魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

何も言い訳はしません。

ただ一言言いたい。

し、仕方なかったんや((((;゜Д゜)))

なかなか練れないんだもの!
話の構想が練れないんだもの!!

エド活躍させたいし、でも原作も壊したくないし、しかし原作なぞるだけじゃ面白くないし、戦闘シーンは書きたいし、ギャグだって入れたいし!!と葛藤してたら四ヶ月も過ぎてたんだorz

はい。
マジすみません。

とりあえず次はできるだけ早目に投稿したいですはい。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第十九話 風紀委員

「諸君、今年もあの馬鹿騒ぎの一週間がやってきた」

 

 

風紀委員長、渡辺摩利が机を叩きながら声を張り上げる。

 

 

「有力な部員の獲得は各部の勢力図に直接影響をもたらす重要課題であり、その争奪合戦は熾烈を極める。殴り合いや、魔法の撃ち合いになることも残念ながら珍しくない」

 

 

摩利は一年の二人に視線を向ける。

 

 

「今年は幸い卒業生分の補充が間に合った。紹介しよう、立て」

 

 

エドとその向かい側に座っている達也は立ち上がる。

 

 

「1-Aのエドワード・エルリックと、1-Eの司波達也だ。さっそくパトロールに加わってもらう」

 

 

すると席に座っていた一人の風紀委員が疑問の声をあげる。

 

 

「……役に立つんですか?」

 

 

それは達也に向けて放たれた疑問だった。

 

二科生が風紀委員になったという前例は今までなく、疑問に思う者がいてもおかしくない。

 

それだけ一科生と二科生の実力の差は大きいのだ。

 

だが摩利はそんな疑問は下らないとばかりに()()()()返す。

 

 

「心配するな。()()()()使える奴だ」

 

 

摩利は続ける。

 

 

「司波の腕前はこの目で見てるし、エルリックの魔法発動の速さも中々の物だ。……他に言いたいことのある奴はいないか?」

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

「よろしい……話を戻すが、新入生勧誘は風紀委員にとっては新年度最初の山場になる。魔法の不正使用や、騒ぎを見逃さぬよう、またくれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こすことのないように風紀委員の力を見せてやれ。では早速行動に移ってくれ。レコーダーを忘れるなよ。司波、エルリック両名については私から説明する。他の者は、出動!」

 

 

「「「「「応っっ!!」」」」」

 

 

全員が一斉に立ち上がり、踵を揃えて、握りこんだ右手で左胸を叩いた。

 

これは代々風紀委員会が採用している敬礼である。

 

風紀委員達は一斉に本部を出ていく。

 

エドはその様子を唖然と見ていた。

 

 

(暑苦しいところだな……)

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「まずはこれを渡しておく」

 

 

摩利は机の上に二つの物を置く。

 

それは腕章と薄型のビデオレコーダであった。

 

 

「レコーダは胸ポケットに入れておけ。丁度レンズ部分が外に出る大きさになっている。スイッチは右側面のボタンだ」

 

 

エドは言われた通りブレザーの胸ポケットに入れてみる。

 

確かにそのまま撮影できるサイズであった。

 

 

「今回、巡回するときは常にそのレコーダを携帯すること。違反行為を見つけたら、すぐにスイッチを入れろ。ただし、撮影を意識する必要はない。風紀委員の証言は原則としてそのまま証拠に採用される。念の為、くらいに考えておいてくれ」

 

 

摩利は続ける。

 

 

「それとCADについてだ。風紀委員はCADの学内携行を許可されている。使用についても一々誰かの指示を仰ぐ必要はない。……だが不正使用が発覚した場合は委員会除名のうえ、一般生徒よりも厳重な罰が課せられる。甘く考えないことだ」

 

 

そのとき、達也が声をあげる。

 

 

「質問があります」

 

 

「許可する」

 

 

「CADは委員会の備品を使用してもよろしいでしょうか?」

 

 

「……構わないが、あれは旧式だぞ?」

 

 

摩利は意外そうに返す

 

