今回のタイトルはそれなりにライルに刺さりますね。彼女がいれば二人だったのに。
マッドナッグとの戦いにアンドラスとの戦い。自分ほどとは言えないが充分強者の部類に入る二人との戦いで流石にベリアルも疲弊する。それで補給に戻ろうとしていたところに急に撃ち込まれる。
下手ではないが上手くもない射撃だ。狙撃手の相手をして慣れてしまったのか軽く避けてエイハブウェーブを感知する。
ガンダムフラウロス。そこにはそう書いてあった。まさかエイハブウェーブを感知させれもアラートされないとは、まさかそこら辺のパーツを破壊されたか。
「くそ。めんどくさい」
そう毒づきながらもその射撃をかわしていると裏から高速接近してくる機体を確認。白い機体でコードはバルバトス。
列車でカルタを殺った奴だ。もう本人は忘れているだろうが少し怒りに任せた攻撃でもしようと思い、まずは攻撃を押さえる。
「邪魔だ。どけ」
ライルもこの連戦には流石に堪える。少々怒りながらもバルバトスルプスのソードメイスをガッチリと受け止めた。
「じゃあ死んで」
転じてバルバトスのパイロットも通信で返してきたが落ち着いている様子だった。流石に戦場に出ている兵士なのでこの程度で怯んだりするはずがない。
「断る!」
バルバトスのソードメイスを弾き、バルバトスに蹴りを加えると武器を振り上げたまま接近してきた獅電と聞いているテイワズの量産機を斬りつけてスクラップにする。
まだイプシロンと戦っていた時の兵は近づかせないか、近づいてもそれなりに対応出来ていた。
鉄華団がこの程度とは感じないがおそらく、このバルバトスが鉄華団一番の力を持つのだろう。先程の獅電のへなちょこな攻めを見れば明らかだ。武器を振り上げたままなんて無防備すぎる。
しかしマッドナッグとの戦いで群がってきたグレイズと比べると反応はよかったし、数もある。弾も簡単に避けれるレベルで被弾せずに切り抜けるのは難しくなさそうだが、一言で言うとめんどくさいとなる。
「落ちろ」
そう言いながら囲んで来た獅電五機を弾き飛ばす。
全てが風に吹かれた紙のように舞って、吹き飛ぶ。ガンダムフレームの力があるからともとれるがそうだとしてもモビルスーツ五機を同時に弾き飛ばすというのは中々難しい。すぐに飛ばした機体同士がぶつかり、離れる方向が変わる。
その結末を確認せずにもう一機、スラスターとバランサーを切り刻み、操縦不能状態にして蹴り飛ばす。すると口を止めてないのに手を離した風船のようにガスを撒き散らしながら普通のモビルスーツでは出せない速度で飛んでいった。
「これ以上はやらせない」
すると体制を整えてきたバルバトスがソードメイスを担ぎながら急速接近してきた。その鉄の塊を構えた状態からあまり型を崩さずに受け流すとそのまま飛ぶかと思ったらすぐに旋回して突っ込んできた。流石にいままでのパイロットとは出来が違うようだ。
「ならばなぁ!」
二本の刀をクロスさせてソードメイスを受け流して攻撃を防ぐ。そして背を見せた所にまずは一撃。腰のスラスターを一部破壊して蹴り飛ばしてその方向に向けて100㎜砲で追撃して、接近してきた獅電を破壊する。
「やめろー!」
「はっ!」
すると先ほどまで突っ込まずに落ち着いて当たらない射撃をしていたフラウロスが接近してきた。なにが起こったのを考える間もなく、先程破壊した獅電を器用に刀で吊り上げて盾にする。その瞬間フラウロスの動きが止まる。おそらく、そのパイロットと交流があったのだろう。もう死んでいるだろうが。しかし戦場でそれも敵兵の目の前で停止することがどれだけ愚かか思いさらせてやる。
「しまっ──」
「はぁぁぁ!」
瞬間移動したような速度で接近して回り込む。まずは左の一本で左脚を斬り込む。破片すらも飛び散らせずに綺麗に装甲が斬れて剥がれる。左足のフレームが悲鳴を上げるように曲がるがそれに気にせず、蹴りを加えて回り込み、用意していた右腕の一本で腰に一撃加えてパーツを破壊する。同時に動きが止まり、フラウロスの目、メインカメラに灯っていた光が途絶える。切れたコードが飛び出しフラウロスに当たって弾ける。しかし追撃の手を緩めることはなかった。
