機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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今年最後の更新です。
はい。本当にジャスレイ...邪魔しかし無い。

前回の話もあるのでユウと蒼い瞳の女性に注目してもらうと嬉しいです。

これからとある事情で執筆スピードが遅くなるのでもう今年度中に終わるのは無理かもしれません。(元々難しかったとはいわない。)


第42話 覚悟

人の嫉妬は醜い感情だ。

人は妬み、相手を落とそうとする。

当たり前だ。自分が駆け上がるより効率的かつ、成功率が高いから。

そしてその醜い感情を振り回して他人に危害を加える場合がある。

その中の一つに復讐がある。

復讐。ある人は醜い感情、持ってはならない感情といい、ある人はとても人間らしい行動という。

黒く汚らわしいとある人は言った。それほどなのだ。

でもその人たちは知らない。憎しみはその程度で無くなるほど軽くないということと。しかし人間らしい行動といった人も知らない。対象がある程度の知識を持つ場合仕返し、妨害をされるということ。

とある男はその感情を部下達の忠義に対する恩返しとして考えた。そのために罪の無い者達が何人死のうとも関係ないと。

 

正義はいつだってすれ違う。

 

どうやら神は人の作り方を大きく間違えたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ん?ギャラルホルンの手入れ?...またか。もういいよ。何度だってすれば良いじゃないか」

 

あれから数週間たった。火星での仕事を終えて今は歳星にいて、アガーテに呼び出された。場所はフュンフ。これからタービンズ専用の小惑星を経由して、仕事をしようと考えていた所に、アガーテが大急ぎできた。その走る姿で一瞬シュインを想像し、最近様子がおかしい彼女の事をかんがえたがすぐに思考を切り替えた。しかし、そこまでの事では無さそうだ。と思った時だった。

 

「でも!名瀬さんが雲隠れして...どうやら火星で使ったダインスレイヴっていう兵器のせいで...もしかしたら違法組織に...」

「っ!」

 

こんな時にそう叫びたかった。それと同時になんでと叫びたい気持ちになったが喉から出てくるすんでのところで受け止めた。

此方はギャラルホルンの馬鹿のせいで起動したモビルアーマーの討伐をしたんだ。ダインスレイヴだってモビルアーマー相手に使ったのだから良いじゃないか。何故ギャラルホルンの尻拭いをした此方が違法組織として殺されなきゃいけないんだ。

 

「冗談じゃない!そんな、そんなこと...」

「落ち着いてゆーちゃん。多分内側からだよ。誰かがギャラルホルンにタービンズを倒せと依頼したんだよ」

 

冷や汗を書いていたことを思い出しながら壁に凭れて頭を抱える。

見事に内側から刺された。相手は誰だろうか。鉄華団のオルガ団長。利点がない上に彼処まで信用していた兄貴的存在を裏切るとは到底思えない。これから鉄華団的にタービンズは必要な筈だ。おそらく利用されただけ。マクマード(おじいちゃん)。これも同じくあれだけ認めた息子的な存在を切り捨てるとは思えない。切り捨てるとしても鉄華団が負けたりして此方に非がかかってくる時だ。タイミング的におかしい。

となれば簡単だ。相手はジャスレイ・ドノミコロス。もしくはその仲間たち。女を使って成り上がっていると名瀬も思われてきたから恨みもあるし、名瀬が有能なお陰でジャスレイのNo.2という数字もだんだん雲行きが怪しくなっていくだろう。それにここでタービンズを殺せば鉄華団の後ろ楯が減り簡単に切り離せてNo.2の力を長い間保持できる。あわよくばマクマードが死んだらNo.1にだってなれる。

 

「見事な様だよ。全くNo.2の数字も伊達じゃないか」

「女の使い方が荒いとは言ってもそれで場数だって踏んでいるしテイワズをいい方向に導いたのだって事実。おそらくその地位が怪しくなったから固めておきたいんでしょう」

 

でも、そんな理由で殺されてたまるか。悪戯程度に押さえつける事もできないのか。とイライラしながら歯軋りする。

 

