鈴音とセシリアがALOを始めて一週間と少し。五月下旬の週末に、和人達はIS学園の外にいた。前々から話を進めていたオフ会に参加する為である。
「そういえば皆、ALOでエギルとは会ったよな?」
「はい。とても紳士で堂々としたお方でしたわ」
「めちゃくちゃガタイも良くてデカかったわね」
「はは、リアルでもあんな感じだからセシリアも鈴も腰ぬかすなよ?」
半ば揶揄うように告げた一夏に対して、二人は大丈夫だとばかりに笑みを浮かべる。学園からモノレール、電車と乗り継いで御徒町へと足を踏み入れる道中、これから会う仲間達について話題は尽きない。
「ま、あたしの予想通り、殆ど女の子だったけど」
「まだ言うかソレ……オレじゃなくてキリトさんだって言ってるだろ。風林火山はカンザシとのほほんさん以外男だったろ」
「みんな大人だったでしょうが。あたしらくらいの年した男なんてあと弾だけだったじゃないの!」
「鈴さん、落ち着いてくださいまし。騒いでしまっては目立ってしまいますわ」
セシリアが淑女らしく鈴音を窘めるが、一夏は苦笑いを隠し切れない。この場には一夏達男子三人に加えて明日奈、簪、本音、鈴音、セシリアが揃っており、皆比較的地味な私服なのだが……女性陣の容姿のレベルが高いので既に目立っている。尤も専用機が七機あるので、何かあった際には襲撃してきた側の方が死を覚悟する程に戦力が集中しているのだが。
「あ!お兄ちゃーん!!」
駅の改札を出た所で、弾んだ声が一行の耳に届く。そちらへ目を向ければ一人の少女が手を振りながら駆け寄ってきた。
「スグ!元気そうだな」
「こっちでは久しぶりだね、直葉ちゃん」
柔らかな笑みで和人と明日奈が応えると、件の少女―――桐ケ谷直葉は兄へと飛びついた。筋力が足りなかった和人は危うく後ろに倒れそうになるが、そこはこうなる事を予測していた巧也が支えていたので無事に受け止めきれた。
「えへへ……」
「ちょっと直葉ちゃん、今のは危ないわよ」
「大目に見てやってくれよ明日奈。スグだってリアルで会うのは久しぶりなんだからさ」
「もう、キリト君ってば甘いんだから」
明日奈が唇を尖らせるが、本心から拗ねたり不機嫌になったりしている訳ではない。二年間意識の無い兄を見舞う事しかできず、やっと帰ってきたと思えば数か月後には離れ離れになった直葉の心境を思えば、こうして和人とのスキンシップを求めるのは仕方ないと納得してはいるのだ。
「ん~?お兄ちゃん、ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ。
身を離した直葉は抱き着いた時の感覚から、未だ肉付きの良くないらしい兄に問いかける。彼も妹を安心させるように笑いかけるが、筋肉が戻りにくい体質なのか思ったほど体力が戻っていない現状をどう伝えたものかと少々頭を悩ませる。とはいえ今日は皆で楽しく騒ぐ日であり、考えるのはまた後日でいいかと和人は一旦棚上げする。
「アスナさんも久しぶりです。お体は大丈夫ですか?」
「キリト君ほどじゃないけど、体力は戻って来てるわ。まだ激しい運動は控えるようにって注意されてるけどね」
ふわりと明日奈が微笑むと、直葉は安堵のため息をつく。一番気になっていた兄と未来の義姉の様子が分かると、今度は幼馴染へと目を向ける。
「巧也、簪、本音も久しぶり!三人ともちゃんと学校に馴染めてる?」
「お久しぶりです。IS学園での生活でしたら、大きな問題はありません。本日招待したお二人をはじめ、良き方が多かったので」
「……ん。大丈夫」
「そそ、だいじょぶ~」
三人の返答に満足した直葉。だが朗らかな笑みから少しばかり眉を寄せると、次に一夏へと向き直る。
「で、一夏君?うっかり簪を泣かせたり誤解されるような事やらかしてないよね?」
「し、してないって!何で疑われてんだよ!」
「どーだか。もし他の子に目移りしてたら……容赦しないからね!」
