不思議な姉妹と生活する陰キャラ学生!? 作:ユキ・E.L.F
ベタな小説に付き合っていただきありがとうございます。
ではどうぞ。
人は誰しもが悲惨で困難な状況から目をそむけ、不安から逃れようとする心理的意思を四字熟語で表すと現実逃避という。でも時には現実と向き合わなければならない。
例えば。師が弟子に嫌な現実を告げる時が来れば信頼、絆、友情、繋がりを捨てる覚悟が必要である。彼らに彼女らに嫌われようが遠ざかろうが言わなければいけない言葉が必要であるのならそれでも構わない。
何故ならば、俺はサキュバス後輩...生徒会に出会って...こんなことを思うのは、自分が可笑しくなったのではないかと今でも思うが、それでもオレは彼ら彼女らを根拠も無く信じている。
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夏祭り・・・・・一般的理論は家族連れ、カップル、友達、親友と理由は様々だが息抜き、愛情や絆を深める...空気を読んで来たとか...知り合いに誘われて嫌々で来たら誰もいなくて一人で楽しんだとか...なんか深刻になってきた。まぁ...切り替えて楽しむ場でもある。
駅で大きな夏祭りをやっていると聞いた葵家御一行は娘達に浴衣を買ってあげて参加した。俺は私服...理由...動きにくいから...。娘たちが「れいみおねえちゃん!」と強く強調して念を押されたので、気まずく藤白玲美を誘ったらなんか浴衣姿で来てくれた。
「藤白...」
「なんですか...センパイ...」
久々に反応してくれた...だけど...気まずい...。
「いや...なんでもない...」
なぜ娘たちを挟んで歩いて葵が気まずそうな理由と藤白が激おこぷんぷん丸状態かと言うと・・・・・1ヶ月前にさかのぼる。
いつもと変わらない放課後。小さな屋根付きのベンチに座っている。7月なゆえ持参のうちわを仰ぎながら、外用バスケコートで汗をかきながらドリブルして青春を励んでいるオトコの娘中学生の十五夜凛を何か思いつめながら見ていた。
オレの右隣に藤白玲美と雪音が楽しそうに女子トークに盛り上がり、左隣に雪菜が読書に没頭していた。ちなみにタイトル名は「坊っちゃん」である。夏目漱石ファンなのかな?。
順番に雪菜や雪音にさり気なく藤白にもうちわを仰ぎながら、十五夜に助言を入れながら相手をしていたが...十五夜を弟子にして約2ヶ月そろそろ頃合いだなと立ち上がり彼のぉ...彼に近づいた。
「十五夜...」
「ハイ!お兄さん!」
「言いたいことがある...よく聞け...」
「?...はい」
葵は十五夜の瞳を合わせ、覚悟をしてストレートに言葉を発した。
「バスケ辞めろ...」
「えっ...」
彼の予想を裏切る一言で十五夜は唖然とした表情でボールを落とし、女子トークしていた藤白が耳に入り大きく瞳を開き葵を見た。風が吹いてセミが鳴いているのに、オレもきっと...十五夜も...藤白も...たぶん...雪菜も雪音も周りが静かに感じているだろう。
「えっ...お兄さん...それはどういう意味ですか...」
「そのままの意味だ...この2ヶ月みてきたが...動きにキレがない...筋力、体力がない...シュート率が低い...これはキミの一番の欠点だ...要するに才能がない...」
葵は呆れて愕然と表情。十五夜は何も言い返せないまま棒立ちして顔を下げ、彼は瞳から小さな雫が流し手で抑えながら走り、ベンチにあるカバンを持ちコートを出た。
「・・・・・」
これでいいんだ...彼の為でもある...強者は眩しく存在し弱者は消える...正しい判断だ...彼は...消える立場である。だが...その可能性を塗り替えるのは・・・・・。
バシッ!!