「もしタービンズが違法組織となったら私達だって無事ですむかどうか。どちらにしろダーリンは...」

 

殺される。そう言おうとした。しかしそれよりも前に狙撃手は動き出した。今は一秒一秒が惜しい。その一秒で戦場はがらりと急変する。そう。かの英雄アグニカ・カイエルが戦場に出た時だってそうだった。

バエルに乗った英雄がふらりと寄るだけで軍人の指揮が代わり勝った戦いも多いと聞く。同時に大型、例えば天使長等のモビルアーマーの討伐に必死なのに他の戦場にふらりと寄ることなどあるのだろうか。とも思ったが。

端末を立ち上げてイプシロンの仲間にに連絡をするようにアガーテに言う。

 

「アガーテ姉さん。今から一時間後にイプシロンメンバーをフュンフにいくように言って。あと父さんにも連絡」

 

その間にスーツを引っ張って身嗜みを最低限整える。ネクタイを引っ張り無茶ぶりに首に縛る。

洗ったばっか...というかあまり使わない筈のスーツがしわしわになっていたが気にせず、羽織る。

 

「モビルスーツ隊にはノーマルスーツの用意。整備班もモビルスーツ整備。使えるもんはなんでも使って。あとオペレーターに父さんと通信をとって場所と状況を聞いて。おそらく場所は小惑星だと思うけど。フュンフもすぐ出せるようにして!それと!先に鉄華団に通信して!非戦闘員を保護してもらうように依頼して!」

「何するの!?」

「おじいちゃんに許可を貰いに行く!許可が取れたらすぐに動けるようにして。モビルスーツにはブースターも着けて先行できるように!」

 

まだ普段着やノーマルスーツの方が良いのでは、と思われるほど適当にスーツを着てマクマードの元へと急ぐ。

髪もボサボサ。髪が長くなっているせいでより目立つ。スーツも洗ってアイロンをしてあるが肩の位置がずれていたりと良いとは言えない。ネクタイに至っては結びかたが全然違う。しかし、そんなことに気を使うほど此方に余裕はなかった。

 

 

「なかなかいい仕事をしてくれるじゃないのあの坊ちゃんはよぉ。タービンズもギャラルホルンを前にしちゃひとたまりもねぇだろ」

「おやじはどう出ますかね?もしいろいろとバレたら...」

「そこまでおやじもバカじゃねぇ。死んだ息子にゃ老人介護はしてもらえねぇからな。かわいい息子が誰か分かっていても結局はそこに頼るしかねぇのよ。それよりあいつの仕事も終わったようだから引き戻してやれ。本当の家族の場所にさ」

 

 

 

 

その頃マクマードは名瀬と連絡をしていた。名瀬から最後の話ということで。

 

「おやじ、盃を返させてくれ。タービンズを解散する。そのうえでダメな息子の最後の頼み...」

 

タービンズの解散。それは即ちいままで名瀬が守ってきた人々が野に晒されるということだ。

まだユウもエストも全員の管理が出来るようにはなってない。まだ危険だ。

そんなことがあればあるものは奴隷に。あるものは一夜の玩具に。そしてあるものは兵器として扱うだろう。元に戻ってしまう。そんなことはさせたくない。

 

「女どもと子供の面倒見ろってんだろ?俺の直轄組織に入れるよう手配してやる。少なくとも子供が面倒見れるようになるまではな」

「恩に着ます」

 

名瀬は通信越しに頭を下げる。いままで何度こうしてきたのだろうか。

何度わがままを言ってきただろうか。今はそれを数えるのも懐かしい。

 

「はっ。今までお前のわがままをどんだけ聞いてきたと思ってんだ」

「...これが最後です」

 

最後。これで終わり。それを突き動かそうと言うものも、それを否とするものもテイワズにはいる。

 

「ユウ、エスト、オルガ。絶対に来るな。お前らまで死ぬことはない」

 

親父として、妻も、子供達も守る。その為に自分の命も投げ出す。覚悟は出来ている。今からアリアンロッドの本部にタービンズの違法兵器の運搬は自分一人でやった。そう言ってギャラルホルンに投降して命と引き換えにでも手打ちにするつもりだった。そうすることで皆の命も目標も守れる。

