続き書けたで候。
一年も期間開けて申し訳ないです。
なんというかモチベーションが上がらなくて、全然書けませんでした。
久しぶりなのでリハビリがてら。
では、どうぞ∠( ゚д゚)/
「エドワード君、国防陸軍に興味はない?」
藤林は用意したお菓子を摘みながら、エドへと提案する。
「オレに軍人になれ……と?」
対してエドも用意されたショートケーキを食べながら、返事をする。
「ええ。貴方の錬金術は汎用性が高いし、貴方自身の戦闘能力もかなりのもの。興味があるなら、ぜひ一考してほしいのよ」
「んー……国防陸軍ねぇ」
エドは前世で国家錬金術師として、アメストリス軍に所属していた。
それは一重に、自分の手足と弟の身体を取り戻すために、賢者の石を探すのに、その方が都合が良かったからだ。
「まあ、将来の夢とか、なりたいものとかも特にねぇし、選択肢の一つとして考えとく」
「ええ。それで十分よ」
エドの返答に藤林は満足したように頷く。
「それにしても、モノリス・コードや昼間の件でも思ったが、君は年齢の割にかなり戦い慣れているな。何かやっていたのか?」
柳の質問にエドは答える。
「あー……まあ、オレの
「……な、中々ユニークな人だったんだね」
真田が口元を引き攣らせる。
彼からしたら、到底考えられない出来事だったらしい。
「へぇ。それで一体どんな修業をしていたの?」
「あー……修業なぁ……」
藤林の質問に、エドは目を瞑って考える……が、段々と険しい表情になっていくと、顔から尋常ではない程の汗が流れていく。
次第に身体全体も小刻みに震え出し、あげくの果てにはバイブみたいに震え出した。
ガクッガクッガクッガクッ……と。
それを見た藤林は慌てて言う。
「……言いたくないなら、無理して言わなくてもいいわよ!うん!!」
どうやらエドのトラウマを刺激してしまったらしい。
たとえ転生しても、彼の師匠、イズミ・カーティスはエドの恐怖の象徴だった。
「藤林……」
「藤林君……」
柳と真田は藤林に、思わずジト目を向ける、
「あー……そういえば後数時間でミラージ・バットの決勝が始まるわね」
藤林は露骨に話題を変えるが、誰も特にツッコむ事はなかった。
「司波深雪さんが出るわね。応援しないの?」
「……あいつなら問題ねぇよ」
なんとかトラウマから復活したのか、再びケーキを食べ始めるエド。
「なんせ、天下無敵の最強シスコンお兄様が側についてるからな」
エドの言葉に藤林、柳、真田の三人は吹き出しそうになる。
「し、司波……た、達也君の事ね……」
「ああ。あいつ、深雪の事になると兄馬鹿って言葉が可愛く思うくらいに、常識と自重を外に放り投げる奴だからな。まあ、それは妹の方も同じなんだけどよ……」
「そ、そ……そうなの……か?」
「ああ。兄貴の側に容姿端麗な女が近付くだけで、すぐ嫉妬して周りに冷気振り回しやがるんだよ……ったく、兄好きなのはいいが、限度を覚えろっつーんだよ。近くで巻き込まれるこっちは溜まったもんじゃねー」
エドは段々と愚痴っぽくなっていく。
「世間じゃ、深雪の事は妖精みたいに可憐なイメージがあるんだろうが、オレから言わせりゃ、ただの嫉妬深いブラコン女だなありゃ」
「そ、そう……なん……だね……」
「でもまあ、ツッコミ所満載な兄妹だけど、気の良い奴らだよ、あいつらは。友人になって、まだ四ヶ月くらいの付き合いだけどな」
そう言うエドの顔はとても優しげな表情をしていた。
それと同時に、エドはケーキを食べ終える。
「ふぅ……ケーキ、ご馳走さん。美味かったよ」
「それなら良かったわ」
「で、いつまで事情聴取という名の、このお茶会は続くんだ?」
エドが三人と話を始めて、既に数時間が経過していた。
この数時間で話せる事は、簡単に話した。
自身の家族や、普段の学校生活、錬金術について。
時折、三人も自身の事を交えながら話した。
藤林は元々研究者であったこと、柳は古式魔法師で体術が得意であること、真田は軍人でもあるが魔工師でもあること。
三人と話してみて、エドは悪い人達ではないと判断した。
「そうね。良い時間だし、そろそろ解散しましょうか。それでいいですよね、お二人共?」
「ああ」
「大丈夫だよ」
藤林の提案に、柳と真田の二人も頷く。
「ようやく解散かよ……なら、部屋に戻って昼寝でもすっか」
お菓子を食べた後だからか、眠気を感じたエドは部屋に戻って寝る事にしたようだ。
すると、部屋を出ようとしたエドを藤林が引き止める。
「あ、そうだ。エドワード君……これを渡しておくわ」
「あん?」
エドは藤林から小さな紙切れを受け取る。
そこに書かれていたのは藤林の携帯番号であった。
「これは……?」
「
「いいのかよ……?軍の人間なら、オレの事はあらかた調べてんだろ。なら、
エドの遠回しの警告に、藤林らはその意味を理解する。
(やっぱりこの子は、自分の立場をキチンと理解している。自分に近付いてくる者達がなんの目的があって、なんのために来ているのか……そして、