フラウロスのパイロットからすれば急に後ろから斬り込まれたかと思いきや、実は前にいたという手品のような動きに見えるだろう。しかしフラウロスの積んでいるレールガンが微妙な動きを見せた。凝視していないとわからないレベルではあったが地味に此方に向いたのだ。
その事実に驚くが対応は全く遅れなかった。なんとか勘で弾のタイミングは理解できる。それに対応してレールガンの弾を弾く。これが最大火力のダインスレイヴなら避けるしかなかったと呟きながらすぐにそのレールガンを破壊する。それを確認もせずに腰をまた二回斬りつけて関節を破壊する。
「がぁぁぁ!!」
「シノ!」
すぐに間にバルバトスが入ってくるがその攻撃を流す。そして急接近してタックルをした後、肩パーツに刀を刺して強引に曲げる。パーツは割れて掘ってあった鉄華団のマークが崩壊する。そのまま横に流れてバルバトスが怯んだ所に横から回し蹴りをする。マッドナッグの脚を落とした蹴りをマトモに食らってバルバトスがぶっ飛んだ。耐Gである程度は緩和されるとはいえ、ここまで大きくやられるとそれなりに不具合が出てくるのは当然だろう。
「あのときの借り!代えさせてもらう!」
「あっぶねぇ...なぁ!」
しかしバルバトスは止まらない。ソードメイスを強引に振って回り、単純にベリアルを叩き潰そうとしてくる。その攻撃はいなすだけなのに攻撃力が違う。
「まだ抗うか!」
叩きつけるのが本命のメイスの相手は得意ではない。しかし、それにも対応は出来るようにはしている。ソードメイスの打撃により、刀が折れたりしないように気を配りながらもその攻撃をいなす。
しかしバルバトスが振るった一撃がベリアルに命中した。右肩におもいっきり当たった一撃でベリアルが大きく曲がり、バルバトスがソードメイスを担ぎ上げるように持ち上げて止めと言わんばかりに構える。
しかしその動きは実に単純だ。感情が乗っている。その若い攻撃を防ぐことは難しくはない筈だ。
「ナメるなぁ!」
そのソードメイスの攻撃を右側から打って反らす。そして重心が傾いたところに蹴りを入れて、とりあえず距離をとる。
「三日月!」
そこに通信を割り込みながら何機かの機体が割り込んでくる。来たのはまた新しい機体だ。種類は三種類。ひとつは獅電でひとつはロディフレームの機体ということはわかる。白とオレンジ色に塗られていて、目立つ形をしている。それが三機。そしておそらく、通信に割り込んできた機体であろうベージュの機体が一機。これも見た事がある機体だ。反応ではグシオンとなっている。確か鉄華団が何処からか拾ってきたモビルスーツと聞いている。二年前から鉄華団あるモビルスーツでバルバトスとツートップを張るであろう機体。
「へぇー。面白い」
ベリアルのコックピットで機体が危機的状態だというのに盛り上がってきたことに純粋に喜んだ。
グシオンがその場で止まり、四つの腕からライフルを取り出す。そしてそのすべてを此方に向けて撃ってくる。それを弾きながら回りに気を配ると何機かの獅電がバルバトスとフラウロスの保護へと走り、残りとロディフレームの機体が後ろに回るのを確認した。
「初心者離れした機動...阿頼耶識か」
グシオンの弾を切るのを諦めて当たらないように高速移動をしながら後ろから攻めてくる機体を攪乱する。フラウロスのパイロットといいこのパイロットといい、やはり接近戦を仕掛けた方が勝率が高くなるのではと予測してしまうほど射撃が当たらない。元々阿頼耶識というのは射撃に対する補正があまり働かない。パイロット自身が射撃を得意としているのなら話は別だが訓練を受けていない場合は接近戦の補正の方が圧倒的に高い。理由は簡単だ。素人なら撃つより殴る方が強いから。
