申し訳ないが、惨劇はNG   作:よしなしごと

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時系列としては給料のこと殴りながら聞いてくる人が来る1か2…日前
場面転換がへたくそだったので記号でごまかしています。

暇潰し編の月が分からなかったので初投稿です。


昭和53年8月

 雛見沢村から鹿骨市内の高校に通うことになってから早いものでもう2年が過ぎた。雛見沢から離れるということで実家と神社の管理は公由村長がしてくれるという言葉に甘え、住む場所は茜さんにお世話になっている。

 

 昨年の夏休み以来の帰省になり、葛西さんの車で雛見沢に帰ってきたのだが。

「うーん久しぶりの雛見沢……なんだけどなぁ」

 

「凄いですね、婆っちゃに聞いてはいましたけどこんなになってるなんて」

 

「お二人が帰った辺りからダム反対運動が本格化しましてね。……ちょっとしたテロ活動めいたことをする方も居るようで逮捕者もチラホラと言ったところです」

 

 葛西さんの語る鬼ヶ淵死守同盟の活動は結構な内容でそりゃ警察にマークされちゃうよなって納得するほかなかった。途中のバス停もダム建設反対のビラが所狭しと貼ってあり、1年で姿が大きく変わっていたのが印象的だった。でもガソリンタンクに砂糖を入れるのは止めようね!

 

「それで不確かな情報なんですが……どうも建設大臣のお孫さんが誘拐されたようで。なんとも物騒な話です」

「えぇ……大臣の孫誘拐って大丈夫なんですか?それ。そんな面倒なことどこの誰がやったんですか」

「それは何とも。こちらとしても誰がやったのかは把握しきれていないのが現状です。申し訳ありません」

「相変わらず園崎家は傍観を貫いてるって感じですね。いっそのことお孫さんをこっちで保護するって言うのはどうです?大臣に恩も売れると思うんですけど」

 

 その俺の提案に驚いたのか葛西さんの目が見開かれた(詩音談)らしいが、グラサンの奥をどう見ろと言うのか。

 

「保護とはまた……。いえ否定するつもりはないですが大臣を揺さ振ることが出来ている現状でお魎さんが賛成するかどうか。何とも判断が出来かねますが」

「そこは俺がなんとかしますから、葛西さんはすぐ動けるように準備をお願いします。さっきの話し方からすると潜伏場所は分かってそうですし」

 

 そう言うと少し口元を緩め「お任せください」と請け負ってくれたのはありがたかった。正直な話、葛西さんが動いて負けることはそうあり得ないだろう。

 

◇◇◇◇

 

 

「ゆきちゃん元気にしとったかね?」

「おかげさまで。詩音も来てくれたので家のことは頼りっぱなしですし。茜さんにも家の手配とか色々とお世話になりまして。あとお願いと言うか黙認してほしいことがあってですね」

 

「蒐が好きでやってることさね、ゆきちゃんが気にすることなか。お願いっちゅうんは大臣の孫のことかね。ゆきちゃんがやりたいようにして構わんよ。鬼淵の家とほかの家の間柄はそういうもんさね」

 

「そういうものなんですか」

「詩音だってゆきちゃんが居なかったらどうなってたか解らんよ?」

 

 そんなことをいたずらっ子のように仰るお魎さん。話の内容が内容だけに引き攣った笑顔になってしまったのは勘弁してほしい。ちなみにお魎さんとの話中に詩音は魅音と姉妹水入らずで話し込んでいたそうで俺が行ったときは和やかな雰囲気だった。

 

「それじゃあ婆っちゃの許可も取れたんですね!」

「まぁなんだろ、最初から勝手にやってても怒られなさそうだったけど」

「……幸人さんはそういう所の認識が甘いですよね。鬼淵の家の力って言ったら雛見沢内では絶対的なものなんですよ?現当主様はそういう認識が無いみたいですけど、他の家はそうも言ってられませんから。まぁ、そういうのに疎くなかったから詩音を娶ってはくれなかったでしょうし、そこは感謝してます」

「疎くなくても嫁にしたと思うけどなぁ」

「はいはい、ご馳走様です。葛西も表で待ってますから早く行ってあげてください。詩音は家で預かっておきますから」

 

 挨拶もそこそこに魅音に背を押され部屋から追い出される。きっと園崎家次期頭首として思うところがあったのだろう。

外に出ると黒塗りの高級車が5台ほど止まっていた。30分ぐらいしか経ってない筈なんだけど来るの早くないですかね?

