問題児と一緒に変態赤龍帝も来るそうでよ?   作:暁紅

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一誠のギフトカードの中身

 

 

突然の変化に4人は唖然と立ち尽くす。

 

一瞬、瞬き一つで世界は変化した。和室の面影は一切なく、それには星が一つだけ浮かんでいて、緩やかに世界を水平に廻る白い太陽。

 

変化というよりは世界を作ったようにすら感じる。

 

唖然としている3人に白夜叉は、凄味のある笑みを浮かべ三度問う。

 

「さて今一度問おうかのう。私は″白き夜の魔王″......太陽と白夜の精霊、白夜叉。おんしらが望は試練への挑戦か?それとも対等な決闘か?」

 

十六夜はこの状況でも白夜叉の発した言葉を一語一句聞き間違えること無く理解し、頭の中で整理をする。その時間数秒にも満たないが白夜叉の正体を考えつく。

 

「そうか......白夜と夜叉。なるほどな、てことはこの場所にある全てはオマエを表現してるってことか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」

 

白夜叉が両手を広げると、この世界の果てから薄明の太陽が現れ全てを照らす。

 

白夜は真夜中になっても薄明で明るく、決して暗い夜が来ない現象を指す。北極圏や南極圏で多く見られる現象だ。

 

そして、夜叉。

インドや仏教にその名が記されていて、鬼神とされている。

 

この箱庭において最強と名高い精霊と神霊、その両面を持っている。だからこそ彼女は箱庭の代表になれる強大な魔王だった。

 

 

さっきまで意気揚々としていた3人は押し黙り今起きている事をゆっくりと理解する。

 

十六夜は諦めたようにため息を吐きゆっくりと口を開く。

 

「参ったやられたよ。降参だ白夜叉。今回は黙って試されてやるよ...魔王様」

「ふはは負けを認めてなおその態度か、良い良いぞ。して、他の童達も同じか」

「ええ試されてあげる」

「右に同じ」

 

十六夜に先を越された悔しさで歯切れが悪い。

一連の流れをヒヤヒヤと見ていた黒ウサギは安心した肩から力を抜く。

 

「全くもう!黒ウサギを殺す気ですか。全くもう!新人に売られた喧嘩を買うなんて冗談にしても寒すぎます!それに魔王だったのも、もうかなり前じゃないですか!」

「ん?そうじゃったか?最近歳でな」

「今更年寄りアピールしないで下さい!」

 

挑戦する事が決まった事で全員の耳に今まで聞いた事の無い鳴き声が聞こえる。

 

あの動物が友達と言い張る春日部ですら、聞いた事がないという。

 

驚いた反応を楽しんだ白夜叉は向こう側にある山脈に手招きをすると、またあの鳴き声が聞こえ、体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げ空を滑空してくる。

 

遠く小さかった身体は近づけば近づくほど良く見え、その姿をしっかりと見た2人は目を輝かせる。

 

鷲の頭と翼に獅子の下半身を持つ生物。そんな生物は一誠ですら知っている。

 

「グリフォン...嘘...」

「グリフォンだと...ふぉぉぉ!!!マジかよ!!」

 

春日部と一誠は対照的な態度だが両方とも嬉しい喜びだった。

 

春日部は親との約束、一誠はゲームの世界に憧れていたから......

 

グリフォンが到着するとサウザンドアイズの旗印の紋が刻まれた羊皮紙が現れ、白夜叉が指でなぞると文字が浮かび上がる。

 

ギフトゲーム名″鷲獅子の手綱″

 

・プレイヤー一欄  逆廻十六夜

          久遠飛鳥

          春日部耀

 

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 『力』と『知恵』と『勇気』の何れかでグリフォンに認められる。

敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗をホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。″サウザンドアイズ″印

 

すごい勢いで読み終えた春日部がピンと手を上にあげ先発は自分が行うと言う。

 

反発するかとおもった十六夜と飛鳥は以外にもすんなりと先発を譲る。

 

春日部はグリフォンの近くに行くと、姿をじっくりと鑑賞して満足がいくと、本来言葉が通じないはずのグリフォンに声をかける。

 

「えっと...その初めまして、春日部耀です」

『なんだと!!貴様言葉が理解できるのか!!』

 

そも、グリフォンは幻獣と呼ばれ物で、その種族によって言葉がバラバラだ。なので人間がどう頑張ろうと言語を覚えるのは至難の技だ。

 

