続き書けたで候。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
達也が呼び出しを受ける前、エドは真由美・摩利・十文字の三巨頭から話を聞いていた。
それはモノリス・コードのメンバーの入れ替えについてであった。
あれから十文字は大会委員会との話し合いに臨み、見事メンバーの入れ替えを認めさせることに成功した。
しかし肝心の入れ替えるメンバーが問題であった。
真由美達の推薦した人物が、まさかの二科生である司波達也だったのだ。
「達也をモノリス・コードのメンバーに?」
「ええ。達也君の実戦の腕は、エドワード君も知ってるでしょ?」
「風紀委員の活動でもお前達はよくコンビを組んでいたしな。まさにこれ以上ない人選という訳だ」
真由美と摩利が話す。
「そりゃ、あいつの腕は知ってますけど……でも色々大丈夫なんすか?」
エドは一応理解するものの、質問する。
達也はチームスタッフではあるが、参加選手ではないし、そのうえ二科生である。
そんな達也をモノリス・コードの選手に起用すると、周囲から反発が起こるのは目に見えている。
達也の性格からしても、簡単には頷かないだろう。
そして案の定、真由美と摩利は表情を厳しくさせた。
「……そこは頭の痛い問題なのよね」
「アイツが素直にうんと言ってくれる……訳はないよなあ」
エドは呆れる。
「……多分オレから頼んでも断られる確率の方が高いっすよ?」
すると十文字が答えた。
「心配するな。司波の説得は俺達でなんとかする。だがエルリック、悪いがお前にもその場に居合わせてもらうことになる」
エドは答える。
「……オレにも関係ない話じゃありませんしね」
「ああ。そのうえでお前と司波の二人で残りの選手を誰にするか話し合ってほしい」
「……分かりました」
そうして達也のモノリス・コードへの打診が決まったのだった。
◆◆◆
そして達也へのモノリス・コード出場打診の一部始終を見守っていたエドは驚いていた。
「逃げるな司波。たとえ補欠であろうとも選ばれた以上、その務めを果たせ」
「分かりました。義務を果たします」
「感謝する」
(すげぇ……本当に説得しちまった……)
エドは達也の説得は無理だろうと確信していたのだが、十文字の説得?の甲斐あって、達也もモノリス・コードの選手として出場することが決定したのだ。
「もう一人の代役については、そこのエルリックと話し合って決めてくれ」
「分かりました」
そして達也がエドの方へと向く。
エドは頭をかきながら、達也の方へと向かった。
「あー……なんか色々巻き込んですまん」
エドはまず謝罪から入る。
出場を渋っていた達也を、半ば強引に巻き込んだことに対する罪悪感のような物が彼の中にあったからだ。
「気にするな。エドワードの事情も分かっているつもりだ」
「……わりぃな」
そして二人は残り一人の代役を話し合う。
「それでエドワード、誰か良さそうな選手は居るか?」
エドは腕を組んで悩む。
だが彼は今更ながら、気が付いた。
「今、大切なことに気付いたんだが……そもそも他の奴らと交流自体してねぇから、誰が戦えるか全く知らん」
「おい」
「えぇ!?」
「お前は……」
エドの言葉に達也はツッコみ、真由美は驚き、摩利は呆れる。
すると達也はアゴに手を添えてしばらく考えると、真由美達へ質問する。
「……チームメンバー以外から選んでもよろしいですか?」
「えっ!?それは!?」
「構わん。あと一つや二つ例外が増えても今更だ」
「十文字君!?」
達也の思わぬ質問に真由美はアタフタするが、十文字がシレッと答えてしまう。
すると達也は予想外な人物の名をあげた。
「では、1ーEの吉田幹比古をお願いします」
「……人選の理由を聞いてもいいかしら?」
真由美が達也へ疑問をぶつける。
