あとTSされた人物もいるので宜しくお願いします。
黒ウサギは今まで生きてきた人生の中で初めて自分が月の兎であった事を嘆いた。
審判をするに辺り多種の生物の声を聞かねばならないため、春日部と同じく生物の声を聞く事が出来る。基本ギフトゲームは言葉が通じなければ通じないそいつが悪いと、実力が無い方が悪い事になっている。
そのため、彼女の持っている能力はマイナスに働く事はなく、プラスにしか働かない。いい事づくめだけだと思っていた。
だが違った。龍になってしまった一誠の怒号は正しくこの世を呪いに呪った物だった。
天を呪い。血を呪い。世を呪い。命を呪い。生きとし生きる物全てを呪う。
何故裏切った。何故殺した。何故死んだ。何故産んだ。何故いる。何故何故何故何故。その叫びは一誠一人のものではなく延々と呪いのように蓄積されてきた赤龍帝の篭手の負の物だ。この事を知らない黒ウサギにとってはこの世全ての呪いとでも取れる物だ。
自慢のうさ耳を押さえつけ体操ずわりで小刻みに震えている。唇からは「嫌だ」この言葉が繰り返し流れるだけで、目からは涙が流れている。
「黒ウサギ!おい!チッだめか。どうなってやがる。いや分かってるには分かってる。ただ、信じられねぇだけだ」
天に向け吠える一匹の龍を見上げながら呟く。
浮遊して近くにいたペストは震える身体を押さえつけ、最強最悪の一撃を放つ。
先程は生命のない赤い巨人が相手だったので効かなかったが、姿形は龍に変形したとはいえ生命あるものに違いはない。
「なッ」
だがすぐに無意味だったと思い知る。
龍は食べ物を食べるかのように
しかし、それを可能にする方法があった。
ペストは十三世紀~十四世紀にかけ流行した
本来なら生まれるはずでは無かった彼女は箱庭に産み落とされると同時に、彼女を召喚した魔王が死んだため自由が与えられそこで決意した。
『怠惰なる太陽に復讐してやる』
そもヨーロッパにてペストが流行してしまったのは、太陽の力が弱まり作物が育たず栄養失調になる者が続出し、太陽光が弱まったせいで人類の免疫力が低下したのが原因とされている。
もし太陽が出ていればこんな事にならなかったのかもしれない。だが原因は他にもあるのだが近場に復讐先があったのが
一誠はフラガラッハを手に入れた事により記憶を読み取り一時的に太陽神の擬似神格とでも言えるものを発動させていた。人間には到底無理な物なのだが、赤龍帝の篭手には全能神とされる神ヤハウェが関わった事もあり奇跡的に成り立っている。
本当に奇跡的なもの。多分この時ばかりの力となるであろう物だが、そのおかげがペストを物ともしなくなった。
『GEEYYYAAAAAA!!!』
腰を僅かに振り地面にあるだけで地割れを起こしている尻尾でペストを叩き落とす。
避ける事も出来たかもしれない。だが今の彼女にはそんな事まで考えている余裕が無かった。
「ガハッ!」
蚊を叩くようにして潰された彼女の身体はもうピクリとも動かない。手足全てが逆の方向に曲がり首も力なく勝手に下を向いてしまう。
殆ど瀕死状態の彼女を見下ろす龍はゴミをつまみ上げるように器用に二本の指で持ち上げ、頭を上に上げ獰猛に煌めく牙を見せつけるように開き、口の上で彼女を離した。
「あぁ...復讐......した...かったな...あの...太よ」
口の中に入った瞬間その口は閉ざされ。肉が硬いものに擦れるような気色の悪い咀嚼音を上げながら何回も何回も噛み締める。
飛鳥は咄嗟にその場に蹲り嘔吐してしまう。彼女に至っては十六夜のような卓越した精神や、春日部のように生物の死を常に感じる。そんな生活をしてこなかった。
終戦直後の世界から来たとは言え基本囚われの姫状態だった彼女には、目の前の光景は信じられないものだった。先程まで人の形をして話していた者が、今ではただの食べれる肉片とかした。
