すみません。遅くなりました。
今回はユウとマクギリスというアグニカ馬鹿同士の対話です。どうぞ。
遠い遠い歳星にいるお父さん、お母さん。お元気ですか?僕は...
「あのなぁ...ユウ...お前が言ったんだよな。歳星で集合しようって。ここは何処だ?」
姉さん達に弄らたり、抱かれたりしています。そして今
「え、えーと。地球」
イプシロンの中で珍しい男であるジョーカーに怒られています。
元気です。とはとても言えません。
「この馬鹿野郎!」
目の前に出てくる拳を受け止める術はなく、殴り飛ばされた。
視界に青い空が映る。
今日は...快晴だ。
とりあえず重たくなっていた瞼を閉じた。
瞼を閉じた状態で一瞬であれからの事を思い出した。
あの男、ガラン・モッサを殺した後、シュインに怒られてその場で一晩野宿をするはめとなり、その後、鉄華団地球支部へと行き、その場でラディーチェ・リロトを捕縛、並びにマクマードへの連絡をして、処罰を待つ状態にさせた。その後、ほぼラディーチェとチャド頼みだった事務の部分をイプシロンの仲間と協力しながらする。などから結局歳星に行けず、団長に仲間を地球に連れてくるように頼むこととなってしまった。やってしまったと思いながら、意識を手放した。
「結局何だったの?こいつ」
自爆したせいで回収されたものの、エイハブ・リアクター以外ロクに使えないゲイレールを見ながら三日月はマクギリス・ファリドに言った。
「恐らくはアリアンロッド...ラスタル・エリオンの息が掛かった者だ。まあ、その証拠は見事に灰となってしまったがな。部下達を尋問したが、ニュース以上の情報は出て来ない」
ガラン・モッサは用心深い男だった。
部下達に一切の核心を伝えず、情報は自身の頭と機体のソフトウェアのみで管理していたのだ。
自爆によりソフトウェアが見れなくなった事で、全ての証拠は隠滅された。
「しかし、ガンダムアンドラスのパイロットはとても興味深い存在だったよ...私は彼にアグニカ叙事詩の主人公の姿を見た」
そういいながらマクギリスはユウという男について考えた。彼は普通ではない。戦闘中も出来るだけ中距離を保とうとしたこと以外アグニカと似ている。下手な芝居をするのではなく、圧倒的な操縦技術で乗り切る。
それにギャラルホルンの人間ではないのに、アグニカ・カイエルの存在を知っていること。実に興味深い少年だ。
「アグニカ...?誰それ?」
「ギャラルホルンを創った、伝説の英雄さ。厄祭戦の時代、ガンダム・バエルに乗り込み世界を変えた男...それが、アグニカ・カイエルだ。では此方はもう失礼するよ。オルガ団長にも話したいことはあるからな」
そう言ってマクギリスは闇の中に消えていった。
マクギリスから目線をずらした三日月はチョコを口に放り込んだ。
アリアンロッド。そこでグレイズクルーガについて相談があったライルがアメリアの元を訪れたのだが、アメリアの様子がおかしかった。
「アメリアさんよ、ちょいと相談があるんだが...」
「...」
黙って仕事をしている。前とは違う。前は心配等が頭から出てこないようにそれを仕事に回してきたのだ。しかし、今は仕事以外の情報を頭に入れるのを拒否している。昨日と似て非なる行為に気づいたライルはアメリアを小突く。するとその衝撃か、アメリアがきょとんとした顔で此方を見てきた。
「どうしたのですか?」
ここで何もない。とでも言えば彼女はまた同じようになるだろう。
めんどくさい。彼が一番最初に抱いた感情だった。
「お前、休んだらどうだ?疲れてるだろ。ほら、ここの数字も間違えてるし、ここの名前も間違えてる」
そうパッと見て気づいた間違いをアメリアに言う。するとアメリアはそれを何秒か眺めた後、ハッとして書き直した。
「それに、このレポートだって間違えてるだろ」
「...すみません。すぐに直します」
彼女は出来るだけ頭に情報を入れたくない。ここまでは理解していたが、流石にこれ程とは。そう思って机をおもいっきり叩く。
彼女はこれまたきょとんとした顔で此方を見てきた。
「だから休めって言ってんだろ。俺とはいえ、すぐにこんなにもミスを見つけたんたぞ」
「...」
しかしアメリアは黙ってそれの修正にかかる。仕方がないので諸刃の剣を出すことにした。
「おじ様とやらが死んだらしいな」
