「ユウ・タービン...か」
先程聞いた男の名前を思い出す。これで二年前の謎は繋がった。鉄華団とテイワズは繋がっていて、鉄華団だけでは戦力不足だから何人かテイワズから派遣したんだろう。その中に奴がいた。
確かに強さは十分だ。あの射撃スキルを持つものはギャラルホルンにもいない。まず、狙撃手があまりいないのだが。
その理由の一つに狙撃手には隣に観測手が必要だからだ。しかし、やつには前衛はいても観測手はいなかった。つまり一人二役となる。
アリアンロッドで有名な狙撃手と言えばイオク...いや。あいつは俺より射撃が下手だ。部下に持ち上げられただけだろう。
「とりあえず行くか」
そう呟き通信を繋げる。
「ニール、出撃準備を出来たか?」
「出来ました!いつでも行けます!」
そういうニールの機体はカタパルトデッキに移動していた。
ライルは口を綻ばせた。
その頃フュンフ
「いよいよね...」
艦長の席でアガーテが呟いた。当然だ。ここまで待たされたのだから。
するとオペレーターが急に言った。
「アガーテさん!労働者側からモビルスーツ17機、武装ランチ34機援護に回る模様」
「労働者側に礼を」
そう言うとオペレーターはまた作業を始めた。
そして、少しすると敵のエイハブウェーブを感知した。その数...
「アガーテさん!敵モビルスーツを発見しました。その数...8機です...」
言われた通り敵モビルスーツの数は8機。
ギャラルホルンはなんのつもりだ。これなら我々が介入する必要も...もしくは只の第一波で援軍が来るのか。
ひとまず、なんとかする必要がある。
「作戦を開始して!シュイン、ジョーカー、エストを前に出して労働者のモビルスーツ、武装ランチの順に防衛線を張って!」
「「「了解!」」」
そして、戦場
「オラオラオラ!」
ジョーカーがそう叫びながら鎌を振るう。
それを防御出来ずに一機が武装解除された。
やはり妙だ。全員がエースパイロットという訳ではなさそうだ。つまりこの全員捨て駒か?
すると3機がジョーカーに仕掛けてきた。
「おわっ!」
その3機の攻撃を避けたとき、その内二機をシュインが撃って残り一機をエストが仕留めた。
そして、シュインが撃って止まった二機に鎌を振るうが避けられるしかし、後ろに回っていたシュインにとどめをさせられた。
これで残り半分。
残りの内三機は防御線を突破して労働者側の所に行くそうだ。残り一機が仕掛けてくる。
「ジョーカー、ここは任せたよ」
「わかった」
シュインの言葉を返すとシュインとエストが労働者側に行こうとする三機の方へと行った。
そして、ジョーカーは残った一機にタックルする。それで飛ばされた所に鎌を振るうが避けられる。
しかし、それを読んだジョーカーは鎌をもう一度振るいコックピットに捩じ込んだ。
その頃エストの方では。
「う、うわぁぁぁ!」
着くと労働者側のモビルスーツがやられていた。
間に合わなかったか。
そういった自分を責めた。まだ助かる人が要るじゃないかと。
「シュイン母さん。一機任せていい?」
「わかったー」
シュインが弾幕を張って労働者側のモビルスーツとギャラルホルンのモビルスーツの間に入る。
それを見ながらエストは一機のグレイズの腕を掴みパルチザンを捩じ込む。そして、労働者側に蹴った。その後労働者側のモビルスーツが倒した。それに逆上したように襲いかかるモビルスーツをかわしてパルチザンで殴る。
隣ではシュインが終わらせていた。
「...妙じゃないか?」
「妙だと思わない方がおかしいよ」
敵モビルスーツ全機が行動不能なのだ。いくらなんでも早すぎる。そして、いくらなんでも少なすぎる。しかし労働者側はまるでこれで終わりだと勘違いしているように喜んでいる。
「シュイン母さん。フュンフに戻って防衛しよう」
「わかった」
バーニアを吹かして、フュンフの方へと戻った。
それを見ていた二機のモビルスーツは打ち合わせをしていた。
