僕の存在、君の否定 作:ヴィラン型フェストゥム
プロローグなので短いです。
あなたは……そこにいますか?
○
彼は学校への通学路の途中、巨大なヴィランをこれまた巨大なヒーローが蹴り飛ばしていた。
駅のホームで傍迷惑なことだ。と彼はおんぼらと考える。
通学に使っているクラスメイトを思い出そうとして、交友がないので使っているクラスメイトがわからずに、結局忘れた。
小さくため息をついて、その場を離れる。ヒーロー、ヴィラン。正直どうでもいい。でも、彼女との約束だから、自分はヒーローにならないといけない。そう考えて、その場の人混みを驚異的な身のこなしで通り抜ける。しかし彼はそういった異能は持っていない。
「……」
そう、彼、緑谷出久はこの超常社会の中では珍しくなりつつある無個性なのだ。
○
下駄箱に着き、扉を開けるとそこには沢山の手紙が上履きを覆っていた。
三分の二が挑戦状、残りがラブレターである。
「増えたな……」
はぁ……とため息をつき、カバンに詰め込んだ。
あとで教室で見るのだ。しかしそのことを考えると憂鬱になった。そこで捨てるという行為をしないのは彼の美徳と言うべきか。
カバンを背負い直して、教室に向かう。男女厭わずこちらを見かけるや否や、道を開けたり、チラチラと見たり、ヒソヒソと友人と密談をしたりする。
その空気が嫌になり、彼は足早にその場を去ろうとする。
「あ」
「きゃっ!」
その最中、曲がり角で前方不注意の少女とぶつかった。持っていた荷物が周囲にばら撒かれる。
「悪い、大丈夫か?」
「へ?え、あ、緑谷先輩!?」
少女とその友人はこちらを珍しいものを見るような感じで見つめてくる。
その目だ。珍獣を見るような目。それが彼には少し嫌だった。
ばら撒かれた荷物を拾い集め、少女に渡す。
「悪かった」
そう言うや否やその場を立ち去る。不注意過ぎたと、彼は反省した。
教室にたどり着き、静かにその扉を開ける。
すると、先ほどまでの喧騒が嘘だったかのように静まり返り、数多の瞳が彼に集中していた。
それに対して何も感慨を覚えずに淡々と自身の席に向かう。
カバンを机に置き、その中から手紙たちを一枚ずつ抜き取ってその内容を確認していく。
だいたい相手の指定して来た時間を確認し終えると、
「オイ」
「……?」
いきなり不機嫌そうな声で呼びかけられた。
手元から顔を上げるとそこには幼なじみの姿があった。
「クソデク。昼に屋上で待つ。逃げんじゃねぇぞ」
「……わかった」
爆豪勝己。通称かっちゃん。それが彼の名前だった。久しくその通称で呼んではいないが、それでも幼なじみの願いを無碍にはできないか。と彼はその宣告を受け入れた。
ケッ。とそのまま身を翻して自身の席に戻る爆豪。
それに彼はため息をついて、外を見やる。
その先で蒼穹はどこまでも広く、続いていた……
だいたい作者の名前と、冒頭、そしてあらすじで理解されたと思いますが、あの作品です。
大丈夫。そう簡単に死なせないから。