機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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お待たせしました!マクギリスVSライルです!
もう今日から連続投稿します!

















やーやーユウ君が歪む。


第60話 王のイス取り

バエル宮殿にて対峙する二人の戦士。二人ともその背中には阿頼耶識システムが突っ込んであり、向かい合う戦士の内の一人ライル・バレルの物も、もう一人のマクギリス・ファリドの物も厄祭戦時代の物を復元した最高のモデル。

悪魔を操る資格を得た二人が対峙しているのだ。

 

「それはつまり、私にバエルを渡さないということかな?ライル・バレル」

 

マクギリスがライルにそう言いながらも自身の腰のホルダーにかかった拳銃を手探りで探す。ライル・バレルという男についてはマクギリスもよく知っている。ジェラルド戦火という戦争の戦況を一人で変えた悪魔。異名なら黒い二刀流剣士、漆黒。昔の物となると純白、そしてアグニカ・カイエルの再来という大層な異名がつくほどの人間。

 

「そうかな、俺は別に誰がバエルに乗ろうが関係ないただ、バエル(その機体)が俺に向いているだけだ」

 

その言葉を聞いてマクギリスは眉を動かす。彼には覚悟はあるが本当に欲しているのはアグニカになるということでも、アグニカの意思を継ぐという物ではない。ただ、単純な力。膂力の強いバエルを使いたいという単純な欲望。アグニカに憧れている彼から見ればそれは許してはならない物だった。

俺に向いている。その一言で神聖な機体を使う許可等降りるはずもないのだ。

 

「そうか。残念だ、ライル・バレル。君なら...勝ち取れると思っていたのだが」

 

思わせ振りなセリフを吐きながらマクギリスはため息をつく。その反応をおかしく思ったライルは拳銃を握っていない手で通信機を持つ。そして道端に落ちているゴミを見るような目でマクギリスを見ながら言った。

 

「まるで自分が勝てるような言い方だな。此方が拳銃を突きつけているというのに」

 

そう言って拳銃を微妙に動かして音を立てた。しかしマクギリスはその程度では眉一つ動かさないただ、一点。こちらの拳銃を睨んでいるだけ。たとえ防弾チョッキを着ていたとしてもこの距離だ。撃ち抜けるこの距離でこの余裕はおかしい。

増援でも来るのだろうか。それとも俺がこの引き金を引かないと思っているのか。

 

「案外君が私に勝てると思っているのは君だけかもしれない」

「そうか。なら長話は終わりだ。その四肢を撃ち抜かれてアメリアにその身を与えろ!」

 

そういい放ちながらライルはその拳銃の引き金を絞る。それをしようと思った。しかしその瞬間バエル宮殿の扉が開き、そして天井が崩落した。崩れた天井がこちらに落ちてくる。そのぽっかりと空いた隙間からは一機のモビルスーツの影が見えた。

半開きの状態で突如動きを止めた扉からは小柄な少年が何かを投げるところまでは確認した。

 

 

「マクギリス...貴様ぁ!」

 

ライルは叫びながらもヴィダールから飛び落ちていく。天井の一部がヴィダールに命中するのを片目で見ながらも苦し紛れに放った一発はマクギリスの頬を浅く切った。

体制を維持しながらも持ち前の体力と筋力をいかし、自身より重さが重いためか落下が早い天井の一部に脚をかけて再び飛び降りてバエル宮殿の橋に手をかける。後ろを振り向くとヴィダールが乱入してきた鉄華団のモビルスーツに弾かれて壁にぶつかった。白い機体で、その肩パーツは鉄華団のマークが掘ってあり、そこから名前がわかった。何度か戦ったことのある相手だ。しかし、その時と比べて機体が変わっているがその得物の特徴は大体同じだ。そのモビルスーツが落ちてくるのとほぼ同じ瞬間にヴィダールに何らかの攻撃をしたのだろう。ヴィダールが倒れた衝撃で浅い水溜まりから水が跳ねて制服につく。

 

「鉄華団のガンダム...バルバトスか。ボードウィン!そちらは任せる!」

 