素人同士の戦いで片方が拳銃、片方が西洋剣を持っていた場合、大体の人間が拳銃を持った方が勝つと言うだろう。しかし拳銃を持った方が初段を外せば西洋剣が勝つ。反動が強い拳銃なんて素人では一度撃つのが精一杯だろう。そして当たる確率なんてほとんどない。元々撃ちやすい部類に入る拳銃とはいえ、素人がはいよと撃てる代物ではない。
それは人型であるモビルスーツに言っても同じ。そしてその動きを人に限りなく近くするという阿頼耶識は特にその差が顕著に出る。
鉄華団が素人集団というわけではない。先程斬ったフラウロスもギャラルホルンに突っ込めば一躍エースとなれる力を持っている。しかし、フラウロスが遠距離戦重視の機体というのが脚を引っ張っているようにも感じる。
どちらにしろ、ガンダムに乗っている時点で他の機体より扱いづらいだけで性能はそれなりに良いのはかわりないのだが。
「俺もある!」
しかし俺の背中にも三つの阿頼耶識が突き刺さっている。その全てが俺の鼓動に揺れ、神経に繋がり、圧倒的な力を生み出す。
ロディフレームの機体に飛び付き、刀を交差させてその後滑らせるようにさらりと装甲とフレームを同時に斬る。それを二度行い腕を破壊したあと、バックパックに蹴りを加えたまま、100㎜砲を連射して破壊する。
「ぐっ!出力が...ァァ!」
「デルマ!」
その機体を脚で組倒した後、急接近する二機を同時に蹴って離した後そのうちの一機に二本の刀を巧みに使って滑らせて四肢を切断する。そしてもう一機が何かを投げたのでそれを避けるとほぼ同時に先程の機体と同じように四肢を切る。その後二機にそれぞれの脚を押し当てて接触回線を開いてもなんも聞こえなかった。
「チャド!ダンテ!デルマ!...お前ェェェェ!!!」
止めとばかりに100㎜砲を乱射していると逆鱗に触れたのかグシオンが同じく乱射しながら急接近してくる。
実に感情的な攻撃だ。その感情の思う通りにグシオンが動いて、襲いかかるその様はまさに獣だ。ネズミだと思ったが実は獣だったようだ。
「その牙の扱いは下手だがな」
その攻撃を避けるのは簡単だ全ての攻撃にタイミングをあわせて踊るようによける。おちょくっているのだ。
射撃武器を持って自ら接近して仕掛けようと変わっている。俺の得意な距離にわざわざ入ってきた。相手からすれば先程解体したモビルスーツのパイロットを気遣っての行動だろうがすぐに自分がその中に入ることを考えていない。
冷静に相手をすれば難しい相手ではない。弾幕を掻い潜り、キックで銃を二丁へし折る。その銃を刀で破壊した後、離れていくグシオンを確認しながら100㎜砲で視界をふさいでもう一度再接近してバックパックに刀を突き刺す。
「うおおおお!!!」
グシオンのパイロットは雄叫びをあげながらサブアームの腕を振り回すが逆に負荷がかかり、悪くなるだけで意味がない。バックパックのほとんどはサブアームのケースのようなものだったのだろう。装甲も妙なくらい薄く、パリッと割れる。
その破片を見ながら後ろには周りバックパックを本格的に解体する。アームを切り離し、スラスターを切り落とす。それは貯まっていたガスにて吹き飛びグシオンの体制を大きく変える。
「ぐぁぁ!!」
「その牙を俺に見せろ!」
しかしサブアームはまだ動くようで間接を強引に曲げてライフルで打撃を行う。接近して来て、撃つこともできず、結局はライフルで射撃。
獣のようにそのときの本能に従って動いている。しかしこの打撃も出力だけなら馬鹿にならない。気付いたときには装甲が割れてもおかしくないのだ。
「うおおおぁぁぁ!!」
「随分と直感的な攻撃だな。しかし、それが獣か」
離れたら離れたでライフルを乱射しながらバックパックが自壊していく。ライフルの反動に耐えられなくなったとは思えない。おそらく、自壊とはいったがほとんどが俺のせいだろう。
どちらにしろ解体することは変わらないが。
