こちらに来たアーラは全てで五機。モビルアーマーと同時に行動するのも、アーラのみの場合もだいたい三機程度だったらしいので少々多い。
何故多いかという理由はわからないが予想するならばハシュマルの周りに他のモビルアーマーがいたと推測するのが楽だろう。
鉄華団のモビルスーツが銃で援護してくれているがそれでも止められるのは二機。残り三機のうち、一人一機づつ相手をさせられる。しかも、その二機も間を見計らえば此方に攻撃も容易に出来る。
「...っ!」
目の前にいたプルーマを掴み、アーラを殴っては見るがそんな鈍重な動き見切られない筈がない。
すぐにプルーマを破壊される。
これで7つ。先程アーラが襲ってきた影響でモビルアーマーがクリュセの方へと向かってしまった。しかも加速している。とりあえず本体の方は別の人間に任せればいいが、一つ問題がある。
武装がないモビルスーツなんて動く鉄屑と同じ。
アーラに一方的にいたぶられるだけだ。
「頃合いか?」
背後を振り向く。イオク・クジャンを見つけることは出来ないが
しかし、あの男がモビルアーマーに撃った理由はだいたいわかる。だからこそ、何らかの変化が訪れていた。
「あいつ...本当に部下を見る目だけは良くしやがって」
フッ。と軽く笑ってアーラの攻撃をいなす。
「エイミー...許して...くれるか?」
答えは聞こえない。聞こえる筈がない。今彼女はここにいないのだから。
蹴り飛ばそうと脚を出すがそれをかわされて逆に蹴飛ばされる。石盤に叩きつけられ、機体も限界が近い。
「...」
使うなと言われた訳ではない。
何故、いままで使わなかったか。と言われるとあまり良い答えは出てこない。ただ、自身にセーブをかけた。ギリギリの状態にして、相手とレベルをあわせた。結局あうことはそこまでなかったが。そして自分を、昔のライル・バレルを否定したかった。あの力に頼ることは昔と変わらないという事だから。
しかし、今でも時計の針は止まっている。過去に引っ張られて足掻いている。でも、そんなのは何も効果ない。それどころか悪い方向へと運んで行く。深い海で手足を振り回しているような物だ。
「止めよう。もう」
アーラの腕をがっしり掴み何処かへと投げる。そうやって距離を離した後、スラスターを使いそこから離れた。
行く先はとある男の元。その男は自分の力に等しい物を持っている。それを使えば現状を良くする事くらいは出来る。そう確信した。
アドモス商会を出たユウとシュインは一度民間の空港会社に預けていた自身の機体を回収する。
鼻血も頭痛も治まった。それより体が軽く感じる。
アンドラスに乗るとそれはまた強く感じた。
「シュイン...大丈夫?」
「ん?何が?」
とりあえずシュインに大丈夫かを問う。彼女らしくしていた。しかしそれが演技の様に感じた。何故かもだいたい察しがついている。
「...何でもない」
しかしその答えを口に言う必要はない。彼女が大丈夫ならそれで良いではないか。
心に余裕ができた為シュインに状況を問う。
「どう?シュイン?」
「ん?いい感じだよ?ゆーちゃんは?」
「最高さ」
いつもと違い爽やかに返す。それほど心には余裕が出来ていた。
パイロットスーツの酸素補給に関するスイッチを全てオフにする。ヘルメットは近くに置いて、栄養バーの確認。レールガンのバレルの交換は済んでいるのか。(レールガンはその性質上プラズマ化するため、バレルを交換式にしている)弾、スラスターのガス。スナイプモードの調整。空調の確認。現場の地形データ並びに今集まっている敵のデータ。そして、プログラムの齟齬の確認。
全てが完璧だ。出れる。
「じゃあ。行こうか」
「うん。シュイン・ヴァイプ!獅電いくよ!」
シュインが飛び出す。その様子を見ながらモビルアーマーの進路の再確認をする。
