私達は肝試しで小学生を脅かす役をするのですが……
三浦「何この安っぽいコスプレ……」
戸部「宇宙人とかあんべ」
八幡「確か肝試しのオバケって言ってたよな……」
由輝子「これでは肝試しというよりハロウィンですね」
向こうの趣味ですかね?海老名さんの衣装は巫女さんですし。
彩加「ねぇ八幡」
八幡「ん?」
彩加「魔法使いってオバケかな?」
八幡「まぁ大きい括りだとオバケなんじゃないか?」
彩加「でも、怖くないよね?」
八幡「……いや、怖いぞ」
戸塚君は魔法使い、小町さんは化け猫、雪ノ下さんは雪女(すごく似合っています)、なにやらポーズをとっている由比ヶ浜さんが悪魔と様々な衣装に着替えています。……さて、私は何を着ましょうか?
雪乃「……それで件の問題はどうするの?」
葉山「留美ちゃんが皆と話すしかないのかもな。そういう場所を設けてさ」
結衣「でもそれだと留美ちゃんがみんなに責められちゃうよ」
葉山「じゃあ1人ずつ話し合えば」
由輝子「それも同じですね。その場ではいい顔をしてその裏でまた同じことの繰り返しとなるでしょう。女子は男子とはまた違う怖さを持っていますから」
力が男子なら言葉は女子。イジメはそういう風に展開されていくんですよね。
八幡「なぁ、俺に考えがあるんだが」
雪乃「却下」
八幡「決断が早すぎる……。おまえ、家の購入とか向いてないタイプだろ」
由輝子「それでどんな案ですか?比企谷君」
八幡「折角の肝試しだ。これを利用するに限る」
彩加「どう利用するの?」
八幡「……人間関係に悩みを抱えているならそれ自体を壊してしまえば悩みはなくなる。みんながぼっちになれば争いも揉め事も起きない」
成程……。人間極限状態でこそ本性が出ますから本当に怖いときは何がなんでも自分の身を守ろうとします。人のことは考えずに自分だけ助かろうとする。そうやって酷い部分を晒してしまえばもう仲良く出来ない。そうなったらグループはバラバラになります。
周りはドン引きしていますね。確かにこの案は客観的に見ても最悪ですが比企谷君もそれがわかった上での提案でしょう。結果を残すためには手段を選んでられませんからね。
葉山「でもそれだと問題は解決しないんじゃないのか」
葉山君が言う。
八幡「だが問題の解消はできる」
由輝子「ですがリスクが高いですよ?バレたら問題になります」
八幡「ああ、だから実行は俺だけでやる」
結衣「ヒッキーだけで?」
八幡「ああ、だからもしバレても被害は俺だけだろ」
由輝子「……その役目、私もやっていいですか?」
八幡「剣?」
由輝子「比企谷君だけに責任を負わせるわけにはいきません。同じ部活の仲間として、そして友達として、私もやります」
八幡「友……達?」
由輝子「はい、少なくとも私はそう思っています。比企谷君は違うのですか?まぁ仮に違うと言っても私はそのつもりですから」
八幡「ありがとな……。じゃあ、頼んでいいか?」
由輝子「はい、任せてください」
雪乃「なら、私も……」
結衣「あたしだって……!」
由輝子「由比ヶ浜さんは小町さんと進行役をお願いします。雪ノ下さんは部長らしくどっしりと構えていてください。大丈夫です。私と比企谷君を信じてください」
雪乃「そう……ならお願いするわ……頑張って」
結衣「うん……ユッキーもヒッキーも無理しないでね」
八幡「ああ……」
由輝子「はい」
~そして~
……時間的にもそろそろですね。
八幡「そろそろだな」
由輝子「そうですね」
ガサガサ
由輝子「どうやら小学生に追いつかれそうですね」
八幡「ああ、急いで隠れ……少し遅かったみたいだな」
小学生男子1「ゾ、ゾンビだっ!」
小学生男子2「いや、あれはグールだよ!」
小学生男子3「あいつ目がヤバイぞ!」
小学生男子4「に、逃げろっ!」
八幡「……納得いかねぇ」
まぁドンマイとしか言いようがないですね。私は嫌いではありませんよ?比企谷君の目。それよりも……。
由輝子「計画の方はどうですか?」
八幡「……小町から開始の合図がきた。やるぞ」
由輝子「はい」
そして鶴見さんのグループがこちらに気付きました。……それにしても言いたい放題ですね。普通の格好をしてダサいだの、やる気を出せだの、高校生なのに頭悪いだの、さて、やりますか……。
由輝子「……何を調子に乗っているんですか?目上の人間に対する礼儀も知らないんですか?」
先程までの態度から急に小学生が怯えだしましたが、比企谷君が続けて……。
八幡「今すげぇ馬鹿にした奴いたよな?年上に接する態度じゃねーぞ。言ったのは誰だ?」
由香「……ごめんなさい」
由輝子「誰が謝れと言いましたか?私達は誰が言ったのかを聞いたんですよ?」
私の言葉で小学生達は沈黙する。
由輝子「誰が言ったのかって聞いてるんですよ!!」
私は怒鳴りながら聞く。……こんなに声を荒げたのはいつぶりでしょうか?