「──っ!...ええ。とてもいい人でした。悲しいです」
アメリアは驚き、何かを抑え込みながらも、想像通りの答えが出てきたのでため息をつく。それがアメリアの目につき、眉が動くがアメリアは頭を降って思考を戻そうとする。
「お前はその事をまだ、気にしているんじゃないのか?」
これも言うならば諸刃の剣だ。最悪の場合これで自己嫌悪に落ち着いたら引き上げる方法が浮かばない。しかし彼女はそこまでヤワじゃないと信じて話す。
「...はい」
アメリアが苦いコーヒーを飲んだような表情をしながら此方を見る。
悔しいのだろう。悲しいのだろう。
あぁ。わかってる。
「仕事は俺がやってやるから、お前は寝室で大泣きでもしてろ」
そう言って強引にアメリアをたたせる。
「泣きません」
彼女は表情を変えながらも鉄の意思で保っていてた。
「何でだ?」
「泣くのは、弱い証拠ですから。ジュリエッタもまだ弱い。けど、私は強くなければならないのです。人の上に立つものとして、当然のことです」
こいつは何かを間違えている。自分は強いと。だから泣かないと。だから悲しくても仕事を完璧にこなせると。
実際今もまともに出来てない。不完全な物を量産しているだけだ。
「はぁ...確かに泣くのは弱い証拠だ。...けどな。これを忘れるな。泣くのは同時に
そう言うとアメリアは涙目になった。
歳をくったら泣けなくなる?人の上に立つから泣かない?違う。泣くのは人として、弱いものとして当然なのだから。恥じる必要はない。
「わかりました。でも、貴方に仕事を任せるのは少しプライドが許さないので...その...背中を貸してください」
「...わかった(胸じゃないのかよ...まぁいっか)」
後ろ。扉の方向を向いて、机に座る。すると後ろからアメリアが抱きついてきた。そして、背中から声が聞こえた。酷く、泣いていた。
制服が涙と鼻水で汚れるだろうが、仕方がない。今後彼女が再起不能になると考えれば安いものだ。
「うっ...ううう...おじ様...おじ様ぁ...うううう」
「(泣けよ。
その頭を軽く叩きながら呟いた。
「エイミー...」
その後、鉄華団地球支部は鉄華団団長であるオルガとイプシロン代表であるユウの助言もあり、解体されることとなった。
元々鉄華団地球支部の存在意義がアーブラウの軍事顧問としてだったのでアーブラウ防衛軍が充分成長した事で、その存在が必要無くなった事だったのが大きな理由の一つとなっている。
もう取り壊されるか、アーブラウに渡せるのかわからない応接間で団長であるオルガそして護衛なのかバルバトス、地球支部の偉い人、そして何故かユウ、アガーテとギャラルホルン地球外縁軌道統制統合艦隊のマクギリス・ファリドがいた。
なにやら話があるようで。ジョーカーに殴られたのをまた起こされて連れてこられた。その間にジョーカーがどんな目にあっていたのか...なんかちゃんと謝る必要がありそうだな。と思う。悪いことをしてしまった。
とりあえずマクギリスが口を開いた。
「ガラン・モッサはラスタル・エリオンの息が掛かっているとみて間違いない」
「またラスタルってヤツか」
オルガがそう呟いた。ラスタル・エリオン...相当だな。あの団長さんがまたという言葉を使うとは。
「彼らを討たずしてギャラルホルンの改革はありえない。相手側が仕掛けてきたということはもはや全面対決も近いだろう。」
「全面対決?」
正気だろうか。ラスタルという事はアリアンロッド。地球外縁軌道統制統合艦隊と鉄華団を合わせてもとても倒せる相手ではない。
「これからも君たちには力を貸してもらわねば...私は君の期待したい。ユウ・タービン」
「...その前に確認。良いですか?」
「ああ。構わんよ」
そう言ったのを確認して椅子の前にいたのを椅子の横に立った。アガーテが背中を擦る。それを観て、言った。
「何故、鉄華団と僕なのですか?そして、何故今なのですか?」
するとマクギリスふっとほくそ笑み、言った。
「ギャラルホルン...いやヘイムダルにはアグニカ・カイエルという象徴がいた。周りにいる天使を狩り尽くし、世界を再び平和へと導いた英雄。しかし、今はそれがない。私は君達の生きざまにアグニカ・カイエルと似たような物を感じた。君達の力を借りれば必ず成し遂げられる。ギャラルホルンのトップになることが出来る」
ギャラルホルンのトップ...
