魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうも|д゚)チラッ

続き書けたで候。

決勝戦終わってからのこと。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第四十九話 新人戦 アイス・ピラーズ・ブレイク&バトル・ボード 女子結果

エドが優勝したことで一高サイドは盛り上がっていた。

 

なぜならあの十師族である一条に勝利したのだから。

 

これには真由美や摩利、十文字といった三巨頭も驚いていた。

 

達也達も応援席から優勝を喜んだ。

 

そして肝心のエドはというと……

 

 

「ギ、ギリギリだった……」

 

 

滅茶苦茶ホッとしていた。

 

エドの言うとおり、この試合はギリギリの勝負であった。

 

爆裂は対象内部の液体を瞬時に気化させる魔法である。

 

その発動工程は、魔法発動→対象の水分を限定→気化による膨張→爆発の()()()()()であるのに対し、エドの錬金術は、錬金術発動→水分の理解→分解の()()()()()である。

 

このタッチの差が両者の明暗を分けた。

 

もし一条が森崎のようにクイック・ドロウ……早撃ちを修得していれば結果はまた変わったかもしれない。

 

そしてエドは第一高校の天幕へと戻る。

 

 

「凄いじゃない!エドワード君!!」

 

 

「本当に大した奴だな、お前は」

 

 

するとテンションを上げた真由美と摩利が近寄ってきた。

 

両者がエドの両肩をバシバシと叩きながら褒めてくる。

 

 

「ど、どうも……」

 

 

エドは少し鬱陶しそうにしながらも、大人しくされるがままになっていた。

 

 

「良くやったなエルリック」

 

 

すると彼女達と一緒に側に来ていた十文字も、エドに賛辞の言葉を送る。

 

 

「……ありがとうございます」

 

 

エドは十文字に頭を下げる。

 

なぜか十文字には素直になるエドである。

 

しかしエドの対応に不満を持つ人物が二人いた。

 

 

「ちょっとエドワード君!私達と十文字君の対応が違いすぎないかしら!?」

 

 

「そうだぞエドワード。真由美は分かるが、私にも同じ対応とは一体どういうことだ?」

 

 

「ちょっと摩利!?」

 

 

真由美と摩利がエドを間に挟んでギャーギャーと騒ぐ。

 

エドが優勝してテンションが上がっているのは分かるが、至近距離でそれを聞かされているエドとしては、たまったものではなかった。

 

 

「だぁああああ!耳元で騒ぐんじゃねぇ!!ガキかあんたら!?」

 

 

その様子を見て、十文字はフッと笑う。

 

 

「ほどほどにしておけよ、お前達……」

 

 

十文字がモニターに視線を移すと、次の競技が始まろうとしていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

見事、新人戦男子アイス・ピラーズ・ブレイクを優勝したエドであったが、女子の方も盛り上がっていた。

 

雫と深雪、エイミィの三人が出場する女子アイス・ピラーズ・ブレイクに、ほのかの出場する女子バトル・ボードである。

 

男子ピラーズ決勝戦でエドは第三高校の一条将輝と当たったが、女子達も第三高校の選手達と当たっていた。

 

エイミィは女子ピラーズ三回戦で十七夜栞(かのうしおり)と、ほのかはバトル・ボード決勝戦で四十院沓子(つくしいんとうこ)と激戦を繰り広げた。

 

二人とも見事相手を制し、勝利を手にする。

 

そして女子ピラーズは、第一高校の上位独占という快挙を成し遂げた。

 

それを理由に大会本部から三名全員(深雪、雫、エイミィ)を優勝としてはどうかとの打診もあったのだが、雫たっての希望で決勝戦のみ、行われることとなった。

 

エイミィは体調不良のため、この勝負は辞退した。

 

そして始まる雫と深雪のエキシビションマッチ。

 

雫は緑色を基調とした振袖、深雪は緋袴に白衣(しらぎぬ)といった日本古来の伝統的巫女装束で試合に望む。

 

互いに勝ち残った強敵を難なく下してきた二人であるが、特に高難度の魔法である氷炎地獄(インフェルノ)を披露した深雪への期待は大きかった。

 

そして開始の合図とほぼ同時に、二人はそれぞれのCADを操作する。

 

深雪は氷炎地獄(インフェルノ)、雫は共振破壊を繰り出す。

 

それと同時に深雪は自陣全体に振動と運動を抑えるエリア魔法を展開することで、共鳴点に達する前に振動を止め、対して雫も氷自体に情報強化をかけることで氷柱が溶けるのを防いでいだ。

 

まさに一進一退の攻防が続くなか、勝負は動く。

 

深雪の放った氷炎地獄(インフェルノ)の放つ熱によって、雫の陣地の氷柱が溶け始めたのだ。

 

情報強化で氷柱自体の情報改変は回避できても、周囲の加熱された空気の物理的エネルギーの影響は阻止できない。

 

ここで出る二人の明確な魔法力の差。

 

しかし、雫は微塵も諦めてはいなかった。

 