八幡「落ち着け剣。……そうだな、2人は見逃してやるから3人はここに残れ。誰が残るかは自分達で決めていいぞ」
比企谷君の発言で小学生達はお互いに顔を見合わせる。
仁美「……ごめんなさい」
今度は先程よりしおらしく誰かが謝った。
由輝子「謝ってほしいんじゃありません。3人残れと言ったんです。……早く選んでください」
冷たい声が周りに響きわたる。
由香「鶴見、あんた残りなさいよ……!」
酷いですよね。やはりと言いますか……。真っ先に鶴見さんを選びましたがここまでは想定内。本番はここからですね。
八幡「30秒だけ待ってやる。あと2人だ。早く選べ」
葉山君は根はいい子達だと言いましたが本当に根がいいのであれば5人で助かることを考えますが……というよりそもそもこんなことになりませんよね。だからあの子達は鶴見さんをハブっている時点でそれはありません。そしてあの子達が本当に仲が良かったらここで終わりでしょうが多分違うでしょうね。誰かを陥れて喜んだり、安心してるような人の側にはそういう人しか集まりません。
仁美「……由香がさっきあんなこと言わなければよかったんだよ……。由香のせいじゃん……!」
森ちゃん「そうだよね」
仁美「由香、残んなよ」
由香「ちょっ!」
森ちゃん「私もそれがいいと思う」
しょうがないよといった感じで由香ちゃんという子が残ることになりました。……まぁしょうがないですよね。誰でも空気には逆らえないですし、そのせいで誰かが辛い思いをしてもどうにもならないこともあります。
………だから私はそんな世の中に負けないように様々な情報を集めて自分が不利にならないよう立ち回っていますし、自分が標的にならないよう元々薄かった存在感をさらに薄くしようと気配を消すことにしました。
八幡「あと1人だ。早く選べ」
由輝子「残り10秒ですよ。9、8、7、6……」
仁美「私は何も言ってない。森ちゃんの態度が悪かったの!」
森ちゃん「はぁ私?最初が仁美でその後は由香だったじゃん!」
カウントを続ける私達ともうみんなで謝ろうと促す小学生。
八幡「5、4、3、2、1」
そろそろ頃合いですね。『なんちゃってドッキリでした~♪』とでも言っておけばそれでOKです。
留美「あの!」
鶴見さんがそう言った瞬間
ピピッパシャ
!?これは……デジカメのフラッシュ?
留美「こっち、急いで!!」
そう言って鶴見さんは小学生の手を掴んで走りました。
雪乃「………あの子がみんなを助けたってことかしら」
そう言いながら雪ノ下さんと、由比ヶ浜さんがこちらに近付いてくる。
結衣「本当は仲良かった……のかな」
八幡「誰かを貶めないと仲良くしてられないのが本物なわけないだろ……」
由輝子「そうですね。……でも偽物とわかっていても手を差し伸べたいと思ったらそれはきっとそれは本物なんでしょうね」
私は自分を守るために情報収集をしていますがいつかそういうのが手に入るのでしょうか……?
