機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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今日も出来たら2話投稿したいなぁ...

無理だと思うけど


第65話 子孫VS再来

ガンダムフレームが出せる最高速度を出しながらも残骸をかわして真っ直ぐに進む。アメリアはダインスレイヴが破壊されることを見越して部隊を出したらしいがそれらしい反応は見えない。

流石に先に行かれたとはいえ、ここまでいないとなるとおかしい。しかし、目の前に広がるのはダインスレイヴによって殺られた残骸のみ。敵の大部隊もない。

数が少なくなってきた敵方は部隊を集めるだろうとアメリアは言っていた。

しかしそれらしい物は見えない。

まだ離れているのか。流石にレギンレイズの最高速度で動くなんて事はあり得ない。

 

「最後の戦いで迷子なんて笑えねぇぞ」

 

残骸に当たれば機体は大丈夫だろうが体はぺったんこになりそうな最高速度を出し続けながらも笑いながら言っていると反応が見つかった急ブレーキをかけながら相手を見る。

 

「──はぁ?」

 

しかしそこには先行していたレギンレイズ隊はいなかった。いや、残骸となって宙を漂っていた。それだけなら敵の部隊と接触、戦闘になりその末に敗北。となるが浮いている残骸はほとんどがレギンレイズのもので破片からして時間はたってない。そしてそこには一機のモビルスーツがいた。たった一機で全員仕留めたと言うのか。

 

青っぽい装甲を嵌めた自分が乗っているガンダムフレームに似た形をしている。フレームが露出している部分もよくにている。アメリアが一度言っていた。今回戦うレヴォルツ・イーオンという名の反ギャラルホルン組織はガンダムフレームに似た機体をエース機として使用すると。名前は確かマッドナッグだったきがする。シルエットだけなら所々がガンダムバエルに似ているアーラとの戦闘、そして自分が今ガンダムベリアルに乗っていることから複雑な心境だったが兎に角これが反ギャラルホルン組織のエース機。

そしてレギンレイズ隊を壊滅させるレベルのエースパイロット。剣を抜く相手としては上等だろう。

バックパックを動かして剣──とは言っても刀の方が近いが、それを一本握って構える。相手を舐めている訳でない。相手の手札を出しきるどころか全くわからない状態で二本は不意を突かれたさいに、攻撃力を失う。それは即ち死を意味するものというのは誰だってわかる。

 

「行くぞ」

 

ユウ・タービンの時とは違う緊張感。彼は接近戦は挑んでこないからこういう接近戦にて強いと思わせる相手は久しぶりだ。

 

相手が大剣を構えたその瞬間にスラスターを一瞬だけ最大にして加速する。そのタイミングにあわせて大剣を振るうマッドナッグの大剣を細かい動きで反らして避ける。

普通の相手ならこの後のカウンター一撃で沈められた。しかし、マッドナッグがそれを見切り、その状態で一回転。それをまた避けると蹴りを入れられる。

 

こいつ。やり手だな。シミュレーションだけではこんな動きはまず出来ない。実践経験を積んでいる。しかしその細かな動きから少し若いと推測できる。証拠に蹴りに感情が乗っていた。お互いに初対面だろうに。どちらにしろ、感情が乗っている蹴りをくらったのは変わらない。その感情を隠していた訳ではない。感覚を鈍くされたのだ。

 

「殺気か」

 

とりあえず適当に答えを出して考えるのを止める。そうでもしないと隙に漬け込まれる。

一旦離れて両腕の100㎜砲を乱射する。マッドナッグがそれを避けたのにあわせて剣をふるう。しかし今度はマッドナッグが先程の剣技をコピーしたように反らす。

しかしこちらはガンダムフレーム。その力は馬鹿にならない。そしてこちらの方が場数を踏んでいる!