本当の死と呼べる物を知らなかった彼女にはとてつもないダメージで、サンドラも口元を抑えながら龍を睨みつけている。
一体何分たったか。永遠とも取れる咀嚼音が終わると、ゲームクリアを告げる『
なにせ目の前の一誠だった物は全てが終わったと言うのに、未だに龍より戻ろうとしない。となればすぐに予想が立つ。あれは暴走しているのだと。
龍は足元にいる十六夜に目を向け足を踏み下ろす。
「仕方ねぇ!黒ウサギ持ち上げるぞ!」
体操ずわりの黒ウサギをそのまま抱えるように持ち上げる。お姫様抱っこのような物になりいつもの彼女なら慌てふためいて面白い反応が見れるだろう。だが今はそれが無い。
自身の耳を掻き毟るように爪を立てずっと小言を呟いている。
建物を破壊して飛び出て直後先程までいた場所には龍の足が下ろされ、クレーターが出来粉塵が舞っている。
攻撃を外した龍は次の目標を決める。
すでにサンドラは姿を隠しているので何処にいるか分からない。なので目の前で蹲っている少女を狙う。
飛鳥の乗る赤い巨人『ディーン』は命令があってこそ真価を発揮する。現状飛鳥が命令できないようであればただの鉄の塊だった。
口からは火がほとばしり龍の定番炎のブレスを吐こうとしているのが分かる。
十六夜は飛んで助けに生きたいが、今抱える黒ウサギが手一杯でもう一人は無理に近い。
「クソがァァァァ!!!!」
足元が爆ぜ飛鳥を見捨てる選択を取る。もし助けに行けばミイラ取りがミイラになる最悪の結果になってしまう。
頭の回転が早い十六夜はすぐに戦力差を理解し今の自分では勝てないと判断した。奥の手を使えば別かもしれないが正直当てられる気がしない。
ここまでは普通の人間であっても考え至る事だろう。十六夜を普通の人間と同じ物差しで測るべからずとはよく言った物だ。
「しゃらくせぇ!!」
『GEY?』
意識のない暴走状態な龍ですら首を傾げる。目の前のこいつは馬鹿なのではないか?逃げればいいものをと。
驚いた。確かに驚いた。しかし、所詮は驚く程度。手を止める理由には至らない。
口に貯めに貯めた火炎を吐き出す。これは別になんの変哲もない炎。焼き付くそんな思いの困った炎に過ぎない。
まるで太陽が近づいてくる。そう感じた十六夜は自分の足を信じられなくなりそうになる。
太陽なんて代物が壊せるのか?分からないだけど、そんな事で弱音を履けない!
口元は危機が迫る中でも獰猛に笑い。蹴りを叩き込むために動かし
「良くやった少年。君のおかげで間に合った...
突然視界を遮るように入ってきた黄金の鞘。青が入り交じり鞘の神々しさを底上げしている。
そして、その鞘から広がる障壁のような物は太陽のような一撃を弾き返した。
一瞬驚愕し反応が遅れた龍は自身の放った一撃をダイレクトに受けるが、自分の攻撃で大怪我する龍でも無い。
少しばかり肉や鱗が焼け特有な匂いが立ち込めるがそんな事よりも、跳ね返した現象を引き起こした金髪の少女を見下ろす。
全体を青で覆うドレス。どことなく品が現れ王の風格が読み取れる。ドレスには本来会うはずのない鎧が付いている。
胸、胴、手首、前腕部、足。計五箇所を覆う鋼色の鎧は手入れが行き届いているためか、太陽の光を眩しそうに反射している。
凛として立ち尽くす彼女に十六夜は見た事があった。まだこの場所に来た時に見た大食いをしていた人物としてだ。とても今の姿とは似ても似つかない。
空中に無限に飛べるほど人間離れはしていない十六夜は重力に従い落下し、少女の隣に着地する。
「少年。良くやりましたね。後は任せなさい」
「おい待てよ。何勝手に話進めてんだよ。俺も」
少女は頭を横に振る。小さな衝撃に部分鎧から鎧どうしが擦れる音が鳴る。
「貴方では力不足です」
「なんだ」