「とりあえず、俺があのモビルスーツをなんとかする。敵も馬鹿じゃないみたいだから戦艦の方に行った二機は任せる。二機を潰さなくても良い。とりあえず、戦艦を潰して戻ってこい。そしたら後からプチプチ潰す」
「了解。では指定の場所で仕掛けます」
そう言うと、ニールはコロニーの方へと行った。
楽しみだ。
そう感じていた。その近くにアンドラスが要ることを知らずに。
二人のを動向を見たユウはフュンフの方に通信を繋げる。
「姉さん。そっちにモビルスーツが二機、行くから気を付けて」
するとアガーテが返答をした。
『わかったわ。っていうかゆーちゃん、敵の会話を聞いたの?』
声からして、他の問題は終わったのだろう。しかし今からが本番だ。
「ううん。だから作戦もわからない」
そう報告すると『うーん』と唸る声が聞こえた。
体をコックピットに預けて返答を待つ。
『ゆーちゃんの存在は...』
「多分気づかれてないと思う」
『だったら援護はお願いね。テイワズの狙撃手』
僕の二つ名(仲間の間にしか言われていないが)を喋って笑い声がした。
「そうやって呼ばないでって...まぁわかった。」
そう言って敵の反応が無いことを確認してスラスターを吹かした。
その通信を切った後、アガーテは艦長席から言った。
「ゆーちゃんから報告。敵モビルスーツ二機来るみたいだから全機対応して」
「「「了解」」」
そう言ってジョーカーは前にそして、労働者側のモビルスーツを挟んでエスト、シュイン、そしてアガーテ達が乗るフュンフと臨戦態勢となった。後ろや上にも労働者側のモビルスーツやランチが散らばっていて気づかれないでフュンフを仕留めるのは無理だ。
「二機でかかってくるって事はエースパイロットの可能性が高い。...早く話し合いが終わればいいんだけど」
元々こちらの仕事は人殺しじゃない。ギャラルホルンとお偉いさんに恐怖をつけて話し合いに持ち込む。ということだ。つまりあちらさえ来なければ戦闘も意味がない。
しかし時間はかかるだろう。ドルトでもクーデリアの演説が無ければ始まらなかった。まぁその変わりの物があるのだが。
それでも不安にはなる。
「アガーテさん!敵モビルスーツ一機真っ正面から来ます!」
そこには真っ正面から突っ込む一機のモビルスーツがいた。
違う二機のモビルスーツをニコイチしたようなモビルスーツ。
「まずは一機ね...ジョーカーに任せなさい。ゆーちゃんの報告と照らし合わせるるとそいつは囮の可能性が高い。周りは警戒をおこら足らないように!」
「「「了解!」」」
ジョーカーが乗るトートの鎌を軽く避け逆に蹴りを加えたのはライル・バレルが乗るグレイズクルーガだった。ライルは手始めとでも言わんばかりに労働者側のモビルスーツを六機、スクラップにして来た。
「なんなんだ。こいつ...!当たらねぇ!」
鎌を降るがギリギリの所で避けられる。
避けられた所に鎌を持たれて投げ飛ばされる。
「俺に剣を抜かせるとは...実力者とみた!...当たり前か」
そういう通信を聞きながら体制を整えると目の前に剣が出てきた。
ーやられる!
そう思い身構えるが、その剣の切れ味が悪いため弾き出されただけですんだ。しかし追撃をくらって再び体制を崩す。これじゃあジリ貧だ。
これでも十分なダメージの為やられる可能性だって捨てきれない。
なので体制を整える前に追撃砲を放ち、避ける間に体制をと整える。鎌を構えて、相手のモビルスーツをロックオンする。するとそのモビルスーツはくるくるとまわりながら回り込もうとする。
「させっかよ!」
追撃砲を放つがそれが全て避けられる。くるくる回るその出てきた隙間の中に吸い込まれるように入っていくのだ。まるで狙っているみたいに。
「こいつ...それなりに強いな。此方も仕掛ける!」
そう言って、鎌を持ちらながら急接近して鎌を振るう。しかし剣の刃に受け止められた。
「やるっ!」
そう唸りながら蹴りで弾き飛ばす。
追撃しようと鎌を振り上げた瞬間、剣がコックピットに当たった。流れるような動きで通りすぎた。
「阿頼耶識!?なんで!?」
ギャラルホルンは阿頼耶識に否定的なはず。何故?
