魔法科高校の鋼の錬金術師   作:Gussan0

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どうもΣ(゚Д゚)

続き書けたで候。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


第六十六話 後夜祭

同時刻……

 

ホテルのとある客室にて、風間玄信少佐は1人の来客を迎えていた。

 

その人物の名は、九島烈。

 

かつて国防陸軍少将の地位まで上り詰めた男であり、風間にとっては退役後であったとしても、礼儀を見せるべき人物であった。

 

 

「……それで本日はどのようなご用件でしょうか?九島閣下」

 

 

「司波達也君について風間君と少し話がしたくてね」

 

 

「……は?」

 

 

「彼は君が三年前に四葉家から引き抜いた深夜の息子だろう?」

 

 

風間の表情が思わず固まる。

 

 

「私が知っていても不思議はなかろう?当時私は師族会議長であり、真夜と深夜は私の教え子だったのだから」

 

 

「……ならば四葉が達也の所有権を放棄していない事もご存知でしょう?」

 

 

「……惜しいとは思わぬか?」

 

 

「惜しいとは?」

 

 

意味有りげに笑う烈。

 

だが、風間は淡々と返した。

 

 

「彼は将来一条の息子と並んで我が国の魔法戦力の中軸となり得るだろう。それ程の逸材を四葉の私的なボディーガードにしておくのは勿体ないと思わないか?」

 

 

「……閣下は四葉の弱体化を望んでおられるのですか?」

 

 

「そうとも。このまま司波達也君とその妹が成長したら四葉は強くなり過ぎる」

 

 

「十師族は【兵器として開発された魔法師】。あの家はその伝統を最も忠実に守り続けていますからね」

 

 

「それでは困るのだよ。今はもう違うのだ。ただ兵器として在るだけでは人の世界から弾き出されてしまう」

 

 

烈の言葉を聞いて、風間は一度目を閉じる。

 

そして、再び目を開いたのと同時に口を開く。

 

 

「………閣下。進言と訂正を申し上げます。達也は憐れむ必要はないと存じます。むしろ彼にとって不本意でしょう。そして訂正ですが、達也は既に我が軍の貴重な戦力です。一条将輝とは戦力の格が違います。一条将輝の戦力を機甲連隊とするなら、達也は単身で戦略誘導ミサイルに匹敵する。彼の魔法は幾重にもセーフティロックが掛けられて当然の戦略兵器だ」

 

 

風間の言葉を烈は面白そうに聞いていた。

 

 

「なるほど。君がそこまで言うほどか。しかし、彼の魔法がどんなものか些か興味があるな」

 

 

「閣下、達也についてはあまり詮索しない方がよろしいかと。何かあれば四葉が黙っていません」

 

 

「うむ。肝に銘じておこう」

 

 

「……自分からもお聞きしたい事があるのですが、宜しいでしょうか?」

 

 

「構わん。言ってみたまえ」

 

 

「閣下は一高のエドワード・エルリックという学生を目にかけていらっしゃいますよね?」

 

 

「ああ、エドワード君か」

 

 

話題がエドの事になった途端、烈は実に楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

「彼を()()()()()()()()()()()()()?私としても彼の行く末は非常に興味があるのだよ」

 

 

「そのエドワード・エルリックに、自分は少しばかり不審な点を感じていましてね……」

 

 

「どう言う事かな?」

 

 

風間の発言に、烈は訝りながら問う。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

「……何故そう思う?」

 

 

「彼の素性については我々も調べました。ですが、彼の経歴はあからさまに怪しい所が多すぎます。閣下がそんな素性の分からない人物の事を気にかけているのは何故かと疑問を抱いた次第です」

 

 

風間の言葉に、烈は一切表情を変えずに返した。

 

 

「……まだ軍に身を置いていたければ、これ以上余計な詮索はしないことだよ、風間君。最悪手痛いしっぺ返しを喰らうのは君一人だけではすまないからな」

 

 

烈はそう言って、その場から立ち上がる。

 

それが退室の合図だと悟った風間は、スッと立ち上がり、自ら見送るためにドアへと歩いていく。

 

と、ふいに烈が歩みを止め、風間へと向き直る。

 

 

「一応警告しておこう。彼について深入りするのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それまでは大人しくしている事だ」

 

 

「………肝に銘じておきます」

 