肝試しが終わりキャンプファイヤーの時間。私と比企谷君は石段に座っています。
平塚「随分と危ない橋を渡ったな」
由輝子「平塚先生……」
平塚「1歩間違えれば問題になっていたかもしれない」
八幡「はぁ……すいません」
平塚「責めてはいない。むしろ時間がない中でよくやったと思っている」
由輝子「方法は最低でしたけど向こうの先生に鶴見さんの問題が知られるよりかはよかったと私は思います」
平塚「そうだな……。そういう人間だからこそどん底に落ちた人間に寄り添えるかもしれない。そういう人間は貴重だ」
由輝子「……それって褒めてますか?」
キャンプファイヤーが終わり2日目すべてのプログラムを消化した後私は比企谷君に話しかける。
由輝子「比企谷君、お疲れ様でした」
八幡「剣か……。悪かったな。あんな役目させちまって」
由輝子「私がやると言ったんです。それに鶴見さんは自分で自分の意志で前に進みました。比企谷君の案のおかげです」
私も彼女を見習って頑張りましょう。
~そして~
平塚「ご苦労だったな。家に帰るまでが合宿だ。気をつけて帰りたまえ。では解散!」
最後なんか遠足みたいですね。
由輝子「では、私はバイトがありますのでこれで失礼します」
八幡「お前今日もバイト入ってるのかよ」
由輝子「昨日の夜に帰りの車でぐっすりと眠れましたので問題ありません。お先に失礼します。みなさん、お疲れ様でした」
雪乃「ええ、お疲れ様」
結衣「じゃーね、ユッキー!」
小町「バイバイです、由輝子さん!!」
彩加「またね、剣さん」
八幡「お疲れさん、バイトがんばれよ」
由輝子「はい、では」
この合宿は色々ありましたね。早速美咲さんにお土産話が出来ましたね。……話せない内容もありますが。
八幡side
ふぅ、やっと終わったか……。色々あったな。小町に騙されて行った合宿も今となっては悪くない思い出だ。雪ノ下には相変わらず罵倒されるがその罵倒も剣のおかげで大分少なくなったな。
剣か……初めて見た時は地味な印象を持っていたが結構グイグイいく奴だとわかったらビックリしたな。アドレスを交換しようとか言ってメールもほぼ毎日してるし。
俺のベストプレイスに剣がいたことにも驚いた。聞くと2日に1度はここで飯を食ってるとか……俺の知らない間に彼女と飯を食っていたらしい。それに気配遮断のスキルも羨ましいと思った。それにマッカンが好きだと言ったことも好印象だったな。
他にもテニスの件で葉山達を追い返したり、合宿のことで小町に騙された時もキチンと小町や平塚先生に注意したり、千葉村で雪ノ下と三浦の口喧嘩を止めたり、あいつに驚かされてばっかだな俺……。
俺の人間関係を壊すという提案にも1番に賛成してくれた上に俺1人でやろうとしたことに対して危険を省みず手伝ってくれた。あの件も剣がいなきゃどうなってたかわかんないしな。それにあいつは俺のことをと、友達って言ってくれたし。
そういえば合宿の夜寝る前に戸部が好きな奴の話をしたときに海老名さんに気があると言った時はマジかよと思ったし、葉山もこういうことに乗ったのも意外だった。イニシャルだけだと折れた形だったが、葉山が好きな奴のイニシャルをYって言ってたな。雪ノ下か、由比ヶ浜か、三浦か、それとも剣か……。
………俺は剣のことをどう思ってるんだ?あいつは由比ヶ浜以上に俺に優しい気がするし、俺自身優しい女の子は嫌いだと思っていたが剣には不思議とそんな感情を抱いていない。……何だろうな、この気持ちは
小町「お兄ちゃん?早く帰るよ」
八幡「ああ…悪いすぐ行くわ」
まぁいいか……。
はい、今回で千葉村編は終了です。
最後は八幡sideで占めました。……と言っても殆どくそ長い地の文でしたが……。これからはたまに八幡sideを入れると思います。
では、次回もよろしくお願いします。
この小説の登場人物である佐野美咲がヒロインの√を現在考え中ですが……。
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見たい
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なくてもいい
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そんなことより原作キャラの√がよか!