機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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バエましてアグニとうございます
↑とある事情で明けましての後が言えない

今年もアグニ会会員としてテイワズの狙撃手。書いていきます!
今年度中に終わるといいけどとある事情が絡みましてね。また難しくなりました。


第43話 太陽のように

「タービンズ...成る程。それで俺を呼んだのか」

 

船に入った瞬間。言われた言葉に三秒程度の含みを持たせていった。

 

その言葉が「タービンズの討伐をするから手伝って欲しい」とのこと。

それもアメリアがタービンズの討伐を手伝えと言ったのだ。そう。イオクではなく、アメリアが頼んだのだ。イオクは自信家なのでなんとなくわかるがそれにアメリアが首を突っ込み、自身の部隊の最高の力を持つ人間に言うとは。

なので理解するのに三秒もかかったのだ。しかしタービンズ。というひとつの単語で理解した。

 

「そうか。奴が来る可能性があるのか」

 

奴と言うのはユウ・タービンというモビルスーツのパイロットでガンダムフレームの機体を保有している。そして、これまた珍しく、狙撃手というモビルスーツ対モビルスーツの場合ほぼ意味がないとまで言われる狙撃を得意とし、成果を出している。単独でも。

 

「フッ。いくら小さな組織であろうと本気を出す。クジャン家の家訓だよ」

「ご立派なことで...とりあえず二人参戦するから適当に加えてくれ」

 

そう言ってモビルスーツを降りて無言でイオクに礼をするニールを見ながらノーマルスーツのチャックを開けた。

その時に胸ポケットから写真が出てきた。それは向きを変えないまま、明後日の方向へと飛んでいく。その写真には、過去の自分と一人の女性が写っている。

 

「──っ...!」

 

手を伸ばそうとしたその瞬間、それが金髪の女性に回収された。

あれはアメリアと一緒にいたときにあったジュリエッタ・ジュリスだ。

 

「...これ、貴方のですか?」

「ああ。ありがとう。命の次に大切な物なんだ」

 

いつものとは違う優しい声をして視線は写真にあるのに、遠い場所を向いているようにジュリエッタは感じた。その声と視線から前に感じたイメージと違うからか首を捻る。

 

「じゃあな」

 

本人は意識をしたわけではないがそう言って柵を蹴って遠くに行くときの声は前のイメージと同じ不良っぽい声だった。

アメリアはたまに彼の話をするのだがその時に戦場で一番敵として会いたくない人間と言っていた。まさにその通りだ。先ほどの優しい印象を書き換えて噂通りの秩序に沿ってない人間とジュリエッタは再認識した。

その後ろを部下のニールはジュリエッタに礼をして地球の鳥の雛のようについてくる。二年で慣れたその姿を見ながらニールにいった。

 

「今のうちに家族に連絡しておけ。今回、荒れるぞ」

 

ユウ・タービンが行った単独でのモビルアーマー破壊。その上、仲間の二人も前とは見違えるほど強くなった。それも、信頼関係さえあれば背中を支えてもらっても良いと感じるほどに。

だからこそ心配なのだ。イオクは謎の自信が沸いているようだがそれを考慮しないとなると、今回の戦いは、犠牲者が増えそうだ。

 

 

 

「みんな。落ち着いて聞いてほしい」

 

イプシロン。フュンフ。今ここにはイプシロンの全員が集合している。時間はほとんど無いだろう。今現在タービンズはギャラルホルンのアリアンロッドに終われて中継基地にいる。ここは中継基地から近いとはいえ、船で完全に追い付いても時間切れになる可能性が高い。やはりモビルスーツを先行させれるしかない。火星から鉄華団も非戦闘員の保護に一役買って出てくれた。

 

「もう知っているだろうけどタービンズは今、アリアンロッドに違法組織として終われている。追い付かれて捕まって皆殺しにされるのも時間の問題だろう」

 

みんなの顔が引き締まる。アリアンロッドと言えばこの前圧倒的な差をつけられた挙げ句情けを貰った相手だ。今から行っても勝てる見込みはおそらく少ない。

 

「だから僕はタービンズを助けたい。作戦は簡単。父さんが予定通り非戦闘員を逃がす。それを鉄華団に保護、護衛をしてもらうから此方は戦闘員を逃がす。父さんの事だからなんやかんや言って自分一人の命で手打ちにさせてもらう...と思う。でも、させてはいけない。助けるんだ」

 

そう言っても結果はなんとなくわかる。

僕の顔が見える位置にいるたくさんの女性陣の背中に冷や汗が浮かんでいるのを想像する。

 