了解との声も聞こえなかったが少しくらいなら大丈夫だろう。モビルスーツを生身で相手できる訳がない。ここはボードウィンに任せて拳銃の脅威からひとまず逃れたマクギリスがバエルを盗む前に此方が盗みたい。すぐに橋に立ち上がると目に違和感を感じた。この違和感は痛みだろうか。それにしては弱すぎる。もしかしたら目に何かが入ったのかもしれないと思いながら周りを見渡す。

そう考えている瞬間に扉から投げ込まれた物がわかった。催涙ガスだ。しかし、それを投げた人間もそこまで頭は回っていなかったのだろう。普通は顔に直接当てるそれを何本か開けて投げ入れたのか空気中に散乱していた。勿論何本かで量が足りる筈もなく、一面に広がり、涙は一滴も出てこない。しかもバエル宮殿は意外と広いためすぐに晴れていく。効果が薄すぎる。

そこから素人だと推測される。催涙ガスを使うにしてもこの使いからは間違っている。なんなら可燃性ガスと共に火でもぶっこめば爆発が起こっただろうにと最悪の結果を頭で考えながら橋にかけた手の逆に握っていた拳銃を構えながらマクギリスを探す。

いや、場所はわかる。先程の催涙ガスは前述の通り、顔には届いていない。つまりバエルは見えているのだバエルを見てもまだ起動していない。つまり、マクギリスはまだこの橋にいる。そう考えていると意外とすぐに見つかった。これで振り出しだ。

 

「両手を上げろ。マクギリス・ファリド」

 

しかしそう上手くいくわけないことはわかっている。マクギリスのその手には拳銃が握られていた。二つの拳銃が双方の脳天を狙っている。

 

「君はアグニカ・カイエルの再来と呼ばれるほど、力があった。そして君には人間誰しもが持つ欲望があるはすだ。それが人間であることの証明なのだから。何故叶えない?叶えようとしない?まさかこれを保つことが君の願いではない筈だ」

「そうだな。欲望、願い...か。あるぞ、でっかいのがな。それを叶えるために手柄が欲しい。お前はその生け贄だ」

 

両者がピクリとも動かないその横で二機のガンダムフレームは激しい戦闘をしていた。たまに出てくる水しぶきが橋を濡らす。

しかしおかしい先程催涙ガスを撒いた本人が出てこない。まさか催涙ガスで終わりとでも思っているのか。そんな筈はない。只でさえこんな場所に侵入してきたんだ。そんなイタズラめいたことで終わるとは思えない。

しかし、バエルの方に向かった人間はたったの二人のみだ。つまり未だに扉からその身体を投げ出していない。

そう思い、扉の方向に意識を送りながらも相手を睨む。

 

すると拳銃に強い衝撃がかかり、吹き飛んだ。

全くわからなかった。まさか、扉の裏側から放って屋根に跳弾させたか。そうわかった瞬間にマクギリスが引き金を引く。身体を捻ってすんでのところでそれをかわすと同時にマクギリスの拳銃も吹き飛んだ。

意識を向けていたというのに気付けなかったこと。そしてこれだけの射撃スキルできる人間はこの世には一人しかいない。

 

「ユウ・タービン」

 

そう言うと扉から小柄な少年が拳銃を構えながら出てきた。整えられたとは言えなくもない黒く長い髪を持ち、それと同じくハイライトがかけた真っ黒の目を持っている。脂肪をこそぎおとしたように最低限の筋肉と骨と皮しかないように見えるほど痩せているが健康的な印象を受けさせる。モビルスーツパイロット向きとは言えないが他に似合っている職業があるとは一言も言えない。おそらく産まれてきてから今日まで沢山の愛を注がれた少年。

テイワズの狙撃手が。

 

 

 

 

跳弾の計算は正直に言って苦手だ。

だから何発か撃ってそこから当たりをつけたかったが相手の緊張感からしてとてもそんなことが出来る余裕はなかった。

相手の拳銃を一通り落として安心しながらいままで自分の身体を隠してくれた半開きの扉を撫でて姿を現す。

その扉は勿論厳重管理されているものを閉じ込めているので人の力では開かないほど固く、暗証番号がないとびくともしない。なので暗証番号を撃ち込む筈なのだが勿論そんなものは知らない。開けた後に多少の威嚇はするであろうマクギリスに聞いとけばよかった等と唸りながらそれに悪戦苦闘していると急に開いたのだ。理由はわからない。しかしそこにはなんとかコードと書いてあった気がする。とにかくその開かずの扉がゆっくりと開いていくことに感謝しながら半分くらい開いたところで拳銃を鳴らして動きを強引に止める。