先程と同じようにキックで銃をへし折り、そのサブアームも刀で器用に分解する。破片はあまり出てこず、そのかわり分解されていくアームのパーツが宇宙に浮く。
「お前がァァァ!!」
その後露出しているフレームを蹴り100㎜砲を連射してグシオンを出来るだけ傷付ける。装甲にヒビが入り、剥がれ、フレームが見えてくる。
「投降しろ。すれば命は奪わない」
「ふざけるなぁ!」
グシオンがその場で暴れるがマトモな武器を持たないモビルスーツの攻撃が会ったところで向きを変えられる程度だ。あまり変わりはしない。
殺すか。そう思い、刀を上げる。グシオンが離れようとスラスターを馬鹿みたいに吹かすが元々姿勢補助の為のスラスターではマトモに動けない。
「くそっ!くそっ!」
「だから投降しろと...いや、獣なら投降という考えすらないのか」
誰かが脳に藁を積めていると言っていたような記憶があるが彼らは違う。脳まで筋肉に汚染されているのだ。
そう自分で考えて笑う。なんて馬鹿馬鹿しい考えなんだと。しかしいままでの言葉の中で一番的を得ているような気もする。
では一思いに殺してやろう。
今思えば彼をここまで生かしたのだってあまり意味はない。ただ、ガンダムフレームのパイロットが気になっただけなのだ。そして今、こうして暴れるとなると生かす価値はない。
そう思った瞬間何か不気味な感覚に囚われて思わずグシオンを蹴り飛ばす。まるで自分の身体に何かを縛り付けられたかのような。その不気味な感覚を感じた腕を確認したがなんにもない。ため息をつきながら機体の状況を見ると左腕に負荷がかかって間接が故障しているアラートが小さいながらも出ていた。
アンドラスの戦いでもマッドナッグの戦いでもこのようなレベルの損傷はなかった。いつ、何故ついた。
エイハブウェーブを感じるのは先程蹴り飛ばしたグシオンと数機の獅電。しかしその獅電がこちらを狙い撃って破壊したとは思えない。
おそらくマッドナッグとのつばぜり合いの負荷でやられでもしたのだろう。
なので右を振り上げた瞬間だった。何の前触れも無しに一機の獅電が接近してきた。何のカスタマイズもされてない一般機。強さも感じない。だと言うのに一機で接近してきた。
先程数でかかっても倒せなかったというのを見ただろうに。死にたがりなのだろうか。
「ハッシュか!?止めろ!」
「若いな」
そう切り捨ててその獅電を蹴り飛ばしそれで離れる前に右でライフルを持っている手ごと斬る。そして追撃しようとしたその瞬間だった。その獅電があろうことかシールドを投げて来たのだ。
「──!?」
「今だ!」
思いきりのいいパイロットのようで若い声を張り上げながらすぐに接近用の武器であるパルチザンを瞬時に展開してシールドを避けたベリアルを追うようにその得物を振るう。当たらない距離で。
しかし相手の意図を察したのでそのパルチザンの軌道に刀を合わせる。するとパルチザンが伸びた。
イプシロンにもパルチザンを使うとパイロットがいて、彼もその伸縮機能を利用していた。彼の相手はだいたいニールがしていた為、そこまで慣れていた訳ではないが、意図を察したのに防がない手はない。
刀を合わせてパルチザンを斬る。
するとそれに驚いたのか獅電が下がった。
「...判断力は良いようだ。しかし!」
獅電がその機体性能をフルに使ったところでベリアルに追い付けないわけない。そう思ってそのペダルに力を入れようとした瞬間だった。
「...後退信号?」
背後からアメリアの隊用の後退信号が上げられた。他のグレイズやレギンレイズが気にせず戦っているのはアメリアの隊では無いからだろう。
「命拾いしたな。若いの」
アメリアに何の意図があるかわからない。しかし、彼女がそれを希望したということはもうそろそろ戦場が動く。丁度補給を受けたいと思ったところだ。
そう思い、ベリアルを獅電とは反対方向に駆った。
ライルの鉄華団の扱いが荒くなってきましたが...クォレハ...ライルさんまた危ないやつ認定されますよ。実際貴方今、株だだ下がり中なんだから