「勿論、真っ正面から戦って勝てる相手だとは言わない。タービンズを助けたい後はしっぽ巻いて逃げるよ。その後の事はその後考えよう。よく言うでしょ。あしたはあしたのかぜがふく」

 

そう軽く言っても状況は変わらない。わかっている。

しっぽ巻いて逃げてもある期間はマトモに動けないだろう。タービンズという名前も、テイワズという後ろ楯も、同時に失う。女を一杯抱えたマトモに戦えない集団に早変わりだ。そうなれば何処かの汚い海賊が手を出してくるとも限らない。守りきるのは難しい。でも、今ここで名瀬が死んでも終わりだ。僕やエスト、地球にいる兄弟たちに助けて貰ったとしてもあれだけいる女性の保護は難しい。あの大きな器が消えてなくなってしまうのだから。

 

「...だからここで僕の意見に合わない人はこの船を降りて。この船を降りればおじいちゃんが全員保護してくれる。別にこの船を降りても責めたりしない。乗った人には降りた人を責めたり恨まないようにはしっかりいっておく。最悪一人でもアンドラスは動かせる。今ここで覚悟を決めて。はっきり言って分が悪い賭けだ。乗らなくてもいい。乗る必要はない。わかっているとは思うけど乗らないことでタービンズから抜け出した事になる。でも、その先に待っている未来はハッキリ言って僕の未来より明るい。戦わなくても大丈夫になるからね」

 

責めさせないとはいったがこれはハッキリ言って蛇足だっただろう。みんな知っているだ。命あっての物種だって。死んでしまえばもう終わりだと分かっている。

 

「だからここで自らの頭で考えて答えを決めて。強引なのもわかっている。恨んでも憎んでも構わない。僕はもう決めたから、テイワズの狙撃手をやめるって。もう、決めたから」

 

その後10分とたたずにみんなが答えを決めた。話を聞かされる前からそんな気はしていたのだろう。

そう思いながら降りていくみんなを見送った。

口々に「ありがとう」「元気でね」「子供たちは任せて」「もしテイワズに戻れたらみんなでまたやろう」「また会おうね」等言ってくれた。抱き締めて泣いた人もいた。

その後すぐにフュンフは出航。モビルスーツ隊は戦闘準備に入った。

 

心配がある。それは残ってくれたメンバーが少ないからではない。先程言ったように自分一人でもアンドラスを動かして行くつもりだったから。では、なんだ。それは残ってくれたメンバーの中にタービンズに恩義が無いメンバーがいたことだ。

 

「何故出ていかなかった」

 

恩義が無いであろうメンバー──ジョーカーにそう言うとジョーカーは軽く笑い、壁にもたれ掛かる。まるでこの言葉の意味がわからないように。

 

「お前だってわかってるんだろ!ここで終われば死ぬ。僕達と一緒にいると死ぬ可能性が高い。それにお前には父さん達を助けたいという情が全く見えない。お前は何をしたいんだ!」

 

そう怒りながら問う。こいつの魂胆が全く見えない。何がしたのか全くわからない。今回のことはJPTトラスト、つまりジャスレイが関与している可能性が高いつまりそのジャスレイから送られてきたこの男はJPTトラストに戻ろうとするはずだ。

おそらくこいつの目的は僕の監視だろう。温厚な態度は取る必要もない。彼の性格上あり得ない事なのだ。そんな事も考えずに入れたりはした。こんなことになるとは考えてなかったから。

 

「何がしたい...か...さぁな。けどこれで俺がお前の命令を聞くのも最後だ。それだけはいっておく」

 

どういう事だ。そう言おうとしたときにはジョーカーが目の前から消えていた。

 

意味不明な彼の目的に頭を悩ませるが全く理解できない。本当にJPTトラストを辞めて此方に来てくれたのか...いや、違う。だったらこれで最後なんて使わない筈だ。

 

恩義があるのか?何故?何処に?それとも奴の正体は...結局、頭を悩ませることしか出来なかった。

 

その後、残ってくれたシュインの横で宇宙(そら)を見る。こうして見るのも最後になるだろうから。

 

「今だから言うけど、本当はみんなに乗って欲しくなかった。一人でいけって言って欲しかった」

「でも、一人では無理だってこともわかってた、よね」

 

悲しいがそれが事実だ。たった一人がどんな力を持っていたとしても多数にかかれば何もならない。中には最強が一人いれば良いと考える人もいるがそれは絶対に違う。一人で多数の軍勢に勝とうなどたった一人で世界中の生物を絶滅させようとするのと同じ。これはいかなる力を持っていたとしても同じ。あのライルでも、かの英雄であるアグニカでも。

 