そこからは考えていた通りに動いた。催涙ガスを撒いて殺気だたせながら天井の形状を確認して跳弾の計算をして、相手の戦闘能力を無くす。

上手く事が運んだのでとりあえず安心しながらも顔を崩さずにしっかりと拳銃を握り、二人の男を睨む。

しかしこれで僕に勝てる物はこの場にいない。というわけではない。拳銃は未だに二人の背後に落ちている。片方を撃った隙にもう片方に撃たれては意味がない。だから動けないと踏んで動けばその男から撃ち抜く事が出来ればもう一人も打てる可能性が高くなる。

 

また空気が止まったように息苦しくなる。拳銃が震えているわけではないがモビルスーツに乗ってないのに死が形をもって近づく。

ここまで来た理由はなんだと自分に言い聞かせなければしっぽ巻いて逃げていたのかもしれない。

 

「ユウ・タービン」

 

目の前にこの男、ライル・バレルがいるのは少し想定外ではあったものの、相手も武器を出す素振りは見えないしとりあえず此方が変なことをしなければダメージはない。

 

「お前もバエルを?」

「違う。僕はバエルを使えるなんて思っていない。知りたいのはなんでバエルなのか。バエルに乗るって言うことはアグニカの意思を継ぐって言うことだから」

 

ハシュマルとの戦いでアンドラスが教えてくれたガンダムの願いという一種の本質に近いもの。

つまりバエルにもアンドラスのように願いがある。それはおそらくアグニカ・カイエルの願い。アグニカ・カイエルは厄祭戦を生き抜いているのでそこまでシリアスな願いではないだろう。あるとすれば訪れた平和を守ること。

もしアグニカが今の世界に転移されたらあくまで予想だが彼はギャラルホルンをなんとかしようとするだろう。最高幕僚長の権限を使い、建て直しを図ってもおかしくはない。アグニカの願いがそれであると仮定してバエルに乗り込みそれを成す──ということを考えたが二人とも違う。

その内容をマクギリスからゆっくりと話し始めた。拳銃を向けて死が迫っているとは思えない不思議な空間に囚われる。

 

「俺には力が必要だった。そして見つけた。今この世界で最高の力の象徴...権力、気力、威力、実力、活力、勢力、そして暴力。全ての力を束ねる存在。ギャラルホルンのトップ、アグニカ・カイエル。俺はその存在に憧れた。そうなりたいと思った。君もそうだろ?ユウ・タービン」

 

まずマクギリスは自身がアグニカ・カイエルになること。それこそがマクギリス・ファリドの最後の目標で目的。彼からしてみればアグニカ・カイエルという存在は最強の力としか映らないのだろう。権力、気力、威力、実力、活力、勢力、そして暴力。それらを全て内包した存在。それが彼の言うアグニカ・カイエル。この時点で僕と彼には違いが出ている。

正解は知らない。まず知ることなんて出来やしない。

 

「俺はお前という人間を理解出来ない。バエルに乗るということが何故アグニカ・カイエルの意思を継ぐということなのか。まぁ、いい。こんなところで長話していいのか?時間はたつぞ」

 

ライルに至ってはただ、その機体が自分にあっているから。確かにこの前の戦いで見せた剣技は膂力が強いバエルを使えばもっと効果が得られるだろう。しかし本当にそれでいいのか。アグニカ・カイエルという男はおそらく彼にとってバエルに乗った男という印象しかない。

 

「...」

 

戦争とは異なる正義のぶつかり合いという言葉を聞いたことがある。誰が言っていたかも記憶にないが。異なる正義が自らが正しいと吠えながらも意見をぶつけ合う。簡単な感情になればなるほど邪魔な物が消え、人間の本質が見えてくる。そこにある戦場はとても美しいと。

