機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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色物が多すぎるアメリア隊。
アメリアってもしかしてラスタル以上に有能じゃね?

今回はエストとユウの兄弟がそれぞれ戦う話ですね。(あまり進まないからサブタイトルつけづらい)


第46話 タービンの力

宇宙空間なので聞こえない筈の音がコックピットに響いた。

これは機械が出している擬似的な音だ。そうとは気付いても、その完成度から音が出てくる度に冷や汗をかく。

その音は重い金属と重い金属をぶつけた、独特の音だった。

 

「ぐっ!やるッ!」

 

パルチザンの柄を短くして再び斧を受け止める。

それでまた音が響いた。

その音を出す原因となっているもう一つの存在。今それと戦っている。双方の武器がぶつかり合い、ならす音は鈍かった。

俺はこの相手と戦った事がある。そのときは数がいたのにも関わらずしてやられたが、今回も同じ結果になるとは思わない。

アーラを単独で討伐する程の腕まで上昇した。代々タービンの姓を受け継ぐものは才能の開花が早いのではないかと勝手な推測が出来るほど短い期間で上達している。

 

「このっ!邪魔だ!」

 

二本の斧を使って強引に横をすり抜けようとするグレイズモドキの猛攻をパルチザンをシールドで受け止める。

得物の数は少数とはいえ、こちらの方が勝っている筈だ。相手は尾二本、たいして此方はパルチザンが一本、ライフルが一丁、シールドが一つ。

シールドは攻撃に向いていないので実質2対2となっている...筈なのだ。しかしバカでもわかるほど今は押されている。

それぞれの機体が変態的な機動で相手の機体を沈めようと武器を振るう。結局今は相手の攻撃を押さえるので精一杯だ。モビルスーツとの戦いは一秒で状態が変わる。それは勿論言い方向にも悪い方向にも。

今は相手が出し惜しみをせず当たってきていると信じるしかない。そして敵の行動パターンを読み取って避けるしかない。

...出来るか。

とりあえず仕留められる可能性が高いので蹴りを入れるのがそれを防がれて加速された。

しかしその速度も早くはあるが獅電で追い付けない速度ではない。

 

「そんなので抜けるとでも!なめるなぁ!」

 

加速をして回り込む。スラスターのガスが青い光を出して真っ直ぐもう一つの光へと進む。

パルチザンを振るう。普通なら防げる振り方だが両方とも速度が速度なので押さえきれずに弾く。

弾かれたことによってよろけたグレイズモドキに瞬間的な加速ですぐに追い付いてパルチザンを再び振るう。今度は斧で受け止めらていなされた。

 

「トロいんだらよぉ!」

 

すぐにUターンをしてシールドを前に押し出すように出しながら接近する。そこに何か硬い物が当たりそれは弾いたりすることはなく、つばぜり合いのようにびくびくしながら機体が止まっている。

今止まっていると言ったが厳密に言うと、違う。ほぼ同じ速度で動いているだけ。

硬いものの正体は相手の得物だとすぐに気付いた。

ライフルさえ取れれば状況は変わるのだがあいにく此方には腰にアームを回す時間はない。パルチザンを振るおうともシールドが大きすぎるせいでうまく当たらない。

その間も加速した二つの機体が膠着状態となっていた。

するとコックピットから警報が流れた。しかし振り向かない。どうせ機体の限界だろう。それにハイそうですか。と聞いていては此方がやられる。

 

「グレイズルデンが押されている...!?ギャラルホルンの機体ではない上に、量産機だぞ!」 

 

接触回線で相手の声が聞こえる。若い...おそらくジョーカーと同じか、ジョーカーと自分の間くらいの年齢の男だ。

グレイズルデン。それが相手の機体だろうか。言葉からエース機もしくは改造機ととれる。

相手の驚きも頷ける。量産機とは誰でも使いやすくするため、そしてコストを押さえるために性能を試作品等と比べて少々落としているのだ。それなのに、性能を押さえていない機体が量産機に劣るなど。それも両腕と片腕でつばぜり合いしているのだ。それは驚くだろう。