 

「お待ちしてました。それでは向かいましょうか、ただし危険ですので私から離れないようお願いします」

「あっはい」

 

 あまりの手際の良さに締まらない返事をし、葛西さんが運転する車に乗り込む。

道中聞いた話では相手が相手なため、最悪拳銃の出番があるとのことだった。この車は防弾加工されてますから安心してください。あと念の為チョッキを着ておいてください、と言われた時は俺も留守番しに戻ろうかと思った。

 

 犯人が立てこもっている小屋に着いたが、犯人が複数人である可能性を考慮し表の入り口に5人、裏口に5人を回し俺は車の中から見学となった。

それにしても営林署の小屋とはよく考えたものだと感心はするが、小屋の脇に無造作に停めてある車が台無しにしていた。……隠れる気ないよねこれ?

 

 

 誘拐犯たちが拳銃を抜く間もなく無力化されていく。園崎組は鹿骨市内において最強、はっきり分かんだね。

誘拐された寿樹くんも今は疲れから眠ってしまっているが、怪我もなく無事に保護できたようだ。あとは犯人たちを縛り上げて警察にでも連れて行けばこの事件は解決するだろう。

 

「これで一件落着、ですかね?」

一仕事を終え、運転席に戻ってきた葛西さんにそう尋ねる。

「それはなんとも……ただ大臣の孫なんていう重要人物を攫える連中ですから油断は禁物かと」

 

 葛西さんの警戒は尤もなものだったが、結局興宮警察署に向かう道中で誘拐犯の仲間からの妨害もなく奇妙なほど順調に興宮署へと着いてしまった。交番?詰める警官が居なきゃ物置だよね。

 

 

 園崎組(真っ黒ヤクザ)を興宮署につれていく訳にもいかず、寿樹くんと一緒に興宮署へとぶらりお散歩旅だ。……ロケバス扱いされる黒塗りの高級車、なんて贅沢なんでしょう。

 

「こんにちは〜田中太郎でーす」

「鬼淵さんじゃありませんか。……その後ろの男の子は隠し子ですか?流石は雛見沢筆頭だけはありますねぇ。ささ、粗茶しかありませんがこちらへ」

 

 興宮署に入ると珍しく書類を捌いている大石さんが居たが、こちらを見るなりかなりの速度で俺と俊樹くんを取調べ室へ連行した。

 

「書類仕事から逃げたいからって速攻で取調べ室に入れないでくださいよ。俺はいいけど寿樹くんはビックリしちゃうじゃないですか」

「寿樹くん、ですか。で、その男の子どこから来たんですか?」

「さぁ?雛見沢でドライブしてたら見つけただけですから何とも。……あぁ、同乗者はこの場に来れない人なので悪しからず。腹芸は苦手なんで率直に言いますけどこの子を保護して頂きたい」

「詳しく経緯も聞けずに保護しろと?保護するのは構いませんが上を誤魔化すの大変なんですよ?」

 

「……女の子がいっぱい居るお店の半額券あげますから」

「んっふっふ〜しょうがないですね〜!いや、強請ってる訳じゃありませんよ?飽くまでも私は警察官の本分を果たそうとしているだけですからねぇ?」

「分かってますって。じゃあこれ半額券です。寿樹くんのことは頼みましたよ。……恐らく公安の人が来るはずですから」

「ご馳走様です。ところで鬼淵さんの情報は何処から入ってるんでしょうか?」

「企業秘密ですよ。知りたいならその半額券とツケにした分返してくださいね」

 

 そう言うと流石に諦めたようで扉に向かう俺を引き留めることはしなかった。実際情報の出処をなんと答えれば良いのだろうか?……まさか過去の御先祖様です、なんて言える訳もないし。

 

「私に聞いてるってバラしちゃえば?」

「そう言ったところで誰が信じるんだよ、全く。……つーかお前詩音と良い雰囲気になると毎回目の前で『まだ早い』だの『健全なお付き合いを!』とか言うの止めろよな。ショタ喰いしようとしたお前に言われても響かないっての」

「だって〜私に靡かないのに詩音ちゃんには骨抜きにされて……フラれて立場がないじゃない」

 

 いや、知らねぇよと呟きつつ今回の事件が大事にならずに済んで良かったと感じるのだった。おそらくこの後来る公安の人や大石さんは色々と大変だろうが。

 

 




赤坂との邂逅も書きたかったけど諦めました。

鹿骨市内において園崎組は最強
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