 

「賢明な判断だ。私はこれで失礼するよ」

 

 

風間が開けたドアから出ると、烈はその部屋を後にした。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

現在、エド達は試合会場にモノリス・コードの観戦に来ていた。

 

今から一高と九高の試合が始まるのだ。

 

 

「ここ空いてるよ」

 

 

ほのかが席の空いている箇所を見つけると、その隣のスペースには意外な面々がいた。

 

 

「「「あ」」」

 

 

なんと偶然にも三高の一色愛梨と十七夜栞、四十九院沓子の姿があった。

 

 

「三人共、偶然だね」

 

 

雫が声をかける。

 

 

「そうね。良かったら貴方達も一緒に観戦しない?」

 

 

「私は大丈夫だけど」

 

 

栞の提案に、雫はエド達の方を見る。

 

 

「……別にいいんじゃねえの?」

 

 

エドがそう答えると、他の面々も特に反対はないようだ。

 

 

「昨日ぶりね」

 

 

「ええ。隣失礼するわね」

 

 

愛梨と深雪が気軽に話す。

 

 

「お主、今日は元気そうじゃのう」

 

 

「え?体調は良いけど……」

 

 

沓子とほのかも普通に話していた。

 

それを見たエドは違和感を覚える。

 

 

「お前ら、いつそんなに仲良くなったんだ?」

 

 

「えっと、ちょっと昨日お風呂で話す機会があってね……」

 

 

「ふーん」

 

 

エドの疑問にほのかが答える。

 

 

「あ、それより試合が始まるよ!」

 

 

試合開始時間が迫ってきたので、エド達も空いてる席に座る。

 

決勝トーナメントの第一試合は岩場ステージで行われる。

 

そしていよいよ始まる試合……

 

 

「一方的だな……」

 

 

達也が呟く。

 

試合開始直後、服部が敵陣へ突進し、九高の出鼻を挫いた。

 

作戦に迷った九高チームを一気に攻め立てたのだ。

 

状況に応じ、多彩な魔法を組み合わせて確実に繰り出す服部刑部少丞範蔵。

 

単一系の術式において、卓越した干渉強度を誇り追い討ちをかける辰巳鋼太郎。

 

そして、【鉄壁】の異名を取る十文字家の領域防御魔法『反射障壁(リフレクター)』を操る十文字克人。

 

 

「強豪九高に主導権を握らせない三人の絶妙な連携は見事だな……」

 

 

一高は圧倒的なコンビネーションで九高に勝利した。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

試合終了後、生徒会長七草真由美は十文字の元へと訪れていた。

 

 

「十文字君、少しいいかしら?」

 

 

選手控え室のドアに真由美が呼び掛けると、少しして上半身がタンクトップ、下半身がプロテクトスーツ姿の十文字が姿を現した。

 

 

「すまないな、こんな格好で」

 

 

「気にしないで。別に裸って訳じゃないんだし」

 

 

十文字の言葉に、真由美は笑ってそう返す。

 

その時、十文字の身体から微かにアルコール臭が漂ってきた。

 

消臭剤に含まれている僅かなアルコール分の臭いだ。

 

汗の臭いを気にした結果だろう。

 

十文字という男は紛れもないジェントルマンだった。

 

真由美は彼らしいなと思いつつも、話を切り出した。

 

 

「師族会議からの通達が来たわ」

 

 

「ほう?」

 

 

「一昨日、一条君が達也君に倒されたでしょう」

 

 

「……それで?」

 

 

「十師族はこの国の魔法師の頂点に立つ存在。たとえ高校生のお遊びでも、その力に疑いを残すような結果を放置出来ないそうよ」

 

 

「つまり、十師族の強さを誇示するような試合をすれば良いのだろう?任せておけ」

 

 

十文字は真由美の言葉にそう応えるのだった。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

モノリス・コードの決勝は第一高校対第三高校で行われる。

 

奇しくも新人戦と同カードである。

 

三高にとっては雪辱戦となるが……

 

 

「半端ねぇな、十文字会頭」

 

 

エドが呟く。

 

渓谷ステージの地形を利用した魔法が次々と十文字へ向けて繰り出されるが、その全ては十文字の展開した障壁によって防がれる。

 

質量体のベクトルを逆転させる。

 