人が人に美を感じるのがおかしいとは思わない。しかし戦場を美しいと思う感情は少しずれていると思うだろう。しかしその感情すらも人と人との繋がり会いで作られるもの。即ち人だ。人の本質が作る。下等な動物の雄が雌を奪い合うように人が武器を握り、各々の技術(わざ)を披露するのが美しいのだと。

今まさにそのような状態なのだろう。異なる複数の正義が存在している。

 

 

「ユウ・タービン。その拳銃は我々と同盟を組まないと言っているような物だ。すぐに下ろして欲しい。我々も君と元テイワズ精鋭と戦うのは気が引ける」

 

その言葉に怯えは塵一つとして存在していない。おそらく彼の言うアグニカに少し近い。アグニカ叙事詩の彼に少しにていた僕を撃つのは難しいのだろう。僕だってただでやられるつもりはない。

 

「僕は争いをするために来たんじゃない。マクギリスと敵対するつもりはない。その証拠にマクギリスの護衛という仕事は今も続いている」

「成る程。三つ巴でも始まるかと期待したんだが。結局組むのかい。それにしても組んでいる相手に銃を向けるか」

 

ライルがまるで軽口を叩くように言った。しかしその声は緊張感で張り巡らされたこの空間をまた強くした。

 

「考え無しと罵るのであればそれでいい。卑怯者とのと罵るのであればそれでもいい。それくらい想定しているし男共(おまえら)になんて言われようが思われようが関係ないし、気にするつもりもさらさらない」

 

だからと言って引き下がる事も出来ないので意思を強く保ちながら拳銃を構え続ける。戦闘中の方がそういうのは保てていた。これでは僕はアンドラスがいないと駄目じゃないか。駄目だ彼女に依存してはいけない。

 

「で、どうだ。マクギリス・ファリド。僕はお前と手を切るつもりはない。それ相応の覚悟もあるだろう。だからお前を利用する」

「まるですべての思考を辞めたようなセリフだな。ついに頭がオーバーヒートしたか」

 

ライルがそう言いながら笑う。まだ余裕なようだ。ここで僕とマクギリスが再び手を組もうとなったら自分だけがとりこされて撃ち殺されるだろうに。

この男は僕が引き金を引けないと感じているのか。もうロークスコロニーの時とは違う。

 

「僕がこれからしなくてはならないことをするためにはマクギリス(こいつ)の力の力が必要だ。だから利用するだけ。勘違いするな。僕ははなっからお前に賭けていない」

「それでいい。私もそのつもりだ」

 

そう言ってマクギリスがゆっくりと立ち上がる。

先程の言葉は事実だ。本当ならここでゆっくりと話し合っていたい。マクギリスと手を切ってこの場で二人とも射殺して、テイワズに戻りたい。でもマクギリスと歩んだ方が高い景色を見ることが出来る。もう僕が死んでもいいようにするには最短でかけ上がるしかない。その為に使えるものは何だって使う。

 

ライルに向けて拳銃を構えながら微笑する。そうすることで少しは不安感が出てくるかと思ったが気持ちは相手の方が上手らしく、全く動じない。

 

「後はお前だけだ」

「そうだな。どうせ今からバエルの回収は出来ないだろうから、こうさせてもらうか!」

 

そう言い放ってライルは後ろに下がる。しかしそれを見逃すことはしない。心臓を捉えて撃つ。その引き金には迷いはない。弾丸がライルの腹部、心臓の辺りに当たって、ライルは勢いで後ろに倒れるがそれと同時に落ちていた拳銃を拾う。しかし普通ならその場で倒れて絶命する筈。

まずい、防弾チョッキか。彼の身のこなしから来ているとは思わなかった堅いかわりにとても重い服を想像した。そう思った瞬間には僕の頬スレスレを何かが抜けた。その何かはすぐにわかった。当たり前だ。ここまでの時間を与えて引き金を引かない人間がいるはずがない。

 

「ちっ」

「おうらよっ!」

 