突如、今まで頬に経験したことが無い痛みが通った。決して痛い訳ではないが思わず頬を手で抑えて見上げると、真剣な表情で少し涙目な藤白玲美が目の前にいた。一瞬で理解が出来た。彼女にビンタされたのであろう。
「先輩...何であんなことを...凛くんは一生懸命...努力していたのに...どうして...そんなこと言うんですか...」
彼女は震えた低い声で問いかけた。俺は表情変えずに答えた。
「はぁ...彼はバスケを向いてない...オレは最初の時点で気づいていた...なら無意味なことをさせるなら別の道に導くべきであると思った...アイツはチームの為に...人の為に練習を続けた...そこは評価に価する...だがな...それだけじゃ...これから先やっていけないんだよ...誰かに言われて諦めたらそこまでの努力だったって話だ...」
ぶっきらぼうに他人事の様にあくびをして彼の置いてったボールを拾った。
「先輩...なんでそんな余裕なんですか...」
「さぁな...」
冷酷な表情でビクとも変えず答える。藤白は葵が何を考えてるのか思考錯誤で頭を働かせたが理解不能だった。先輩には何か考えがあるだろうと心底...信じているのだが、彼女の瞳に写る先輩は...人間として...人として最低な先輩にしか見えなくなってきた。
「今日は先に帰ります...」
「お疲れ...気をつけて帰れよ...」
藤白玲美はベンチにある荷物を持ち早歩きで姿を消した。取り残された葵と娘達はベンチまで歩き娘たちの隣に座った。
「ありがとう...雪音...雪菜」
「本当に...お父さんの言った通りになりましたね」
「みらいでもいったの?パパえもん」
「流石に未来は見えないよ...雪音...あとオレはドラちゃんじゃないからね」
オレは海賊物語に出てくる覇気を極めすぎた人間じゃないよ...別に机の引き出しひいて未来いった訳でもないからね。
娘たちには葵の予想を事前に伝えてある。それが現実になった。だから見届けてくれて感謝している。娘達は十五夜に酷い事を言った理由も知っているが答えは知らない。
「まぁ...帰るか...ふたりとも」
「そうですね...」
「うん...あぁ...でも、パパのよそうがいのこともおきたね...それはどうするの?」
「うグッ...まぁ...でも藤白に関しても十五夜と同じだな...一応...予想はしてたけど...少し予想外だった...なんか精神的に痛かったし...」
「お父さん...唯一苦手な人間関係の課題が出ましたね...」
「はぁ...雪菜...雪音..俺に女神の手を差し伸べてください...」
申し訳なさそうに両手を合わせて頼み。雪菜は雪音に耳打ちをして声を揃えて答えた。
「「ダ~メ♪」」
愛でたくなる笑顔であっさり断られた。
それで何とか藤白に何度も学校で話しかけたが、オール無視で1ヶ月にもわたる大喧嘩になっていた。それで夏祭りでも誘って理由を話して謝罪をしようとしているのだが、一向に進歩が無い。
「雪音、雪菜、藤白...なに食べたいものはあるか...」
「わたあめ~♪」
「任せます」
「・・・・・」
娘達の対応は案の定なのだが、藤白は葵の目を合わせて射的に指をさした。雪菜が藤白と葵を見て提案をした。
「お父さん、雪音とわたあめ買いに行くので、ふたりで射的やってください。あとでそっち向かうので...雪音行くよ」
「うん♪」
「えぇ...雪菜...厳しくないですかね...」ボソッ
取り残された気まずそうな葵とツンデレモード藤白は無言で射的屋台に向かった。
射的なんてやったことが無いからな。少し楽しみである。それは藤白も共感しているらしい。理由は一目瞭然ねこの人形の商品を凝視してソワソワしてるから。そして無言で彼女にスナイパーのおもちゃとゴルフの弾5発を渡し受け取ってくれた。
藤白は構えて人形を集中して狙い引き金を引き「パンッ」と鳴った。見事にハズレた。その後の4発打ち3発は上の人形にあたるが落ちない。最後の1発はターゲットに当たったが落ちなかった。彼女は不機嫌になっていった。
次は葵の番が来た狙いが特にないため藤白が狙った人形の上にあるまっくろくろすけを雪音か雪菜の為に狙った。4発打ったが全部ヒットしているお陰で前に落ちそうである。
「先輩あともう少しですよ!あっ...えっ...と...その...スナイパー持ってると暗殺者みたいで子供たちが怖がるので...さっさと打ってください」
「あっ...あぁ...」
珍しく藤白から俺の袖を引っ張って話しかけてくれて少し会話がはずむと思ったのが、恥ずかしそうな表情を浮かべて考え始め、ツンデレモードなり罵ってきた。