それを目の前の少女はいとも簡単に行って見せた。それには白夜叉も感嘆の吐息を洩らす。

 

言語が通じるのが分かった春日部は、1度喉を鳴らして声を整えると言葉を続ける。

 

「私を貴方の背に乗せてください。誇りを賭けて勝負をしてください」

『ほほう......』

「勝負内容は貴方が飛んできたあの山脈を、時計回りに一周してまたここに戻ってくる。私がその間に振り落とされれば負け、落ちなければ勝ち...ダメっかな?」

『いいぞ。しかし、貴様は何をかける?背から小娘一人落とせねば、私の名誉は失墜する。それと対等な物がお前にあるか?』

「命をかけます」

 

春日部は表情を変えずに、あらかじめ考えていたように即答する。

 

黒ウサギと飛鳥が否定をしようとするも、春日部は頭を横に振って命をかけるのをやめようとしない。それでも引かない2人に十六夜と白夜叉が邪魔をするなと言い放ち、口論している間にグリフォンへと春日部は近づく。

 

グリフォンは少し考え背に乗せる事を了承した。

 

緊張しながら乗り手綱をしっかりと握りしめ春日部の挑戦は始まる。

 

 

 

グリフォンは空を飛ぶというよりは空気を踏みしめるようにして進んでいた。

 

それは別に比喩ではなくグリフォンの特殊なギフトだった。空を踏みしめ進む。進む速度は普通に飛行するよりも遥かに早く、グングン進んでいく。

 

流石に十六夜の第三宇宙速度には程遠いが、その速度は戦闘機より早い速度で進んでいた。

 

グリフォンは十分程度で山を回りきり、ゴールラインの場所を越え春日部の勝利が決まった。

 

が、勝利の余韻に浸る暇なく手綱から手が離れ、春日部は真っ逆さまに落下する。

 

「まずい!」

「まて黒ウサギ。一誠お前が行け」

「え?俺?」

「あぁ女の黒ウサギが行くよりお前の方がキャッチできるだろ」

「よし任せろ!」

 

十六夜の口車に乗せられてると知らずに意気揚々とかけて行き、落下地点の下に入り両手を広げ、

 

「よしこぐべらぁ!」

 

春日部は空中で体制を整え、一誠の顔面を踏み台代わりに踏み、グリフォンのように空気を踏みしめて空に飛び上がる。

 

春日部のギフトの力とは動物と話すだけでなく、友達になった動物のギフトを使用することができるというものだった。

 

しかし、それだけでは山を一周するのに身体が耐えられるはずがないので、何かしら別の能力もあるのだろうと十六夜は予想していた。

 

階段を下るようにゆっくりと地面に着地すると一誠の方を見て嘲笑気味に言葉を放つ。

 

「ごめん。存在が小さすぎて踏み台かと思った」

「いやそれなら仕方ないな。うん......そうだ、疲れたろ?肩揉んでやるよ」

「いやいい。変態に触られたくない」

「いやいやいや、遠慮はやめとけ。本気でやってやるからよ!」

 

互いに向き合い両手を組み合わせて押し合う。本当はお前ら仲いいだろと思いたくなる光景だ。

 

全く奴らはと頭を横に振りグリフォンに労いの言葉をかけ帰宅させると、黒ウサギに何の用できたのか聞く。

 

「して何用で来たのだ?」

「今回はギフト鑑定に来たのですけど」

「ギフト鑑定ときたか...専門外どころか無関係なのだがな...今回のギフトの報酬としてやろうかの」

 

白夜叉が手を数回叩くと三人の前にそれぞれ色が別な特別なカード、ギフトカードが配られる。

 

「ギフトカード!!」

「お中元?」

「お年玉?」

「全然ちがうわ。これはな」

「「うぉぉぉぉぉ!!!!」」

「これはな...」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

「ええい少し黙らんか!!」

 

一誠と春日部の頭を扇子で叩き伏せる。

 

地面に頭を擦り付けた2人は顔のみを傾かせ白夜叉を見る。

 

「「何?」」

「なぜ少し怒っておる。全く...話を聞け」

 

白夜叉からギフトカードの便利性を語られ、3人は興味深く見ているとふとあることに気づく。

 

