魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

校門前のやり取りまでいきたかったけど、眠くて無理でした。

とりあえずキリがいいところまで書けたので投稿します。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第十二話 差別意識

エドが在籍するA組の教室には、現在彼以外の生徒はいなかった。いや、まだ来ていなかった。

 

そんな中、エドは一人授業の履修登録を行っていた。

 

キーボードを器用に操り、一年間自身の必要と思われる授業を登録していく。……何やら複雑そうな表情をしながら。

 

 

(しっかし……便利な時代になったもんだなあ、おい)

 

 

なぜ彼がこんな表情をしているかというとエドの前世……とはいっても約百年前の事になるのだが、この百年で高校生活の在り方は大きく変わっていた。

 

まず教師が教壇に立つということが無くなった。卓上端末を利用したオンライン授業になるため、わざわざ教室までくる必要がなくなったのだ。

 

それに脳波アシスト、視線ポインタというものまであった。

 

どちらもキーボードを使わずに入力等の端末操作を行うための機器なのだが……現在の主な情報端末の使用方法として主流になっている。

 

だが昔の日本を知っているエドとしては、どうしてもそちらの機器を使うことに微妙に抵抗を感じるため、キーボードで入力しているという訳である。

 

 

「こんなもんか」

 

 

自身の履修登録が終わり、背中をグッと伸ばしていると、丁度教室に雫とほのかがやってきた。

 

 

「あれ?エドもう授業登録終わったの?」

 

 

「ああ。ねみいし」

 

 

エドは早目に終わらせて残りの時間を寝て過ごすつもりであった。

 

 

「また夜更かししたんでしょエド……」

 

 

「だから今日は一人で早く行くって言ってたんだ……」

 

 

ほのかと雫が呆れたような目で見てくる。

 

 

「しゃあねえだろ?調べ物してたんだから。だから早目に終わらせて、少しでも睡眠時間確保しようと必死になってるんじゃねえか」

 

 

「もう!だったら調べ物早く終わらせて、夜ちゃんと寝れば良かったじゃない!」

 

 

「気付いたらもう朝だったんだよ」

 

 

エドは地下室である物について調べていたのだが、調べている内に朝になっていたのだ。

 

エドとほのかが言い合いをしていると……

 

 

「おはようございます」

 

 

凛とした声がエド達に向けられた。

 

 

「あ、おはよう深雪!」

 

 

「おはよう」

 

 

「おー、司波妹」

 

 

その声にほのか、雫、エドが反応する。

 

だが当の深雪はどこかムッとした表情でエドの席の前にいく。

 

 

「もうエドワードさん!私のことは深雪と呼んでくださいと昨日言ったはずです!!」

 

 

「わ、わりい。忘れてた……これでいいか深雪」

 

 

「はい。良いですか?お兄様のこともちゃんと名前で呼んでくださいね?」

 

 

「わぁーってるよ」

 

 

エドは左手で髪をかきながら答えると深雪は満足したようで、ほのかと雫と話し始めた。

 

 

(どうやら……普通に仲良くなれそうだな)

 

 

エドは深雪の様子を横目でチラリと見ながらそんなことを考える。

 

昨日、ピナコの店で入学祝いをしてから司波兄妹だけでなく、エリカや美月といった新しくできた友人とも仲良くすることができた。

 

当初は皆、少々ぎこちなかったが喫茶店でばか騒ぎしてからは普通に話せるような関係になっていた。

 

これでも人生経験豊富な男エドワード・エルリック。

 

周囲の空気を読むことは彼にとって造作もないのである。

 

 

(あ、やべ。もう限界……)

 

 

そして彼は夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「…………ド!」

 

 

「エド!!」

 

 

聞き覚えのある声にエドは目を覚ます。

 

 

「んあっ?」

 

 

「やっと起きたね。ガイダンスもう終わっちゃったよ?」

 

 

エドの目の前には膨れっ面のほのかがいた。

 

その顔は少しだけ呆れているようだった。

 

 

「ふわあああ~……わりいわりい」

 

 

エドがキョロキョロと周りを見回すと、教室には全員生徒が揃っていた。

 

エドの席は一番左端の一番前である。

 

だがガイダンスが終わってもいつまでも起きないエドを見かねたほのかが、わざわざ起こしにきたのだ。

 

すると生徒達がチラホラ出ていくのが見える。

 

少し気になったエドはほのかに話しかける。

 

 

「なあ、このあと何があるんだ?」

 

 

「このあとは専門授業の見学だよ?」

 

 

「見学?」

 

 

「専門過程の授業があるみたいだからどんな授業なのか、まずは見学させようってことみたい」

 

 

「ふーん」

 

 

エドは再度周囲を見る。

 

するとこんな会話が聞こえてきた。

 

 

『おい、どうする?』

 

 

『せっかく一科なんだから先生の解説付きのほうがいいよな』

 

 

『二科の補欠はかわいそうだよなあ。最初から放置だろ?』

 

 

『入れただけで喜んでるからいいんじゃね?』

 

 

『大した実力もなくて魔法師になろうって図々しいよな』

 

 

『一般人は一般人らしくしてろって』

 

 

そんな会話が聞こえてきた。

 

ほのかにも聞こえたのだろう。

 

あまり良い顔をしていない。

 