達也が使っているCADは最新型のため旧式を使うとは思っていなかったからだ。

 

達也はCADが置いてある棚に目を向ける。

 

 

「確かに旧式ではありますが、エキスパート仕様の高級品ですよ、あれは」

 

 

「そういうことなら好きに使ってくれ。どうせ今まで埃を被っていた代物だ」

 

 

「では……この二機をお借りします」

 

 

「二機……??本当に面白いな、君は」

 

 

達也は二機のCADを両手首につける。

 

それを見ていたエドが達也に話しかけた。

 

 

「見たことないタイプのCADだな」

 

 

「旧式だからな。今では出回ってるのも極一部だ」

 

 

「ふーん……ん?」

 

 

すると、エドはあるタイプのCADを見つける。

 

それは腕時計型のCADであった。

 

 

(こいつは使えそうだな)

 

 

「ならオレもこれ、借りるか」

 

 

エドは腕時計型のCADを左手へとつけた。

 

 

「君もかエドワード君」

 

 

「……まあ、使えるものは使わないとね」

 

 

エドは苦笑いしながら、摩利へと返す。

 

摩利はそんな二人をどこか楽しげに見るのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「あー……だりぃなおい……」

 

 

「いきなりだな」

 

 

現在エドは達也と共に、一高の中を歩き回っていた。

 

その腕には風紀委員の腕章がつけられている。

 

昨日の模擬戦が終わったあと、エドと達也は風紀委員本部にて摩利から風紀委員の活動について説明を受けた。

 

風紀委員の仕事は主にひとつ。

 

部活勧誘で起こる(いさか)いや争いを事前に止めること。

 

部活勧誘期間中はCADの携帯が許可されるため、どうしても争い事が起こる。

 

主に優秀な人材を入れようとする部活同士の衝突によって……。

 

場合によっては、魔法を使用して強引に話を進めようとする輩もいるので怪我人が絶えないのだ。

 

エド達風紀委員は、それらを事前に止めることが何よりも優先される。

 

また、争い事が既に起こっていたときも同様で暴れている者達を速やかに捕縛することが優先される。

 

なので風紀委員には優秀な人材が常に必要とされているのだ。

 

しかし昨日、説明を受けたときの風紀委員本部はすごかった。

 

ゴミ屋敷とまでは言わないものの、かなり散らかっていたのだ。

 

部屋に入ったエドと達也は思わず顔をしかめたほどだ。

 

二人は話を聞く前に軽く片付けを敢行。

 

その際に本部にやってきた二人組の風紀委員……三年生の辰巳鋼太郎(たつみこうたろう)と、二年の沢木碧(さわきみどり)と知り合う。

 

最初二人は達也が二科生だと知ると懐疑的な視線を送っていたが、達也が模擬戦で服部を下したと知ると、納得がいったかのような顔をした。

 

エドのことは言わずもがな、深雪と同率一位ということを元から知っていたので特にこれといったことはなかった。

 

二人は本当に使える人材かどうかを見ていただけだった。 

 

風紀委員全体でも優越感に浸り見下す一科生と、劣等感に苛まれ苦しむ二科生の長きに渡るこの状態を良しとしていなかったのだ。

 

エドとしては風紀委員の雰囲気が、出身世界の東方司令部に少し似ていたのでちょっと感慨深くなっていた。

 

 

「しっかし……人が多過ぎて嫌になるぜ……」

 

 

エドは周りを見回す。

 

今、エドと達也がいるのは中庭なのだが、勧誘する生徒達であふれていた。

 

 

「今日から部活勧誘が始まるからな。どの部活も新入生の確保に必死なのだろう」

 

 

達也は横を歩くエドを見ると、さらに話す。

 

 

「エドワードはどこか部活に入らないのか?」

 

 

「部活?……あー」

 

 

エドは一瞬考え、答えた。

 

 

「めんどくせぇ」

 

 

「即答だな」

 

 

達也がどこか呆れたように返す。

 

 

「そういうお前はどうなんだよ?」

 

