こえる。
3人は一斉に音の方を見る。
その方向は柱あるところ。
その壁から瓦礫が飛んでくる。
「シールド!」
セツラが大声をあげると、3人の前に半透明の壁ができ、瓦礫が弾かれた。
「サンキュー、セツラ」
「助かりました。セツラさん」
「あ、いえ…それよりさっきのは」
柱から爆発。
リツカは思い出す。
アリサは先に入っていった事を。
「まさか!」
リツカは走り出す。
それに少し遅れ二人が反応に走り出す。
リツカは門まできて開けようとする。
「くっ!開かない!」
「リッカちゃん!どけ!」
キアラが声を上げてリツカに警告する。
するとキアラは大剣を振りかぶっていた。
彼女の中のライフが両腕両足に集中していた。
フィジカルの身体強化だ。
彼女が大剣を振り切ると門に穴が空いた。
3人は急いでその穴を通過する。
そこに見えたのは蛇の頭の様な像が2つ横に転がっており、
その奥に大きな像。それと血だらけで膝を着いていた少女。
「アリサ!!」
セツラが声を上げる。
「セツラ?なんで…」
アリサがセツラ達の方を見た瞬間、像が動き出し、右足がアリサの上に落ちてくる。
リツカは足にライフを集中させる。
「ラン」
そう言い、走り出した。
その速さは尋常じゃなく早かった。チーター、いやそれ以上だろう。
踏み潰される寸前のアリサを抱え、セツラ達のところまで戻ってくる。
「んん?またも人間か。」
像は喋る。
「うお!?あの像喋らなかった!?」
キアラは驚く。
「ありがとう、リッカちゃ」
キアラを無視し、リツカにお礼を言うとしたアリサにリツカはフルスイング右ビンタをする。
「!?!?」
アリサは何が起きたのか分からないような顔をして左頬を指で撫でる。
「何してるんですか!?もう少しで死ぬところだったじゃないですか!」
「いやぁ、ホントね。」
「ホントねって貴女!」
リツカが叱っているのを無視してセツラの方に歩いていく。
「ちょ!?」
思いもよらぬ行動にリツカは驚く。
まさか叱ってる最中に無視されるとは誰が思うだろうか。
「なんで来たの?」
アリサはセツラに尋ねる。
「アリサが心配だし、私も1人は嫌だから」
「そっか…」
「あ、アリサこれ」
セツラはアリサのロッカーから持ってきたモノを集めた袋を渡す。
「必要かなって」
アリサは中身を見た。
そこには彼女の銃の弾。刀。服が入っていた。
そのうちの弾と刀を取り出す。
「あっ…これは有難い。」
アリサは銃に装填しセツラに背を向ける。
「アリサさん、何をする気ですか。」
アリサの前にリツカが入ってくる。
「何ってあれを倒す。」
「1人で?無理に決まってます!そんな傷もおっているのに!」
「どの傷?」
「なにを」
リツカはアリサが来ている服の破けた部位を見る。
そこには血が流れている。
だか傷がない。
「え?」
不思議に思いつい固まったリツカをスルーしてアリサは前に出る。
「さて、ケロちゃん、続きをしようか。」
「ふん、弾を補充して勝機でも得たつもりか。」
「もちろん。あ、他の人には手を出さないでね。私が戦うんだらちゃーんと正々堂々、私と一対一でやりましょ?」
「ふん、いいだろ。見方を頼らぬその自惚れ覚まさせてくれよう!」