ほのかの友人には昨日仲良くなった二科生、エリカや美月……そして達也も含まれる。

 

友達がバカにされたようであまり良い気分はしないのだろう。

 

 

(くだらねえ話しやがって)

 

 

もちろんエド自身も面白くなかった。

 

そしてその話をしていた数人の男子の集団が深雪と雫を見ていた。

 

どうやら雫の席は真ん中の後方辺りらしい。

 

そして偶然にも雫の一つ後ろが深雪の席であった。

 

二人は楽しそうに話している。

 

 

「ん?」

 

 

そこでエドはあることに気付く。

 

周囲の男子生徒達が深雪を授業の見学に誘おうとしていたのだ。

 

その男子生徒達も二科生をバカにするような話をしながら、深雪を誘っていた。

 

深雪も傍で聞いている雫もあまり良い反応はしていなかった。

 

そのことに気付いたエドはニヤリと笑う。

 

その顔は俗に言う悪い笑顔であった。

 

エドの様子に気付いたほのかは……顔を少しだけ青くさせた。

 

 

(あ、あの顔は何か企んでるときの顔だ……)

 

 

そしてエドは大きな声で言った。

 

 

 

 

 

 

「おーい!深雪ー!!そんな()()()とじゃなくて……()()()()()()専門授業の見学にいこうぜー!!」

 

 

 

 

 

 

(い、いきなり皆の前で名前呼び!?しかも挑発のオマケ付きいいぃぃ!?)

 

 

ほのかは内心慌てまくりであった。

 

エド(このバカ)はいつか何かやらかすと思っていたが、まさか授業初日でこんな爆弾発言をするとは夢にも思わなかったからだ。

 

案の定、エドに声をかけられた深雪も唖然としていた。

 

 

「おい雫!」

 

 

「分かった」

 

 

エドの意図を理解した雫は深雪の手を掴み、走って教室を出る。

 

エドも呆然としているほのかの手を掴み、走って教室を出ていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エド達が教室を出ていった後、A組の生徒達は正気を取り戻す。

 

女子達は何やらキャーキャーテンションをあげながら興奮し、男子達は騒ぎ出した。

 

 

「なんなんだよあいつ!!」

 

 

「俺達が雑魚だと!?」

 

 

「バカにしやがって!?」

 

 

「しかも司波さんのことをいきなり呼び捨てにしてたぞ!?」

 

 

そして先程深雪に声をかけようとしていた()()()()()は拳を力一杯握っていた。

 

 

「おい!さっきの金髪チビの名前を知ってる奴はいるか!?」

 

 

すると、茶髪の少年の取り巻きと思われる男子生徒が答える。

 

 

「き、昨日聞いたんだけど……あいつ司波さんと同じ入学試験同率第一位の……確か名前は……エドワード・エルリック……だったはず……」

 

 

「あ、あんなやつが一位だなんて……」

 

 

そのことを聞いた周囲の生徒達はさらにどよめく。

 

 

「エドワード……エルリック……」

 

 

茶髪の少年はエドの名前を繰り返しながら呟いた。

 

 

「この屈辱は必ず晴らさせてもらうぞ……エドワード・エルリック!!」

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「バカなんじゃないのおおおぉぉぉ!!!!」

 

 

教室を出てしばらくしたところでほのかがエドの胸ぐらを掴みながら、大きな声で抗議していた。

 

 

「や、やっちまったもんは仕方ねえだろうが!それにクラスも抜けられて良かっただろうが!!」

 

 

「それにしたってやり方ってものがあるでしょおぉ!!どうして無駄に挑発までするのよおおぉぉ!!!!」

 

 

普段の落ち着いて初々しいほのかからは考えられないほどの声量で、エドに掴みかかっていた。

 

 

「ほのか落ち着いて!」

 

 

「落ち着いてほのか」

 

 

これには思わず、深雪と雫もほのかを止めにかかる。

 

 

 

五分後……

 

 

 

なんとかほのかをなだめることに成功した雫と深雪。そしてその原因を作ったエドはというとばつが悪そうに一人、前を歩いていた。

 

深雪はエドに話しかけた。

 

 

「エドワードさん……先程は助けていただいてありがとうございました」

 

 

「……別にあいつらが気に食わなかっただけだ」

 

 

エドはそっぽを向きながら前を歩く。

 

 

「大丈夫。あれは照れてるだけだから」

 

 

「そうなの?」

 

 

「うん。エドは照れ屋だから」

 

 

「なんだかんだ言いながら……エドってお人好しだよね……」

 

 

「うん」

 

 

ほのかの言葉に頷く雫。

 

二人はそんなエドの後ろ姿をじっと見ていた。

 

 

「二人はエドワードさんのこと……信頼してるのね」

 

 

深雪は二人に感じたことを話す。

 

 

「まあ……かれこれ一年の付き合いだし」

 

 

「それなりに?」

 

 

深雪はそんな二人の様子がおかしくて笑ってしまう。

 

 

すると……

 

 

「おーい、お前らさっさと来ねえと置いていっちまうぞー」

 

 

先に行くエドは待ちきれなくなったのだろう。三人を急かす。

 

深雪達は互いに笑いあってエドの後を追いかけたのだった。

 




次回こそ校門前のやり取りまでいける!……と思う。

では、また(・∀・)ノ

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