機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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今回はライルの戦闘です。
彼の過去が明かされる...?


第38話

「石動。覚えているか。10年前の戦争。ジェラルド戦火を」

「ええ。とはいっても聞いた情報だけですが」

 

上司であるマクギリスが急に10年前の戦争の名を出すので少々驚いたが、マクギリスはこの状況に全く関係ない話をするはずがない。つまり何か意図があるのだろう。

 

「10年前。ギャラルホルンが管理するジェラルドコロニーというコロニーにて反ギャラルホルン組織が武装蜂起。ギャラルホルンと二度も戦った戦争ですね。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

厄祭戦後絶対的な力を保持して世界を纏めているギャラルホルンがその絶対的というブランドを壊された。

その時にアグニカ・カイエル、セブンスターズの意思は潰えたと証明されたのは今でも鮮明に覚えている。

 

「...その通りだ。ジェラルド戦火はギャラルホルンが絶対ではないという証明にもなり、反ギャラルホルン組織を増やす要因となった。しかし結果二度目の戦争でギャラルホルンは圧倒的な勝利を収めた。何故だかわかるか?」

「一機のモビルスーツが反ギャラルホルン組織の半数のモビルスーツを破壊させたと聞きますが...まさか!」

 

石動は自分で言いながら驚く。それを見てマクギリスの頷く。

 

「ジェラルド戦火以前二刀流や純白と呼ばれていたモビルスーツパイロットだ。そのパイロットの名はライル・アインスト。...いや、アインストは旧姓だったな。ライル・バレル。それがジェラルド戦火の力関係を覆したパイロットの名だ」

 

 

 

 

「そこかっ!」

 

土煙に苛立っているとキュルルルル...と機械的な音声をモビルスーツが拾ったのでその方向に勘で姿を想像して剣を振るう。

幸い振るう直前に影が見えたのですぐに調整して弾き飛ばした。それを逃がさず蹴りを加えて横に流し、先程当てた剣とは逆の剣で足元を器用に掬う。

それに対応してアーラが飛び上がる。

その時にスラスターのガスがかかって視界が悪くなる。しかしそれをもろともせずに突貫して何度も剣で切りつけてコックピット周りのナノラミネート塗装を剥がす。それと同時にコックピットの壁の隙間を広げようと剣を差し込む。そのときにライフルの射撃が来た為下がる。

ある程度剥がしたので先程のアーラには目もくれず、別のライフルで撃ってきた方のアーラが接近してきたのでそれに応じる。ライフルで作られた弾幕をかわして、横から蹴りを加える。しかし体勢を崩しながらもナイフを此方に向けて倒れてきた。それを弾きく。

 

「スラスターのガス...ハシュマルとの戦いのことも考えると高機動は避けるべきか...」

 

元々重力がある場所での戦いは得意ではない。ハシュマルの事も考えてすぐに終わらせたいという事は考えている。あの雑魚パイロットの下手な狙撃でハシュマルに何処まで効果があったのかがわからないのだ。もしかしたらプルーマを一機も潰せていないのかもしれない。勿論確かめた訳ではないので全機潰せた可能性もある。しかしあの位置やハシュマルの動きから期待はしない方が良さそうだ。

その場合マトモにハシュマルと戦えるのは

 

「サシだと俺だけかよ!」

 

また機械的な音声が聞こえたにで意識を戻して勘で敵の大体の位置を予測してバックステップで避けた後に左足を軸として半回転する。その横にアーラが通りすぎたのを見た。まさに好機。

二本の剣を平行にして横に薙ごうとするがもう一機がライフルで援護射撃で止めようとする。しかしその程度の傷では止まらない。止まれない。

そのまま弾き飛ばされた0距離まで接近して軽くタックルして体勢を崩す。

それと同時に二本の剣があるか確認する。そこにはしっかりと鋼色の剣がある。

その一本一本に意識があるように感じられた。でも、それは違う。それを消し去るように左の剣を横に振るう。

その太刀筋を予測したのかアーラが体勢を崩しながらも避けた。

でも

 

「遅いっ!」

 

右の剣を右の肩に当てる。それから流れるように、自然に、予測出来ない太刀筋で左の剣を振るった。右の肩の装甲が吹き飛ぶ。明後日の方向に飛んでいった装甲から避けるように姿勢を出来るだけ低くして右側に回り込む。

パイロットがもし人間なら逃がしていたのかもしれないほどその動きには無駄がなく、素早かった。

しかしアーラはAI。すぐに対応してくる。

 

「予想通り...!」

 

