魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

前回模擬戦までいくといったな。

すいません。
無理でした。
というかのほほんとした展開になっちゃいました。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第十一話 入学祝い

「あ、貴方!エドワード君でしょ!?エドワード・エルリック君!!」

 

 

真由美は廊下中に響くような大きな声でエドに話しかける。

 

 

(め、面倒なことになった……)

 

 

エドは思わず頭を抱えたくなった。

 

廊下中にいる生徒の視線がエドに集中しているのだ。

 

若干、怨念染みた視線も感じるまである。

 

そして気のせいでなければ、隣にいる女子二名からも厳しい視線が来ている。

 

 

「お呼びみたいだよ……エド」

 

 

「いつ生徒会長と知り合ったのエド?」

 

 

「…………はぁ」

 

 

エドはため息をつきながら笑顔でこちらに声をかけてくる生徒会長の元へと向かったのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「こうして直接話すのは初めてですね?初めまして七草真由美です」

 

 

「どうも……エドワード・エルリックです」

 

 

エドは雫とほのかを引き連れて真由美に挨拶する。

 

真由美は人を魅了するような可愛らしい笑顔で自己紹介する。

 

だがエドは先程から真由美の後ろに控えている男子生徒からの視線が気になっていた。

 

 

(敵意か?)

 

 

左手につけているCADの存在から真由美と同じ生徒会なのだろうが、正直あまり良い気はしなかった。

 

すると真由美は前にいる深雪にエドの紹介を始める。

 

 

「深雪さん……こちらエドワード君。深雪さんも噂で聞いていたと思うのだけれど……()()()の入学試験第一位の生徒さんです」

 

 

「はい。噂には聞いていましたが……彼が」

 

 

「ええ。教師陣の間では貴方達の話題で持ちきりなんですよ?一高始まって以来の……二人の第一位なのですから」

 

 

二人の会話を聞いて周囲がどよめく。

 

エドとしては一刻も早く離れたかったのだがそういう訳にもいかなかった。

 

深雪が自己紹介をしてきたからだ。

 

 

「初めましてエドワードさん。司波深雪と申します。どうぞよろしくお願いしますね」

 

 

(やたらと丁寧な奴だな。少し苦手なタイプだ……)

 

 

少なくともエドの周りにいる女性にはいなかったタイプだ。

 

エドも自己紹介をする。

 

 

「オレはエドワード……エドワード・エルリックだ。クラスはA組だ。こちらこそよろしく頼む」

 

 

「A組なのですか?私もなんです」

 

 

(よりにもよって同じクラスかよ……)

 

 

「そうなのか……。ん?そうだ。お前らも挨拶しとけよ。同じクラスメートになるんだから」

 

 

すると、エドは後ろで固まっている雫とほのかに声をかける。

 

 

「え!?え!?わたし!?」

 

 

「おいおい……緊張しすぎだろ。シャキッとしろ」

 

 

エドはほのかの背中を左手でバシンと叩く。

 

右手でないのが彼の優しさである。

 

 

「うぅ~痛いよエド~」

 

 

「そんなに強く叩いてねえだろ?ほら雫、お前もだ」

 

 

「分かった」

 

 

二人は深雪の前に出て自己紹介を始めた。

 

 

「は、初めまして!み、光井ほのかです!わ、私もA組なんです!よ、よろしくお願いします司波さん!!」

 

 

「北山雫……雫でいい」

 

 

「ほのかさんに雫さんね。私も深雪でいいですよ?」

 

 

「私達は同じクラスになるんだから……タメ口でいい」

 

 

「じゃあそうさせてもらうわね?」

 

 

「うん」

 

 

「わ、私も!!」

 

 

雫のフランクな対応、ほのかの初々しい対応で深雪も敬語をやめる。

 

数秒で仲良くなるのはさすが女子といったところか。

 

 

「仲良くなれたみたいで良かったです。それじゃ私達はそろそろ行きますね。今日はご挨拶させていただいただけですから。深雪さん……と、私も呼ばせてもらってもいいかしら?」

