とりあえず書けたので投稿。
では、どうぞ( *・ω・)ノ
「全員そこを動かないで!!」
校門前に一人の女性の声が響く。
達也達が声の方をした方向を向くと、そこには二人の人物がいた。
「
A組の生徒の一人が大きな声を出す。
新入生達にはそれほどの衝撃があった。
なぜならこの第一高校の『
エドは二人の登場で幾分か冷静になってきたのか、頭に昇っていた血も下がってきた。
そしてすぐに思考を開始する。
(さらにめんどくせぇことになってきやがった……)
エドはバレない程度に周囲をチラリと見回す。
達也達は真っ直ぐに真由美達を見ており、この騒動の中心である森崎も顔を青くさせながら真由美達を見ていた。
それだけでなく……校門前には下校途中と思われる生徒も数多くいた。
こんなにも生徒がいるのだ。
『トラブルが起こった』と……誰かが生徒会や風紀委員に知らせていてもおかしくない。
加えて後ろのこの10m級の石像だ。
どうみても目立つ。
その証拠に真由美と摩利の二人の視線がエドと森崎に向いていた。
だが二人は一度、厳しい視線でゆっくりと周りを見渡すと
「自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、
真由美の告げた言葉でA組の生徒達は完全に蒼白となっていた。
中にはよろめく生徒までいる始末だ。
よろめいたのはエドの隣にいる女の子なのだが。
だがそれも無理はなかった。
真由美の小柄な身体から
それは彼女の威厳を示すには新入生達には絶大すぎた。
その規模のでかさには、さすがのエドも驚いていた。
「君達は……1-Aと1-Eの生徒だな。事情を聞きます。ついて来なさい」
そう言ったのは、真由美の隣にいる摩利であった。
摩利が持つCADには既に起動式の展開がされていた。
ここで怪しげな抵抗の素振りなどを少しでも見せれば、面倒なことになるのは目に見えている。
それを分かっているのかエドの側にいるほのか達や、エリカ達も動けなかった。
(ち……どうする?)
ここで変に口答えすれば、下手をすれば退学になってもおかしくない。
エドがこの第一高校に来た目的は、司波兄妹を監視していると思われるイレギュラーを探しだし、倒すことである。
こんなところで退学になる訳にはいかない。
(穏便に済ますには……ついていくしかねぇか)
そもそもの原因は、エド達に突っかかってきた森崎がCADを使い始めたことにある。
それにこちらが魔法を使用した原因は
正直に事情を説明すれば、あの二人なら分かってくれるだろうという確信がエドにはあった。
エドの精神年齢はこう見えても百歳の域にある。
もっと簡単に言えば、おじいちゃんの精神を持つ若者である。
彼の長年の人を見る眼力は伊達ではないのだ。
そして真由美達に大人しくついていこうとしたそのとき……達也がスッと前に出た。
その行為にエドは思わず目をギョッとさせる。
(達也の野郎……なんのつもりだ?)
達也は毅然とした足取りで摩利の前に歩み出た。
達也の背後には深雪の姿もあった。
エドにはその関係が兄妹ではなく、夫に付き従う古き良き日本の妻という感じに映っていた。
こう見えてもエド……昔はよくテレビドラマを見ていた。
昔見た昼ドラマに……良く似たシーンがあったのを思い出した。
突然出て来た達也達に摩利は
達也は軽く一礼すると摩利に話しかけた。
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
「悪ふざけ?」
達也の言葉に摩利は眉を軽くひそめる。
「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見せてもらうだけのつもりでした。エドワードに関しても、彼の扱う『錬金術』に興味があったので……ですが自分達としては軽く見る程度で良かったんですが、エドワードは……
「は?」
エドは達也の言葉に思わず声をあげる。
そしてすぐに達也の言葉の意図を理解した。
(あ、あいつ……この一件をなかったことにしようとしていやがる!?それにあのときのオレとほのかの会話もしっかり聞いてやがったのか!?)
そんな中でも達也と摩利の会話は続く。
「では他の者達がCADを構えていたことはどう説明する?」
「驚いたんでしょう。あの規模の石像ですし。条件反射ですぐに起動プロセスを実行しようとするとは……さすが一科生です」
「私には君の友人達が、迎撃しようとしている様に見えた訳だが……それでも悪ふざけと主張するのかね?」
「迎撃といっても誰も魔法は使用していませんし、攻撃性のある魔法を
「ほぅ……私には君の言葉がこう聞こえるぞ?
