だんだんと近づいてくる鉄華団の強襲装甲艦。その前方にはグヴィディオンのハーフビーク級が飛び出ている。普通の組織ならとらない行動だろう。戦艦だってそうポンポン買えるものでもないし、幾らナノラミネートアーマーがあるとはいえ、防ぎ切れるとはいえない。そして、全方向を守れる訳では無いのだ。
そこまで考えてアメリアは笑った。確かに自分もとろうとしない手だ。いつか真似するのもいいかもしれない。
「窮鼠猫を噛むとはまさにこういうことですね。しかしネズミはネズミでも、得物が鋭いですから、気は抜けませんね」
そう口に出しながらハーフビーク級を睨む。自分の隊のメンバーには何処を攻めるか詳しく連絡した上に今からでも変更出来るようにしている。
そして勿論モビルスーツパイロットから敵の情報も送られてくる。
「問題はトドメ役ですね。恐らく、バルバトス。もしくはフラウロス...ですね。恐らくフラウロスでしょう」
グシオンをライルが片付けたという情報はもう入っている。それから結構時間は経っているので、鉄華団が気づいてないわけないのだ。もしトドメ役ならもう諦めているだろう。そもそもトドメ役をそんなとこに遊ばせておくわけがない。フラウロスは現在確認できてない上にダインスレイヴ搭載の可能性もある。
一応部下には探すようには言っているが未だに見つかっていないらしい。おそらくまだ鉄華団の強襲装甲艦の中。この船に一撃加えて屠るつもりなのだろう。
「失礼します。ニール・ガロン二尉です。アメリア・エリオン一佐。報告します。準備が整ったとの事です」
そこに1人の男が入室する。
アメリア隊のメンバーではあるが、身体の傷などの影響で戦場には出れないがその前は相当の成績を叩き出した兵。ニール・ガロンだ。包帯を身体中に巻いており顔にも巻かれていたらミイラと見間違えたかもしれない。
「ご苦労さまです。すみません。本当はゆっくり療養させてあげたいんですけど」
「構いません。私は戦場に出ている兵士ですから。お役に立てるのであればなんでも」
本当なら彼はアリアンロッドの基地に置いていくつもりだった。しかしその基地に立ち寄る前日に目を覚まし、自分も動けると言ってきたのだ。確かに動けてはいる。しかし主治医から聞いた情報から考えると立っているのもきつい筈だ。
ここでキツくいいから寝なさいと怒鳴れば彼はある程度反論してくるだろうが命令と言えばゆっくりしてくれるだろう。しかし、今は兵の1人でも欲しい状況。言うのであれば猫の手も借りたい状況なのだ。
結局、不甲斐ない上司を許してくださいとしか言えなかった。
「ではマクギリス・ファリドの方はどうなっていますか?」
「現在、クジャン公の兵をはじめとした隊のが鎮圧に当たっている模様。しかし戦果は良いとはいえません」
あそこには、ガンダムバエルがある。それを封じる手段としてラスタルに直接マクギリスを屠りたいと言ったガエリオ・ボードウィン元特務三佐がガンダムキマリスを駆っているとはいえ、それでは流石に役不足だ。しかしテイワズの精鋭さえ抑えつければ此方の物だ。レヴォルツ・イーオンにも、グヴィディオンにも降伏するように促している。上手く行けばこのままテイワズ精鋭が押さえ付けられたら降伏ということもできなくもない。それに逃げ切れたとしてももう手は打てるようにはしている。
実際ダインスレイヴを使うこと以外はこの作戦は結構自由にやらせてもらっている。大体は敵の動きを読んでラスタルに報告するだけだったが、ここまで部隊を動かしても別にいいと言われるということは、認められたと考えてもいいだろう。だからこそ、ここで指揮の半分くらいを担っているのだ。
しかし、指揮をする者が多いと兵も大変だろう。今後は自分がエリオン家の頭首となるのでしかたないとは思うが。
