機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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今回は過去編です。
この話に出てくるオリジナルキャラクターの蒼い瞳の女性は本作でも重要な人です。


第41話 蒼い瞳の女

それは遠い記憶。そこは火星の宇宙港の酒場だった。

実に綺麗に纏まった酒場でそこにいきなり呼び出されたときはどうしようかと思った。

 

「私達を護衛に?」

「頼みたい。ちょっとでかくてやばいヤマがあってな」

 

仕事仲間であるアミダがとある男に言う。そこには白い服を着た黒く長い髪を持つ長身の男がいた。話を聞く限りどうやら運び屋のようだ。本当に変わった仕事をするなと自分─アガーテは思った。

運び屋なんて必要ではあるがやりたくない職業だ。動いている間ずっと襲われないのかとびくびくしなければならないし、ずっとあっちこっち人に縛られながら動くことしか出来ない。でも今はそんな運び屋の護衛ばかりなんだけどなと思い出して苦笑する。

とりあえず本当に我々に頼みたいらしい。それはありがたい。女である我々に仕事を頼む奴等なんて早々いない。しかもこっちは三人もいるのだ。とりあえず収入は確保したい。

 

「いいんですか?我々は女ですよ」

「ん?どう言うことだ?」

 

そんなことを思っているとはいざ知らず、なにも知らない男が近づいていくる。いくら近づいたって身体を預ける気は無い。それなりの男ならともかく、まだそこを見てすらいないのに期待はされたくない。

 

「いいのかい?私が女だって分かった途端引くヤツも多いんだけどね」

 

そんだけ谷間を強調すれば引く人もいるよと呟きながら酒で喉を潤す。そして、自分の胸を見て、人それぞれとか、みんな違ってみんな良い。と呟く。

首を捻りがなら意味がわからないとでも言いたげな様子で男が口を開いた。

 

「変わったことを言うなぁ。女と男ならそりゃあ女を選ぶだろ?」

「ふふっ。なんなんですかそれ」

「あんたの方が変わってるよ」

 

こうして酒を飲み交わした相手が未来の旦那である。名瀬・タービンだ。

そして、今ここにいるのは名瀬・タービン、アミダ・アルカ、アガーテ・ベルク。そして今この場には居ないものの、仲間が一人いる。

 

「そういえば、お前達三人でやってるとか聞いたけどあと一人はどこ行った?」

「彼女ならモビルスーツの消耗品を買いに行ったさ。何せ男嫌いだからね。いや、間違えた。貧弱な男が大嫌いなのさ。強く自分の上をいかないと満足しないって」

 

アミダが「飽きられたよな」と呟く。その小さな声を拾って「確かに」と言った。確かにそうではある。彼女は拘りが強すぎるのだ。二重の意味で。

 

「そして、彼女に敵う人なんて女でも隣のアミダ位だからまだ男もいないんですよ」

 

模擬戦としてアミダと戦う事はあった。そのすべてにアミダが勝利をしたものの、全てがギリギリだった上に模擬戦とは思えないハイレベルの戦いをしていた。

 

「へぇ。成る程ね」

 

名瀬もそれで大体を察したようでそれ以上突っ込みはしなかった。世の中には珍しくはあるものの、男嫌いの女性はいる。それも大体が過去に汚された経歴があるものが多い。しかし彼女は違う。ただ単純に弱い者が嫌いなのだ。モビルスーツ、もしくはモビルワーカーに乗る、モビルスーツ、モビルワーカーの整備、部隊を指揮する、良い作戦を考える、発言力を持ってそれを行使する。この中のどれもが出来ない相手が嫌いなのだ。男も女も。しかし、そもそもそんなことを出来る人間は探す方が難しい。確かにこの世界は荒れてはいるものの、殺し合いを生業とするものは全体の20%辺りでそこまでではない。その中でモビルスーツを駆り相手を駆逐できる力があるものはどのくらいいるのだろうか。彼女も歳というわけではないが、この様子だと男は着かないだろう。

 

「それじゃあ頼んでも良いか。船は港につけてある。モビルスーツともう一人のお仲間さんを連れてこの時間に来てくれ」

 

話終えたので、男が端末を此方にを見せる。これは口頭だと何処かに伝わるからだろうか。その端末には港の場所と時間のみが書いてあった。まだ信用しきっているわけではないとわかるがこちらもそうなので何も言う気はない。

 

