魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

書けたので投稿。

今回は錬金術の説明回。
とはいっても軽くですが。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第十五話 錬金術

エド達は駅までの道を一緒に帰っていた。

 

といっても、その途中にあるいつもの喫茶店に向かっているのだが。

 

 

「それにしてもエド、さっきのやつ説明してくれるんでしょうね?」

 

 

「……なにがだよ?」

 

 

エリカが好奇心に溢れた様子でエドに聞く。

 

 

「そうそう!俺も気になってたんだよ!」

 

 

「わ、私もです!」

 

 

レオ、美月も気になるのかソワソワしていた。

 

側にいる深雪も騒いではいないが、先程からエドの方へ視線を向けている。

 

そんななか唯一エドが使った魔法……厳密に言えば魔法ではないが、その名前を偶然知った達也が皆に話した。

 

 

「エドワードが使っていたのは『錬金術』というものらしい」

 

 

「…………」

 

 

エドは無言を貫く。

 

話さないエドを見て雫がフォローを入れる。

 

 

「エドは古式魔法『錬金術』の使い手」

 

 

「錬金術?」

 

 

深雪が雫に尋ねる。

 

 

「うん。えっと……」

 

 

「向こうについたら簡単に説明してやるよ」

 

 

雫が説明しようとしたとき、エドが言葉を遮るように話した。

 

 

「でも不思議よねぇ。その錬金術?だっけ。見たところCADを使ってる感じもなかったし」

 

 

「錬金術を使うのにCADはいらねぇ。簡単に言えばBS魔法みたいなもんだ」

 

 

エドは簡潔に答える。

 

そしてお返しとばかりに、エドもエリカに話しかけた。

 

 

「そういうお前だってやけに変わったCAD使ってんじゃねえか」

 

 

「へぇ。これがCADって分かるんだ?」

 

 

エドの視線の先には、エリカが持つ柄の長さに縮めた警棒のストラップがあった。

 

 

「まぁな。CADの簡単な調整やメンテナンスくらいならできるからな。その経験からCADかそうじゃないかくらいは分かる」

 

 

エドは自分の右手を軽く見ながら話す。

 

それに気付いた雫が話題を逸らすように話し始めた。

 

 

「私とほのかのCADもエドに調整してもらった」

 

 

「うん。エドに調整してもらってから結構調子いいもんね」

 

 

その話に興味を持ったのは達也だった。

 

 

「ほう。エドワード、()()()CAD調整ができるのか」

 

 

()()()?」

 

 

達也の言葉にエドが反応する。

 

そして深雪がにこやかに返した。

 

 

「私のCADはお兄様に調整をしてもらっているんですよ?」

 

 

「へぇ」

 

 

エドは隣を歩く兄妹をチラリと見る。

 

変わらず仲が良さそうだ。

 

そこにほのかが深雪に話しかける。

 

 

「深雪のCADは達也さんが調整してるの?」

 

 

「ええ。お兄様にお任せするのが一番安心だから」

 

 

「少しアレンジしているだけさ。深雪は処理能力が高いからCADのメンテには手が掛からない」

 

 

達也が謙遜するように言うが、深雪の隣を歩く美月が顔を覗きこむように会話に参加してきた。

 

 

「それでも、CADのOSを理解するだけの知識も必要ですよね」

 

 

「基礎システムにアクセスできるスキルも必要だしな」

 

 

美月の言葉にレオもかぶせる。

 

二人はエドと達也を感心するように眺めていた。

 

 

「じゃあどっちかこれも調整してくれない?」

 

 

するとエリカが先ほど見せていた伸縮警棒を持ちだし、達也とエドの二人に見せる。

 

 

「無理。そんな特殊な形状のCADをいじる自信はないよ」

 

 

達也はやんわりと断ったが、エドは意外と乗り気であった。

 

 

「それ、ちょっと見せてもらってもいいか?」

 

 

「え?うん。いいわよ」

 

 

「…………」

 

 

エドはエリカからCADを受け取ると、マジマジと観察する。

 

 

(意外と軽い。ってことは中は空洞か?)