「今後も続けて鎮圧に当たってください。そしてグヴィディオンとレヴォルツ・イーオンにも降伏するように促してください」
「はっ!」
ニールが司令室を出ていくのを見送りながらラスタルの後ろに立つ。
ラスタルは顎に手を当てながら盾にされているハーフビーク級を見ていた。
「アメリア。お前はあのハーフビーク級からモビルスーツが出てきてこちらを狙うと、そういうのか?」
「はい。お父様が
敢えて使わせたという言葉だけを少しだけ強く言いながらラスタルの返答に答えた。その後ラスタルは少し渋い顔をしたが直ぐに戻り、顎から手を離した。
ため息をつき、艦隊に指示を出す。
「モビルスーツ隊に言え!何としても鉄華団を仕留めろと!」
怒鳴るレベルの大きな声でラスタルは指示を出し、此方に振り向く。
その顔はずっと変わらない、父親の顔だ。何も変わらない。老けることもせずずっとエリオン家を担ってきた顔だ。
「アメリア。よく見ておけ。これが終わったらお前は晴れてエリオン家を継ぐことになる」
女性である自分にその代を継ぐということに反対意見も多かっただろう。特に重要なポジションにいるメンバーは、自分が妾の子どころかエリオン家の血を一滴も入っていないことを知っている。それがバレたらどうなるか。ラスタルだってわからないわけが無い。
それでもその反対意見を聞いてしかし私はアメリアに継がせたいと言ったらしい。
自分が疲れたとかそういうことではないのだろう。純粋な親の愛。血が繋がってなかろうとそれが根本にあると信じている。
「ええ。お任せ下さい。お父様。必ずやエリオン家を...」
でも、それも1人でやってきたことではない。沢山の兵がいて、経済を支える民がいてこうなっているのだ。それだけの人がいなければ私という人間は存在しない、もしくは皆無に等しい存在なのだ。だから私はその一人一人の民を平等に扱いたい。あの時の、髭のおじ様のように。
そしてそれを成すにはまた兵たちに押し付けることになる。それでも、それ以上の物を渡せるようにならなければならない。
だから...無事で帰ってきて
「固まってんじゃねぇ!殺されてぇのか!」
怒鳴り散らしながらも肩に2本の線が入ったレギンレイズを弾く。この肩に2本の線が入ったレギンレイズ...パイロットが凄いのか、機体が強いのかそれともその両方かは不明だが、強い。単純に動きに無駄が無く、此方の動きを大体知っているかのように動ける。そこまで上げてやはり特に厄介なのはパイロットだなと片付ける。
こんな奴相手に固まっていては上手く動けずに撃破されて行くだろう。
厄介にも程がある。
結局盾になるはずのハーフビーク級の前方でそれを片付けようと振るっているのは頭に血が上がったからだ。
こいつらが襲ってくる前まで隣で撃っていたラフタとアジーも離れてどこかへ行ってしまった。少なくとも、イサリビの辺りにはいるだろうが視認出来ないのは守りきれなくなる可能性がある。
というかこんな棺桶に腰掛けている自分の身を守ることから始めなければならないのだが。
「しゃぁぁらくせぇぇぁ!」
強引にパルチザンを振るい何とかレギンレイズとの距離をとる。しかしこれでも一瞬の油断も許されない状況だ。この常識破りのレギンレイズも少ないので包囲すれば行けそうな気もするがその数はない。あるとすれば鉄華団なのだが鉄華団の方も他の機体を退けるのに手間取っている。とはいえ、テイワズ精鋭もタービンズと鉄華団だけではない。彼らの負担が増えることとなるが他の機体を潰しさえすればそこに人員を割ける。
その為にはここでやられる訳にはいかない。元々この動きも露払いと時間稼ぎなのだ。このハーフビーク級の戦艦をぶっ飛ばしてファフニールという戦艦を仕留めさえすれば此方の勝ちだ。
獅電の時すら壊したというのにこのスピナロディ・リペアで何処まで戦えるのか。少し恐ろしくはある。