 

「俺も考えてはいないな。何より……二科生(これ)だからな」

 

 

達也は自身の胸を指す。

 

そこには無地のエンブレムがあった。

 

その意味を理解したエドは下らなさそうに返す。

 

 

「……別に気にするほどのことでもねぇだろ。ちゃんと見てくれる奴は見てくれるよ」

 

 

達也はそんなエドの後ろ姿を見ると小さく笑い、呟いた。

 

 

「ふっ……そうだな」

 

 

そして達也は、少し前を歩くエドの後を追った。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

二人は校舎の広場を見回っていた。

 

だがエドはどこか居心地悪そうにしていた。

 

その原因が……

 

 

「なんだかあちこちから視線を感じるんだが……」

 

 

多くの生徒から向けられる好機的な視線であった。

 

そんなエドの疑問に達也が答える。

 

 

「恐らく……エドワードを部活に誘いたいのもあるのだろうが、原因は俺だろう」

 

 

「ん?どういう意味だよ?」

 

 

「一年の一科生と二科生が共に風紀委員として行動しているんだ。目立たない訳がない」

 

 

「あー……ん??」

 

 

エドはどこか納得する。

 

すると、前方が騒がしいことに気付く。

 

 

「なんだ?」

 

 

二人は前へと行くとそこには見知った顔がいた。

 

 

「エリカじゃねえか」

 

 

どうやら勧誘されているらしい。

 

見れば女子生徒の群れに引っ付かれていた。

 

エリカは二科生とはいえ、美少女の類いに入る。

 

主に非魔法競技系の運動部がエリカ争奪戦をしているのだろう。

 

 

「あの……もう離してください!チョッ、どこ触ってるのっ?やっ、やめ……!」

 

 

直後、エリカの悲鳴じみた声が聞こえた。

 

本格的にシャレにならない状況になりつつあるようだ。

 

 

「達也!」

 

 

「……ああ」

 

 

エドは左手につけたCADにサイオンを送ると、ある魔法を発動させる。

 

 

 

光波振動系魔法「フラッシュ」

 

 

 

目眩ましとして空中に閃光を発動させる。

 

そして達也もCADを操作し、勢いよく地面を蹴りつけ走り出す。

 

その振動が魔法式で増幅され、方向性を与えられる。

 

その結果、エリカに群がっていた生徒達は平衡感覚を失い尻餅(しりもち)をつく者が続出した。

 

エドと達也は真っ直ぐに、エリカの元へと走る。

 

そして女子生徒の壁をかき分け、エリカの手を取り短く告げた。

 

 

「「走れ!」」

 

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 

エドはエリカの右手を、達也は左手を手に取り走り出したのだった。

 

 

 

────────

──────

────

 

 

 

「ここまで来ればもう安心だろう……っ……」

 

 

「ああ、ったく大変だったぜ……あっ……」

 

 

校舎裏まで避難が完了した達也とエドの二人は後ろを振り向くが、突如言葉を無くす。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

エリカの服装が大変なことになっていたからだ。

 

髪は乱れ、ブレザーは片側に大きくずれ、制服にはあちこちに(しわ)があり、胸元が細くはだけていた。

 

そこに目線がいったエドは、思わず声をあげる。

 

 

「おいエリカ!さ、さっさと服装を直せ!!」

 

 

「えっ?……あ、ああ、み、見るなっ!!」

 

 

そしてようやく自分の状態に気がついたエリカが、いそいそと服装を直す。

 

その間……男性陣はもちろん後ろを向いていた。

 

 

「……見た?」

 

 

エリカの声が響く。

 

 

「「…………」」

 

 

二人は答えない。

 

否、答えられなかった。

 

こう見えても二人は天才的頭脳を持つ。

 

当然、先程のエリカの姿もしっかりと記憶(メモリー)に焼き付けられていた。

 

少し日焼けしたのか白さを残している胸元、スッキリした鎖骨のライン、下着のカップを縁取るレース飾りのベージュ色まで……しっかりと脳内に焼き付けられていた。

 