 

 

持ち手の下のところに何か刻印のようなものが入ってることに気付く。

 

 

「刻印型の術式か?」

 

 

「正解。流石CADのメンテしてるだけあって詳しいみたいね。刻印型の術式で強度を上げてるのよ」

 

 

エドは刻印と聞いて、焔を操る女癖の悪い大佐と、イシュヴァール人の傷の男を思い出していた。

 

 

「刻印術式っていや、術式を幾何学紋様化(きかがくもんようか)してサイオンを注入して発動させるってアレだろ?そもそも刻印型の術式は、燃費が悪くて今じゃあんまり使われていないはずだぜ」

 

 

「お、さすが得意分野。でも残念、あと一歩ね。強度が必要なのは、振り出しと打ち込みの瞬間だけ。その刹那にサイオンを流せばそんなに消耗しないわ。兜割(かぶとわ)りの原理と同じよ。……って皆どうしたの?」

 

 

レオの言葉にエリカは普通に返すが、全員エリカに呆れたような感心したような視線を向けていた。

 

 

「エリカ……兜割りって、それこそ秘伝とか奥義とかに分類される技術だと思うのだけれど。サイオン量が多いよりよっぽどすごいわよ?」

 

 

全員を代表して深雪が伝える。

 

エリカは少し焦っているようだった。

 

 

「達也さんや、深雪さん、エドワードさんもすごいけど、エリカちゃんもすごい人だったのね……。もしかしてうちの高校って一般人の方が珍しいのかな?」

 

 

「魔法科高校に一般人はいないと思う」

 

 

美月の天然で素朴な疑問に、雫の的確すぎるツッコミが炸裂し、全員つい納得してしまった。

 

丁度、エドの行きつけの喫茶店『喫茶 PINAKO』へとついた。

 

エドが先頭になって入り、その後に続くように他のメンバーも入っていく。

 

中はいつもの如くガラガラであった。

 

そんな喫茶店の主ピナコは何やら床を掃除していた。

 

 

「どうしたんだよ、ばっちゃん?」

 

 

「ああ、あんたたちかい。悪いね、すぐに片付けるから好きな席に座りな」

 

 

美月がヒョイと覗くように床を見る。

 

 

「花瓶……ですか?」

 

 

「この店を始めてずっと愛用してた花瓶なんだけどね。掃除してるときについ手を滑らせっちまったのさ」

 

 

「ピナコさん……」

 

 

ピナコはなんでもないように語るが、その雰囲気は少し悲しそうであった。

 

すると、突然エドが動き出した。

 

エドは花瓶の前までいくと両手を合わせる。

 

そして花瓶に手を(かざ)すと青白い光が辺りを照らす。

 

花瓶はすっかり元に戻っていた。

 

 

「これでいいかばっちゃん?」

 

 

「エド……あんた」

 

 

ピナコは少し驚いたものの、キセルを咥えてエドに笑いかけた。

 

 

「ふん……礼は言わないよ」

 

 

「いらねぇよ。それよりなんか食わせてくれ、腹減った」

 

 

「あいよ。あんたたちもなんか食うかい?」

 

 

ピナコの言葉に他のメンバーもなんでもいいと伝える。

 

ピナコは料理を作るためにキッチンへと入っていった。

 

エドは奥の席に座ると頬杖をつき、達也達も続いて席につく。

 

レオはキョロキョロと周りを見回すと達也に話しかけた。

 

 

「なぁ達也、お前ここによく来るのか?」

 

 

「いや俺達も昨日初めてきたばかりだ。ここはエドワードやほのか、雫の行きつけの喫茶店みたいでな」

 

 

「へぇ~。落ち着くし、良いとこだな。それより……」

 

 

レオが感心するように言う。

 

そしてエドの方に視線を向けニヤリと笑いかけた。

 

 

「そろそろ話してくれよエド!さっきのやつも錬金術ってやつなんだろ?」

 

 

「あー……まぁな」

 

 

エドが顔を向けると全員期待したような視線で見ていた。

 

あの表情をなかなか変えない達也もジッとエドを見ている程だ。

 

 

「雫さんや、ほのかさんは知らないんですか?」

 

 

「簡単になら聞いたことはあるけど詳しくは知らない」

 

 

「エドったらあんまり教えてくれないんですよ」

 

 

美月の言葉に雫とほのかが答える。

 

それを見たエドはため息をつきながら皆の方を向いた。

 

 

「はぁ、しゃーねぇな。つっても基礎的なことしか教えねえぞ」

 

 

(正直、あんまり言いたくねぇが……法則や構築式の理解をしなけりゃ錬金術は使えない。そもそもオレ自身、扉で錬丹術の知識を見てなかったらこの世界で錬金術を使うこともできなかったしな)

 

 

エドはこの世界で錬金術を使用するとき、地球の龍脈から流れる気の流れを利用している。

 

それは真理の扉の中の知識の入れ込みを耐え抜いたエドだからこそ使えるのだ。

 

 

「お前らから見たら……錬金術は無制限になんでも出せる便利な術に見えてるかもしれないが、実際にはきちんとした法則がある」

 

 

「法則?」

 

 