ここで相手の頭の中では獅電の株が急上昇しているだろうが、本当はただ無理をしているだけなのだ。

腕の限界が来る前にシールドを微妙にずらす。するとすれ違うように相手が流れた。無理に後追いはしない。反撃の可能性が一番高いところなのだから。

しかし両方とも即座にUターンしてそれぞれの得物をぶつけ合う。くの字と反転させたくの字が重なったような絵を描きながら流れていく。両方ともいなすのに集中しているのがわかる。

その間もスラスターの加速は止まらない。この勝負は早い方が勝つ可能性が一番高い。それもあまり機体性能の変わらない機体同士。ほとんどがパイロットの問題となる。

 

「はっ!」

「ぐっ!」

 

お互いに声が似ているためか途中からどちらがなんといっているのかわからなくなってきた。無論、戦闘中による極限状態。というのも大きいだろうが。

しかし永遠にその時間は続かない。武器は損傷していき、スラスターのガスは減る。間接は磨耗し、フレームにはヒビが入る。金属疲労が起こっていて設計の段階よりも破壊しやすくなっている。

現在敵モビルスーツの内部の損傷はどのくらい進んでいるのかはわからないが此方の獅電は限界に近い。左肩のフレームは一部を残してヒビが入り、シールドは端の方が欠けて、中心には幾つもの深い傷が入り、中には割れているところもある。敵モビルスーツの外部の損傷は斧が刃零れしている程度。先程の発言から無理をしていないと考えると、此方が不利だ。

 

「ちっ!短時間で終わらせるしかないのかよ...耐えろよ!」

 

そう言いながらも状況を変えることは出来ずに繰り返していた。

 

 

 

 

 

ミサイルを放つがあの速度と反射神経を持つ男が避けられない筈がない。すぐに避けて横方向からの反撃が来る。それを盾で防いで、連撃に警戒しながらもレールガンで撃つ。それをかわされたら距離を取る。

たったこれだけの行動なのに相手の強さが現れている。行動一つ一つに隙がなく、此方から突っ込めば磨り潰されて終わり。そう感じさせた。

無理には動けない。

 

「ユウ・タービン!」

「なんだ!」

 

敵機──ライルの駆る黒いグレイズ(イプシロンでは異質同体(キメラ)グレイズやニコイチグレイズ、真っ黒グレイズ等と呼ばれている)に向けて叫ぶ。

よくこんなに余裕が無いのに敵と話せるな。

アンドラスがその感情を読み取ったのか、何かを伝えてきた。

それを知る筈の無いライルが真っ直ぐに突っ込んできた。

 

「読めた!」

 

それをバックステップで避ける。簡単に言うが相手が狙いをさざめてから当てるまでの短い間にバックステップで剣の当たる範囲から逃れたのだ。

剣がコックピット横からコックピットスレスレを通っていく。もし避けてなかったらと思うとぞっとした。

どちらしろ、これはチャンスだ。

 

「そこぉっ!」

 

レールガンを構えて撃つ。しかし相手から見れば急にモビルスーツの間に弾丸が出てきたような物。いや、弾丸を視認した後に避けられる人間なんている筈無いからそのままその弾丸は黒いグレイズの右肩に命中。

 

「っ!...こいつ!また...」

 

読み取れない射撃、どれだけ鋭い感覚を持っていても、どれだけ戦いを経験してもこの射撃だけはどうくるかわからない。曲がる訳でもないし、急に加速する訳でもない。銃には種も仕掛けも無いのだから。つまり僕が自分の意思でやっていること。

それが僕の唯一の才能。

先読みも出来ない状態で放たれた弾丸をかわせるやつなんて思考が加速しすぎて当たらなくても脳が壊れる。震える程度ではすまない。

いままでの問題はそれが出来なかった事。強敵との戦いでは相手が此方の特性を知ってからは狙って狙撃が出来ないもしくは狙わせないように動いていた。でも今は

 