 

 

「あっ、はい」

 

 

真由美に話しかけられた深雪は打ち解けた笑みを神妙な表情に替えて頷いた。

 

 

「では深雪さん、それとエドワード君も……詳しいお話はまた、日を改めて」

 

 

真由美が笑顔で軽く会釈して出ていこうとしたが後ろに控えていた男子生徒が真由美を呼び止めた。

 

胸には八枚花弁のエンブレムがついていることから一科生らしい。

 

 

「しかし会長、それでは予定が……」

 

 

(あらかじ)めお約束していたものではありませんから。別に予定があるなら、そちらを優先すべきでしょう?」

 

 

真由美は食い下がる気配を見せる男子生徒を目で制すると、深雪、達也、そしてエドに意味ありげな微笑みを向けた。

 

 

「それでは深雪さん、エドワード君も今日はこれで。達也君もいずれまた、ゆっくりと」

 

 

真由美は再度会釈して立ち去っていく。

 

その後ろに続く男子生徒は振り返ると、舌打ちの聞こえてきそうな表情で達也、そしてエドワードを睨んで去っていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

(なんだあの野郎……)

 

 

エドは去り際にこちらを睨んできた男子生徒にあまり良い印象を持っていなかった。

 

 

「すいませんお兄様……私のせいで……」

 

 

「お前が謝ることじゃないさ」

 

 

深雪は表情を曇らせる。

 

するとその様子を見た達也は首を横に振ると、ポン、と妹の肩に手を置いた。

 

そのまま髪をすくように撫でると、沈んでいた深雪の表情がみるみる内に赤みを帯びる。

 

 

「お兄様……」

 

 

そのまま見つめ合う二人。

 

(はた)から見ていると少々いや、大分危ない兄妹にしか見えないのだが……当の司波兄妹は自覚がないのか二人だけの空間を作っていた。

 

その様子を空いた口が塞がらないような表情で見るエド。

 

その隣では、ほのかは勿論、珍しく雫まで顔を赤くさせていた。

 

司波兄妹の連れと思われる女子生徒二人も顔を赤くさせている始末である。

 

エドは兄妹のラブラブ具合から己の師である肉屋を経営していたある夫婦を思い出して……胸焼けを起こしていた。

 

 

「あの……せっかくですから、お茶でも飲んでいきませんか?」

 

 

「いいね、賛成!美味しいケーキ屋さんがあるらしいんだ!!」

 

 

すると、司波兄妹の連れの女子生徒二名からティータイムのお誘いがあった。

 

 

「入学式の会場の場所はチェックしていなかったのに、ケーキ屋は知っているのか?」

 

 

「当然!大事なことでしょ?」

 

 

「当然なのか……」

 

 

達也が赤髪の女子生徒と呆れながら話していた。

 

 

「お兄様どういたしましょう?」

 

 

「いいんじゃないか?せっかく知り合いになったことだし。同性、同年代の友人はいくらいても多過ぎるということはないだろうから」

 

 

すると、達也はエド達の方を向き……

 

 

「良ければ君達も一緒にどうだ?」

 

 

「いいのかよ?」

 

 

エドが間髪入れずに返す。

 

 

「ああ、妹がこれからお世話になるかもしれないんだ。だったら仲良くなるのに損はないだろ?」

 

 

「そ、そうか……」

 

 

(こいつ……相当なシスコンだな)

 

 

エドが達也に内心少しだけ引いていると……

 

 

「あ、あの!!ケーキ屋さんじゃないんですけど……オススメの喫茶店があるんです!!」

 

 

ほのかが大きな声で話す。

 

 

「喫茶店?」

 

 

「はい。ここから10分くらい歩いたところにあるんですけど……料理もとっても美味しくて、落ち着いた良い雰囲気のお店なんです」

 

 

「ほのか……もしかして」

 

 

「うん。ピナコさんのところ」

 

 