エドの言葉にエリカが首を傾げる。

 

 

「ああ。簡単に言えば質量が一の物からは同じく一の物でしか、水の性質の物からは同じく水の属性の物でしか錬成はできない。つまり錬金術の基本は『等価交換』。何かを得ようとするならそれと同等の代価が必要ってこった」

 

 

「等価交換……」

 

 

達也が呟く。

 

 

「つまりあのとき校門前で見せた石像も、さっき花瓶を元に戻したときも……その等価交換の法則を基に錬成していたのか?」

 

 

「ああ。錬金術を使用するときは必ずその原材料となる物が必要になる。物質の構成元素や特性を理解し、物質を分解し、そして再構築する。理解・分解・再構築。錬金術はその3つの段階……構築式を描かなけりゃ使うこともできない」

 

 

エドの説明を聞いて既に二人の人物が頭から煙を出しているがエドは気付かない。

 

するとエドはカバンからメモを取り出し、何やら絵を書き始める。

 

そこには錬成陣が書かれていた。

 

 

「こいつは錬成陣つって錬金術を行使するときに必要なもんだ。こいつにエネルギーを流すと錬金術が発動する。まぁ、さっき話してた刻印と似たようなものだと思ってくれ」

 

 

エドはそのメモを机の上に置く。

 

そして錬金術を発動させた。

 

そこには小さな小鳥がいた。

 

 

「「「「「おぉ~」」」」」

 

 

「錬成陣の基本は円の力。円は力の循環を示し、そこに構築式を描くことで発動が可能になる」

 

 

エドは目をつむりながら話す。

 

 

「円には力の流れや、法則という物が存在する。それらの流れを受け入れて理解し、創造する。それがオレ達……錬金術師だ」

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

 

全員が無言となる。

 

エドは呆れたように周囲を見る。

 

 

「…………理解できたか?」

 

 

「「む、難しくて……あ、あんまり……」」

 

 

レオとエリカが声を揃えて言う。

 

エドは左手で髪をかきながら、呆れたように言う。

 

 

「まぁ、簡単に言えば錬金術もそんなに万能じゃねえってことだ。無から有を作り出すことはできない。錬金術といえど、物理法則を完全に無視することはできないんだ。それは魔法も同じだろうよ」

 

 

「なるほどな……」

 

 

達也がポツリと呟く。

 

 

「あの……()(つか)えなければでいいのですが」

 

 

そのとき、深雪が恐る恐る手を上げる。

 

 

「どうした?」

 

 

「私達が初めて錬金術を見たときエドワードさんは両手を合わせて錬成していらっしゃいました……ですが先ほど錬成するには錬成陣が必要だともおっしゃっていました。でしたら、エドワードさんは一体どうやって錬成しているのですか?」

 

 

皆も気になっていたのか、一斉に頷く。

 

 

「あれは両手を合わせて円を作ってんだよ」

 

 

エドが説明を続けようとしたとき……

 

 

「なるほど。つまり両手を合わせることで輪とし、円の力を循環させて錬金術を行使していたのか」

 

 

「自分自身を円に見立てていたのですね」

 

 

すると、達也があることに気付く。

 

 

「エドワード……一つ気になるんだがその場合、()()()はどうなっているんだ?」

 

 

エドは達也のその言葉に驚愕していた。

 

 

(おいおい。『円は力の循環を示し、そこに構築式を描くことで発動が可能になる』とは言ったが、こいつ……たったそれだけでオレの使ってる()()()()()に気付きやがった……)

 

 

錬金術を行使する際、構築式に誤りがあってはいけない。

 

物体の物質を正しく理解していなければ、成功するどころか術者本人に危険が及ぶ。

 

すなわち、リバウンドというものが起こり術者にダメージが返るのだ。

 

エドの出身世界……アメストリス国では『国家錬金術師』なる者達が存在していた。

 

そして、その錬金術師達にも得意分野というものがあった。

 

エドの知り合いの国軍大佐、焔の錬金術師ロイ・マスタングは、炎を操ることから発火布(はっかふ)と呼ばれる摩擦を起こしやすい布に自身の研究した構築式を書いていたり……

 

もう一人の豪腕の錬金術師アレックス・ルイ・アームストロング少佐は、よくブロックや地面を殴って矢やトゲを錬成していたことから、その手甲には再構築に向いた構築式が書かれていた。

 

だがエドは錬成する際に、手合わせ錬成で行うためそういった構築式は必要としていない。否、自分自身を構築式としているため必要ないのだ。

 

 

「自分自身を構築式に見立てているんだ……」

 

 

エドは小さく答える。

 

 