電磁波(光を含む)や音波を屈折させる。

 

分子の振動数を設定値に合わせる。

 

想子の侵入を阻止する。

 

あらゆる種類の攻撃が、その為に展開された幾重もの防壁に阻まれる。

 

多重移動防壁魔法『ファランクス』。

 

この何種類もの防壁を途切れることなく更新し続ける持続力こそが、十文字家の術者の真価である。

 

左右に狭いフィールドを着実に歩みを進める十文字は防壁を維持したまま、敵陣へ堂々と歩いていく。

 

三高選手はそれを無視する事も回避する事も出来ない。

 

攻撃を少しでも緩めたら、即座にやられてしまうのではないかという強迫観念に押し潰されそうになっていた。

 

両者の間の距離が残り十メートルを切ったところで、十文字は歩みを止め、勢いよく地面を蹴った。

 

対物障壁を張ったまま、自らに加速・移動魔法を掛けて三高選手にショルダー・タックルをぶちかましたのだ。

 

三高選手は無す術もなく跳ね飛ばされて、モノリス・コードの決勝戦は恙無く終了した。

 

一高の総合優勝に花を添える、完全な勝利だった。

 

 

「圧巻じゃのう……」

 

 

「さすが十文字家次期当主……凄まじいわ」

 

 

「『ファランクス』をあそこまで使いこなすなんて」

 

 

沓子、栞、愛梨の三人も十文字の実力に舌を巻いていた。

 

 

「あれが十文字家の『ファランクス』ですか……凄いですね」

 

 

さすがの深雪も平凡な感想しか出てこなかったようだ。

 

 

「違うな……あれは多分、本来の『ファランクス』じゃない」

 

 

「そうなのですか?」

 

 

「最後の攻撃は『ファランクス』本来の使い方ではないように思える」

 

 

達也の言葉にエドも同意した。

 

 

「そうだな。まるで力を誇示するかのような戦い方だ」

 

 

観客の拍手に右腕を突き上げて応える十文字。

 

その時、彼の視線がこちらに向く。

 

 

(『俺はお前より強い』……とでも言うつもりか。戦う前から力では敵わないと相手に知らしめる絶対的な抑止力。まさに王者の風格だな)

 

 

こうして十日間続いた九校戦は第一高校の総合優勝で幕を閉じた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

2095年8月12日……

 

全国魔法科高校親善魔法競技大会こと、九校戦は十二日間の全日程を終え、各部門優秀選手が表彰された後、無事に閉会した。

 

そして日没後、ホテルでは華々しく後夜祭が始まっていた。

 

それは、九校戦の最後を飾る、参加者全員が集うイベントである。

 

十日間にわたる熾烈な魔法競技を戦い抜いた生徒達を労うと同時に、交流の機会を持つための場でもある。

 

参加者の中には、ドレスやスーツ姿の者もいるため、華やかさに満ちた、ある意味では魔法協議と同等以上に盛り上がるイベントなのだ。

 

今年に限って言えば、会場内のとある一角を除けばの話なのだが……

 

 

「……エド、何とかしてよ」

 

 

「何でオレに振るんだよ!?」

 

 

会場の片隅にぽっかりと開けた空間を遠巻きに見やりながら、ほのかとエドが声を潜めながら言い合いをする。

 

二人が先程からちらちらと見ている先の空間。

 

その中心には、一人の少女が立っていた。

 

彼女の名前は、司波深雪。

 

このようなパーティー会場であれば、男女を問わず放っておく人間など入る筈が無いのだが……今、彼女の周囲には、給仕を含め、人っ子一人いなかった。

 

それもその筈。

 

絶世の美女と呼ぶべき美貌からは、まるで能面を被せたかのように表情が消えており、その目は光を全く映していなかった。

 

そんな闇落ちした彼女の放つプレッシャーと、その感情故に抑えきれていない魔法力によって齎される極寒の冷気が、人を近付けずにいた。

 

 

「あちゃ~……こりゃ、達也君がいないのが、相当堪えてるみたいだね」

 

 

「後夜祭で達也と踊るのが楽しみだったんだろうね……」

 

 

現状を何とかしようとしていたエドとほのかのもとへ、給仕をしていたエリカと幹比古が現れる。

 

深雪が現在進行形で超絶的に不機嫌な理由はただ一つ。

 

