機動戦士ガンダムテイワズの狙撃手   作:みっつ─

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ははは!何故かまだVSシリーズが止まらない!
というかもうそろそろ終わるテイワズの狙撃手...


第69話 再戦 獣VS悪魔

「行くぞおめぇら!」

「おう!」

 

団長さんの掛け声でハーフビーク級がイサリビを引っ張る。正しい言い方をするとイサリビからハーフビーク級を動かして盾にしている訳だ。

 

「無茶苦茶だ」

「でも実際地球に降りる前も同じような事をしている」

 

イサリビの上でアンドラスの最終調整を終えて今の鉄華団の判断をそういうと隣で同じく最終調整を終えたアジーが返答する。

 

「それに、無茶苦茶しないと駄目だから」

「...そう」

 

ラフタがそう言いながら出撃して隣に降り立ったのを確認してライフル付きシールドを構える。

するとアジーとの通信越しに男の声が聞こえる。その声を聞いて少し安心しながらもため息をつく。

 

「兄さん、なにやってんの」

 

戦えないから整備士として出ているのでこんな時にイサリビに移ることはないだろう。しかしエストは包帯を巻きながらも笑顔で本気で戦いそうな気がしてきた。

戦闘は駄目だとドクターストップがかかっていると言うのにそれでもまだ無理をしようとする。

 

 

「ちょっと頭に血が昇ってな」

「マジで辞めて」

 

そう言いながらもイサリビは止まらずだからといってアンドラスで抱えて戻るわけにも行かずそのままにするしかないと理解してまたため息をつく。

その瞬間味方機以外のエイハブウェーブを確認した。

 

「来たぞ!」

「任せて!」

 

瞬間的に狙いを定めて撃つ。その機体はコックピット付近に火を一瞬だけ吹いて止まった。もし運良くパイロットが生き延びてもコックピット内の酸素はもうない。ノーマルスーツの中の酸素で此方を襲えるとは思わないし、まずまずノーマルスーツがその日に耐えられるとは思えない。 

 

そのままイサリビは進んでいく。

実際戦艦とモビルスーツの移動速度の差は圧倒的なのでモビルスーツが追い付けない訳ではないのだが。

 

 

 

 

 

 

「ライル、準備は出来ましたか?」

「ああ。いつでも行ける」

 

チャックを上まで上げて、ノーマルスーツを再び着る。

モビルスーツデッキの手摺に凭れながら浮かせていた栄養バーを口に放り込む。

その後にノーマルスーツを着る前に言われたことを思い出す。

 

──貴方のメディカルチャックをした医師からです。どうやら左足と脳の神経が少し無くなっているようです。何が原因かはわかりません。現状日常生活に何の問題も無いですがこれを繰り返したらどうなるかわかりません。最悪もう二度と歩けなくなる可能性だってあります。それは...ギャラルホルンを辞める貴方が負うべき傷ではない筈です。ですのでベリアルでリミッター解除は控えてください。

 

そう、悲痛な声で彼女はそう言った。左足と脳の神経が一部消えている。どうやったらそうなるのかは不明らしい。どうせ理解も出来ないものであろうが。

ガンダムには悪魔がいる。それは頭の片隅に残っている。ギャラルホルン必読のアグニカ叙事詩に書いてあったのだ。しかし、こうなるまで完全に忘れていた。どうせ脳の神経は阿頼耶識の影響だろう。しかし左足の神経は...ガンダムが行ったこと。何故、どうして。それは全くわからない。まさか医者やアメリアがこんな極限状態で嘘をつくとは思えないので受け止める必要性がある。

アメリアの言葉からするにベリアルのリミッター解除をどこかで行ったと言うことだ。

思い出す点はいくつかある。しかしどれもここだと言う確証がない。メディカルチャックは戦闘前にも行ったため戦闘で無くなったのは確実。となればもうガンダムにやられたとしか考えられない。

アンドラスのパイロット...ユウ・タービンもこのようなことで悩んでいたりするのだろうか。いや、おそらく無いだろう。何度か彼とあってはいるが阿頼耶識を確認していない。

 

「...ライル。おそらくマクギリス・ファリドもこの鉄華団のアタックが終われば退くでしょう。そうしたら我々の勝利は確実です」

「他の艦隊も特攻してくるかもしれないぞ」

「おそらくそれはないかと。それに最悪の場合を考えています」

 

マクギリス・ファリドは大胆な男だが流石に艦隊での特攻は考えない。では、単機でなら...とまで考えたがそこまで追い込まれている訳ではないのでそれは無いだろうと片付ける。