「わかりました。そちらの船にはモビルスーツ二機位は乗せられるドック位あると思うので、モビルスーツ引っ張って行きます」

 

そう言って男の顔を見るが表情は変わらずそのまま頷く。つまり、モビルスーツ二機位なら余裕があると言うことだ。

 

「頼むぜ」

 

 

 

 

その後彼と別れてモビルスーツの回収しに行った。

勿論そこには一人の女性がいた。赤いの髪に蒼い瞳。女性にしては長身で、体型は普通だろう。

アミダと会う前から傭兵稼業を営んでおり、度々誰かに連絡をする。

 

「あ、二人とも。どうだった?依頼者は」

「なかなかのイケメンだったよ。フリーランスの運び屋と言っていたが本当に一人だった。でも、モビルスーツ二機を運べる船持ちねー。彼処まで有能なのも珍しい」

 

フリーランスの傭兵ならこの世界には多数存在する。大体がギャラルホルンを辞めた者やギャラルホルンや、それに対する組織の総称である反ギャラルホルン組織、海賊に繋がりのあるものだ。

しかし、フリーランスの運び屋等早々いない。傭兵なら依頼を受けて弾薬、傷を業者に任せて置けば良い。ギャラルホルン等の大型の組織ではやってないがモビルスーツに個人データを登録しておけば奪われるなんて事にはならない。でも、運び屋は依頼を受けてそれを運び相手に渡すそのときまで一人、もしくは仲間でやらなくてはならない。あの男の場合一人だったのでなかなか辛そうだ。

 

「ふん。でも、運び屋なんて大体ひょろっとしたガリガリさんか、温室育ちのボヨボヨお金持ち位でしょ」

「まぁね。因みに前者だよ」

 

ふんっ。と言いながら彼女はそっぽを向いた。少々遅れてモビルスーツ乗りにしては少し長い髪が続く。そしてそれが顔を追い抜く辺りで彼女は顔を戻した。

あの男は私生活がしっかりしているのでそこら辺の心配は大丈夫なのだが何せ弱いもの嫌いの彼女が、何時になったら受け入れるか。それは少し心配ではある。

 

「はっ。私を堕としたかったらバエルでも引っ張って来なさいや。それくらいしたら弱くても考えてあげるわよ。まぁ、弱い者がそこまで出来るとは到底思えないけど」

「あはは。自信家だね。全く」

 

彼女も美人であるが、そこまでして彼女を求める。という男は今いない。まずそこまで求められて、要求を満たしたらもう彼女は人妻になっているだろう。

 

「まぁけど、やってあげないとね。よわっちい男を守ればお金貰えるもんね」

 

そうして三人は名瀬を護衛する依頼を受けた。その後護衛して火星から目的の所まで届けた。道中の海賊も雑魚だらけでアミダと彼女がいたから名瀬の方には傷一つ無い。完璧だ。

しかし特に彼女にとっては気に入らないところもあるようだ。何かというのはとっても簡単なことでその間にアミダと名瀬は仲良くなったのでアミダがホテルに連れてかれた。ただ、それだけだ。依頼主と護衛が仲良くなるのは珍しくない。そして、男女が別れていた場合そこから発展していくのも珍しくはあるが前例は勿論あるので可能性としてはあった筈だが、彼女は勿論、自分もそれに気づけなかった。

別に何かおかしいことをされるというわけではない。そこまであの男も糞野郎ではない。でも、彼女にとっては連れてかれるというのは弱い男を認めたということになりかねないので面白くない。

そう思いながらアミダの背中を見送りもう何時間もたった。本当に何をしているんだろうかと思う。こっちはモビルスーツデッキで整備も終わって時間を潰しているというのにだ。

まぁ、まだ面倒なところはあるんだけどね。そう思いながら隣を向く。そこには彼女が難しい。いや、怖い表情をしていた。仕方無いのでとりあえず宥める。

 

「ほら。そんな表情しないの。かわいい顔が台無しだよ」

「良いの。どうせ私に靡く男なんていないのよ。だからわかるわよ。選り好みしている場合じゃないって。でもさ。あんな男の物になることはないでしょう?おかしいと思わない?」

 

流石にそれ以上は名瀬に失礼だが、この場にいないのを良いことに止めはしない。予想通り口々に「そんなに強いの?」とか「あり得ない」と何度も言っている。 

しかし次の瞬間全く予想できない事を言った。

 

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「...え?」

 

驚きのあまり手に持っていた端末は手から離れアホっぽい声をあげてしまった。

 