雫の言葉にほのかが笑顔で返す。

 

 

「あー……じゃあ、皆でばっちゃんのとこいくか」

 

 

エドはその様子に苦笑いしながら達也達を案内することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇー……じゃあ雫とほのかはエドにずっと勉強教えてもらってたんだ」

 

 

「エドワードさんて……すごいんですね」

 

 

エドの後ろでは、雫やほのかと仲良く話している女子生徒二人がいた。

 

名前は千葉エリカと柴田美月。

 

エリカは活発でフレンドリーな性格で、美月はメガネをかけた大人なしめの印象を持つ女の子だ。

 

クラスは達也と同じE組らしい。

 

四人は楽しそうに話している。

 

一科生(ブルーム)二科生(ウィード)といった溝は存在しなかった。

 

そしてエドはというと……

 

司波兄妹と話していた。

 

 

「……ならエドワードは独学で魔法を勉強してたのか?」

 

 

「一応魔法の基礎は教わってたからな。あとは参考書を読みまくって知識をつけて……基礎をかためただけの……ただの付け焼き刃だ」

 

 

一応嘘は言っていない。

 

真理の扉から直接魔法やCADなどに関しての最低限の知識は詰め込まれていたからだ。

 

 

「付け焼き刃で総合一位はとれないと思いますが……」

 

 

だがエドの言葉に深雪は苦笑いで返していた。

 

エド達は喫茶店に向かっている途中で、それぞれ簡単な自己紹介を済ませていた。

 

エドとしては司波兄妹と直接話した印象は普通……とは言いがたいが、仲の良すぎる兄妹にしか思えなかった。

 

だが真理が言うにはこの兄妹には『特別な何か』があるという。

 

 

(こいつらが隠していると思われる『特別な何か』……か。まあ、まだ会ったばかりで何とも言えねえが……仲良くしといて損はないだろ)

 

 

エドはそんなことを考えながら、行きつけの喫茶店である『喫茶 PINAKO』へとついた。

 

 

「ここだ」

 

 

そしてエドが先頭に立って入っていく。

 

 

「今日も来たぜ、ばっちゃん!」

 

 

中には店主のピナコが新聞を読んでいた。

 

店の中は相変わらず客がいなかった。

 

 

「エドじゃないか。あんた今日は学校の入学式だったんじゃないのかい?やたらと速いじゃないか」

 

 

「もう終わったんだよ」

 

 

エドの後ろから雫、ほのか、そして達也達が入ってくる。

 

それを見たピナコは驚く。

 

 

「あんたがその子達以外に人を連れてくるなんて……こりゃ明日は槍でも降るのかねぇ」

 

 

「なんで人を連れてきただけで心配されなきゃいけないんだよ……」

 

 

「あんたの普段の私生活を振り返ってみな。原因が分かるだろうよ。それにしても……」

 

 

そして例のごとくピナコは入ってきた達也、深雪、エリカ、美月、ほのか、雫……最後にエドを見比べる。

 

 

「相変わらずあんたは小さいねぇ。ちゃんと牛乳を飲まないからそんなにチビなんだよ」

 

 

 

ブチッ

 

 

 

「誰がチビだ!アリンコババァ!!」

 

 

 

「あんたに言ったんだよ!このミクロチビ!!」

 

 

 

「うっせえ!コバエババァ!!」

 

 

 

「ナノミクロンチビ!!」

 

 

 

「ダニババァ!!ノミババァ!!」

 

 

 

ほのかと雫が急いで仲裁に入る。

 

 

「ストップストップです!もう!どうして二人ともいきなりケンカになるんですか!皆もビックリしてるじゃないですか!!」

 

 

「落ち着いて」

 

 

エドとピナコのやり取りに唖然とする残りの面子。

 

 

「あぁ……すまなかったね。あんた達もどこでもいいから座りな」

 

 

エド達は奥の窓際の席に7人で座る。

 

机が足りないので隣の机を拝借してくっつけた。

 