素早い動きで切り返しマッドナッグを強引に離す。そして周りこんでもう一発。一応当たりはしたがその二つとも手応えを感じられない。

おそらくユウ・タービンと同じ手を使ったのだ。普通に当てられたように見えるが実際は間接や得物など脆い部品の為に硬いパーツに当てさせたのだ。ミスディレクション、挑発、細かなバランサー調整。全てが完璧に出来てないと出来ない芸当。

 

「やる...!」

 

勿論当たったことにはかわりないので追撃を繰り返す。細かな動きを調節しながら剣を当てると今度は対応しきれないのかマッドナッグは大剣を盾にして一度剣から守る。先程の芸当が出来ない動きなのか、それともしても無駄だと気付いたか。

 

「おそらくは、その両方か!」

 

一本の剣でそのまま切り結ぶ。何度も離れては切り結び当てては追撃し、当たっては防御で追撃を防ぐそのような事をお互いにやり続けていた。

モビルスーツが再現した音では鈍器のぶつかり合いをイメージするが実際は攻撃をそらしあっているのみだ。特に此方は刀なのでいくら堅くて丈夫と言えど下手には使えない。そうして火花が散る度に緊張感が増して頬を汗が伝う。

これはいい緊張だ。何処にいて、いつ撃たれるかではない。ここにいていつ切り捨てられるか、そしてそれに対応できるか。そんな気持ちのいい緊張感だ。その為気持ちも高ぶる。

相手も同じ気持ちなのだろう。こちらとは違い剣に感情が乗っているがその乗っている感情がとても熱く感じさせる。

 

そのまま何度も何度も、切り結ぶ。お互いの装甲に何度か当たり、そして硬いパーツでカバーをして、カウンターで追撃。少しづつお互いが相手の動きに対応出来るようになった。しかしこちらにはまだ二本目がある。それをいつ、どこで出すかが問題だ。

阿頼耶識が行える最大の情報量を送らせようと思ったがその瞬間、援軍が来たのでマッドナッグを蹴り飛ばす。

 

「援軍か」

「ユダ・カイエル!援護する!」

 

機体は四機のグレイズとマッドナッグの二倍のレベルの大剣を持ったヘルムヴィーゲ・リンカー。合わせて五機のモビルスーツが此方に突っ込む。

しかし先程のマッドナッグで熱された熱が一気に冷めると同時に四機のグレイズをスクラップにした。

 

「なんだと!?」

「遅い」

 

そのまま半回転してヘルムヴィーゲ・リンカーを蹴り飛ばし、刀を引っ掻けてその得物を片手で握る。とても重い得物だ。これで速度重視の自分に勝てると思ったのか。ナメられていると感じた。しかしそれでも強いわけではない。それは先程スクラップにした、四機のグレイズを見ればわかる。一瞬だけスラスターを使って接近しただけなのに防御すらしなかった。おそらくその速度を想定していなかったのだろう。普通の速度なら防御が間に合った筈だ。

勿論、こんな得物に当たればガンダムフレームとはいえ、ただではすまない。しかしそれを持ち合わせた今、それはこちらの得物。ヴァルキュリアフレームが地上の活動での限界重量であっても此方はガンダム。振り回せる。

それをわかっての事だろう武器も持たずに接近してきた。

 

「うおおおおっ!!」

 

しかしそんな接近なら素人でも弾ける。大剣を降るってヘルムヴィーゲ・リンカーを弾こうとしたその瞬間。ヘルムヴィーゲ・リンカーは別方向に弾かれて持っていた大剣も反らされた。

 

「...悪いな。放ってしまって」

「いや、構わない。再開しようか」

 

マッドナッグが剣を真っ直ぐに此方に向けて突っ込む。コックピットごとぶっ刺すつもりだろう。反らされた方向に一回転したあとにその大剣を踏み場にして避けながら冷静に蹴りを入れる。その蹴りを使ってマッドナッグも一撃をベリアルの脚の装甲に叩き込む。ベリアルの向きが変わり、一時的にバランサーが使えなくなる。

 

「今だ!」

「今だ!」

 

両者が同時に口を動かしながら叫んだ。マッドナッグは先程と同じようにコックピットごとライルを貫こうと剣を真っ直ぐに立てて突っ込む。ライルは相手の追撃を見る。持っている剣を適当に振り、そちらに思考を向けながらもう一本を引き抜く。ユダはそれに頭を動かしながらも剣はコックピットの方向を向いている。しかし目はもう一本を見ていなかった。

さしずめ予備だとでも思っていた刀が急に横から現れて機体を弾くとは想像していなかっただろう。

 

今度はマッドナッグがバランサーを一時的に使えなくなる番だ。しかしマッドナッグはスラスターで巧みに動かし、ベリアルに攻撃を入れる。

 