頬にきた痛みで一瞬身を退いたらその瞬間にはもう接近されていた。そのつぎにきた痛みは腹を蹴られた痛み。衝撃で骨でも砕けたのではないかと思ってしまうほど強力な蹴りをくらいからだが吹き飛ぶ。

鍛えている人間とはいえ、急にこんな蹴りをされるとは思わずモロにくらう。

からだが床に叩きつけられた時に目を覚ましたがその時にライルは拳銃で此方を狙っていた。

 

「おえっ...うぐっ」

「形勢逆転...だな。最初から出てこなければ死ななかったのに。お前とは戦場で会いたくないのでな!」

 

痛みに苦しみながらもライルが引き金を引く。その瞬間に辛うじて握っていた拳銃を撃つ。狙いはライルの拳銃そのもの。今度は弾くのではない。破壊するのだ。しかし、ライルの撃った弾と当たり明後日の方向に飛んでいく。

それも想定済みだが。隙間をいれずにもう一発を撃ち込む。その瞬間に鈍い音がしたかと思えばライルが拳銃を落とした。

 

「よくやってくれるっ!」

 

反動で腕一本無くならないかなと期待したが流石にそうはならず、撃てなくなった拳銃。L字の引き金がついた鉄屑を放棄したライルは一回転してその回転も使ったのかそのままそれを蹴った。蹴られた鉄屑はこちらの方向へと回転しながら飛ぶ。しかしすぐにエネルギーを失って水溜まりに不時着した。あれを食らったのが自分だったらと考えてゾッとした瞬間。横腹に蹴りを入れられた。

体が半回転して再び叩きつけられる。今度はその後襟首を捕まれて再度叩きつけられた。

もう青アザくらいは出来ているだろう。身体中が痛すぎて現実味が薄れる。感覚が麻痺してきたのか具体的に何処がどう痛いのかわからない。

 

「一般人が身体勝負で正規兵に勝てると思うなよ。こちらだって鍛えているんだ。これでも主席でね」

 

気を失いそうになりながらも相手を睨むが、勿論そんなことでは驚いたりすることはない。ただ、楽しむようにほくそ笑み。腕を握るだけ。しかし、それだけ。それだけだ。確かにもう凶器となり得るものはないのかもしれない。しかしあいつだってこの場に居続けるのは駄目な筈だ。

 

「お前今、何故未だに動かないって思っているだろう。マクギリスがこのままだとバエルを起動する。そうすればモビルスーツは二対一すぐに此方側が不利になり、モビルスーツが勝った方が生身の人間を殺せる」  

 

その通りだ。だからこそ、何故そこにいるのかわからない。今ここで僕をいたぶったところでなにも変わらない。

 

「残念だが俺はもう帰るよ。本当はお前を始末しておきたかったが」 

 

そう言いながらライルは僕の片腕を上げる。当たり前だが僕の身体がつられて立ち上がる。その腹に拳が入ったかと思った瞬間にまた意識が薄れた。

だんだん小さく、そしてぼんやりとしていく視界には謎のモビルスーツに向かって跳ぶ、ライルの姿がいた。

 

 

 

「運命か...」

 

ガンダムバエルのコックピットの中でマクギリス・ファリドはそう呟いた。かつてガンダムバエルに乗ったアグニカ・カイエル。その血を受け継いだ者とそれを目指そうとする者が今は自分の手の中にいる。そしてそれを押しのけて自分がバエルのコックピットに座っている。ユウ・タービンは反対していたようだが彼もいつか認めてくれるだろう。純粋な力のみが成立させる、偽りなど一切ない真実の世界を。

作るのだ。アグニカ・カイエルと似た少年達と共に。

 

 

「聞け!ギャラルホルンの諸君!マクギリス・ファリドの元に、バエルは蘇った!ギャラルホルンを名乗る身ならば、このモビルスーツがどのような意味を持つかは理解できるだろう。ギャラルホルンにおいてバエルを操る者こそが唯一絶対の力を持ちその頂点に立つ。席次も思想も関係なく従わねばならないのだ。アグニカ・カイエルの魂に!」

 

強い声で、演説を開始した。

ヘイムダルを作った英雄、アグニカ・カイエルのように。




ささっ!明日も行きますよ!
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