 

「見・た?」

 

 

エリカの声がさらに威圧感を含ませる。

 

達也が答えようとしたが、その前にエドが答えた。

 

 

「……見てない」

 

 

だがエリカも譲らない。

 

 

「………見たんでしょ?」

 

 

「…………見てねぇ」

 

 

しかしエドも粘る。

 

 

「見・た・ん・で・しょ・?」

 

 

「……………見てねぇ!」

 

 

「見たんでしょ!?」

 

 

「見てねぇ!!」

 

 

そして両者共に、我慢に限界がきたのか言い合いが始まる。

 

 

「だああぁぁ!さっきから何度も何度もうっとうしい!見てねぇっつってんだろうが!!」

 

 

「嘘つきなさい!さっき顔赤くして視線そらしてたじゃない!!」

 

 

「それはちょっと……無性にそこの木が見たくなっただけだ!別にお前の胸元なんぞ見てねぇ!!」

 

 

「やっぱ見てんじゃないのよ!それに顔赤くさせてんじゃない!し、しかもよりにもよってむ、胸元って……」

 

 

「勘違いすんじゃねぇよ!別にお前の幼稚染みた体型なんぞに興味ねぇ!!」

 

 

「よ、幼稚染みたですって!?これでも体型維持すんのに苦労してんのよ!?それにあんたの方がよっぽど幼稚染みてるじゃない!この豆粒!!」

 

 

「ああっ!?なんだとこの赤猿が!?」

 

 

「誰が赤猿よ!」

 

 

すると、途端に言い合いが始まる野生児二人。

 

 

「…………はぁ」

 

 

達也はそんな二人を止めることから始めたのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「「…………」」

 

 

エドとエリカは互いにムスッとしながら歩く。

 

その様子をため息を吐きながら見守る達也。

 

今、三人は第二体育館、通称『闘技場』へと足を運んでいた。

 

そこでは剣道部の演武が行われていた。

 

それを見る三人。

 

だがその様子は違っていた。

 

興味深そうに見るエド、静かに見る達也、どこかつまらなさそうに見るエリカ。

 

そんなエリカに気付いた達也が話しかける。

 

 

「お気に召さなかったようだな」

 

 

「……だって、つまらないじゃない。見栄えを意識した立ち回りで予定通りの一本なんて。試合じゃなくて殺陣(たて)だよ、これじゃ」

 

 

「宣伝の為の演武だ、それで当然じゃないか?他人に見せられるものじゃないだろ?武術の真剣勝負は、要するに殺し合いなんだから」

 

 

達也はどこか淡々と告げる。

 

 

「……クールなのね」

 

 

「思い入れの違いじゃないか?」

 

 

「…………」

 

 

エドはそんな二人の会話を静かに聞いていた。

 

エリカはどうやら見栄え重視のこの演武が気に入らないようだ。

 

だが、エドとしては嫌いではなかった。

 

かつての出身世界で殺し合い……本物の戦いを知っている彼としてはそれらの演武がどこか輝いて見えたからだ。

 

 

(演武か……そういや弟と……アルとよく組み手したっけ)

 

 

思い出すのは鎧姿だったときのアルフォンスとの組み手……あのときはアルフォンスとの組み手でエドは負けてばかりだった。

 

そんなエドが感慨に耽っていると……

 

 

「─────!」

 

 

「─────!!」

 

 

突然、言い争いのような声が聴こえてきた。

 

 

「ん?トラブルか?」

 

 

達也が呟く。

 

 

「行くぞお前ら」

 

 

そんなときエドが動き出し、我先にと現場へと向かっていく。

 

 

「ちょっとエド!?」

 

 

「はぁ……行くぞエリカ」

 

 

二人もすぐにその後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が追い付くとエドは人混みを掻き分けて、前方で様子を見ていた。

 

エドの視線の先には、一組の男女が言い合いをしていた。

 

 

「剣術部の順番まで、まだ一時間以上あるわよ、桐原(きりはら)君!どうしてそれまで待てないのっ?」

 