それはともかく、アメリアの読み通り鉄華団は特攻をしてきた。モビルスーツの数すら此方が上回って...だからこそかけたんだろう。

 

 

「誘い込んだのか?」

「それはご想像にお任せします」

「...」

 

おそらく表情からハズレ...だと思われる。確かにダインスレイヴが一気に潰させるなど普通は考えない。

それを考えていてなら他の部隊で誘導させるなど普通なら考えない。さしづめその可能性はあるだろう程度。つまり、ここで部隊を動かせば逆上して特攻する可能性も頭に入れていたと。

考えてみれば鉄華団が特攻を仕掛けてくることに関してアメリアに特に利点はない。最悪自身が撃たれる可能性だってあるというのに。そこまで危険視する程鉄華団は化け物集団ではない。少なくともあのバルバトスのパイロットを除けばアメリア隊の他のメンバーの方が十分強い。アリアンロッドとして考えればわざわざ誘い出せば運悪くバルバトスやアンドラスに狙われる可能性があると考えれば逆にデメリットの方がデカイ。

 

「...ライル」

「なんだ?」

 

準備も終えたのでアメリアも早く司令室に戻った方が良いだろうに。未だにこんなところで話している時間も双方には無いだろうに。しかし、この言葉がやけに大切な言葉に聞こえた。

 

「もしこの戦いに勝利して、これが終わったら何か食べに行きましょう。エリオン家の焼き肉、食べさせてあげますよ」

 

しかしその言葉が彼女らしくなかったのでおかしく思えてきた。

要するに彼女はもし勝てたら奢るから勝てと言っているのだ。奢るだなんて。彼女の口から出てくるとは思えなかった。そんなみみっちい事ではないが命令さえすればついてきてくれる仲間がいたので奢るという発想がなかったのだろう。まず行くような店もない。

しかしエリオン家の肉はギャラルホルンでは相当有名だ。食べたことはないがなんでもくそ旨いらしい。

それを一度の勝利で奢るなど太っ腹にも程がある。

 

「おいおい。それは全額そちら持ちだよな?金、大丈夫なのか?」

「セブンスターズのお金をなめないで下さいたかが...」

「おい聞いたかおめぇら!勝てたらアメリアが飯奢るってよ!」

 

これは儲け話だ。どうせ去るのなら少し位取っていってもバチは当たるまい。それさえ分かれば充分だ。しかしいまレコードが無いため、実は嘘でしたやそんなこと言いましたっけ?なんてなればどうしようもない。しかしここまで大声で叫ばれては今更変えるのも気が引けるだろう。

 

「...」

 

当のアメリアは驚いたのかいままでに見たこのないような表情で引いている。物静かでたまに毒を吐く彼女らしくない。まるで普通の女の子のように感じた。流石に大声で叫んで逃げ場を無くすのは異端だろう。しかしその仕草が面白くて肩を叩いてその場から離れた。

 

「さぁ、ラストと行こうか。ユウ・タービン」

 

これだけ大きな賭けなのでおそらく鉄華団のメンバーだけ、と他の兵は思うだろうがおそらく違う。読みが正しければ...おそらく自分がライバルと認定した少年が来る。彼との最後の勝負となるだろう。であれば自分の力で捩じ伏せる。最初から最後までそうしてやる。

そう心に決めて、ベリアルに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

その頃戦場では、アメリアがラスタルに情報を流してラスタルが出させた対鉄華団用であるジュリエッタの隊がイサリビを落としに行っていた。

 

「それ以上はやらせない!」

 

ソードメイスで二機同時に葬ったバルバトスルプスに対してレギンレイズ・ジュリアが接近してジュリアソードをソードメイスに重ねる。

 

「ちっ!」

「私は!ラスタル様の剣になるために!」

 

レギンレイズ・ジュリアはそのまま止まらずに連続で攻撃を仕掛ける。重い一撃で仕留めるバルバトスルプスとは違う戦術。しかしライルのそれを見てしまった三日月にはその剣はとても遅く見えた。

対応できない速度ではないのだ。腕部200㎜砲でレギンレイズ・ジュリアを牽制させるが、その程度では遅くならず、そのまま正直に二機の機体がぶつかる。速度を重視したレギンレイズ・ジュリアと重さを重視したバルバトスルプス。ツインリアクターの性能も相まって出力的にどちらが勝つかは明白だった。