「二本目!」

「そうかい!」

 

しかしそこにまた横やりが入る。

大剣を持ち直したヘルムヴィーゲ・リンカーがベリアルの後ろに周り大剣を振るう。しかしそれを理解する筈もなく、ベリアルは攻撃された反動でうまく避けてヘルムヴィーゲ・リンカーに蹴りを入れる。

 

「邪魔するな!剣スタンド!」

 

大剣ばっかりに目が行ってしまうモビルスーツなので剣スタンド。全く適当な名前だが長いのでしょうがない。

 

「お前は下がれ!」

「しかし!」

「邪魔をしなければ良い!」

 

マッドナッグの損傷もそれなりに酷い。ガンダムフレームの機体とそれも阿頼耶識を積んだギャラルホルン最強のパイロット相手によくここまでもったと称賛が送られるレベルだ。

しかし、此方だってそんなことで手を抜く事はない。それに気づいている石動は援護という体裁でベリアルを倒すつもりだ。

 

頭が冷える。視界は良好。ヘルムヴィーゲ・リンカーが馬鹿正直に突っ込んでくる。

 

「うおおおっ!」

 

それを軽くかわして両腕の装甲に刀を差し込み、抉ってパージさせる。ここまで馬鹿正直に突っ込んでくると何か裏があるのではと思ってしまうがそうではないだろう。当たり前だが先程スクラップにしたパイロットも今ここで自分が相手をしているパイロットもギャラルホルンの中で見ればエースと言っても誰も反論しないだろう。そしてギャラルホルンの兵は決して弱い訳ではない。

 

「まだ生きているか!」

「あんの馬鹿!」

 

止め。そう思った時にそのヘルムヴィーゲ・リンカーの巨体をマッドナッグが掴んで回転しながら投げた。刀は宙を裂き、ベリアルが一瞬だけ隙を見せて、同じくマッドナッグは投げたことにより、隙を見せる。

両者が見せた隙はほとんど同じ時間だった。微妙にマッドナッグの方が反応が遅かったがその回転をそのまま使って剣を振るい、牽制をした。

 

「仲間を助けるか」

 

ベリアルが冷ややかな目をする。まるで道端に落ちている空き缶を見るような目を。

その瞬間ベリアルは加速して一本の刀を振るった。マッドナッグはギリギリでそれを受け止めて、弾く。しかしベリアルには二本目がある。それをマトモにくらって装甲が弾け飛ぶ。

 

「なんのぉー!」

 

装甲の欠片をパージで吹き飛ばした後、マッドナッグがスラスターをそのままフルに使って、ベリアルに体当たりをする。急な事だったのでライルもぐらつき、対処が遅れた。

そしてマッドナッグが剣を掲げた瞬間、ベリアルは二本の剣でマッドナッグの剣を弾く。二機の体勢が崩れて宙を回る。

それを石動は見逃さなかった。その大剣を真っ直ぐに伸ばし、ベリアルを引っ掻けてそのままマッドナッグから離れる。そしてある程度離れたら蹴飛ばして距離を取り大剣で止め。

エースらしく流れるような動きだったがライルは機体を軽く捻らせて簡単にかわした。

 

「なっ...!」

 

これで最後だと思った自分の力を込めた一撃をここまで簡単にかわされて石動が呆気にとられているとベリアルが次は自分だといわんばかりに先程と同じようにヘルム・ヴィーゲリンカーを引っ掻けて適当なところで捻りながら蹴りを入れる。

 

「ぐあっ!」

 

