バカとテストと恐怖心   作:愚龍

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 今回ちょっとシリアス?

 あといろいろキャラ崩壊しちゃってるかも・・・

 それでもいいという方はどうぞ!


第20話

 明久side

 

「・・・ひさ・・・あきひさ・・!」

 

 僕の名前を呼ぶ声がする・・・

 

 ゆっくりと瞼を上げると目の前に顔があった・・えぇと・・雄二だ。

 

 「ゆ・・・うじ・・?」

 

 まだ覚醒していない意識の中何とか名前を呼ぶ。

 

 「明久!-ほんとに、心配したんだぞ?また記憶を失ったらって」

 

 一瞬、雄二の顔が泣きそうに歪んだ。

 

 「ごめん・・・もうあの二人に近づいたりしない・・から」

 

 「ったりまえだろ!-もうお前を、仲間を失いたくねぇんだよ・・・」

 

 「ほんとにごめんーところで、秀吉は?」

 

 「あぁ、あいつなら今医者と話してるよ」

 

 「なんか、前にも同じことがあったよね・・・あの時は怖かったなぁ・・だって起きたら知らない人ばかり周りにいて、自分の名前も思い出せなかったし」

 

 「でも今はそうじゃない。だろ?」

 

 その、わずかに茶化す雰囲気をもった声に自然と笑みが出た。

 

 「そうだねーあの二人がいなかったら苦しまずに済んだかも」

 

 と、頭をくしゃりと撫でられた。

 

 「そうだな・・あいつら許せねぇ・・あいつらがいなかったらあの日々を失うことはなかったのに・・・・」

 

 最後の方は聞き取れなかったけど、雄二が僕のために怒ってくれることは分かった。

 

 思わず笑ってしまった。雄二は眉間にしわを寄せて

 

 「どうした?」

 

 と聞いてくる。

 

 「ううん・・・僕は幸せ者だなぁって。こんなにも僕のことを思ってくれる仲間がいて」

 

 雄二も笑みを浮かべる。

コンコンっ

 

 「どうぞ」

 

 僕がそう言うとがらりと扉が開いて女子の制服が見えた。

 

 それだけでビクリと僕の体は震えてしまう。

 

 雄二が安心させるように僕の頭をなで、

 

 「大丈夫だ。翔子と木下(姉)だ」

 

 そういわれて顔を見て、あの二人じゃないと気づいた僕は、体から力が抜けた。

 

 「・・・明久、大丈夫?」

 

 「吉井君、大丈夫!?」

 

 あの二人じゃない、それだけでひどく安心する。

 

 「うん、大丈夫だよ」

 

 そう言って笑顔を作る。

 

 「・・・よかった」

 

 「大丈夫そうでなによりだわ」

 

 心配してくれてたんだな・・と思うと嬉しかった。

ガラっ

 

 「明久よ!盛られた薬の名前がわかったぞい!」

 

 そういって駆け込んできたのは、秀吉。

 

 「「「なんだった!?」」」

 

 と異口同音に聞く3人に、

 

 「お、落ちつけい・・」

 

 と若干引き気味でそういう秀吉。

 

 「えぇとじゃな・・・hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを入れられておったらしい」

 

 僕と雄二が疑問を浮かべるなか、

 

 「それって・・・!」

 

 と分かったのか木下さんが驚愕の表情を浮かべる。

 

 「ねぇねぇ、そのエイチ・・なんとかってなんなの?」

 

 「・・・ホルモンの名前よ。これを大量に摂取すると拒否反応の症状が出るのよ」

 

 「へぇ・・・僕はそれを仕込まされたのか・・」

 

 「まだいろいろな副作用があるらしいけど・・」

 

 「あいつら、絶対ぇに許さねぇ・・・・!」

 

 「ねぇ、狼鬼?ー僕の記憶も、戻ってくれるかな?」

 

 と、関係のないことを言ってみる。

 

 『・・・・あぁ、そうだな』

 

 「記憶が戻ったら、今までの狼鬼の記憶とかも話してよ?ー約束だからね?」

 

 『・・・あぁ、約束、だ』

 

 どことなく歯切れの悪い返事だったが、満足していた明久は気づかなかった。

 

 明久side out

 

 狼鬼side

 

明久・・・お前は分かっていないんだな・・・・

 

 俺はお前の記憶だ・・

 

 お前が記憶を取り戻してしまったら

 

 俺は・・消えてしまうんだよ・・・・。

 

 【記憶】であることをこんなにも後悔したのはきっと初めてだろう。

 

 〈悔しいか?悲しいか?〉

 

 この声は・・きっと俺にこの生き方を強いた神の声だ。

 

 『・・決まってるだろ・・明久のそばにいるだけで楽しいんだ・・消えるのが嬉しいわけないじゃねぇか』

 

 〈だが・・生きて、どうするというのだ?お前では触れることすら出来ないというのに?〉

 

 『わかってるよ!喋ることはできる』

 

 〈限りなく制限されている、がな・・お前はぼろを出さないように喋り、取り繕わなければならない・・それでも、楽しいといえるのか?〉

 

 『っ!-あぁ、楽しいさ。あいつと喋っているだけで、十分だ』

 

 〈あの人間の何がそんなにもお前を縛り付ける?〉

 

 『縛り付けられなんかしちゃいねぇさ。もういい、とっとと失せろ』

 

 そう言って牙をむく俺に、

 

 〈フフフっ・・まぁ、闇の世界で待っているぞ☓☓よ・・・〉

 

 -!?なぜ俺の本当の名を!?

 

 『お前っ!誰だ!なぜ俺の名を!?』

 

 そう叫んでみるが、すでに気配はなかった。

 

 『くそっーなんなんだよ・・・』

 

 一人、呟いてみるが、胸騒ぎが収まることはなかった。

 

 狼鬼side out

 

明久side

 

 「それじゃあまた明日」

 

 そう言って帰っていく皆に手を振って見送る。

 

 今日は狼鬼が静かだ・・・

 

 そっとしておこうと思い、そっと瞳を閉じた・・・。

 

 

 to be next ・・・

 

 




更新遅くてすいません

 次回もお楽しみに!

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