雫は発動している魔法をそのままに袖の中からさらに拳銃形態のCADを取り出すと、間髪入れずにトリガーを引いた。

 

すると一本の熱戦が深雪の氷柱、その最前列の1本に命中し、破壊した。

 

『フォノンメーザー』である。

 

フォノンメーザーは、振動系の系統魔法で、超音波照射による熱で攻撃する魔法である。

 

さすがの深雪も一瞬動揺を見せ、雫の想像もつかなかった行動に目を見開く。

 

しかし、次の瞬間には新たな魔法を発動させていた。

 

広域冷却魔法『ニブルヘイム』により、一度雫によって溶けかけていた氷が瞬時に再冷却される。

 

そして双方の空間に広がる液体窒素の霧。

 

深雪は再冷却された雫の氷柱に対して、再び氷炎地獄(インフェルノ)を発動させた。

 

そのとき、氷の表面についていた液体窒素が氷炎地獄(インフェルノ)の熱で一気に気化し、氷柱は全て爆散する。

 

雫の氷柱は全て破壊され、アイス・ピラーズ・ブレイク女子新人戦優勝は深雪が勝ち取った。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

九校戦メンバーが寝泊まりする宿舎にて、ほのかは割り当てられた一室の前で、何やら決心をしてからドアをノックする。

 

 

「入るね」

 

 

ほのかが部屋へ入ると、雫はベッドに静かに座っていた。

 

雫はほのかに気付くと声をかける。

 

 

「優勝おめでとう、ほのか」

 

 

「ありがとう。……雫は残念だったね」

 

 

「うん……悔しいよ」

 

 

雫は表情はいつもと変わらないが、纏う雰囲気と声のトーンが明らかに暗くなっていた。

 

 

「雫……」

 

 

(変わらない表情……でも私には分かる……!)

 

 

するとほのかは雫を抱き締めた。

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

雫は何も言わずに抱き締められ、ほのかも静かにただ雫を抱き締める。

 

すると雫が静かに呟く。

 

 

「最初から勝てるとは思ってなかった」

 

 

「そう……」

 

 

「でも手も足も出なかった……悔しいよ、ほのか」

 

 

「うん、残念だったね……」

 

 

「ん……」

 

 

雫は涙をこらえきれず、ポロポロと零す。

 

ほのかは雫の髪を優しく撫でながら、彼女が泣き止むまで待ち続けた。

 

 

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

「……ありがとう。もう大丈夫」

 

 

「そう……?ね、お茶いかない?少しお腹がすいちゃったの」

 

 

「……うん。じゃあ着替えるからちょっと待っててね」

 

 

雫は涙を拭い、笑顔で話す。

 

泣いたことで気分がスッキリしたようだ。

 

そして二人で気分転換にケーキバイキングに来たのだが……

 

 

(少しでも雫の気を紛らわそうと思ったのにこんなの……間が悪すぎるよぉおおお!!!!)

 

 

丁度お茶をしていた司波兄妹と鉢合わせた。

 

すると深雪が話しかけてきた。

 

 

「優勝おめでとう、ほのか」

 

 

そしてほのかは気付く。

 

 

(あ、どことなく固まった笑顔……深雪も困ってるのかな……)

 

 

「優勝おめでとう、ほのか」

 

 

すると達也も話しかけてきたため、ほのかに道は一つしかなかった。

 

 

「あっ、その、ありがとうございます……」

 

 

(もう引くに引けない!?)

 

 

ほのかが内心テンパっていると、今まで様子を見ていた雫が達也に話しかけた。

 

 

「達也さん、同席してもいい?」

 

 

(雫…………!?)

 

 

「もちろん」

 

 

達也はOKを出す。

 

席は深雪の向かい側に雫、達也の向かい側にほのかとなる。

 

 

(いいの……!?これ……!?)

 

 

ほのかはさらに内心テンパっていた。

 

 

「ケーキセットを二つ」

 

 

「かしこまりました」

 

 

達也が二人の分のケーキを注文する。

 

 

「優勝と準優勝のお祝いだ。ここは俺がご馳走するよ」

 

 

「えっ!?いいんですか!?」

 

 

「……じゃあここは遠慮なく」

 

 

するとほのかは気付く。

 

 

(あ、そうか。多少強引な感じでもわだかまりを作らないように達也さんは考えてくれて、雫もそれを分かって応えてる。慰めようと思ってたのは私なのに……まだまだだなぁ)

 

 

達也は深雪と雫の気まずい雰囲気を払拭させようと、多少強引にでも話す場を整えたのだ。

 

さすが出来る男は違う。

 

そしてほのかはせっかくだからということで、ここで達也にバトル・ボードのお礼を言うことにした。

 

 

「あ、あの!優勝できたのは達也さんのおかげです!ありがとうございました!!」

 

 

「少し、だけどな」

 

 

すると達也も雫へと謝罪の言葉をかけてきた。

 

 

「……雫には悪いことをしたな」

 

 

「なんのこと?」

 

 

雫はなんの謝罪か分からないのか、首を傾げる。

 