「ギャラルホルンのトップですか?貴方は僕たちの力を借りてアグニカ・カイエルになろうと。そう言いたいのですか?」
「その通りだ。私はアグニカ・カイエルとなり、ギャラルホルンを改革する。そのために力を貸してほしい」
そう言うとユウは黙りこんだまま椅子に、オルガの隣にどっしりと腰をかけた。
そして、ゆっくりと深呼吸をして言った。
「
「ほぅ...何故だ?」
マクギリスはそれを否定せず理由を聞いてきた。
ユウは持っていたアグニカ叙事詩を開きながら言った。
「簡単です。貴方はマクギリス・ファリドだからです。確かにアグニカ・カイエルは人類の英雄です。ガンダムを駆り、モビルアーマーを駆逐して、人類の英雄になりました。そして、ギャラルホルンという組織を作りました。でも貴方がしようと、目指しているのは違う。ただ...貴方は...違う気がするんです。そんな高い場所を見たい訳じゃないって伝わってくる」
「では、君がなると言うのか?アグニカ・カイエルに。少なくとも私はその可能性を感じた」
その言葉を聞いて本を閉じる。目を閉じてゆっくりと本を膝の上に置く。
アグニカ・カイエル。幼い頃どんな書物か忘れてしまったが聞いたことのある名。しかし自分はそうではない。
「僕はアグニカ・カイエルではありません。髪も真っ黒だし、幼なじみなんていないし、親も自分も科学者でもない。政治なんて全然知らない。まず戦法だって違うし、阿頼揶識もない。演説なんてしたことない。他にも色々ありますよ。僕とアグニカ・カイエルは違う。けど、なりたい。せめて家族だけでも救える。アグニカのような存在に」
「それは、
こくりと頷く。アグニカ叙事詩を持つ手を重ねて後ろのアガーテが心配そうな視線を送るのを感じながら言った。
「アグニカ・カイエルはもう死んだ。ここにはいない。ならば僕たちは襟を正して死んだ後にアグニカ・カイエルに笑顔を向けられるように生きるべきだ。...だからギャラルホルンの改革には賛成だけど貴方がアグニカ・カイエルになるのは賛成出来ない」
ユウの発言は言うならば我が儘だ。
マクギリス・ファリドにギャラルホルンの全てを支配させてはならない。...アグニカとは言わせないと言っておきながら自身はそれに近くなりたいと言っている。
もうそれを追及していくと何もかもがわからなくなる可能性があったのでとりあえずと言ってマクギリスの方向を向く。ユウと違い、マクギリスはあくまで大人の対応をしている。余裕だな。
ユウは一度落ち着いた後に言った。
「それで、どうして今なのですか?グラディウスならアリアンロッドに並ぶのにそこまで...5年程度あれば十分だと思われますが」
「足りないのだよ。5年では。それどころではない。今は一秒の時間すら惜しい。...君はモビルアーマーを知っているか?」
当たり前だと思いながらこくりと頷く。しかし団長や、バルバトスさんは何それ?と首を捻る。
後ろを向きながら簡単な説明をする。
「厄祭戦にて人類の約4分の3...およそ75%を殺した兵器です。AIで動くから対話の意味すらない上に純粋に人を殺すために存在するため厄介な存在です。厄祭戦にてアグニカ・カイエルを始めとしたヘイムダルに一匹残らず駆逐されたのでは?」
「へー。でチョコはそのモビルなんとかがどうかしたの?」
三日月はモビルアーマーについて興味があまりないようでどちらかと言うとマクギリスがなぜその名を出したのかがわからないようだ。事実僕もわからない。