「それは幹比古が搦め手に優れた古式魔法師だからです。古式魔法であるが故に、現代魔法師では初見で対処しづらい長所がありますし、俺も作戦が組み立てやすいというのが一つ。そしてエドワードとも既に顔見知りです」
「なるほど。二人のことを考えたら、ピッタリの人選ね」
理由を聞いて真由美は納得する。
その後、事情を説明するために幹比古を会議室へ呼び出す。
いきなり連れて来られて訳も分からず呆然としている幹比古を、達也が得意の口八丁で半強制的に同意させると、そのまま明日の試合の作戦会議をするために、エド達は一端達也の部屋へと集まることに。
その間、真由美達首脳陣は明日の試合に必要な機材を急ピッチで揃えるために動き始める。
そして慌ただしい会議はお開きとなった。
◆◆◆
「まさかこんなことになるなんてね……」
幹比古がため息をつきながら話す。
現在、エド達は達也が一人で使っている宿舎の一室にいた。
そこにはエド・達也・幹比古の三人と、どこからか話を聞きつけたのか、何故かついてきたレオ・エリカ・美月の姿もあった。
「悪いな。現状、俺達が選べる最善の人選で、真っ先に思い付いたのが幹比古なんだ」
「いや、別に不満がある訳じゃないよ。ただ少し驚いただけで……」
するとエリカがからかうように声をかける。
「ミキ、慌てるのはいいけど、ちょっとは落ち着いたら?」
「その呼び方やめい!僕の名前は幹比古だ!!」
幹比古の顔色が少しだけ回復する。
エリカとのいつものやり取りで落ち着いたようだ。
「でもよ、大丈夫なのか?なんも準備してねーんだろ?」
「そうだね……CADはおろか着る物もないよ?」
「安心しろ。試合用の服を準備してないのは俺も同じだ」
「……いや、安心できる要素がひとつもねーんだけど」
レオと幹比古の疑問に達也が答えるが、その天然じみた答えにさすがのレオも言葉をなくす。
するとエドが答えた。
「問題ねぇ。今はリンちゃん先輩や、あーちゃん先輩がお前達の服やCADを用意してくれてる。明日の試合には十分間に合うだろうぜ。それよりも……早く作戦会議しねぇとまずいんじゃねーの?」
時計を見ると、時刻は既に21時を回っていた。
「そうだな。時間も惜しいからさっそく作戦を立てよう。ただ、残念ながら練習する時間はない。大雑把な段取りをつけて、出たとこ勝負なんて力づくと変わらないがな。俺としても不本意だよ」
「うんうん。悪知恵が達也君の持ち味だもんね」
「エリカちゃん……」
「酷いな。その言われようは」
エリカのからかいに達也は苦笑いする。
すると達也は今度はエドの方へ向き、話しかける。
「それはそうとエドワード、モノリス・コードのリーダーはお前だが……俺が仕切ってもいいのか?」
達也の問いにエドはくだらないとばかりに返した。
「確かに名目上はオレがリーダーだが……別にそんなの大した問題じゃねえだろ?実際にオレよりお前の方が幹比古の古式魔法に詳しいしな。つーか、こっちは頼んでる立場なんだぞ?文句なんて言えねぇっつーの」
「そうか」
エドがぶっきらぼうに答える様子に、周囲は苦笑いしながら見ていた。
そして三人は話し合う。
「さて……それじゃ、まずはフォーメーションだが俺が
「オレはディフェンスか」
「僕はミッドフィルダー……」
「エドワードの錬金術は万能だ。相手を拘束したり、そのまま攻撃することもできる。なんなら、モノリス自体を錬成した物で隠すことも可能だ」
「なるほどな。モノリス自体を見えなくさせれば、攻略するのにさらに時間はかかるわな」
「言いたかないけど、それって立派な悪知恵だぜ、達也」
レオは達也の悪知恵に呆れる。
すると達也がポツリと呟いた。
「レオはエリカと同じことを言うんだな」
「よしてくれよ!?」
「どーゆう意味よ!?」
「ハイハイ。二人とも落ち着いてください」
達也の言葉に真っ先に反応するレオに、その言葉にすぐ反応するエリカ、そして二人を慣れたように宥める美月。
E組ではよくある光景である。
そして達也はレオ達をスルーし、説明を続ける。