ちなみに席順は奥の席は、ほのか・エド・雫となり、手前の席は美月・エリカ・深雪・達也となる。

 

 

「ばっちゃん、なんか適当なケーキ人数分くれ」

 

 

「あいよ」

 

 

すると、落ち着いた面々は話し始める。

 

 

「び、びっくりしました」

 

 

「本当よ」

 

 

美月とエリカが話す。

 

 

「あはははは……まぁ、二人のいつものやり取りといいますか」

 

 

「でもあれは久しぶりに見た。約一年振りくらい?」

 

 

「そうなる……のかなあ」

 

 

エドとピナコのあのやり取りを見るのは、この店の常連となったほのかと雫でも随分久しぶりとなっている。

 

 

「エドワードさんはこのお店の常連なのですか?」

 

 

「ん?ああ。暇さえあればここに来てるな……」

 

 

深雪の質問にエドは答える。

 

 

「落ち着いた……いい雰囲気の店だな」

 

 

「……ただ客が来ない古びた店なだけだ」

 

 

達也の感心するような言葉にエドが適当に答えると……

 

 

「古びた店で悪かったね」

 

 

ショートケーキと、そしてアップルパイやパフェなどを持ったピナコがやってきた。

 

 

「あ、ピナコさん。私も手伝います」

 

 

「悪いね。じゃあ、あそこに置いてあるコップと飲み物持ってきてくれるかい?」

 

 

「分かりました!」

 

 

ほのかは飲み物を運ぶために厨房の中へと入っていった。

 

そこでエドは気付く。

 

 

「なあばっちゃん。オレ、ケーキ以外頼んでないぞ?」

 

 

「あんたたち、今日は入学式だったんだろ?だったらこれは入学祝いとでも思っとくれ」

 

 

「え!?」

 

 

「いいんですか?」

 

 

「そんな悪いです」

 

 

エリカ、美月、深雪が反応する。

 

 

子供(ガキ)が一丁前に遠慮するんじゃないよ。そうさね……じゃあ悪いと思うなら、この喫茶店の常連になっとくれ。それで充分だよ」

 

 

「「「あ、ありがとうございます……」」」

 

 

ピナコの言葉に何やら感動している女性陣。

 

 

「ほれ、そこのあんたもこれ食べな」

 

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 

達也は目の前に置かれたショートケーキを意外そうに見つめる。

 

そして人数分のケーキや食べ物が行き渡ると、丁度ほのかが人数分の飲み物を持ってやってきた。

 

 

「はーい。皆さんジュースどうぞ~」

 

 

ほのかが笑顔でジュースを運ぶ。

 

そして全員の分を入れ終わるとほのかも自分の席についた。

 

 

「じゃあゆっくりしていきな」

 

 

ピナコはカウンターへ戻ると新聞を読み始めた。

 

 

「エド……挨拶して」

 

 

「は?」

 

 

「そうだね!エドなんか言って!!」

 

 

「は?オレが?」

 

 

すると雫とほのかから無茶振りという名の音頭を取らされることになったエドワード。

 

気付くと全員から何やら期待されたような視線を送られていた。

 

 

「はぁ~」

 

 

そしてエドは大きくため息をついたあと……ニヤリと不敵に笑いながら大きな声で言った。

 

 

 

 

 

 

「よし!お前ら!今日はオレの奢りで入学祝いだ!!ジャンジャン飲んで……食べやがれえええぇぇ!!乾杯だああぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「「「「かんぱーーーい!!」」」」

 

 

 

 

 

 

全員で楽しく料理を食べたのだった。

 

そこには一科生(ブルーム)二科生(ウィード)と言った差別意識は既になかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ。楽しいですねお兄様」

 

 

「ああ。そうだな」

 

 

深雪は隣で楽しそうにしている兄を見ると、幸せな気分になるのだった。

 




まあ、こんなのほほん展開もあってもいいよね。
次回こそ最低限、校門前までのやり取りいきたいなあ。

では、また(・∀・)ノ

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