「あと少し!あと少しだ!粘れ!」
そう他のメンバーに聞こえるように叫びながらも自分を鼓舞する。
そうだ。あと少し。あと少しだけ粘ればいい。そうすれば、俺達の勝ちだ。
そう思いレギンレイズと鍔迫り合いをした瞬間だった。考えてもいなかった最悪の状況に陥った。鍔迫り合いをした事で接触回線ガンダム開かれて、別の回線越しに敵パイロットの声が聞こえたのだ。
「ハーフビーク級の内部にモビルスーツを発見!おそらくガンダムフレームと思われる!」
「アメリア様に伝えよ!」
「ダインスレイヴと思わしき兵器を持っている!」
「敵は手負いだ!散開して破壊する!」
それぞれ違うパイロットの声だったがそれよりフラウロスが見つかったことに驚きそして絶望した。フラウロスが見つかったということは手の内を晒しているようなもの、ここまで接近した意味を消された。今から頑張ってフラウロスを守りきったとしても敵の司令官にはダインスレイヴのことは伝わってしまうだろう。つまり、回避行動を取られかねない。そして本当に避けられたら一巻の終わりだ。攻め手を失った革命軍はアリアンロッドに潰されていく。まるで子供が梱包材のプチプチを潰すように簡単に。
歯噛みしながらもそのレギンレイズを弾き飛ばす。せめてフラウロスを守らなければ。まだダインスレイヴが破壊された訳では無いのだ。諦める訳にはいかない。最後の1人まで足掻いてやらなくてはテイワズにも、死んだ家族にも顔向け出来ない。
「フラウロスを死守しろ!敵に存在が知られた!繰り返す!フラウロスを死守しろって言ってんだろ!」
若干喜怒哀楽が可笑しくなっているのを自覚しているのがそれに構う余裕はない。すぐ様近くにいたグレイズのコックピットを潰してレギンレイズの方に蹴り飛ばす。
なんでもいい。時間を稼げればなんでもいい。
フラウロスのパイロットがファフニールを射抜けるとは正直思わないがやるしかない。もう俺達はそれしか賭けるものがないのだ。こんな所では終わりたくない。となればフラウロスのパイロットを信じて守りきるしかない。
他のレギンレイズに素早く狙いをつけてパルチザンを叩き込む。しかしそれを読んでいたかのようにレギンレイズはその得物を押さえ込んで鍔迫り合いの状態を作り上げる。そしてそこにもう1機のレギンレイズが打ち合わせをしたように自然に入り込んで来る。
「来るっ!」
レギンレイズの接近するタイミングに合わせてスラスターを横方向に向けてレギンレイズ事動かして避ける。
かなり暴力的な上に反射的な動きだがこのモビルスーツでも、出来た。
そのまま鍔迫り合いをしていたレギンレイズに蹴りを入れて最接近してきたレギンレイズをパルチザンで叩く。
「キリがねぇなぁ、おぉぉい!」
叩いたレギンレイズを蹴りで吹き飛ばしながらまた違うレギンレイズにライフルで狙いをさざめて撃ちまくる。ほとんどが当たってないか防がれてるが回避行動をとる前に接近して再びパルチザンで叩く。
そのレギンレイズを蹴り飛ばしている間周囲を見回す。すると何処から辟邪が突っ込んできた。スラスターがやられたようであまり早くは動けてない。
エイハブウェーブの反応からして、ラフタだ。
「さっさと掴まれ!死にてぇのか!」
「ごめん!」
直ぐに辟邪がハーフビーク級に掴まる。しかしこれは後に切り離す物だ。直ぐにこのモビルスーツを退けて一緒に逃げるしかない。
するとそこにバズーカを持ったグレイズが乱入してくる。イサリビを沈める気だ。
「このど素人!」
背後から接近して素早くコックピットを潰す。ついでに蹴り飛ばした後にバズーカをライフルで狙い撃つ。
その時何かが聞こえた気がしたがグレイズのコックピットを潰す音でかき消されたのか分からなかった。
「フラウロス!さっさと逃げやがれ!」
「流せ...うおっ!ちょっと!」