あのまっくろくろすけはミスをしなければ貰えるからなと狙いを定めていたらある事に気づいた。やる価値はあると思い集中して当てる場所を定めた。引き金を引くとその弾はまっくろくろすけにヒットして前に転がった。下の段にあった猫の人形もわずか出ていた頭にあたり一緒に落ちた。
「これって...両方貰えるのですか?...」
店主のコワモテおっさんに聞いた。おっさんは目を大きく開いて吸っていたタバコを落としてとてもイイ笑顔で答えられた。
「お前、狙って落としただろう...久々にいい腕をした奴を見せてもらったよ。イイぞ、ほらよ」
「たまたま落ちただけですよ...」
正直...高野行動のお陰だけどな...関係ねぇけど。
おっさんから猫の人形とまっくろくろすけの商品を貰った。藤白がとても羨ましそうな目をしてジロジロと俺を見ていた。
「欲しいのか...」
「いっいいえ、別にそんなことは無いですけど...」
「そうか...ならいいや...いらないなら...」
「先輩がいらないなら...しょ、しょうが無いから私が貰ってあげてもいいですよ...」
うわぁ...あざといキャラがツンデレになるとここまでギャップが変わるとは...凄いな...。
「どうぞ...」
猫の人形を渡したらスっと受け取り人形でニヤけた顔を隠して機嫌が良くなったのは葵は知らない。わたあめ買いに行った娘達と合流しようとふたりは歩き始めた。
「なぁ...藤白...この前の事だがな...」
「何ですか...」
「今、十五夜には俺が密かに出した課題があるんだよ...」
「課題?いつそんなことを言ったんですか...?」
「それを気づくのは十五夜次第だ......オレが十五夜になんで酷い事を言ったのか意味を知るのは俺だけだ...お前に言わない理由はお前自身の優しさで十五夜に情報を漏れそうだからだ...」
「それは私を信用してないからですか...」
「まぁ...そうなるか...」
「先輩...もう少し...私を信じて下さいよ...」ボソッ
説明して彼女は納得してくれるだろうと思っていたが、それでも不満そうな表情を浮かべている。雪菜たちの姿が見える所まで歩いて行くと、そこには密かに課題を与えられた浴衣の姿をした十五夜凛も一緒にいた。
「お父さん、十五夜さんから言いたいことがあるそうです」
雪菜が俺に気づき、俺と十五夜に気配りをして話を繋げてくれた。そして十五夜と久々に目を合わせた。
「なんだ...十五夜」
「えっ...と...その...ぼっ...俺はバスケをやめる気は無いです...バスケの才能がなくとも...努力をしても無駄であろうとも...誰になんと言われようとも...やめる気はありません...なぜなら...」
「・・・・・」
「僕は誰よりもバスケが好きだからです...そして僕はお兄さんのバスケが一番好きです...表情に出てないのに誰よりもバスケを楽しそうにプレイをしてます...そんなお兄さんのバスケを学びたいんです...だから、お願い致します...また...ぼっ...ぼくに...バスケを...おしぃえて...くださぁい...」
十五夜は涙を凝らしながら震えた声で頭を下げた。
「・・・・・十五夜や頭を上げろ...」
彼は葵のいうことを聞いて頭をあげた。零れた涙を袖で吹いて「ヒクッ...ヒクッ...」と鼻を少しすすんだ。葵は泣いている彼の頭に手を乗せた。
「よく言った...合格...俺の目は間違っていなかったようだな...」
「えっ...それはどういう...意味ですか...」
「お前を試したんだよ...どのくらい真剣で真面目なのか...ついでに選手でもメンタルが弱かったら意味が無いからな...トレーニングにもなっただろうし...一石二鳥なわけよ...」
それを聞いた十五夜は呆然と安心して力が抜け尻もちついた。葵は十五夜の殻が破れた姿が見て、昔、お世話になった先輩に同じことをされた自分の姿が見えた。
まぁ...オレの場合はすぐに十五夜と同じ答えを出したがな...。
一安心したその時、右胸あたりから激痛が走る異変を感じ、呼吸が苦しくなり同時に頭痛も起きた。こんな状況は初めてなった。胸を抑えながら膝間づきうつ伏せになり倒れた。
「パパ!」
「お父さん!」
「十五夜くん!早く救急車呼んで!」
「ハイ!」
咄嗟の判断力で藤白は指示を出した。十五夜はスマホを取り出し119番に連絡をした。雪音たちはパニック状態になり葵の背中を揺らして何度も何度も繰り返して言う。
「パパ...死なないでぇ...お願いだから...おいてかないでぇ...」
「お父さん...また...二度もあんな思いをしたくないんです...だからお願いします...神様...パパを...助けてください...」