「現に貴方は一度逃げた、別にその件は問いません。それに最後には挑みました。ならば及第点です、時間も稼いでくれた事でサンドラも逃がすことに成功しました。そちらはどうですか」
「はっ、無事救出しました」
瞬間移動をしたように紫髪の彼女は現れた。金髪の少女とは裏腹に全身を黒染めのスーツで着込んでいて、長い髪を後ろで留めちょっとした動きに触手のように敏感に動いている。
その少女の手には気絶している飛鳥がいた。ついでに『ディーン』も後ろにはいない。ギフトカードにでも戻ったのだろう。
「そうですか。ならやります」
「はっ、少年この子を頼む」
「あぁ」
ついつい飛鳥を預かり二人を抱えたままもあれなので、ひとまず瓦礫に持たれかけさせる。
「あの龍をどう思いますかランスロット?」
「正直人間が龍になるなど聞いた事がありません。しかし、あの龍からは微かに人間の気配も感じます。なので戻せる可能性はあるかと」
「なるほど...」
彼女は顎に手を当てどうしようか考え始める中十六夜には別の衝撃があった。
『ランスロット』紫髪の少女はそう呼ばれ否定する様子もなく受け答えをしている。こと箱庭においては神などがいるならば神話の登場人物などもいるのではないかそう考えていた。
実際にジャック・オー・ランタンなんて物ともであったのだが、まさか円卓の騎士最優とされた騎士のランスロットと出会う事なるとは思っても見なかった。
そう考えると金髪の少女の正体もある程度予想がつく。あのランスロットが敬意を払って行動している事から彼女の名は
「アーサー王どうなさいますか」
「とりあえず殺さない程度に殺します。そうすれば解けると思うので」
「了解。臨戦態勢に入ります」
ランスロットは全身を包むフルプレートの銀の鎧をギフトから装備する。武器として二本の槍を取り出し握ると、赤い血管のような物が走り槍自体が黒く変化する。
アーサー・ペンドラゴンその人は鞘をしまうと伝説に名高い黄金の聖剣エクスカリバーを龍に向け掲げる。
「赤き龍よ。覚悟せよ!我が名はアーサー・ペンドラゴン。貴様を倒す者だドライグ・ア・ゴッホ!」
『GYYYAAAAA!!』
アーサーの宣言に答えるように龍も怒号をあげる。それを皮切りに因縁の勝負の幕が下ろされる。
「ふん!」
『GGAAAAAA!!』
全身を覆っている鎧の筈なのだが、とてつもなく身軽そうにランスロットは動き回り、龍の周りを撹乱するように駆け頭に向け二本の槍を投擲する。
龍は下腹から迫る槍に気づくと手で払い除け足元で動き回る羽虫を蹴散らすため、羽で飛び上がり火炎を撒き散らす。
手持ちの武器がない彼女は近くに転がっていた鉄パイプを二本持つと、槍と同じような文様が浮かび上がり、高速で回転させることで火炎を弾く。
どんな鉄パイプを持ってしてもあの火炎を防げるとは思えないのだが、これも何らかのギフトによるものだと思えば納得できる。
「空を取られれば厄介だな...アレを使うか」
ギフトカードから取り出したのは自分の身体と同等はありそうな巨大なガトリング砲だ。こちらも黒くなり銃弾がとてつもない速度で放たれる。
本体重量115kg弾倉も合わせ200kgを超える重量軽々しく持ち上げている彼女の力は化け物としか言いようが無かった。
『GYAッッ!!』
悲鳴に近い短い音を上げ、羽にはガトリング砲により穴が無残に空き、空を舞う事が不可能になり地面に真っ逆さまから落下していく。
頭から落ちた龍は頭を振り目を開き見上げた先には光の柱が立っていた。
「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるが良い!
光の柱は龍を押しつぶすように振り下ろされ、龍は光に身体全体を塗りつぶされていき完全に龍は消し飛ぶ。
世界に最も有名な