そう思っていると通信が切れる。最後の声。聞こえたいたのだろうか。まぁ、聞こえていただろう。それをわかって通信を切った。最後の頼みとして、皆を止めておくことを追加しておけばよかったなと苦笑する。

その間数秒。するとまた通信がかかってきた。

 

「さてと。どっちが先だ?...イプシロン。やっぱりユウか」

 

扉を開けてアミダを呼んで通信を開く。

すると出てきたのはユウでもエストでもなくアガーテだった。

 

「おいおい、アガーテ...」

「名瀬さん!すぐに助けに行きます。ですからそこを出来るだけ動かないで小惑星を盾にして下さい!ほとぼりが覚めるまで火星で鉄華団が非戦闘員を匿ってくれます」

 

こっちがマクマードに歳星で保護してくれるように依頼したのに、そっちもやっているとは。と少々驚く。おそらくユウが言ったのだろう。使えるもんならなんでも使う。特に緊急の時は。

そして、此方に来て戦闘員を助けてとんずら。それが彼らの考えている策なのだろう。

 

「お前らは来るな。ユウにもそう言っとけ」

「でも!」

「今や俺たちは違法組織だ。そして今、ギャラルホルンでイプシロンがタービンズの下部組織だと気づいている奴は少ない。...いいか。お前たちは来るな。これは俺たちの問題だ」

 

タービンズの解散によってイプシロンにも大きな迷惑が来るだろう。でも彼らならなんとか出来るそう名瀬は確信していた。

 

「お前らこそ、鉄華団に保護してもらえ。この絵を描いたヤツはお前たちが手を出してくることまで見越してるはずだ。だとすりゃ突っ走れば連中の思うツボ。とにかくこいつはテイワズの内輪もめの結果だ。お前らに責任は負わせない」

「でも!」

 

アガーテが悲痛な叫びを上げる。この間にもユウはマクマードに必死の説得をしているだろうと思われる。鉄華団も動く筈だ。なのに、肝心の名瀬が動かないと助けられない。

 

 

「ユウに言っといてくれ。お前がいの一番に守らなきゃならねぇもの守れ。それ以外は全部後回しにしろ。ってな」

「...わかりました」

「よし。いい子だ」

 

そして名瀬は通信を切った。背を伸ばして、いつものスーツを羽織る。帽子を被って、家族の写真を胸ポケットに入れて、あの日飲んだ酒を片手に持ち、部屋を出る。

その姿はとても最期を待つ男には見えなかった。

 

「行くぞ」

 

 

 

数時間後。ユウは非常に疲れた様子ではあるが戻ってきた。これまでに無いくらい怒っていて何が起こるのかわからない。

 

「くそ!おじいちゃんも無視しろって...このままじゃタービンズは全滅だってのに...!」

「ゆーちゃん。名瀬さんがね。こっちに来るなって。わかってるんでしょ。タービンズを助けることで私達は違法組織となり共倒れだって」

「わかってるよ!そんなこと...でも、ここからなら中継基地も近い。今からなら本気で行けばフュンフならギリギリ追い付ける。モビルスーツで先行することさえ出来れば良いんだ。なのに...。手が届く所にいて、まだ親孝行もしてないのに...殺しちゃ駄目なんだ!」

 

アガーテが名瀬から告げられたユウは怒りながらも通信機を掴み、一瞬戸惑った後に頭を抱える。

アガーテが心配してユウに触れようとしたそのときユウから掻き消されそうな弱々しい声が聞こえてきた。

 

「みんなを集めて」

 

そこから起き上がった顔は覚悟をしていた。

テイワズの狙撃手をやめる覚悟を。




はい。これから先はタイトル詐欺が続きます。(  )

テイワズの狙撃手という名も彼にとっては自分を語る添え物につきません。というか彼はただ家族全員で平和に歩きたいだけ。となりますと、ユウが鉄華団恨むルートあるのか?

皆様よいお年を
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