気付けばもうファフニールはすぐそこだ。仕方ない。ここでフラウロスに撃ってもらうしかない。そう思って直ぐにパルチザンを離してフラウロスを掴み、強引に投げる。その時、フレームから嫌な音がした。
しかしそれに気にしている暇はない。直ぐ様パルチザンを拾い、フラウロスの存在に気付いたグレイズを一撃で屠り、ライフルで牽制する。しかしそのライフルも途中で弾切れになったので蹴り飛ばす。
それだけの行動をしながらも鉄華団との通信チャンネルを開くことに成功した。
「団長!さっさと切り離せ!」
「待ってオルガ!今は危険だ!すぐそこにモビルスーツが...」
「わかった!」
映像はよく見えなかったが、太った男を制止しながら団長が応答するのが見えた。
それに安心しているとそこに2本の線のレギンレイズが接近して来た。おそらくこいつは囮、本命はフラウロスに送っている。
本当に連携が早い上に無駄がない。何度も何度も行っている強さだ。それだけの信頼関係が見える。だからとはいえ、ここを譲る訳にはいかない。
「どけぇ!」
「アメリア様の為に!ここは断じて通さん!」
パルチザンが悲鳴を上げる。そこにブレードが刺さっていく。完全に俺を危険視して止めるつもりだ。
ここで動かなければ負ける。フラウロスの武装はダインスレイヴしかないのだ。勝てるわけがない。
他のやつに任せるしかないのか。
そう思った時だった。何処からか来た辟邪がそのレギンレイズを押し込んだ。アジーの辟邪だ。そこにラフタの辟邪も接近して得物を強引にぶつける。
「アジー!」
「エスト!頼む!」
それ以上の言葉は要らなかった。
そのレギンレイズには目もくれずにフラウロスに接近する。その瞬間、イサリビとハーフビーク級が切り離された。ハーフビークのみそのまま真っ直ぐ突き進む。
そしてフラウロス、そしてダインスレイヴを破壊しようとしたレギンレイズを無理矢理弾き飛ばす。しかしその瞬間、パルチザンが限界を迎えて折れた。
しかし時間は充分稼いだ。フラウロスが狙撃の体制に移る。しかし撃たない。大きなチャンスだと言うのに、それをみすみす見逃している。
「どうした!」
「狙いが定まらない!やられちまった!」
彼の言っていることが一瞬理解出来なかった。それほどの衝撃だったのだ。つまり、彼は照準がお釈迦になったから撃てないと言っているのだ。そこに1機のレギンレイズが突っ込んできた。それを抱き締めるようにタックルしてすんでのところでフラウロスから退ける。しかしフレームからもう限界だと警報が流れる。
あと少し、あと少しなのだ。
「撃て!」
「撃てよ!」
「シノォォォ!!!」
全員がフラウロスのパイロットに撃てと言う。しかしフラウロスのパイロットはパニックになり、引き金を引こうとしない。
急に飛ばされて引き金を引けと言われたがシステムがぶっ壊れていると慣れはここまでパニックになるのも仕方ないがそれはこちらとで同じだ。此処で外せば全てが終わる。終わらせないためにはここではいそうですかと認める訳にはいかない。
クソが。そう一言吐き捨ててレギンレイズを蹴り飛ばしているフラウロスにタックルする。そしてダインスレイヴを握った。
そして強引に合わせる。自分を照準にするのだ。これしかない。
「撃て!フラウロス!」
「スーパーギャラクシーキャノン!発射ァ!」
そしてフラウロスのパイロットは引き金を引いた。当初の予定より大幅に変わってしまったがその弾はファフニールの横を
多少削って終わった。
「なっ...」
驚いてダインスレイヴを確認すると銃身のひび割れができていた。つまり、歪んでいたということ。投げ出した時か、レギンレイズにやられたのかどちらかだろう。どちらにしろ、急いだ自分に責任がある。
何故あの時、もっと考えなかった。
身体がボロボロだから?