「それが確認されたのだ。とはいってもモビルアーマーの子機であるアーラの残骸のみだがな」
「アーラ...それでは周りにプルーマも?」
アーラという物は聞いたことがない。この男は何を言っているのだろうか。
前の自分ならそういうだろう。それも仕方ない。アーラというものはそれこそアグニカ叙事詩等がないと全くわからない物だ
「プルーマもいた。しかしそれは厄祭戦からいままで回収されなかったという事が出来るためなんとも言えなかった。生産したMAがやられても、外部から電源をつければ起動するからな。しかしアーラは違う。モビルアーマーの周りにしか入れないのは変わらないが、アーラはマイクロウェーブを受けとるモビルアーマーを選ぶ事が出来る上にプルーマと違って数時間程度ならモビルアーマー本体から離れて行動するの事も可能だ。それに最悪エイハブ・リアクターを積んで動く事も出来る。ギャラルホルンではないがアーラを見つけ、捕獲した組織があってな。そして、そのアーラには今は抜かれているが、エイハブ・リアクターがあった。それでわかったのだ
厄祭戦はまだ終わってない。それはユウだけではなく、その場にいる、バルバトス以外を驚かせた。
「「「は?」」」
ユウはとりあえずアガーテの方を向くがアガーテも意味がわからないらしく、首を捻る。
今は厄祭戦が終わってから300年以上たつのだ。なのに...まだ終わってない?厄祭戦は300年以上続いているということ?
「それを知っているのは?」
「セブンスターズ等、ギャラルホルンの上の人間だけだ。無論。信じるものの方が少ないがね。だから他言無用で頼む」
当たり前だ。厄祭戦が終わってないならモビルアーマーでも、それこそガブリエルでも引き連れてこないとまだ厄祭戦の爪痕が残っている───で終わる。
実際セブンスターズ等のギャラルホルンの上の人間もそういう解釈なのだろう。
しかし自分とアガーテは嫌な予感がしていた。
特に自分はアグニカ叙事詩を読んで知識を着けている。
「あと、質問良いですか?」
「構わんよ」
「その...アーラを捕獲したのって...反ギャラルホルン組織?」
そういうとアガーテが驚いてこちらを見る。しかし、気にせずマクギリスを睨む。すると、マクギリスは座り直して言った。
「ああ。その通りだよ。もしかしたら君は...」
「ええ。この前仲間が反ギャラルホルン組織と接触しました。その上、アーラがロークスといわれるコロニーに運ばれて...勿論モビルスーツで反応はしませんでしたが危険なので此方で回収しています」
そういうとマクギリスは少なからず驚いたようで目を細めて腕を組み、此方をしっかりとみてきた。
「...それを此方に預けると言うのは?」
「ひとまず歳星に運ぶ事は決定してますが...
「頼む。我々はアーラを捕獲してないからな」
マクギリスが笑う。それが気味悪く見えて、顔を背けた。
この人が欲しいものはなんだろうか。もうわからない。彼が何を欲し此方に何を求めるのか何一つわからない。しかし、わからなくてはならない。
そんな気がした。
「とりあえず...この話はここで止めましょう。話が脱線しましたし、何より団長さんもこんなに急じゃ話が出来ないですよね?」
「いや、俺は「ですよね?」おお...」
とりあえず頭に血が上っている団長を無理矢理沈めて話を引き延ばした。
しかし、マクギリスという男は彼に不安を与えた。
【悲報】厄祭戦、終わってなかった。