「次に幹比古の役目だが、
「それは……まあ」
達也と幹比古は以前、ホテルに武装して侵入しようとする賊を捕まえたことがある。
その際に、幹比古が雷撃魔法を使用したのだ。
「古式魔法の秘匿か。試合で使うのはまずいのか?」
「いや、秘匿なのは魔法の発動過程だから呪符ではなく、CADで発動すれば問題ない。でも達也……君は言ったよね?吉田家の術式には無駄が多いせいで、僕は思うように魔法を使えていないって」
「ああ」
「「「「!?」」」」
幹比古の言葉にエド達は驚く。
一年前、幹比古は『星降ろしの儀』という吉田家の儀式の影響で感覚が狂い、スランプに陥っていた。
そのせいか、自分の実力に自信が持てなくなったのだ。
そして幹比古は、どこか縋りつくような表情で達也へと尋ねる。
「じゃあ達也は……僕にもっと効率的な術式を教えてくれるのかい?」
しかし達也の答えは、幹比古の思っていたものとは違っていた。
「教えるんじゃない。アレンジするんだ」
「アレンジ?」
「俺にできることはあの術式の無駄を削ぎ落とし、より少ない演算量で同じ効果を得られるように組み直すだけだ」
「発動中に術の弱点を衝かれないよう偽装が施されているけど……それが無駄に繋がっているってことか」
かつて古式魔法は発動時に長い呪文を唱える又は、詠唱する必要があった。
しかしCADでその発動が高速化された現代魔法では、発動過程での妨害に対する構えはほとんど意味がないものになったのだ。
「ははっ。古式魔法が現代魔法に威力は勝っても敵わないわけだ」
幹比古がどこか投げやりに呟くが……
「それは違うぞ幹比古」
達也は即座に否定する。
「要は使い方だ。知覚外の奇襲なら古式魔法の威力と隠密性に軍配が上がるだろう。俺がお前を推薦したのは、その奇襲力が大きな武器になると考えたからだ」
「奇襲力……そんなこと言われたのは初めてだよ」
幹比古の中で何か満たされるような感覚があった。
それと同時に彼の覚悟も決まった。
「術式はCADにもプログラムしてある。達也の思うようにアレンジしてよ」
「いいんですか?発動過程は秘密ってさっき……」
「うん。でも大丈夫……僕は達也を信じることにする」
美月は心配するが、幹比古は吹っ切れたのか清々しい表情をしていた。
(へぇー。良い顔するようになったじゃねえか)
成り行きを見守っていたエドも幹比古の表情を見て驚いていた。
「ありがとう。信じてくれたついでにもう一つ教えて欲しい」
「いいよ。こういう経緯で秘密が漏れても僕を送り込んだ父上も文句は言えないはずだ」
吉田家は、精霊魔法の名門で神道系の古式魔法を伝承する古い家系である。
当然、その術式が漏れれば大変なことになるが、ここにいる面子はその危険性はしっかりと理解していた。
「安心してくれ。口は堅い方だ」
「俺もだ。約束するぜ」
「私もです」
「オレもな」
「あたしも!口堅いの知ってるでしょ?」
達也、レオ、美月、エド、エリカの五人は口外しないことを約束する。
しかし幹比古はエリカにだけは、ジトーっとした目付きで見ていた。
「ちょっと!何よその目は!?」
「別にー」
そして達也は二人のやり取りをスルーしつつ、質問を続ける。
「じゃあ手短に聞くぞ。『視覚同調』は使えるか?」
「……九重先生はそんなことまで教えているの?」
「まあな」
『視覚同調』は契約中の精霊からイデアを経由したリンクを通じて視覚情報を取得する精霊魔法である。
ちなみに五感全てにアクセスする『五感同調』というのもある。
「答えはYESだ。『五感同調』はまだ無理だけど二つまでなら使える」
「視覚だけで十分だよ。それじゃ作戦だが……」
そして三人は一時間ほど話し合い、大まかな作戦を決めた。
そこから達也は幹比古のCADと、エドのCADの調整に入る。
そうして夜は更けていった。
長くなってしまったので少し分割。
次回はニ試合一気にお送りします。
では、また( `・∀・´)ノ