右の剣でコックピットの装甲を切る。しかし浅い。アーラはそれを見て下がる。

普通ならわざと浅く斬りかかったりなどしないだろう。それでも彼の動きはそれを見越したように流れていく。一回転して、エルボーを頭に入れた後に左の剣一本でナイフを弾き飛ばす。ライフルも流れるように無力化した。

アーラがエルボーの影響で左側に倒れていく。それを眺めながら右回りで後ろを回り、サッカーのスライディングの要領で脚を崩すがそれもアーラがスラスターを使って体勢をすぐに建て直す。でも、その一瞬を見逃すほど彼は甘くなかった。

すぐに二本の剣を巧みに使ってコックピットに刺す。アーラの死体と呼べば良いのだろうか。いや、この場合は残骸か。それを微妙に浮かす。

恐怖という感情がないAIのアーラは仲間が破壊されても残骸に目もくれず此方にライフルを放ちながら接近して来る。

 

「───っ!くっ!」

 

ライフルによって作り出された振動に耐えながら死んだ方のアーラを投げる。それを避けた瞬間すぐに懐に入って同じように、それ以上に酷い有り様へと変化させた。一機目はまだ人型とわかる形だが、これは人型ではなくダルマの回りに細長い何かが転がっていた。

現状を見てやっと終わったと感じたライルは乱舞の間溜めていた息を一気に吐いた。 

でも、すぐに最も大切なことに気付いた。

 

「あっ...ハシュマルは...!」

 

不意に空を見た。

そこには自分とは真逆いや、自分が憎んでいる色に塗装された機体が遥か空を駆けていた。

 

ガンダム。

厄祭戦を終わらせた人類の力。英雄。

それが今自分の頭上を通りすぎて何処かに狙撃した。

 

 

 

 

「オルガ。本当に良いの?」

 

三日月が不機嫌そうな顔でオルガに言う。

本当なら自分が出ようとしたとき、ある男から通信が来たのは覚えている。

その男はこう言ったのだ。『モビルアーマーの相手は自分に任せてくれ』と。

勿論反対意見もあった。しかしオルガは一言「任せる」と言った。

 

「ああ。ちっけぇのと本体はちゃんと別けたんだ。本体は()()()にやらせる。なんかあるのか?ミカ?」

「俺は別にオルガの決めたことならやる。でも...俺達が殺らなくて良いの?さっき立場がどーとか言ってたじゃん」

 

オルガが心配しているのは手柄の問題だ。三日月にはその細かな内容はわからないが今のオルガや鉄華団のしがらみになることと判断して言った。

けど、オルガは「構わねぇ」と一言言った。

ふと三日月は自分の愛機であるバルバトスを見た。それは彼の機体とほぼ同じ時期に活躍したらしい。

彼の機体と同じ白色の塗装が目を引く。

しかしそばにいるおやっさんもメリビットも他の案を考えている。おやっさんがオルガに言う。

 

「けどなぁ...オルガ。加わるならまだしも一人でって...そこまで上手くいくとは思えないが」

「...もしもの場合は今纏まっている団員達に任せる。ミカと昭弘は動けないらしいからな」

 

オルガは端末を見てハシュマルの位置を再確認する。勿論さっき言った通り、彼が負けた時の事も考えている。マクギリスの話が本当ならば負ける確率の方が高い。

 

「昭弘とミカは今回の作戦では出せねぇ。ガンダムフレームはモビルアーマーに反応して阿頼耶識システムを異常にする機能が備わっているらしい。そんな状態でお前らを出せない。したとしても孤立したプルーマの破壊くらいだろう」

 

実はパイロットが求めなければ良いのだがモビルアーマーの前にたつと阿頼耶識を異常にしてしまうと思ったオルガは三日月を出さないようにした。

すると今度はメリビットが言う。

 

「しかし...もうモビルアーマーがクリュセに近づいています。時間は殆どありません。プルーマの数も微量ながら増えているようですし」

「...わかってる。おい!チャドに通信を繋げ!」

 

すぐに通信機を使いチャド達に後方の部隊を展開させる。それは文字通り最終手段だ。それ以上はモビルアーマーがクリュセを破壊する様を指を加えて見ることしか出来ない。

 

「チャド達が部隊を展開させるのにも時間はかかる。あいつもそれくらいは止められるだろう。けどなぁ、期待はしない方が良い。ギャラルホルンの方も苦戦しているようだからな」

 

メリビットは勿論、おやっさんもそして三日月もオルガが任せようとした意味がわからなかった。

実際はオルガと彼は口論していたのだがそれを知らないのだから。

 

 

数十分前

 

「団長さん。タービンズの方から通信です」

 