同じガンダムでも、バルバトスやグシオンは危険だ。いや、違う。阿頼耶識が危険なんだ。
モビルアーマーに対して阿頼耶識を積んだガンダムで対抗しようとしたら情報量の多さで良くて失神悪くて死ぬだろう。あのアグニカ・カイエルやその仲間たちでも身体の一部を捧げたのだ。現代の人間が耐えれるとはとても思えない。
それに阿頼耶識をつけない自分が簡単な情報量で鼻血を流す程だ。いくら慣れているとはいえ、危険極まりない。
つまり、鉄華団の主戦力が戦えない。プルーマを遠距離狙撃ならなんとかなるだろうがそれほど効果があるとはとても思えない。ならば阿頼耶識の接続を解除して、モビルアーマーを撃ってもらった方が効果ある。阿頼耶識も接続しなければ変わらないのだから。
どちらにしろ鉄華団のエースが実力以上の力を使えない。それは大問題だ。
「となると僕が戦うのか...まぁそれが
アンドラスが体を震わせながら立ち上がりスラスターを使って飛び上がる。それは飛べない獅電を一瞬で抜かして、すぐに並んだ。
「調子良いね」
「うん。やれるよ。僕らなら」
敢えて僕ではなく、僕らならと言った。勿論自分一人で勝てる相手だと思ってないからだ、プルーマ、モビルアーマー、分断、鉄華団、ギャラルホルン...問題は多々ある。スラスターを踏む足を見て、その後渓谷を滑るように行く。獲物はかつて人類を絶滅の窮地へと追いやった天使、モビルアーマー。それにどこまで対応出来るか。いや、やって見せる必要があると見た。
こんな自分も、ガンダムのパイロットなのだから。
そう思いながらとある人物へ連絡を行った。
「ギャラルホルンとイプシロンの応援はすぐに到達するとの事。しかし、アーラと呼ばれるモビルアーマーの子機の乱入で部隊は困惑しています!どうしますか?団長さん?」
メリビットは端末を持ちながらすぐ近くにいる団長に話し掛ける。モビルアーマー本体もマクギリス率いるギャラルホルンとユウ率いるイプシロンでやれば三日月と昭弘を出さなくても倒せる。そう確信していたのだが、アーラという子機で作戦が崩れた。
「とりあえずアーラっていうやつを止めろ!モビルアーマーのサブユニットなら本体を潰せば動かねぇだろ!」
そう吠えるがイオクの馬鹿な射撃とアーラの乱入のせいでモビルアーマーも加速して石盤の爆破も間に合わないだろう。
そもそもアーラはエイハブ・リアクターを持つことでモビルアーマーが停止しても動けるようになるのだが(という事をマクギリスとの話で聞いた筈だが忘れている)
「しかし爆破が間に合わなかったようで...足止めの戦闘でモビルスーツ隊の消耗も激しく半数は戦力になりません」
「おい!シノに連絡を取ってくれ!フラウロスで石盤を破壊する!」
フラウロスのダインスレイヴで石盤を破壊して、残りのプルーマに崩した石盤を破壊される前に破壊する。
そして、ギャラルホルンにモビルアーマー本体の破壊を任せる。
そう説明してシノに繋いだ端末に思いっきり怒鳴る。
「これしかねぇ!頼むぞ!シノ!」
アーラとモビルアーマーの情報はすぐにギャラルホルンの二人にも繋がった。
先程謎のモビルスーツが下がるところを見た為そのモビルスーツに気をとられていた。
「准将。アーラを確認した模様。どうやらモビルアーマーと共に目覚めたようです。現在ライル・バレルとタービンズと呼ばれる鉄華団と同じテイワズの下部組織が当たっているそうです」
「そうか。すぐにデータを取りたい。アーラの情報はギャラルホルンの方にもほとんどといっていい程ない。情報はあった方が良いからな」
しかしマクギリスは至って冷静で状況を分析している。モビルアーマーだけでも大変なのに、アーラまで出てくる。しかしアーラの情報がない今、こちらは安全圏から戦闘データをとれるというのは大きい。