まだ未成年だから?
機体が弱いから?
そんなの関係ないただ、負けたという真実があるだけ。そう、戦場ではそんなこと関係ない。あるのは力があるかないか。強いか弱いか。ただそれだけ。それこそが戦争の本質だ。
そこにレギンレイズが出てきてフラウロスを取り押さえる。
「クソが...クソガァァァァ!!」
フラウロスのパイロットの絶叫を通信越しに聞いた。まだ生きてはいる。しかしそう思うとこれからされることを想像すると悔しくなる。しかしもう助けることは出来ない。一言謝ってイサリビへと逃げた。
しかしそのイサリビの方を見るとイサリビも抑えられていた。単純な数の暴力で囲まれていた。
「そこのパイロット!武器を捨てて投降しろ!」
もう武器はないこの機体に狙いをさざめながらレギンレイズのパイロットが言う。物量、実力全てにおいて敗北だ。やはり勢いだけでは無理だったか。
「降伏しろ!」
その近くでは数に押されたか辟邪2機も押さえられていた。その辟邪との通信が開かれる。二人ともコックピットの中で悔しそうな顔をしながら止まっていた。
結局、両手を上げて降伏をした。
この戦争ももう時期終わる。アリアンロッドが勝利を飾って終わる。
俺達はテイワズには戻れず、また野良に逆戻り。
そう思った時だった。
「革命は終わっていない!」
革命軍側の通信が開かれる。革命軍全てに繋げているのだ。出しているのは、ガンダムバエル。マクギリス・ファリドだ。
「諸君らの気高き理想は決して絶やしてはならない!」
ガンダムバエルから演説を行っているのだ。この敗北ムードを変えようとしているのだろう。
「アグニカ・カイエルの意思は常に我々と共にある!」
するとスピナロディ・リペアが多数のエイハブウェーブの反応を拾った。この反応には見覚えがある。
レヴォルツ・イーオンの戦艦だ。鉄華団の方に戦力を割いたからか手薄になったレヴォルツ・イーオンは一部の部隊をアリアンロッドの後方、つまり此方から見ると前方に回していた。
「忘れるな!アグニカ・カイエルの望んだ未来を!それを我々が成し遂げる!皆!バエルの元に集え!」
囲まれたと思っていたらこちらが囲んでいたのだ。グヴィディオンも追い上げてこちらのあとを追う。
気付けばアリアンロッドは一点に集まっていた。ダインスレイヴという条約違反の兵器を使用してまで追い込んだものの、テイワズの狙撃手によってそれを破壊され、その隙をついた鉄華団を取り押さえるも、手薄になった場所から他の兵が押し上げてくる。
「ちょっとだけ、やってみるか」
そう呟いた時には幾つかの戦艦がイサリビを解放していた。アリアンロッドに焦りが生まれる。そこに漬け込むように降伏を促していたレギンレイズを殴って武器を奪う。形勢逆転だ。望まれない形ではあるものの、勝利は近づいている。
すると別のグレイズがこちらに向けて発砲してきた。とりあえずそれを避けながらそのグレイズを沈める。そしてもう1機接近してきた。するとそこにグヴィディオンのグレイズが割り込んでくる。そのグレイズの不意打ちに負けてアリアンロッドのグレイズが落ちた。あそこで演説してすぐだと言うのにここまで来るのが早い。何をどうしたのかは分からないがこちらにしてみれば嬉しい誤算だ。
「我々の力で、アグニカ・カイエルの理想を成し遂げる!」
そう言いながらガンダムバエルが突っ込んできて、何機かのグレイズと2本の線が入っているやつはいないとはいえ性能の高いレギンレイズを仕留めてこちらに来た。
「君がユウ・タービンの兄か。その力、計り知れないな」
「よくここまで出来たもんだ。なんかあったのか?」
