ここまでアリサやキアラ、セツラがやってきた訓練は対人目的が多かった。しばらく現れないプレダトゥールの対処より犯罪やテロの相手をする方が多いためだ。
だから、ケロベロスというこの大きな相手をする術は教えられていない。
アリサは手当たり次第に攻撃をし、相手の様子を伺っていた。
結果としては大体の攻撃を見ることができ、三つの首のうち一つは銃撃で千切ることができた。
しかし、弾が空になり回避しかできなかった。
故に戦闘はセツラ達が合流するまで続いていた。
銃弾を補給した今、戦況はこちらに有利なる。
そう考えていたアリサ。
だが、そうはいかなかった。
ケロベロスの身体が氷の鎧に包まれたのだ。
アリサは頭の一つに集中して六発撃ち込んでみるが、弾かれてしまう。
「っち」
アリサは舌打ちをする。
「ふん、貴様の弾などもはや無意味だ。」
「そう?それ油断してない?」
アリサは一発だけ、銃に弾を装填しを構える。
「一発だけだと?舐めているのか?」
「ペロペロと相手を舐める趣味はないわよ。それはあなたの趣味じゃなくって?」
「ふざけるな!!!」
ケロべロスはアリサを踏みつけようと右前足を出す。
アリサは右足に向かって銃を放つ。
その銃声はケロべロスの自信と確信を崩し、アリサに確信を与えた。
銃弾を受けたケロべロスの右足が爆発するように砕け散った。
「な!?」
ケロべロスは驚きの声を上げながらバランスを崩し倒れていく。
その姿を見ながらアリサは微笑んだ。
「床でも舐めてな。アイスドック。」
アリサは倒れているケロべロスに歩いて弾を込めながら寄っていく。
ケロべロスはさっきの弾の作用なのか、倒れてから動かなくなり、苦しそうに唸るだけになっていた。
アリサは銃に全弾を込め終わる丁度その時、ケロべロスの頭の目の前まっで来ていた。
「き、貴様、さっきの弾は何だ!」
ケロべロスは必死に声を出す。
「あれは、ライフを弾に込めるんだけど、弾の先にもライフの壁を作って貫通力を上げるておいて鎧とかを貫通できるようにしておくの。そしてライフがしっかり溜まった弾が敵内部に入ったとき爆破。中に入っていたライフたちは内部からそこにあるライフを死滅させていくっていうもの。
私たち人と同じくライフを扱ってるってことは生命線もライフと思ってやってみたんだけど、なんで生きてるの?」
アリサは銃をケロべロスに向ける。
ケロべロスはアリサの話を納得してなんか、少し微笑んで喋りだす。
「なるほど、ライフか。」
ケロべロスは銃を向けるアリサを見る。
「我々は確かにライフがなければ生きられない。そしてそれを操って戦う。それ故、生きていくのに最低限必要なライフは守りを固くし、守っている。故、あの弾を食らって瀕死になれど生きているのだろう。」
アリサは首を傾げる。
アリサはアイコンタクトでリツカに「なんの話?」と尋ねる。
それを理解してかそれともアイコンタクトが通じなかったのか、リツカもアリサを見て首を横に振る。
「そんな話、聞いたことないんだけど」
「なんと無知な娘よ。このような事、我が主なら知っておったぞ」
「主?」
「我を従えし者は白き肌を鬼の血で返り血にて赤く染め上げる姫君…雪姫様よ」
ケロベロスがその名を口した瞬間、アリサは固まった。
「アリサ?」
アリサの異変に気づいたセツラが声をかける。
「初代が…貴方を従えていた?」
「しょ、初代だと!?」
アリサの発言にケロベロスは驚く。
「き…貴様は…あの方の血族というのか!?」
「私の家の初代の名前は雪姫よ。」
「なるほど…ならばその強さも理解できる。」
ケロベロスは床を見る。その目は何かを別のものを見てるように思えた。
そして、決意したような瞳に変わった時アリサに告げる。
「我を連れてゆけ小娘」
「連れていけって…この巨体を連れて歩きたくはないわよ?」
「別にこのまま連れていけと言わん。我が魂を持っていけ。」
「魂?私、肉体滅んでも魂は生きてる!みたいなこと信じてないんどけど」
「それは人間だけだろ?」
アリサはああ言えばこう言うやり取りに飽き飽きし、深いため息をついていた。
「わかったわ。」
「では我が魂を取れ。そうすれば我は貴様と共に行ける。そして貴様の牙ともなろう」
ケロベロスは呻き声をあげる。
すると体が氷漬けにされ、すぐに崩れ落ちる。
体の中心に当たる部位に氷の球体が浮遊していた。
アリサはそれに手を伸ばす。
球体はアリサの手に吸いよされるように手元まで浮遊した。
アリサがそれを握ると周囲は光で覆われた。
暫くして目を隠した手を避け、球体を握った手を見るとそこには円柱の氷の塊があった。
握てる感触からその棒の両端になにかぶら下がっているように感じた。
「ふむ」
アリサはそれを縦に降ると、棒の先端から棒が現れた。
そして、棒が振り切られると先端に現れた棒は消える。
「振れば両端から出るのね。」
アリサは武器の仕組みを理解した。
少しニヤケその場で試しにそれを振っていく。
その姿は踊り子のように舞ってるよう。
「宜しくね。ケロベロス」