そう考える余裕もなく、追撃された。Gを感じながら、行動を観察する。特定の法則があるわけでもなく、本当に人が動いているような動きだ。
「人が動いているような...そうか!」
追撃砲を相手のバックパックに向けて放つ。
それは命中した。しかし爆発は起こらず、ただ此方を向いた。ガスを噴射していなかった。まるでこちらの動きを読んだように...何者だ。
不穏な気持ちに駆られた。
その頃警戒体制を強めているフュンフに一機のモビルスーツが接近していた。
そのモビルスーツも労働者側のモビルスーツを二機弾いて接近してくる。両手にライフルを持った状態で。
それにいち早く気付いたシュインがライフル同士の撃ち合い状態にした。
「射撃の勝負でゆーちゃんに勝てる人はいない!ゆーちゃんが来るまでの時間稼ぎさえすれば!」
「舐められたものだ!私もギャラルホルンの兵士だ!」
そのモビルスーツ、グレイズルデンに乗ったニールの目的は敵戦艦の破壊。それが完了すれば敵の敵意が失われ、後は本隊に任せればいい。それくらいなら数機でやれると思ったが思いの外敵が強かったみたいだ。
そう思って、離れる。
そこに、エストが来て、援護射撃をする。
「シュイン母さん!ジョーカーがヤバイ!さっさとこいつを倒して援護する」
「わかったわ。じゃあ「俺が突っ込む!」りょーかい」
エストがライフルをシュインの方に投げてパルチザンを持って突っ込んだ。
しかしそれをかわされてバトルアックスで傷つけられた。そして、機体が止まった。
そこにバトルアックスを大きく振りかぶるグレイズルデン。
「しまっーー」
「貰ったぁ!」
するとエストの機体が急に動いた。
「な...」
「はぁ!」
驚いているニールにエストが攻撃する。
「はっはっはー!後少しで仕留めてやるよ!」
「こいつ...雰囲気が変わった!?」
「なんなのよ...あれ」
仲間のシュインでさえも驚き動きが止まる。
それを見たニールは攻撃をかわしてフュンフの方に全速力で行った。
「てめぇ!逃げてんじゃねぇ!」
「アガーテさん!」
ニールのライフルの弾がフュンフに当たる。その影響で艦内が揺れる。
「近づかせないで!至近距離で当たったら穴が空いちゃう!」
アガーテがそう叫ぶが防御は間に合わ無かった。
グレイズルデンは簡単な弾幕を潜り抜けライフルを一発二発と当てていく。
二人が参戦するが、弾幕でうまく邪魔できない。
しかしエストが急接近する。パルチザンを最大まで伸ばしてギリギリの射程でグレイズルデンを殴る。
グレイズルデンは即座に体制を整え、獅電の首に当たるパーツに腕を引っ掻けた。対人戦だとラリアットと言われる行為だ。それを見ると阿頼揶識かと思ったが違う。急接近しながら攻撃のコマンドにしたのか。
それを逃げようとして、体が一回転する。その間にグレイズルデンは一つのライフルをフュンフの指令室に突きつけた。
「しまった!」
「もらっ...た!」
そして、グレイズルデンのライフルが火を吹いた。
いや、爆発した。
二丁のライフルそれぞれ貫通して。
「ぐっ!敵の援軍!?...あ、あいつは...」
「おせぇんだよ!」
エストの視線の先にはガンダムアンドラスがいた。
「あの...二年前の...ガンダム!」
ニールは耳がおかしくなるくらい叫んだ。