「実技は苦手ですが、
(おいおい……マジかよ)
エドは摩利の言葉を聞いて達也の
魔法師は、
だが
起動式は簡単にいえばデータの塊だ。
それを読み取ることができるなど数百万と呼ばれるデータを全部記憶しているようなものだ。
魔法を使うには起動式が必要である。
だが、使う前から読み取るなど、そんなもの天才的な頭脳を持つエドワードですら、
エドはここで気付く。
(もしかしたらそれが、司波兄妹の秘密に迫る鍵になるかもしれない……)
エドは前にいる司波兄妹の後ろ姿をジッと睨み付ける。
(こいつらが一体何を隠しているのか知らねぇが……だがその秘密に迫ることができれば……イレギュラー野郎に一気に近付くことができるかもしれねぇ)
「君は誤魔化すのが得意なんだな」
摩利は真っ直ぐに達也を睨み付ける。
すると、そこに兄を庇うように深雪が前に出る。
「兄が申した通り、本当に、ちょっとした行き違いだったのです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」
そして、深々と頭を下げた。
まさにその姿は兄妹ではなく、互いを庇い合う夫婦にしか見えない。
その様子に毒気を抜かれた摩利は目を逸らし、真由美に視線を向けた。
「摩利、もういいじゃない。達也君、ただの見学だったのよね?」
「はい」
真由美の視線が次にエドへと向かう。
「じゃあ、あともう一人だけ最後の確認。エドワード君……
「…………」
ここでエドは達也と深雪をチラリと見る。
二人はなにも言わずエドをジッと見ていた。
続いて友人達に目を向ける。
友人達もジッとエドを見ていた。
次に元凶の森崎達を睨み付ける。
森崎達は静かに顔を伏せていた。
「……………………」
そしてエドは何かを堪えるように……何かを耐えるように……両手で頭を掻きむしる。そしてクネクネと動き回ること数秒……
「………………た、ただの……見学だ」
断腸の思いで真由美にそう告げた。
エドの本心としては、森崎だけは確実に二度とこんな気がおきないように脅しておきたかったのだが……。
ちなみにエリカ達はエドの葛藤する様子を苦笑いしながら見ていた。
ほのかとしては、エドが余計なことを言わずにいたのでホッとしていたが。
「生徒同士で教え合うことは禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、行動するだけでも細かな制限があります。これは一学期の授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自習活動は……それまでは控えた方がいいでしょう」
真由美は優しげな表情で全員に告げる。
その真由美に習って摩利も話した。
「……会長がこう仰っているので、今回は不問にするが……以後このようなことがないように全員注意するように」
そして踵を返して立ち去ろうとしたとき……気付く。
「そういえば……その石像はどうにかならないのか?入り口がほぼ塞がっているのだが……」
摩利の発言を皮切りに全員の視線が
「わ、分かってるよ!さっさとなおせばいいんだろうが!!」
エドは両手を構える。
パン!
バチィ!!
そして地面に手をつき、校門前を一瞬で元に戻す。
入り口前にあった石像も無事綺麗に分解され、元に戻った。
「「「「「「おお~」」」」」」
それを見ていた生徒達から思わず感嘆の声が上がる。
「はぁ~」
エドは大きなため息をつきながら皆の方を向き直す。
達也はそんなエドの様子をジッと見ていた。
すると……
「……君の名前は?」
摩利の視線が達也の方を向く。
「一年E組、司波達也です」
「君は?」
エドはキョロキョロと周りを見回す。
「おい呼ばれてるぞ、ほのか」
「ち、違うよ!この流れはどう見てもエドでしょ!!」
「あん?オレのどこに名前が聞かれる理由があるってんだ?」
「聞かれる理由しかないでしょおぉ!!」
ほのかがエドの胸ぐらを掴み、グラグラと揺らす。
「ばかっ……おま……揺らすんじゃ……ねえぇぇ!!」
「エド、ほのか……見られてるから」
「はっ!?あ、あうう……」
雫の冷静なツッコミに冷静になったのか、途端に小さくなるほのか。エドは乱れた服の
「一年A組、エドワード・エルリック」
摩利は小さくフッと笑い静かに返した。
「覚えておこう」
そして真由美が小さく手を振りながら、摩利が少し一瞥しつつこちらを見ながら、校舎へと去っていった。
◆◆◆
「……借りだなんて思わないからな」
二人が校舎へと去っていってから、森崎が達也へと向けて言った。
達也がやれやれといった感じで返そうとしたとき……
「貸してるなんて……「あ゛あ゛!?何寝ぼけたこと言ってやがる!?どう見ても借りだろうが!?」……エドワード……」
森崎の態度に遂に限界を迎えたエドが吼える。
そんなエドを見かねた雫がボソッと言った。
「器の小さな男」
「ああ!?誰が小さいだ!?」
エドはターゲットを雫へと変え、突進していく。
だがエドの相手に慣れている雫は、ベロを出しながら器用にエドから逃げ回る。
その様子をエリカや、美月、レオ、ほのかは呆れたように見ていた。
しかし、その顔は笑顔であった。
気を取り直し、達也は再び森崎と話す。
「貸してるなんて思ってないから安心しろ」
すると、森崎は達也に名乗りを上げる。
「……僕の名前は
「見抜いたなんてそんな大層な話じゃない。単に模範実技の資料映像を見たことがあるだけだ」
達也と森崎はにらみ合う。
「僕はお前達を認めないぞ、司波達也、エドワード・エルリック。司波さんは、僕達と一緒にいるべきなんだ」
「いきなり……「上等だゴラァ!!ガチで勝負してやるよ!!売られたケンカは買うのが道理だ!!!!」……またかエドワード……」
なぜかいつの間にか、側にエドがいた。
達也が雫に視線を向けるが、雫からゴメンと謝るように手を合わせられた。
どうやら抑えきれなかったらしい。
エドが「グルルルルル」と犬のように森崎を威嚇する。
だが森崎は相手にするつもりはないのか、達也達に背を向けて立ち去っていく。
達也は先程の森崎の言葉を返すように……いい損ねた大きな独り言を呟いた。
「いきなりフルネームで呼び捨てか」
その言葉を聞いた森崎はピクッと背中を震わせる。
しかし、彼は立ち止まらず、そのまま去っていく。
彼にくっついていた友人達もその後を追いかけるのだった。
達也はその後ろ姿を黙って見ていたのだった。
すいません。
とりあえず穏便に終わらせました。
論破とか期待した人すいません。
ハッキリ言おう!
無理だ!!!!!
だって頭痛いんですよorz
あと、これからゆっくりと黒幕などの伏線を色々入れていこうと思います(回収できるとはいってない
この小説完結するまでたぶん5年くらいかかるかもしれないですorz
まあ、ボチボチ書いていきます。
次回は、ほんの軽く錬金術説明会。
では、また(・∀・)ノ