バルバトスがレギンレイズ・ジュリアを弾き飛ばして蹴りを入れる。

レギンレイズ・ジュリアが弱いわけでもバルバトスルプスの性能が良すぎるわけでもない。言うならレギンレイズ・ジュリアの方が出力以外では勝っているのだ。ではなぜ差が開くのか。それはパイロットの差。いくらワンオフ機といえど乗り手がそれではそこまでの力は出せない。阿頼耶識をその背中に埋め込んで人間を辞めている三日月と人間のまま信じる上司の為に武器を振るうジュリエッタ。戦場ではどちらが強いかは明白だった。

 

──もしそれが一対一だったらという条件付きだが。

 

通常とは違い、肩パーツに二本の線が入ったレギンレイズ二機ががバルバトスルプスに向けてライフルを放って牽制する。レギンレイズジュリアに集中していたバルバトスルプスはそれを受け入れてしまう。もしその二機とバルバトスルプスが対面しているのならバルバトスも勝機があっただろうがレギンレイズジュリアの介入によって意識が反らされてライフルの射撃に当たって腕部200㎜砲が破壊された。

 

「こいつら...強いな」

 

通常とは違う肩にマークを入れられたレギンレイズ。肩パーツ以外は通常機と何ら変わりもない。

しかし乗り手は異常だった。ロークスコロニーでの犠牲を考えてアメリアの指示の元ライルを分析して作られたパイロット育成プランにて訓練を行ったモビルスーツ隊。

その育成プランを完了したメンバーはそのレギンレイズに青の線を入れている。結果アメリア隊のモビルスーツ隊メンバー全員がそれを完了した。

 

「ジュリエッタ機の援護だ」

「了解!」

 

その機体がバルバトスルプスを挟み込むように接近してライフルで動きを止める。バルバトスルプスはソードメイスでいくつか弾くが物量によって押されていく。

その瞬間三日月も理解した。これはヤバいと。

しかし、洗礼された動きで二機のレギンレイズはバルバトスを押さえ込む。その2つの得物で攻撃するのではなく、双方から押さえたのだ。腕に負担がかかる。

流石のツインリアクターといえど二機のモビルスーツに押されてはうまく動けない。

そこに立ち直ったジュリエッタが飛び込む。ジュリアソードをバルバトスルプス目掛けて振り下ろす。

 

「防御姿勢」

「...っ!」

 

突如聞こえた音を頼りにコックピットの中で身を固める。この声は合図だ。なぜこの瞬間なのかは不明だが。 レギンレイズ・ジュリアはコックピットの中で身を固めていると知っているわけなく、馬鹿真面目にそのまま突っ込む。しかしそれとほぼ同時ににレギンレイズ・ジュリアのスラスターが横から撃ち抜かれて爆散した。反動で吹き飛ぶレギンレイズ・ジュリア。

 

「狙撃!?あい...」

「今だっ!」

 

それを確認した二機のレギンレイズが一瞬、出力を弱めた。バルバトスルプスはそれを見逃す筈もなく、二機を一斉に弾いてソードメイスを握り直す。そしてスラスターが半壊したレギンレイズ・ジュリアをソードメイスで殴って追撃する。追撃をもろにくらい、大型シールドにひび割れが出てくる。

 

「なんだ...この馬鹿力...!」

 

二機のレギンレイズはレギンレイズ・ジュリアをバルバトスから離すと同時にグレネードを乱射、バルバトスルプスを下げた。飛び散る破片と爆炎の視界が晴れるとレギンレイズ達はその場から離れていた。 

逃がすまいと動こうとしたがオルガの指示はあくまで露払いなのでこれ以上離れると危険だと判断してその場で止まる。

そしてイサリビの上で狙撃を行った盾付きのライフルをつけている純白のモビルスーツを視界に入れて位置を確認しながら他の機体を見つけて攻撃を開始しようとスラスターからガスを噴射した瞬間だった。

一瞬アラートが鳴ったと思ったら機体が弾き飛ばされてイサリビに叩きつけられた。少年時代の習慣のお陰ですぐに回避運動を本能で始めた為、大破まではいかなかったが決して弱くはない衝撃が耐Gを通り越して身体に来る。

 

「ぐぁっ!」

 

しかし身体は鍛えている。機体の損傷も少なかった為、敵の位置をメインカメラで探す。すると大破した獅電の破片が此方に当たる。その方向を見ると黒いモビルスーツが二機の獅電のコックピットに刀を刺していた。

 

「致命傷を避けたか。あの一瞬で」

 

そのモビルスーツはなんなのかという事はあまり考えずに敵だと片付けて突っ込む。一瞬だけスラスターをフルに使い、そしてガスを止める。相手から見ると瞬間移動させたように感じさせる技だ。それを何度か見た外観と本能で成功させた。一瞬にして距離を詰めてその黒いモビルスーツに向けてソードメイスを振るった。