この場に敬愛すべき兄である達也がいないことにあった。

 

九校戦で彼女がここまでの戦果を挙げてこられた理由の一つが、この後夜祭で兄に祝ってもらい、ダンスをすることを夢に見ていたであろうことは、深雪を知る全員が理解していた。

 

故に、急用で達也の後夜祭参加が不可能になったという事実を聞かされた深雪がショックを受けるのは当然のことだった。

 

 

「けど、深雪は一高優勝に大きく貢献した立役者なんだよ?このまま放っておくのは絶対まずいって!?」

 

 

「だからって、何でオレなんだよ!?」

 

 

この後夜祭は、九校の交流の場でもあるのだ。

 

第一高校の新世代の代表としてその実力を知らしめた深雪には、他校の生徒とも交流してもらわねばならない。

 

会場の片隅で冷気を放ったまま棒立ちにさせるわけにはいかないのだ。

 

そこでほのかは、エドに深雪のダンスの相手をさせようとしていた。

 

男性であり、深雪同様に九校戦で多大な戦果を挙げたエドならば、ペアでダンスをしても違和感は無い。

 

何より、男性の代表選手--達也と幹比古は便宜上は除く--の中では、深雪と最も仲が良い間柄のため、この役割は適任と判断したのだ。

 

 

「少しの間でいいから、深雪の意識を達也さんから反らして欲しいの!そうすれば、他の学校の生徒も便乗してダンスに誘えるようになる筈だから!!」

 

 

「あんな状態のあいつに、どうやって話し掛けろってんだよ!?」

 

 

しかし、エドも必死に抵抗する。

 

会場の中央でダンスに興じる生徒達を羨ましそうに眺める深雪は、控えめに言って恐ろしい。

 

加えて、手に持ったグラスに入ったシャンメリーが凍結していることからして、彼女の周囲は既に氷点下になっていることは明らかだった。

 

下手に機嫌を損ねれば、凍死は避けられない。

 

どこまでも平行線をたどりそうな二人の言い合いだったが、ほのかに援護射撃をする者達が現れる。

 

 

「エルリック、俺からも頼む。司波さんをダンスに誘ってくれ!」

 

 

「一条!?何でお前等がここにっ!?」

 

 

「あら、私達もいるわよ?」

 

 

「テメェは一色……!?」

 

 

エドのもとへ新たに現れたのは、クリムゾン・プリンスこと一条将輝と、モノリス・コードにおいて彼とチームを組んでいた吉祥寺真紅郎とアルフォンス・ロクベル。

 

さらにその後ろには、同じく三校の女子代表と言うべき一色愛梨が立っていた。

 

その両脇には、四十院沓子と十七夜栞を伴っている。

 

ちなみになぜエドが彼女達の名前を呼んでいるかと言うと、そう呼ぶように提案されたからである。

 

 

「今の司波さんをダンスに誘うには、同じ学校で仲の良いお前に先陣を切ってもらうしかないんだ!この通りだ!!」

 

 

「僕からも頼むよ。将輝の頼み、どうか聞き入れてもらえないかな?」

 

 

三校の代表格二人に深々と頭を下げられての頼み事とあっては、流石のエドも簡単には撥ね退けられない。

 

譬えその真意が、深雪とダンスを踊ってお近づきになりたいという下心だったとしても。

 

 

「全く……懇親会であれだけ大口を叩いておきながら、情けなくってよ。同級生の女の子をダンスに誘うくらい、やってのけなさい!」

 

 

「愛梨の言う通りじゃな。ここは男気を見せるところじゃろう」

 

 

「無茶を言うな!無茶を!!」

 

 

愛梨と沓子からの容赦の無い物言いに、エドは声を荒げる。

 

そこまで言うなら、同じ学校のクリムゾン・プリンスにやらせろと言いたくなる。

 

ちなみにこの間、アルフォンスと栞は黙ってそのやりとりを見守っていた。

 

二人とも心情的には友人の味方ではあるが、その頼みが無茶ぶりであることは理解していたからだ。

 

 

「エド、逃げ場は無い。覚悟した方がいいよ」

 

 

「し、雫っ……!?」

 

 

そして最後に現れたのは、ほのかの親友である雫だった。

 