メリビットがそういいながら出してきた通信機を受けとる。タービンズということは名瀬だろうか。正直今はそのような連絡を受けて話をしている場合ではないのだが。

モビルアーマーとプルーマだけでも充分困難なのにアーラという乱入者の存在のせいで本体の破壊を請け負うメンバーが止められている。ギャラルホルンもそのせいでマトモに動けない。

嫌々受け取った通信機を覗くとそこから若い男の声が聞こえた。自分達より明らかに若い声だ。

 

「オルガ団長。僕にモビルアーマー。ハシュマルの撃破をやらせてください」   

「ユウか?此方も数がいないから嬉しくはあるが、大丈夫なのか?兄貴との話とか」

 

その若い声からオルガは声の主を自分より若くタービンズの回線を使えるものということで名瀬の息子の内の一人である。ユウ・タービンと特定した。ユウならなぜsoundonlyにしているのか不明だが何らかの事情があると考えて先程頭に浮かんできた考えを自分で否定する。

 

「父さんとの話は済ませました。ハシュマルの回りにいるモビルスーツを下げてください。今からモビルアーマーの本体、ハシュマルの撃破を開始します」

 

ユウはそう言った。確かにそう言った。聞き返そうと思ったがそれを堪えて止まる。

確かに先程ユウはモビルアーマーハシュマルを撃破を開始するから回りのモビルスーツを下げてくれと言った。

では、彼はモビルアーマー本体の破壊を一人でやれるということだろうか。流石にそれは無いだろう。ユウは此方ほど馬鹿ではない。確率が低い話には脚を突っ込まない。突っ込んだとしても予備案を用意するか関係を切る瞬間を考える。ならばおかしい。

 

「悪いがイプシロンとギャラルホルンの奴等もアーラとか言う奴等の相手をしていて本体に攻撃は出来なさそうだ。待ってくれ、今から残りの纏まった奴らで本体を破壊する。最悪の場合テイワズから受け取った俺の獅電を出す」

 

アーラというモビルスーツモドキは完全に此方の作戦を狂わせた。本体の破壊に貢献出来そうなパイロットに狙いをつけて殺しはできないものの、その場に押さえつけて本体の破壊にいけなくしている。とりあえずそれを除いたメンバーで本体の破壊を始めたいがそれでは確率が低いだろう。

しかしユウならもしかしたら充分本体の破壊にいい影響を出せると思う。阿頼耶識の影響でガンダムフレームの機体はハシュマルの破壊にはあまり使えない等の理由がある。だから本体の破壊を一人では無理ではあるが残ったプルーマも一人で頼めそうだ。

後は此方に従ってくれれば出来る。ユウの狙撃を上手く利用すればモビルアーマーハシュマルの撃破も夢ではない。

しかしそう思っている自分の耳に聞こえたその声は重くなっていた。

 

「駄目です。団員を殺すつもりですか。巻き込まれたくなかったら入らないでください。狙撃の邪魔にもなります」

「お、おい!突然どうした?急にそんなことを言い出して!」  

 

ユウは自信家では、ないはず。今回は何かがおかしい。

 

「モビルアーマーにて狂わされる阿頼耶識システムも此方には搭載されていません。だから接近しても大丈夫です...」 

「なら!数で当たった方が...」

「でも、阿頼耶識システムは無くてもアンドラスが反応しています。最悪の可能性も考えて兵を下がらせてください」

 

そうだ。阿頼耶識システムをユウとそのモビルスーツであるアンドラスは搭載していないのだ。確かガンダムがモビルアーマーの影響で動けなくなるのは阿頼耶識システムが影響していると聞いたことがある。だから阿頼耶識システムの搭載していないユウは動けなくなる心配がないのだ。しかし、最悪の可能性というのが理解できない。普通に動けるのであれば、普通に混ざることも出来るはず。

そう考えていると通信機からまた重い声が聞こえた。

 

「お願いします。ガンダムは()()なのです」

「願い...?」 

 

願いというあまり聞いたことのない言葉を急に言い出すので驚く。しかしこんな状況なので当たり前ではあるが冗談ではなく、本気だ。

 

「厄祭戦にて全滅の可能性があった人類が生きたい。残したい。助けたい。護りたい。後世に思いを届けたい。そのような願いがガンダムに籠っている。ならばその願いを繋げなければならない。託さなければならない。叶えなければならない。ガンダムに乗るというのは、そう言うことです。だから僕はモビルアーマーに立ち向かわなければならない。もしそれが無理だとしても。敵わない(叶わない)願いだとしても」

「...わかった。その願い俺達に後押しさせてくれ」

「感謝します」

 

 

 

「だから...力を貸してくれ。アンドラス!」




ユウがやっと主人公する...がその言動には穴が空いている模様。
こればっかりはどうしようも...
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