しかしそれは吸い込まれるように追随したパイロット亡き獅電に当たり、その機体を大破させた。

 

そして、もう一機、パイロット亡き獅電がバルバトスルプスに命中。敵パイロットはこちらのモビルスーツを鈍器として扱ったのだ。

 

 

「───っ!!」

 

少なくない怒りを感じた瞬間。

殺気を感じて本能のまま、その殺気から機体を守るようにソードメイスを重ねると火花が鳴り、衝撃が来た。

しかし次は上手く受け止めている。しかしそれは一度ではない。流れるように次の一撃、そしてまた一撃と来た刀を受け止められずに腕部の装甲にヒビが入る。そのヒビに刀が刺さり、何かが砕けた。

高速で降りかかる刀をさばく力はバルバトスルプスにも三日月にも残っていなかった。

角を折られて蹴りで離される。蹴りの衝撃も普通よりは重かったが最初の吹き飛ばしよりは軽かったので出来ていなかった呼吸を離れた瞬間に開始する。

アンドラスは...と最後の希望をかけるとアンドラスは横で二機のレギンレイズを追い払っていた。

 

「三日月!」

 

しかしグシオンリベイクフルシティがライフルを片手に持ちもう片方にはハルバードを持って急接近してきた。サブアームを失い、変わりに簡易なバックパックをつけたグシオンリベイクフルシティ。その機体が黒いモビルスーツに勝てる要素は0。

 

「遅いな」

 

何かしたらの回線。わざと聞かせたのかはわからないがそのモビルスーツのパイロットがそう呟いた瞬間にバリなく、綺麗に切れたグシオンリベイクフルシティのライフルが横をすり抜けた。

 

「明弘!」

 

すぐにバルバトスルプスを駆ってグシオンリベイクフルシティに追い付き黒いモビルスーツの目の前に出る。

一瞬でライフルを破壊されたがまだグシオンリベイクフルシティには切り札がある。腰パーツの後ろにかかったシールド。それはペンチの形に変形することができて捕獲さえしてしまえば確実に潰すことができる。

 

「すまねぇ。三日月、囮になってくれるか」

「いいよ」

 

シールドを持ったグシオンリベイクフルシティではなく、極めの一撃が決められる可能性が低く、尚且つ本能のままとはいえ、黒いモビルスーツの攻撃をある程度防御できる三日月を囮に使う。

これしかなかった。

話し合っているうちに黒いモビルスーツは獅電を落とし、前の船のブリッジを切断した。その間にグシオンリベイクフルシティはペンチを展開して広げる。

完全にやりますよと言っているような物だが昭弘はそのスピードを捌くことはおろか見ることが出来ない。賭けるしかない。相手がバルバトスルプスを弾いたその瞬間。それしかない。そして、その時が来た。殺気を此方に向けてきたのだ。

 

「来るぞ!」

 

その瞬間バルバトスルプスは防御姿勢をとる。するとバルバトスルプスは風に吹かれた紙のように飛んだ。黒いモビルスーツが刀で弾いたのだ。

しかしその弾いた瞬間、黒いモビルスーツの動きが止まる。

 

「オラァァァ!!」

 

雄叫びを上げながらその機体に突っ込む。黒いモビルスーツのコックピットを捕らえるまでに時間はかからない。黒いモビルスーツがゆっくりと刀を動かしたが遅い。

 

グシオンリベイクフルシティがペンチを勢いよく締めた。先程ことごとくやられていった鉄華団の思いも込めて。打ち砕かれたプライドの恨みも込めて。

黒い何かが飛んでグシオンリベイクフルシティに当たった。

普通ならどうせモビルスーツの装甲が弾けて当たったりしたのだろうと気にしないだろうしかし、黒い物はそのモビルスーツの装甲ではなかった。

刀によって綺麗に斬られたペンチだった。

刀をモビルスーツの装甲につけて、接触回線を開かせる。そこから出てきたのは金髪のおっさんだった。

 

「悪くは無いが...甘いな」

 

そう言って一瞬だけ笑顔になった。最後の切り札が呆気なく破壊されたことと、それでも余裕そうな事に気をとられていると両腕が宙を舞った。

 

「あ」

 

何も出来なかった。蹴られた機体の中で呆気にとられながらグシオンリベイクフルシティはイサリビから離れていった。




この作品って三日月と昭弘の実力差この時点だと原作より少し大きいだけど読んでみると結構でかいですね。





もうそろそろ終わる...
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