いつもと変わらない、感情の読み取れない表情だが……エドは、彼女の目を見て何か不吉な予感を覚えた。

 

そして表情と同様、常と変わらないフラットな声音で、残酷な事実を宣告する。

 

 

「さっき、会長と会頭から言伝を頼まれた。エドに、深雪をダンスに誘わせろって」

 

 

「んなっ……!?」

 

 

齎された驚愕の事実に、エドは口を大きく開けて驚愕を露にする。

 

そんなエドに対して、雫は淡々と残酷な宣告を続けた。

 

 

「二人とも、一高の代表として各校の代表や関係者に挨拶回りに行っていて、こっちのカバーはできないって。だから、深雪のことはエドに任せるって言ってた」

 

 

「な、な、なな……っ!!」

 

 

一高の代表たる真由美と十文字から下された、恐怖のミッション。

 

逃げ場を完全に塞がれたエドは、会場を見渡し、目標の人物--真由美と十文字を探そうとする。

 

程なくして、真由美を視界に捉えることに成功する。

 

そして、彼女もエドの視線を察知したのか、視線を向けてきた。

 

そして、絶望の表情を浮かべるエドに向かって親指を立ててウインクすると、そそくさと去って行った。

 

助ける気ゼロである。

 

 

「生徒会長達の指令となれば、無視はできないんじゃないか?」

 

 

「いい加減、覚悟を決めなさい!男でしょうが!!」

 

 

「あのなぁ……!」

 

 

雫の言う通り、逃げ場が無くなったエドを、容赦なく命懸けのミッションに駆り立てようとする将輝と愛梨。

 

しかし、エドとて命は惜しい。

 

何とか理屈を立てて、任務を拒絶しようとするエドだったが……それを察した雫が、再度口を開いた。

 

 

「エド、怖いからって、逃げちゃ駄目」

 

 

「そりゃ、今の深雪は誰だって怖いだろ……」

 

 

「違う。エドが怖いのは、ダンスの方」

 

 

その思わぬ指摘に、話を聞いていた周囲の面々は目を点にする。

 

エドが深雪ではなく、ダンスを恐れているとは、一体どういうことなのか。

 

 

「エドと深雪じゃ、身長差が歴然。ダンスでそれをカバーするのは、非常に困難」

 

 

「ななぁっ……!?」

 

 

雫からの予想外の、そして容赦の無い指摘に対し、思わずたじろぐエド。

 

その反応を見たほのかやエリカは、チャンスとばかりに捲し立てる。

 

 

「雫、そんなにはっきり言ったら可哀そうだよ。そりゃ、エドの身長じゃあ、深雪と踊るのは難しいかもしれないけど……」

 

 

「いくら運動神経に自信があっても、体格差はどうしようもないからね~」

 

 

「女の子相手に尻込みするような器の男じゃ、彼女みたいにすらっとした身長の子とは釣り合わないものねぇ……」

 

 

「男としての度胸以前に、足りぬものがあったか。これは少し悪いことをしたかもしれんのう」

 

 

さらには、愛梨と沓子までもが便乗する始末。

 

遠回しにエドの体格を揶揄する言葉が、彼のハートに突き刺さる。

 

これなら、ストレートに「小さい」や「チビ」と言われた方がマシだったかもしれない。

 

 

「上等じゃねえか!踊りゃいいんだろ!!踊りゃあ!!!」

 

 

そして、瞬く間に苛立ちが頂点に達したエドが、遂に啖呵を切った。

 

エドのコンプレックスを的確に突いた、雫等の作戦勝ちである。

 

 

「本当に大丈夫?我が校にとっても利があるとはいえ、無理はしなくてもよろしくてよ??」

 

 

「言ってろ!お前等に心配されるような体格じゃねえってこと見せてやろうじゃねえか!!」

 

 

愛梨の挑発に対し、エドはそう言うと、深雪のもとへとズカズカと大股で向かっていった。

 

ともあれ、これで後夜祭は何とかなりそうだと、ほのかや雫はほっと息を吐いた。

 

極寒の空間へと足を踏み入れたエドは、寒さに震えながらも、深雪をダンスに誘うべく近付いていく。

 

そして、声を掛けようとした……まさに、その時だった。

 

後夜祭の会場に激震が走ったのは------。




やっと後夜祭までこれた。

では、また( `・∀・´)ノ
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