「おい白夜叉、一誠の分がねえぞ」

「しまった忘れとった」

「ぷぷ忘れられてる」

「よしそこになおれ、お前は女としてじゃなくて敵として殴る。それと、俺ギフトカード持ってるから要らねえよ」

 

全員が頭を横に傾げる。

 

一誠の今言った言葉が真実ならば既にギフトカードを手に入れている事になる。しかし、ギフトカードとはそう簡単に手に入るものではない。

 

ここら辺にいる下級のコミュニティでは持っている者は少ない。それをこんな名も旗印もないコミュニティに渡すなど大盤振る舞いがすぎる。

 

「なんじゃと、童持っておるのか!」

「うんほれ」

 

ズボンのポケットに入っていたカイムラサキ色のギフトカードが出てきた。

白夜叉はそのカードを見た瞬間1人の男が浮かび上がる。

 

兵藤一新。

過去名と旗印があった時の黒ウサギ達のコミュニティに所属しており、数々の伝説を作った男だ。

 

 

その中でも特に目立つのは聖剣が関わるものだ。

 

所持聖剣数は100を超えてから数えるのをやめ、聖剣コレクターとして有名でもある。ついた通りなが『剣王』や『聖剣馬鹿』などだ。

 

その所持していた聖剣の中でも、魔王と戦う際に使われた7本の聖剣がある。それを七聖剣と呼ばれている。

 

そんな男も名と旗印を奪った魔王に敗北し、姿を消していた。死ぬとは思えぬと思っていなかったが、まさか子供がいるとは思っていなかった。

 

だがもしかしたら拾っただけという事もある。

 

 

「童!名はなんという」

「兵藤一誠だけど」

 

その言葉に白夜叉だけでなく黒ウサギも驚く。

 

正しく兵藤一新の息子なのだ。

 

しかし、そうなるとおかしな点がある。

この箱庭にいる時とある女性と付き合っていた。

 

姫路麗華。

人間でありながら幻獣種の存在である魔法使いと呼ばれる人種で、その潜在魔力は他の魔法使いの追随を許さず、神に匹敵するのではとも言われていた。

 

その2人は馬鹿夫婦のようでもし子供が出来たら新たな英雄となると噂されていたが、世界はそんな2人を嘲笑うように子供が作りにくい身体にしていた。

 

だから目の前にいる一誠はかなりの奇跡なのだと思ったが、2人の子供であれば並外れた魔力のはずなのだ。しかし、一誠から感じるのは赤子より小さい魔力だった。

 

どういう事か考えつつも、一誠の持つギフトカードを見ると『赤龍帝の篭手』『⊇⊃⊃⊂∋⊂∈』『デュランダル』があった。

 

赤龍帝と引っかかる言葉もあったが、それよりも文字化けしている物が問題だった。

 

(馬鹿な文字化けだと...あのラプラスの紙片だぞ......となるとますます母が麗華の説が高まるな。しかし、そうなるとこの魔力の低さは...)

 

ブツブツと考え始めた白夜叉を尻目に、黒ウサギがギフトカードを覗き『デュランダル』を見つける。

 

「な、デュランダル!!!」

 

デュランダルは聖剣の中でもかなり有名だろう。数々のゲームの中でも強大な力を奮ってきた聖剣だ。

 

敵に渡らないようにへし折ろうと岩に叩きつけるも、逆に岩が真っ二つに割れ傷が一つもつかなかった。

ローランも歌の中でその切れ味は語っており「切れ味の鋭さデュランダルに如く物なし」と

 

デュランダルは七聖剣の一つでもある。

魔王との戦闘で失われたと思われていたが、まさか本人が持っていたとは思っても見なかった。

 

デュランダルという有名な聖剣の名前を聞いた十六夜は興味を示す。

 

「それってローランのデュランダルか?」

「うむそのはずじゃよ」

「なら見ようぜ。何でもかなり綺麗だって言うじゃねえか」

 

白夜叉は過去に見たデュランダルの輝かしい姿をまた見たいと、現在の所有権が一新のままなのを一誠に書き換え一誠に渡し、デュランダルを取り出してもらう。

 

周りにいた全員も固唾を飲んで緊張する。

 

一体どんなに物が出てくるのかと......

 

出てきたのは全員の予想を上回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錆びて輝きも神々しさもない、オンボロ剣と成り果てたデュランダルだった。

 

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