「それはつまり……()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ということか?」

 

 

()()()()()()()()()()()()()。少なくともオレは神様でもなんでもない。たった一人の……普通の人達と変わらない……ちっぽけな人間さ」

 

 

「…………」

 

 

「だが、だからこそオレ達は……錬金術師は……この世のあらゆる物質の創造原理を解き明かし、真理を追い求めるんだ」

 

 

「真理……?」

 

 

「ああ、真理にたどり着けば……お前の言ってることも可能かもな」

 

 

エドは達也の目を真っ直ぐ見て言った。

 

二人はしばらく顔を合わせていたが……ピナコの言葉で中断する。

 

 

「なんだか小難しい話ばかりしてるね」

 

 

ピナコのお盆にはカレーが置いてあった。

 

 

「ん?カレーか」

 

 

「どうせあんたのことだからここで食べて帰ると思ってね。作り置きしておいたんだよ。良かったらあんたたちも食べな」

 

 

「ダンケ!うまそう~!!」

 

 

ピナコの言葉にレオは顔を輝かせる。

 

 

「うわ~いい匂いです~」

 

 

「本当だね雫」

 

 

「うん」

 

 

「おいしそう!」

 

 

美月、ほのか、雫、エリカも待ちきれないといった表情だ。

 

そして全員が食べ始める。すると……

 

 

「「「「「お、おいしい!?」」」」」

 

 

その味の美味しさに全員が驚き、さらに勢いよく食べ始めた。

 

そんななか深雪はというと……

 

 

「あ、あのピナコさん!良ければ……このカレーのレシピを教えてもらえないでしょうか?」

 

 

ピナコにレシピを聞いていた。

 

 

「ふん。こんなババアのレシピで良ければ、いくらでも教えたげるよ。なんだったら作り方も見ていくかい?」

 

 

「い、いいんですか!?」

 

 

「かっかっか。あんたは物覚え良さそうだからね。教えがいがありそうだ。そうさね。まずはこれを食べてしっかり味を覚えな」

 

 

「は、はい!」

 

 

ピナコは大きく笑いながら深雪の背中をパンパンと叩いた。

 

そしてエドと達也も再び話していた。

 

 

「まぁ、話はひとまずここまでにして、まずは食おうぜ」

 

 

「そうだな。いただこう」

 

 

余談ではあるがそのときピナコの作り置きしておいたカレーは全部無くなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……

 

 

 

達也は調べ物を行っていた。

 

 

「エドワード・エルリック……家族はなし。現在は一人暮らしで両親の残した保険金で生活。日本に来る前はドイツで暮らしており二年前に日本に来日。家族は父、母、弟共に病死……そして古式魔法『錬金術』を使う一族……」

 

 

エドワードのことをハッキングして調べていたのだ。

 

しかし……

 

 

「おかしい。いくら調べても『錬金術』らしき情報が出てこない」

 

 

情報が全く出てこないのだ。

 

まるで()()()()()()()()()()()()()

 

これは本来ならあり得ない。

 

古式魔法はその古さから秘匿されているものが多いが何らかの形で伝承として伝わっている場合が多い。

 

だが『錬金術』に関しての情報が全く存在しないのだ。

 

もちろん錬金術という言葉は存在する。

 

だがエドが使っているとされる『錬金術』の情報は見つからなかったのだ。

 

 

「父親は()()()()()()()()していたようだが、大した結果は残されていない。ん?エドワードは()()なのか?」

 

 

そして達也はさらに調べていくがそれ以上の情報は出てこなかった。

 

 

(これ以上調べても無駄か。明日、師匠に相談して調べてもらうか)

 

 

そして達也はパソコンから目を離し、今日の校庭での出来事を思い出していた。

 

 

(エドワード・エルリック……俺が見たこともない魔法式を操る男……あいつが手を合わせた瞬間に未知の魔法式が見えた。あれが恐らく構築式というものだろう)

 

 

達也は顎に手を添え、考える。

 

 

(見たところ錬金術にサイオンを使っている訳ではなさそうだ。本人もそう言っていたことから信憑性はあると見ていいだろう。だがまだまだ情報が足りない)

 

 

そして顔を上げ机に置かれているある物を見る。

 

 

(エドワード……実際に話した印象から見ても好意的で良い奴だ。だが得体が知れない)

 

 

その視線の先には彼の拳銃型のCADがあった。

 

 

(もし俺達兄妹の脅威として立ち塞がることがあれば……排除することも念頭に置いておかなければならないな)

 

 

そしてCADを手に取り一人構えるのだった。

 




次回は生徒会室いきます。

では、また(・∀・)ノ

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