藤林は推測する。
(恐らく、彼の穴だらけの経歴は何者かを誘き寄せるための罠。いわゆる関係者だけにしか分からない特別なメッセージ。つまり、自らを囮にしてでも接触しなければならない者達がいるという事。そして、無関係な私達を巻き込ませまいと……それをわざわざ口に出している)
藤林はエドと十七号との戦闘を見たこと、エドと直接話した事で、エドの人柄を完璧に理解した。
(基本的に口調は荒っぽいけど、困っている人や、助けを求める人がいると、放っておけないお人好しな性格なのでしょう……優しい子ね)
「
「分かった……ありがたくもらっとく」
「ええ」
エドは渋々、紙切れを受け取ると小さくお礼を言った。
藤林はそれを見て満足そうに頷いた。
「じゃあ、オレはそろそろ部屋に戻るよ」
「ええ、今日は楽しかったわ。また機会があったら会いましょう、エドワード君」
「またな」
「またね、エドワード君」
そうしてエドは三人と別れると、自分の部屋へと戻るのだった。
◆◆◆
部屋に戻って三時間程昼寝をした後、エドは部屋のテレビでミラージ・バットの決勝を見ていた。
結果は一位が司波深雪、二位が一色愛梨となりこの時点で一高の総合優勝が決まった。
深雪の嬉しそうな表情に、愛梨のやり切った表情がエドの印象に残っていた。
「ふーん……中々やるじゃねえか、あの金髪女」
最終日を待たずして総合優勝を決めた一高であるが、明日は九校戦の最後を締め括るモノリス・コードの決勝トーナメントが開催される。
一高チームは順当に勝ち上がって、無事予選一位でトーナメント進出を果たしている。
残り一競技となったのもあって、ミラージ・バットの優勝により一高の総合優勝を決めた深雪を中心に囲んで、少しだけ早いプチ祝賀会が一高のミーティングルームで今夜開催された。
プチ祝賀会の発起人である真由美はグラス片手に、乾杯の音頭を取る
「まだ明日のモノリス・コード決勝を残してはいますが、ひとまず我が校の九校戦優勝を祝しまして、カンパーイ!」
「「「「「カンパーイ!」」」」」
参加者全員がグラスを上げる。
中にはエリカや美月、レオと幹比古の姿もあった。
無論、
そんな中、エドはというと……
「あー!エドったら!!またがっついて!?」
大量の料理を手にがっついていた。
いつものようにほのかが注意する。
「……ぶだよ?(んだよ?)べふにだれにもめいふぁふはへへねへんだはらいいだほうが?(別に誰にも迷惑かけてねぇんだからいいだろうが?)」
「だからってそんなに一気に食べたら身体に悪いでしょ!?自重を覚えなさいよ!自重を!!」
「ほんふぁぶうほうはほほしへはは(そんな悠長な事してたら)、ほうひははふはふばほうが!!(料理がなくなるだろうが!!)」
「なくならないよ!?」
エドとほのかのやり取りを達也達も慣れたもので、少し離れた所から見守っていた。
「凄いですお兄様。初日の懇親会では分からなかったエドワードさんの言葉が自然と分かります」
「ああ、正直俺も驚いている。こんなにもはっきり分かるとは……」
「だから言ったでしょ?嫌でも慣れるって」
雫はドヤ顔しながら頷く。
「さすがに慣れたくはなかったな……」
達也は嘆息しながら、料理を口へ運ぶ。
「なんだかお疲れだね、達也」
「そういうときは腹いっぱい食べて気分転換だぜ!」
「幹比古、レオ」
すると、そこに幹比古とレオの二人がやって来た。
「いや、エドワードはどこでもいつも通りだと思ってな」
「まあ、エドだしな」
「うん、エドだし」
エドだからで通じるのは三人の共通認識である。
「……今回一高が総合優勝出来たのはエドワードの活躍は大きい。アイス・ピラーズ・ブレイクで一条を下して、モノリス・コードで勝てたのもある」
「それを言うなら達也も、今回の九校戦の立役者だと思うぜ?」
「そうだね。達也の担当した競技は全て上位独占だし、モノリスでも一条を倒して優勝したし」
「今思い返しても、改めてすげぇな……」
担当した選手は全員上位に、何より自分自身でも新人戦総合優勝の立役者にして、一高総合優勝に貢献している。
そのとき、達也の持っている端末が音を鳴らした。
達也は二人が話している隙に端末を開き、内容を確認する。
相手は小野遥だった。
達也は明日の夜落ち合う旨を伝え、端末を閉じた。
(明日の後夜祭は参加出来そうにないな……)
達也は深雪が不機嫌になるだろうなと予測する。
だが、これは彼にとって必要事項だった。
(奴等は触れてはいけないものに手を出した。その報いは……必ず受けさせる)
明日の夜、達也は無頭竜のアジトへと襲撃をかける。
だが、この時の彼はまだ知らない。
時同じくして、その妹がピンチに陥る事を……彼はまだ知らない。
後夜祭までいけなかった……。
次回は無頭竜支部襲撃と、後夜祭ですはい。
では、また( `・∀・´)ノ