 

「勝敗はともかく、本来ならもっと拮抗した試合になったはずなんだが、俺の判断が甘かった。たった二週間で『フォノンメーザー』をものにするのは無理があったと思う」

 

 

「ううん、達也さんは全然悪くないよ。そもそもアレがなかったら反撃の手段すらなかったし。使いこなせていれば、もっと良い試合ができたのに謝るのは私の方だよ。深雪にも歯ごたえのない相手で申し訳ないと思ってる」

 

 

雫の謝罪に深雪も答える。

 

 

「そんなことないわ。あの時は本当にびっくりしたもの。あんな高等魔法が複数CADの同時操作のおまけ付きで出てくるなんて……」

 

 

深雪が言っているのは、雫が『フォノンメーザー』という高等魔法に加えて、『パラレル・キャスト』……CAD同時操作という難易度の高い技術まで会得していたことにある。

 

そういう深雪も『ニブルヘイム』からの『氷炎地獄(インフェルノ)』という高難易度魔法をあっさりと使いこなしているのだが。

 

すると深雪が達也の方を向き、ジト目を向ける。

 

 

「お兄様、あれは本気で私を負かすつもりでしたね?」

 

 

「……俺は二人のどちらにも最善を尽くしただけだ」

 

 

「もう……この人は妹が可愛くないのかしら?」

 

 

「手を抜いたりしたらそれこそ本気で怒るだろうに……」

 

 

深雪の拗ねた様子を見てタジタジになる達也。

 

 

「ぶふっ!」

 

 

「ふふ。こんなところが見られるなんてね……」

 

 

その様子を見ていたほのかと雫も笑顔になっていた。

 

 

(良かった……)

 

 

雫と深雪の様子を見て、ほのかは安心する。

 

二人の間には、もうわだかまりはなくなっていた。

 

そして四人で仲良く談笑していると、見知った顔がやって来る。

 

それにいち早く気付いたのは、ほのかであった。

 

 

「あ、エドだ」

 

 

ほのかの呟きに、達也達も顔を向ける。

 

 

「本当だ」

 

 

「私達と同じように気晴らしに来たのかもしれませんね」

 

 

「せっかくだからエドワードも誘うか」

 

 

そうして達也がエドに声をかけようとしたとき、その前にエドに声をかけた人物がいた。

 

 

「なっ……貴方は、生意気な金髪男!?」

 

 

「げっ……テメェは、いけすかねぇ金髪女!?」

 

 

三高の一色愛梨である。

 

どうやら先輩とバイキングに来ていたらしい。

 

まあ、今はそれどころではないようだが。

 

エドと愛梨、二人は顔を合わせると、互いに極限まで顔を歪ませる。

 

そして例の如く、罵り合いが始まった。

 

ちなみに愛梨の隣にいる先輩の水尾は、苦笑いしながらその様子を見守っている。

 

 

「なぜ貴方がここにいるのかしら?ここは貴方のようなお子様が来るような場所じゃないのだけれど??」

 

 

「そっちこそ、テメェみてえなお転婆お嬢様が来るような所でもないだろ?大人しく出店でなんか食ってろよ??」

 

 

二人は至近距離で顔を見合わせる。

 

 

「さすが言動まで下品な男……まるでお子ちゃまね」

 

 

「品がないのはどっちだ?文句ばかり言うじゃじゃ馬娘が」

 

 

二人の顔に青筋が立つ。

 

 

「ちょっと一条君に勝てたからって調子に乗っているのではなくて?貴方達一高が今はトップでも、まだ三高が逆転する可能性は残ってるのよ??」

 

 

「あーらら、そんな弱気なこと言うなんて自信ないんですかぁ?ですよねぇ!お転婆お嬢様の取り巻き二人はオレ様の妹分達にあっという間にやられちゃいましたからねぇ!!」

 

 

二人の怒りのボルテージが上がっていく。

 

 

「はぁ?」

 

 

「あぁ?」

 

 

そして勢いよく爆発した。

 

 

「こんの金髪豆粒男!今日という今日はもう許さないわ!!ズタズタに引き裂いてやるから覚悟しなさい!!!!」

 

 

「上等だ金髪エクレア女!今日がテメェの命日だ!!返り討ちにしてやるわ!!!!」

 

 

二人のやり取りを側で見ていた水尾は呟く。

 

 

「またやってるよこの二人……」

 

 

そう。

 

この二人は顔を合わせると、すぐに喧嘩へと発展する。

 

そしてどういうわけか行く先々で鉢合わせるため、エドと愛梨のやり取りは、参加してる九校の間ではわりと有名だったりする。

 

 

「し、雫〜!」

 

 

「はぁ……落ち込んでる暇もない」

 

 

「エドワードさんったら……」

 

 

「問題になる前に止めにいくか」

 

 

そして当然離れたところでその様子を見ていた達也達は、さっそく止めに向かうのだった。




次回こそモノリス・コードへ。

あとちょっとミラージ・バット。

では、また( `・∀・´)ノ

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