「無力だよ。本当に。助けたいと思っても力が伴わなくては只の雑魚だから」

「...うん。そうだね。でも、ゆーちゃんには力があるよ。それに守りたいって心もある。大丈夫。ゆーちゃんは私が守るから、初めて会った時ゆーちゃんが守ってくれたように。何度でも、何度でも」

 

その言葉を何度も聞いていたがその声に自信は少しずつなくなっていくのを感じた。

それもそうだろう。アリアンロッドとの戦いで僕は途中で気絶したのだがシュインは最後まで見ていたのだ。たった10機いや殆ど2機のモビルスーツに部隊がほぼやられるという事実。彼女はエストと同様元々モビルスーツパイロットを目指していたわけではない。まだエストはメカニックというモビルスーツ関係の仕事を目指していてテスト時も自分で操縦していたからかパイロットとして最初からそれなりに動けたが、シュインはモビルスーツ所か戦争にすら関係のない職につく予定だった。

六年前、その時シュインは18だった。とある地球圏外の場所にてとある名無しの海賊がシュインと彼女の両親が乗った船を襲った。その結果乗員の殆どが死んだ。その場にいたタービンズが助けに出たもののその時には酸欠状態で死にかけていたシュインしか回収出来なかった。別に無法地帯を通っていた訳ではないのに。今でもその海賊があそこに出たのか詳しい理由はわからない。

結局、シュインは18の時かけがえのない物を失った。だから僕に同じ思いをさせたくないのだろう。たとえモビルスーツの経験が浅くても。

 

「なら僕はシュインを守る...大丈夫。僕は決めたんだ。何があっても家族だけは守るって...あとさ」

 

此方を向いて首を傾げるシュインを見て、言葉を選びながら言う。

 

「もし...アグニカ・カイエルが生きていて僕の目の前にいたら僕を怒っただろうか。止めるのだろうか。って思ったんだよ」

 

ギャラルホルンの英雄。アグニカ・カイエル。もし彼がここにいたのなら。

前のマクギリスとの話でアグニカは死んだ!もういない!と言っておきながら口にそうだしているので自分も何処かアグニカを信じているのではないかと思う。

僕の...行き先を。信じているのだろう。

 

「わからない。私にはアグニカがどんな人かって聞かれても厄祭戦時の人位しか知らないしね。けどねこれだけは言える。沢山の答えがあり、誰も正解を示してくれないなかでゆーちゃんはこの道を選んだ。それは紛れもないけどゆーちゃんが決めたことだよ。それを忘れないで」

 

シュインはそう言うと思いっきり息を吸った。まるで力を溜めるように。しかし、次の言葉は短く低かった。

それがいつもにまして重く来た。

 

「...ゆーちゃん。やるよ」

「ああ」

 

一瞬シュインが明後日の方向を見たので少々気になるがそれを頭の中から消去してアンドラスの元へと向かう。時間的に着いた頃には始まっているのかもしれない。

でも行くんだ。何も出来ませんでしたなんて結果にはさせない。

そう思いながらアンドラスに乗り込む。隣にシュイン、ジョーカー、エストとそれぞれのモビルスーツに乗り込む。

 

「発進どうぞ」

 

オペレーターの声が聞こえる。その声はいつもよりはっきりと聞こえた。もしかしたらこれで最後なのかもしれない。とより感じさせた。いままで手を抜いていたわけでも生き残れると言う確信があったわけでもない。でも今回はこれまで以上に厳しい。そして死ぬ可能性が高い戦いになると確信していた。

 

「エスト・タービン!獅電、出るぞ!」

「ジョーカー・クロウド、出るぞ!」

「シュイン・ヴァイプ。獅電、行きます!」

 

仲間たちが夜よりも暗い宇宙へと飛び出して加速していく。それを見送りながら自分の番を待つ。

グリップを握り直してその質感を再確認する。いつもと同じ感覚。いつもと違う戦場。殺すのではなく、救うのだ。この手で。

 

「これで最後になるかもしれないからね。言っとくよ。君が僕のモビルスーツで良かったと思っている。...さぁ、行こうアンドラス。僕達でみんなを救うんだ!」

 

 

アンドラスがその声に答えたようにツインアイを光らせる。それと同時に僕の体を何かが包み込む。与えるのは安心。

そうだ。何度も、こうやって助けられた。今度は助ける。

 

「ユウ・タービン。ガンダムアンドラスで...発進します!」

 

純白の機体が漆黒の闇に呑まれていった。スラスターを吹かし、ガスの輝きが漆黒の闇を本の少し照らす。それとメインカメラの辺りから出た緑の光が置いてかれる程早くなり、緑の光は二本の線となった。




これがもしかしたら最後の出撃になるかもしれない。
...これで全滅するかもしれないから。
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