そんな言葉を聞いた葵は気を確かに保ち意識が途切れそうな状態で2人を抱きしめて告げる。
「だ...だいじょ...うぶだ...はぁ.....そんな...かん...たんに...しなねぇ...よ...はぁ...はぁ...」
そこから先の記憶は何も覚えてない。気づいたら月が射し込む見知らぬ部屋のベットの上で酸素マスクをつけられていた。酸素マスクを外し体が重いが起き上がり見渡すと、どうやらココは病院らしい。手元を見ると雪音と雪菜が腕を掴んだまま寝ていた。一緒に寝ていた藤白玲美が起き上がり目が合うと抱きしめられた。
「先輩!」
「イタッタッ!なんか脇あたりが痛いんだけど!あと色々と当たってる!」
将来の旦那のための栄養のある胸が!。俺なんかみたいなヤツに当たってる!。主に脇痛い!。
「あっ....つい...取り乱しました...すいません...」
素の藤白が出てきて慌てて猫をかぶるが癖は直らないようだ。彼女は恥ずかしくなったり照れたり素が出た時髪をクルクルと人差し指を中心にして回すが...今回は月の光で光り輝く髪をクルクルと回している風景が美しく柔らかで綺麗だとふと俺も素で思った。
「それで...この状況を知りたいのだが...何があったか教えてくれないか...」
「そうですね...ちゃんと聞いてください...先輩が倒れた理由は特発性自然気胸...通称...自然気胸と呼ばれる肺病になったからです...」
自然気胸とは肺から空気がもれて、胸腔(きょうくう)にたまっている状態をいいます。空気が漏れてたまっても、胸は肋骨があるために風船のように外側に膨らむことはできません。その代わり、肺が空気に押されて小さくなります。つまり、肺から空気がもれて、肺が小さくなった状況が気胸なのです。
10歳台後半、20歳代、30歳代に多く、やせて胸の薄い男性に多く発生します。肺気胸はタバコ吸っている人などがかかります。ちなみに肺気胸と自然気胸は発症理由は同じではありません。
「なるほどな...」
「それにしても医者は不思議そうに「こんなことで倒れるとか大袈裟じゃないかな~」と言っていましたよ」
「悪かったな...多分だけど...いきなりの事だから体が驚いたんだろう...それより藤白...帰らなくていいのか...もう11時だ...」
「それもそうですね...」
「なぁ...藤白...お願いがあるんだが...いいか?」
「どうしたんですか?」
彼女に真剣な眼差しで頼み事をした。
「退院するまで雪音と雪菜の面倒を見てくれないか...」
「誰も面倒を見れないですからね。任せてください」
「そうか...ありがとう...」
「・・・・・先輩がお礼を言うと違和感を感じます...何ででしょうか...」
「悪かったな...性格が陰湿で...」
重くなった空気が和やかになり落ち着きがある空間になった。セバスチャンが来て寝ている娘たちは藤白とセバスチャンがお姫様抱っこで車まで運び家に送り帰った。二人の面倒を1ヶ月は葵家にお泊まりして藤白が面倒を見てくれるので安心する。
数分後、目覚めたと聞いた緊急女性医師が来て、いま体に起きている現状を細かく説明しに来た。
「どうも葵くん、体の状態はどうですか?」
「脇が痛いんですけど...」
「それはね。ザックり言うと応急処置で体に穴を開けてポンプが繋がってるの」
えっ何それ怖っ!。
服を脱いで右脇あたりを見ると小さなチューブが体に通じポンプの中には血が少し混じった水が溜まっていた本当に繋がっていた。
ホントだ...気持ち悪ぃな...。
「それで本題なんだけど...もしかしたら君の身体にはもう一つ病気があるかもしれないだよ...葵くんは...いい体してるから運動選手なんだと思うんだけど...一応...言うけど...この先...その病気のせいで...運動をしてはいけない人生になる...」
「・・・・・そうですか」
「その病気は手術しない限り絶対治らないから...まだ...明日の検査するまで確信は持てないけどね...覚悟はしておいて...」
「わかりました...ありがとうございます...深夜遅くに足を運んで頂き...」
「いえいえ、私はあなたの持病の担当ではないので、明日の10時頃に呼吸器外科という場所に向かってください。では失礼します。お大事に」
案内図と病気の書類をライトのある机に置いて、礼儀正しく会釈をしてドアを開き影が消えた。
そして葵は目を閉じ覚悟と決断の思いを固め普通に寝た。だが、その日の夜はとても...時が長く感じた。
読んで下さりありがとうございます。
あと何話で完結させるか分からないですが、生暖かい目で付き合っていただくと幸いです。