 

「心外だな、壬生(みぶ)。あんな未熟者相手じゃ、実力が披露できないだろうから、協力してやろうって言ってんだぜ?」

 

 

「無理矢理勝負を吹っ掛けておいて!協力が聞いて呆れる!」

 

 

「先に手を出してきたのはそっちじゃないか」

 

 

「桐原君が挑発したからじゃない!」

 

 

どうやら剣術部の桐原という男子生徒が、剣道部の壬生という女子生徒に突っかかっているらしい。

 

 

「面白いことになってきたね」

 

 

エリカが呟く。

 

 

「あの二人を知ってるのか?」

 

 

「直接の面識はないけどね」

 

 

エリカが二人について説明する。

 

 

「女子の方は壬生紗耶香(みぶさやか)一昨年(おととし)の中等部剣道大会女子部の全国二位よ。男の方が桐原武明(きりはらたけあき)。こっちは一昨年の関東剣術大会中等部のチャンピオンよ」

 

 

そのとき、エドが疑問の声をあげる。

 

 

「なあ?『剣道』と『剣術』の違いってなんなんだよ?」

 

 

「あ、そっか。エドはそういったことは分からないか。いい?魔法師を目指す人は高校生で剣道をやることはほとんどないの。魔法師が使うのは『剣道』じゃなくて『剣術』、術式を併用した剣技だから。小学生くらいまでなら剣技の基本を身につけるために剣道をやる子も多いけど、中学生で魔法師になろうって子たちは、ほとんど剣術に流れちゃうの」

 

 

「ふーん。剣道も剣術もそんな違いがあったんだな」

 

 

「まあね。おっと、そろそろ始まるみたいよ」

 

 

見ると互いに竹刀を向けあっていた。

 

エドと達也は万一に備えてレコーダのスイッチをオンにする。

 

 

「心配するなよ、壬生。剣道のデモだ。魔法は使わないでおいてやるよ」

 

 

「剣技だけであたしに敵うと思っているの?魔法に頼りきった剣術部の桐原君が、ただ剣技のみに磨きをかける剣道部の、このあたしに」

 

 

「剣技のみに磨きをかけた……ね。大きく出たな、壬生。だったら見せてやるよ。身体能力の限界を超えた次元で競い合う、剣術の剣技をな!」

 

 

それが開始の合図となった。

 

両者共にむき出しの頭部目掛けて、竹刀を振り下ろす。

 

互いの竹刀が激しく打ち鳴らされる。

 

竹と竹が打ち鳴らされる音が音響として体育館内に響く。

 

 

「相討ち?」

 

 

「いや、互角じゃない」

 

 

桐原の竹刀は紗耶香の左腕を捉え、紗耶香の竹刀は桐原の右肩に食い込んでいた。

 

 

「くっ」

 

 

桐原は苦し紛れに声を出す。

 

エドはそんな桐原の動きを見て、違和感を感じていた。

 

 

(竹刀の動きが途中から(にぶ)ってた……。迷いが出たか?)

 

 

「真剣なら致命傷よ。あたしの方は骨に届いてない。素直に負けを認めなさい」

 

 

だが、桐原は虚ろに笑いながら告げた。

 

 

「真剣なら?ふっ……がっかりだぜ。壬生、お前、真剣勝負が望みか?だったら……お望み通り、()()()相手をしてやるよ!」

 

 

すると桐原は左手につけたCADを操作する。

 

そして一足跳びで間合いを詰め、左手で強化された竹刀を振り下ろす。

 

 

「!?」

 

 

紗耶香は咄嗟に後方へ跳び退り、その一撃をかわす。

 

桐原の攻撃は紗耶香には当たっていない。

 

ただかすっただけだ。

 

だが……

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

達也は桐原の使った魔法をすぐに看破した。

 

 

(振動系・近接戦闘用魔法『高周波ブレード』)

 

 

「どうだ壬生、これが真剣だ!」

 

 

再び桐原が動き出そうとするのを見て達也が動こうとするが……それよりも速く動き出した者がいた。

 

エドだ。

 

エドは咄嗟に両手を合わせると、()()()()()()

 

そして紗耶香を庇うようにその強化された竹刀を()()()()()()()()

 

 

 

ガキイイイイィィィンン!!!!!!