「いや、さっき。なんて?」

「え?子供が欲しいって言っただけだけど。別に子供好きだし。そんなに驚くこと?」

 

確かに彼女は一度も子供が嫌いとは言ってない。むしろ好きだと聞いたことがある。でも、自分の子が欲しいと思うとは全く予想外だった。別に子供を産めない訳ではないが...と思いながら彼女の腹を見る。

 

「う、うん。急に...そんなこと...」

「別にあんな男で良いとは言ってないわよ。弱い男は嫌い。でもね。いつか私も所帯を持って子を育てたいなって...え?駄目?」

「いや、駄目じゃないけどこれだと妊娠所か所帯を持てないし、それどころか男を逃がしちゃうよ...結構大変なんだよ」

 

彼女が子供がほしいとなると妊娠期間の間はマトモに仕事は出来ないだろう。モビルスーツに乗っての戦闘なんてもってのほかだ。

 

「まぁ、そんなことはいいよ。次、ペインナッツ商会でしょ。あの子達の方がかわいそうよ」

 

ペインナッツ商会。女だらけの輸送会社で長期航路の輸送業務はいろんな事情から逃げ出した女たちの行き着く場所。しかも最悪な終着点の一つだった。安値で買いたたかれ男でもはだしで逃げ出すような危険な仕事ばかりを受けるはめになる。私達三人はそんなペインナッツ商会の船を進んで護衛していた。理由は簡単。女でも、受けてくれる事と、最悪の運命を辿ることとなってしまった子達の少しでも助けになりたかったから。

しかし、その護衛の時にアミダと彼女は腹に傷をつけてしまった。特にアミダは深刻で二度と子供を孕めない状態となった。彼女も子宮周りの神経を取られて子供を孕みにくい、そして育ちにくく、産みにくい。という最悪の状態となってしまった。遠くから見送ることしか出来なかったのが未だに悔しい。

 

「...仕方ないよ。こっちもあっちも命懸けで殺しあっているんだから。寧ろ生きていてラッキー。って思わないと」

「そう...だね」

 

彼女は「最悪子供はあんたに産んでもらうよ」と言いながらいたずらっぽい笑みを浮かべた。その赤い髪と蒼い瞳のおかげか結構綺麗に見えた。

するとアミダが急に戻ってきた。当たり前だが新しい外傷は見当たらない。その身のこなしを見てもおかしなところはない。

しかし、何処か嬉しそうなのは何故だろうか。と思っているとすぐにその答えを教えてくれた。

 

「これはあくまで提案なのだがな...」

 

生唾を飲み込む。ここを出ていくのか。そう思いながら彼女の方を向くと少なからず機嫌が悪いようで何処かに当たりたいのか拳銃を弄んでいた。

そして次のアミダの台詞がタービンズを作ることとなった、

 

「ペインナッツ商会と合併して運び屋にならないか?」

「...は?」

 

そして生まれたのがタービンズ。裏社会に搾取される女たちを名義上妻にすることで救い出し、乗組員にすることで職も与える。女たちの安全を守るため後ろ盾を作るために名瀬はテイワズの傘下に入る道を選んだ。それから名瀬はペインナッツ商会等をまとめ上げてネットワーク化し、地球と木星の間を網羅する大輸送網を作り上げ、タービンズは構成員5万の巨大組織に成長した。その働きはマクマードにも認められて名瀬はテイワズで上り詰めていった。

その中にかけがえの無い大切な女性の死があったこともその女性が最後に遺した愛する息子のことも忘れない。

今、その息子はテイワズの狙撃手と呼ばれている。

テイワズの中で狙撃手として必要不可欠になった彼を見守る者は多かった。それと同じく彼をタービンズごと殺そうとしている者もいるにはいる。

 

「大丈夫。貴女の...いや、私達の子は私達で守るから。だから安心して見守ってて」




赤い髪に蒼い瞳の女性について
アミダとアガーテと会う前から傭兵をやっていた。
度々誰かに連絡をする。
アミダより少し弱い。
弱い男は嫌い。
子供は好きでいつか母親になりたい。
今現在イプシロンには勿論タービンズにもいない。
...もうお分かりですよね。

地味に初期メンバーがわかりましたね。
原作では名瀬とアミダの二人組からでしたが本作では
名瀬、アミダ、アガーテ、そして新キャラの青い瞳をした女性の四人です。

赤髪蒼眼...さぁ、誰でしょうね?(すっとぼけ)
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