モビルアーマーやアーラはパイロットをもたずAIで動いているため通常の機体より戦闘データの効果が大きい。
そう考えていると横から急にモビルスーツが来た。
「っ!准将!」
「またか...ん?」
そのモビルスーツは光信号で敵意はないと通信しながら両手を挙げて接近してくる。
不恰好なモビルスーツだ。色は全身黒でシュヴァルベグレイズとグレイズリッターの面影を感じる。
自身の記憶を探ると一人の男が出てきた。カルタ・イシューの機体をくれと言っていた男。
「アーラはどうしたのだ?ライル・バレル三佐」
「その事で話がある。その剣...借りるぞ」
その男はマクギリスのグレイズリッターの目の前に立つ。
そしてすぐさまグレイズリッターの腰にかけてあった剣を引き抜いた。
急なことだった為二機の動きが止まる。
「!貴様!」
石動が構えてライルを倒そうとするがそれに構わずライルの機体は去っていった。
遠くに撒いたと思われるアーラに接近しながら。そのアーラが下品な色をした機体をロックオンした事を知って。
下品な色をしたモビルスーツ。
それはピンクの色に塗られてしまったガンダムフラウロス。
変形機構を搭載しており、今その変形機構を使ってキャノン砲を使い、狙撃しようとしていた所だった。
しかし、それは乱入者によって妨げられた。
それを視認したパイロットのノルバ・シノは誰かに応援を頼もうとした。その瞬間、味わったことがないレベルの情報量で鼻から血を吹き出し、倒れた。
「なんだ!オルガ!こいつ...ブハッ!」
「おい!シノ、シノ!」
フラウロスに無理矢理乗せられたヤマギ・ギルマトンは急に鼻血を出して倒れた相棒の介抱をしようとする。しかし、アーラは射撃を使いながらフラウロスを蹴り飛ばしてひっくり返す。
「うわっ!」
ヤマギはシノの状態を確認しながらどうにかフラウロスが動けないか見る。しかし変形したフラウロスは動けない上にまた変形するまでに時間がかかる。ならばコックピットから抜け出す...これも駄目だ。彼はアーラをモビルスーツと同じ物だと考えているがそれでも危険だ。戦場で相棒を庇いながら安全地帯まで逃げれるとは思えない。(そもそもモビルスーツではなく、人間を追うので安全地帯等無いのだが)
「くっ!」
アーラはフラウロスを蹴り飛ばしてライフルでスラスターを破壊する。そしてナイフで肉薄しようとしたその瞬間だった。
真っ黒の何かがフラウロスを蹴飛ばした。
それはアーラのナイフを剣を交差して止めた。
そして、それは二本の剣を同時に引き抜く様に降る。するとナイフは明後日の方向へと飛んでいった。
「石動。覚えているか。10年前の戦争。ジェラルド戦火を」
遠くでマクギリスは石動にそう言った。
NGシーン
真っ黒の何かがフラウロスを蹴飛ばした。
それはアーラのナイフを剣を交差して止めた。
クロスブロック。それがその短い動作についた名前。1秒程度つばぜり合いをした後それは二本の剣を同時に引き抜く様に降る。するとナイフは明後日の方向へと飛んでいった。
そしてその何かから声が聞こえる。中年男性と思われる低い声。
「スターバースト...ストリーム...!!」
アーラのコックピットに横から一撃が入る。そこから流れるようにもう一撃、もう一撃とすんなりと入っていく。中には二本の剣両方を叩きつける攻撃がある程。流れるように撃たれる連撃はまるで芸術。
剣の軌道が照らされて見える。
男の雄叫びが火星の空気で伝わる。アーラから出てきた装甲の欠片が火星の大地に突き刺さり、オイルが飛び散る。
「もっとだ...もっと速く!」
そして16連撃目の突きを食らわせたその時、アーラは沈黙した。
元ネタは...察して下さい。