 

 

 

周囲に甲高い音が響く。

 

桐原は突然現れたエドに驚き、跳び退く。

 

 

「おいおい……勝負はついたのに魔法まで使用して斬りかかるなんて……男らしくないぜ先輩」

 

 

「お前は……これはっ!?」

 

 

そのとき桐原の使用していた魔法が突如()()()()()

 

そして……

 

 

「ぐわっ!?」

 

 

達也が桐原の左手首を掴み、肩口で膝を抑え込み、拘束していた。

 

 

「誰だ、アイツら!?」

 

「見たこと無いけど」

 

「新入生じゃないか?」

 

「見ろよ、片方は二科生(ウィード)だ」

 

「そういえばあたし、二科の新入生が風紀委員に選ばれたって聞いたよ」

 

「マジかよ、二科生(ウィード)が風紀委員?」

 

 

周囲は突然現れたエドと達也に驚いていた

 

そんななか達也は桐原を組み伏せたまま、携帯端末を取り出し、通信を行う。

 

 

「こちら第二体育館。逮捕者一名、負傷していますので、念のために担架をお願いします」

 

 

達也の声は不思議と周囲に響いた。

 

すると達也の行為に納得がいかなかったのか、剣術部員の一人が怒鳴りつけた。

 

 

「おい、どういうことだっ!?」

 

 

達也は律儀に答える。

 

 

「魔法の不適正使用により、桐原先輩には同行を願います」

 

 

だがその行為も気に食わなかったのか、剣術部の部員は達也に殴りかかった。

 

 

「ふざけんなよ、補欠(ウィード)の分際で!」

 

 

しかし、その部員もすぐに拘束される。

 

 

「ふっ!」

 

 

エドが間に割り込み、相手を投げ飛ばしたからだ。

 

 

「おいおい先輩……さっき達也が言ったはずだぜ。魔法の不適正使用だってな」

 

 

「……ぐっ。ふざけるな!なんで桐原だけなんだよ!?剣道部の壬生も同罪だろうが!?」

 

 

「同罪?そっちこそふざけんじゃねぇよ。元々決着がついた勝負で……()()()()()使()()()()のはそっちだろうが」

 

 

エドが鋭い視線を剣術部の部員に向ける。

 

 

「確かに挑発に乗った壬生先輩にも非はあるが……それだけで壬生先輩を拘束する理由にはならねぇんだよ」

 

 

「ざけんな!この金髪チビが!!」

 

 

剣術部員は再びエドに殴りかかるが……

 

 

「あ゛あ゛?」

 

 

彼の意識はそこで途切れることになる。

 

エドが向かってきた剣術部員の意識を速やかに奪ったのだ。

 

それはもう鮮やかに……一切の動きに無駄がないほど一瞬で。

 

そしてそれを見ていた達也とエリカは、額に手を当て首を振っていた。

 

 

「はぁ……」

 

 

「やっちゃった……」

 

 

すると剣術部員全員がエドと達也へと視線を向ける。

 

 

「この野郎!よくもウチの部員を!?全員そこの金髪チビと二科生(ウィード)を叩きのめせ!!」

 

 

そして全員がエドと達也へと向かう。

 

達也に至っては完全にトバッチリである。

 

だが頭に血が上っている金髪少年にそんなことを気にする余裕はなかったいや、気にしてもいなかった。

 

なぜならその顔は憤怒でそまっていたからだ。

 

 

「上等だゴラアァ!!全員ぶっ飛ばしてやらああぁぁぁ!!」

 

 

そして風紀委員二名対剣術部の乱闘騒ぎになるのだった。

 




次回はついにエドの機械鎧(オートメイル)が話題に。

では、また(・∀・)ノ

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