「アンドラスがいる!」

 

変に気を張る必要性はない。

アンドラスの援護に従えば良い。

 

「アンドラス!」

 

ライルが自分から離れた。自分の攻撃が当たらなくて此方の攻撃は当たるというのに。

高速戦闘に持ち込んで先程の射撃をさせないつもりだろう。それくらいは簡単に推測出来るがどう戦えば良いかを考え、行動するのは難しい。

一度呼吸を整える。するとライルが回りながら此方に来た。これは誘っている。

操縦幹を握りしめて言った。

 

「行けるね。アンドラス」

 

アンドラスがそれに答えるように一瞬より目を輝かせて此方の援護を開始した。

イメージをする。自分の身体をどのように動かしているか。実際動かしているのは操縦幹とペダル、ボタンとタッチパネル程度ではあるがイメージをすることですんなりと動く。阿頼耶識とは似て非なる物。

身体を温かい何かが包んだような感じがした。本当は何も包まれてないのだが。

 

アンドラスが加速する。黒いグレイズの煽りを受けて真っ直ぐに突っ込み適当な所で横に逃げてレールガンを構える。

黒いグレイズもそれに対応して追ってくる。

機体の速さで言うなら黒いグレイズの方に分があるだろう。出来るだけ無駄を省き、攻撃力と素早さに特化させた機体だ。

それにたいして此方は正確無比な読み取れない射撃(絶対の一撃)の為のカスタマイズ。

その小さな差を大きくしたのがパイロットの腕だ。

腰のスラスターが変態的に動きながらアンドラスを狙う。アンドラスも絶対の一撃の為にミサイルを放つ。そしてそれを狙う。敵の視界妨害並びに塗料を効率よく剥がすために用いる方法だ。

 

しかし弾丸がミサイルを破壊する前に何かが横からミサイルを()()()

爆炎で腕の当たりの塗料が少々剥がれだが、狙いたかったコックピット回りは何もなかった。

 

「くっ!」

 

読まれた。

すぐにシールドを構える。剣が命中して機体が揺らぐ。

いままでならこれで一呼吸置けた。

しかしすぐに対応出来ないスピードでもう一本が盾を弾いた。

これでは丸裸も同然。すぐにバルカンを撃つが威力もそこまで無いので機体に弾かれる。次、攻撃がこれば簡単にコックピットに剣の侵入を許すだろう。

守れない。かわすにも剣の軌道が全く読めない。かわせるかどうかなんて不明だ。ただ、まだ頭が動く。

 

「(アンドラス!)」

 

そう頭で思うのと同時に剣が機体の横をすり抜けた。

違う。

機体が動いて剣をかわしたのだ。

いままでとは違う。アンドラスの援護がある今は優位に立てる可能性が高いのだ。

 

「これまでのようにはいかない!そうだろ!アンドラス!」

 

二機のモビルスーツが多数の線を出しながら視界から消えるほどのスピードで駆けた。勿論二機とも機体を損傷させるほど無理はしていない。

アンドラスが中心となり、それにかするようにグレイズクルーガが当たる。そのままアンドラスが狙い撃ち、それをかわしたグレイズクルーガが強襲をする。それを何度も繰り返した。しかし二機とも大きな損傷はせず、そのまま重なりあう。

何度もしてきた戦いに終止符を打ちたいが為に。




次は、あの男の戦い。

最後のアレはガンダムシリーズでよくある、遠くでバチバチやっているアレです。

今回出てきた正確無比な読み取れない射撃(絶対の一撃)はなんかガンダムっぽくない必殺技感あるけど狙撃ってそんなもんだよね!
???「ばぁくねつ!ゴォット!フィンガァァァ!!」

というかユウの回避、防御能力地味に高くね?

次回は明日21時30分です。
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