そしてそのひねりを維持しながら流れるように逆回転。ヘルムヴィーゲ・リンカーの大剣を弾き飛ばし、それに蹴りを加えてそのまま足下を周りスラスターに一撃。

スラスターの爆発と同時に二本目、三本目と連続の攻撃を食らわせる。

装甲は弾け飛び、フレームはヒビが入り、コードは切れて飛んでいく。

そして頭部に攻撃。ヘルムヴィーゲ・リンカーの頭部でも一際目を引くその角に...一撃。

その瞬間石動の目の色は変わっただろう。最悪のスタンスだがここで一撃を加えれば状況は完全に此方に向く。

そのヘルムヴィーゲ・リンカーの角は電撃角と言って敵に組み付いた極至近距離戦で使用される武装であり、敵の装甲に突き刺し内部構造を焼き切る目的で使用される。 なお、放たれる電撃から機体のセンサーを保護する為、使用時にはフェイスマスクが展開されるのだがこの場合ではフェイスマスクの展開を考える暇はない。敵の装甲に突き刺すこともできないが金属である刀に触れれば少なからず本体にも流れて腕の一本くらいは使えなくなる。その為に石動は電撃角を起動しっぱなしの状態にした。センサーがお釈迦になったがそれよりもベリアルの腕をうごけなくできれば勝利も夢じゃない。

そしてベリアルの刀ゆっくりと電撃角に近づき、そして触れる。電撃角は半ばで折れるがその電撃は腕に伝わ...なかった。

言葉すら発することができず細い角は呆気なく刀に切り落とされる。

 

その瞬間酷い画質のサブカメラで石動が確認したのは。ベリアルの手がほんの数㎝、刀から離れているところだった。空気すらない宇宙空間では電撃を伝えるものはない。空気さえあれば抵抗は強いが無限ではないので雷のように折れ曲がりながら何処かには命中しただろう。しかし宇宙では何もないため伝えるものもない。刀に電気が通っただけだ。それに手を添えられた為、持っているものだと思ってしまった。その刀がヘルムヴィーゲ・リンカーに当たり、放電する。これでただヘルムヴィーゲ・リンカーがミスをしてセンサー類を壊しただけとなった。

 

「ううっ!」

「来るとわかっている手を警戒しない筈がないだろ!」

 

そして最後の一撃を決める。頭部の装甲は弾け飛びセンサー類に不調が起こり、今度こそヘルムヴィーゲ・リンカーは何も出来ないただのダルマとなった。装甲をとられてフレームのみの状態にされる。

そしてベリアルが刀を振り上げた、その瞬間。

 

「止めろー!」

 

青い閃光が突如機体の間に入り、片手に持った大剣をベリアルへとぶつけた。速度に任せて鈍器のように殴っただけだがその衝撃でベリアルは弾け飛ぶ。

 

「ああ...」

 

ヘルムヴィーゲ・リンカーのコックピットで石動はその戦いを見るしかなかった。

素早く体制を建て直したベリアルとマッドナッグが切り結ぶその姿を。圧倒的な力の差を。

 

しかしその時間は長くは続かなかった。ただでさえレギンレイズ隊との戦いで疲弊しているマッドナッグ。その上ベリアルの猛攻に耐えたので損傷も酷い。

 

「ぐぁっ!」

 

結局ベリアルが出力で押切、マッドナッグを吹き飛ばす。その青色の装甲も傷だらけで辺りに青い破片が浮いている。

 

「まだぁっ!」

 

マッドナッグは吹き飛ばされた時に得られたなけなしのエネルギーにモビルスーツの出力すべてを加えて蹴りを出す。そのマッドナッグの力が籠った右足をベリアルは差し出すように出した左脚で蹴り返した。

普通ならマッドナッグの脚がベリアルを飛ばすか脚をもぎ取るくらいしただろう。しかしその一撃はベリアルが勝った。

 

「ああっ!」 

 

 

マッドナッグの左脚はもぎ取られ。その衝撃でマッドナッグが吹き飛ばされる。明後日の方向へと半壊しながらマッドナッグは吹き飛んだ。

そのまま流れるようにベリアルは不安な体勢のまま、ヘルムヴィーゲ・リンカーへと近づく。

 

「ここまで...」

 

ヘルムヴィーゲ・リンカーも大破した大剣の破片で対応しようとしたがその時間も与えられなかった。

ベリアルがマッドナッグを倒したと思った瞬間に石動は絶命していた。そのヘルムヴィーゲ・リンカーのコックピットを守るフレームは音速を軽く越えたベリアルの刀を受け止めきれずひしゃげて貫かれたのだ。

その刀をゆっくりと引き抜きながらベリアルはその場に佇んだ。

 

「今、僕の知らないところで僕の知っている人が死んだ」

 




石動が邪魔しなかったらユダ勝てた説。というかマッドナッグであれだけ戦えるので相当強いんだよなぁユダ。

次回!射撃VS近接
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