お互いに背中合わせになりながらお互いの少ない射撃武器を使い、牽制をする。彼の狙いはおそらくファフニール。沈める気ではないだろうが、突っ込んで降伏を促すのだろう。
「君の弟に、ユウ・タービンに言われたんだ...アグニカ・カイエルの願いを継げるのかと。彼がわざわざバエル宮殿にまで潜入して意思確認をとった意味がわかったよ」
あのバエル宮殿に潜入して1発やらかしたことについてだろう。あの時俺は起きたばかりだったので言葉で聞いただけだがわざわざバエルに乗り込もうとする2人を無力化してものの、マクギリス・ファリドにバエルを譲ったのことだ。自分の弟ながらよくやる。と思っていたようだがそれも無駄ではなかったようだ。
「待て!マクギリス!」
牽制している2機に紫色のモビルスーツが接近してくる。ガンダムフレームの機体、キマリスだ。おそらく因縁かなんかだろう。しかし勝利の為にはここは譲れない。
「行け、そして勝て」
「感謝する」
バエルがファフニールに行くのを見ながらキマリスの槍を弾いた。初心者離れした機動。おそらく、阿頼耶識だろう。しかしアリアンロッドのパイロットが何故それを。しかし考えるのはそこでやめた。
今はこいつをねじ伏せることだけを考える。
「なんだ...こいつっ!」
確かに強い。出力などの機体性能において全て負けている。パイロットの強さはほぼ同じとなるとどちらが負けるかは明確だった。
一体一なら、だが。
「三日月・オーガス!」
キマリスに出力で負けながらもその名を叫ぶ。すると何処からか来たバルバトスルプスがソードメイスをキマリスに強引にぶつける。キマリスはサブアーム付きのシールドで防ぐが単純な衝撃は抑えきれず、シールドを支えていたサブアームが破壊される。
「あんたチョコの隣の人じゃん」
三日月はユウに負けず劣らずの変な名前を思い出したのか、そう言いながらキマリスの槍を弾いた。そこにスピナロディ・リペアがレギンレイズから奪った銃剣を強引に当てて、槍を吹き飛ばす。
「ここを通せ!」
「断る!」
キマリスはそのまま刀を引き抜いて銃剣を弾く。同時に銃のパーツに傷を付けながら歪ませる。
そこにバルバトスルプスが割り込んで刀を抑える。
「行くぞ!」
そこに出来た隙を付き、キマリスもうひとつのサブアームを破壊しながらキマリスを取り押さえる。
そしてそのバックパックに銃剣を押さえつけた。
どれだけ歪んでいようがゼロ距離なら関係ない。
そう言いながら馬鹿みたいに撃ちまくる。当然銃も壊れていくがキマリスの損傷も馬鹿にならない。バックパックを破壊され、エイハブリアクターを破壊できないからと押される。フレームのナノラミネートアーマーとエイハブリアクターでペチャンコ。
そう思ったがエイハブリアクターが上手く押せないのでそこから火を吹かせる。これでパイロットは運が良くとも気絶、悪かったら絶命しているだろう。その証明としてキマリスのツインカメラの光は無くなり、動きを停止した。
そのキマリスをとりあえず蹴り飛ばして見ると、バエルがファフニールに取り付いて、そのバエルソードをブリッジに突きつけていた。
隣の船もレヴォルツ・イーオンにやられたのか、見せしめにされたのか沈んでいた。
「終わったな」
「うん」
その様子を見ながら呟くと隣にバルバトスが並ぶ。そこに辟邪が2機、接近してきた。二人とも無事だったことに安堵する。
相手からの攻撃を全く受けていないのにも関わらずボロボロになったスピナロディ・リペアのコックピットの中で貯めていた息を吐いた。
その顔はやり切った顔だった。
アリアンロッド降伏。つまり、革命軍側の勝利。
このエンドを誰が読んだでしょうか。誰が望んだでしょうか。
そんなのおそらくいなぁい!次回はいよいよ(そんな感じしないけど)ライバル対決の決着です!