悲しいかな、一夏が和人同様に複数の女性から好意を持たれやすい事を何となく察している直葉は、中々彼への疑いを消せないでいるのだ。
「直葉、会う度にそう当たるのはやめるべきですよ。女性関係での無自覚な所は和人と似たり寄ったりですが、心に決めた人に一途な所も一緒なんですから。彼も充分に信頼できますよ」
「た、巧也ぁ……お前ホントいいヤツだよな……」
「アイン、刀奈のヤツに色々ちょっかい出されて苦労してんのは分かるが……さりげなくディスられてんのに気づけって」
巧也がやんわりと直葉を諭すが、忌憚無い言葉に含まれた事実を受け入れがたい和人は苦笑いだ。
「楯無お姉ちゃんだよ、お兄ちゃん。いつまでも昔の呼び方しちゃダメだって」
「そう言われてもなぁ……アイツ先代みたいな、こう……威厳とかが皆無だからな……」
「お兄ちゃん達の前だからでしょ?やる時はビシって決めてるよ……それより、はやく紹介してよ」
直葉の好奇の視線が、セシリアと鈴音に向けられる。二人も先程から彼女を観察していたのだが、ALOの仲間で目の前の少女と容姿の特徴が合致する人物が見つからず首を傾げていた。そんな彼女達に気づいた巧也が仲介するべく口を開く。
「失礼、こちらは和人の妹の
「リーファ……え、ええぇぇ!?」
「巧也さん以外の方は同じ姿ではなかったのですか!?」
「あはは、うん。リズさん達にも同じようにビックリされたよ。あたしだってALOで鏡見た時の違和感が暫く消えなかったもん」
短く切りそろえた黒髪や線の太い眉など、黄金色のポニーテールが特徴的だったリーファとは似ても似つかない姿に二人は驚くばかりだ。
「それではお二人の紹介を。小柄なツインテールが特徴の方がスズネ……本名を
「ありがと巧也。えーっと……」
「
「わたくしもセシリアとお呼びくださいな、直葉さん」
「鈴、セシリア……うん!二人共よろしくね!」
確認するように二人の名を呟いてから、直葉はそれぞれと握手を交わす。
「ま、髪とか目の色って言ったらあたし達もそれぞれ赤と青に変わってるもんね。ALOの中と違っていてもおかしくは……」
「鈴さん?」
髪色や顔立ちの違いに気を取られていた鈴音が視線を段々と下げると、何故か不自然に言葉が途切れる。セシリアがそちらへ目を向けると、彼女の瞳からハイライトが消えていた。
「あはは……あったじゃないの同じ特徴……なーんで気づかなかったんだろ……ははは……」
「え?ど、どうしちゃったの?あたし何か悪い事した?」
鈴音の様子がおかしくなった事に直葉は慌てて周囲に尋ねるが、原因がこの場で告げるのが憚られるものなので、気づいても口にできないでいた。
―――直葉の胸部装甲がリーファ同様に厚い事が原因だと、誰も言えなかったのである。
~~~~~~~~~~
鈴音を再起動させ、オフ会会場であるダイシー・カフェに無事到着した一行。和人が’本日貸切’の看板の掛かった扉を開けると、既に盛り上がっている室内が目に映った。
「おいおい……俺達、遅刻はしてないぞ」
「主役は遅れてやってくるもんでしょ。アンタ達にはちょっと遅い時間を伝えておいたワケ。さ、入った入った!」
「はーい、ちゅうもーく!解放の英雄サマの到着よ!!」
「な、誰だそんな呼び方考えたヤツ!?」
半ば流されるままに和人は里香に押されていき、奥の小さなステージに立たされた。訳も分からぬまま彼女にグラスを握らされた和人が目を白黒していると、店内の照明が絞られてスポットライトが彼に当てられる。
「それでは皆さんご唱和ください!せーのぉ!」
「「「キリト!SAOクリアおめでとう!!」」」
困惑し間の抜けた表情のまま固まる和人を尻目に、いくつものクラッカーが鳴らされた。そこからは一夏達も加わり宴がさらに盛り上がる。
「―――ちょっと新しい友達誘ってくるね、なんて軽いノリで代表候補生なんて連れてくるんじゃないわよ明日奈!並の芸能人よりずっと有名じゃないの!!」
「ま、まあまあリズ。スズネちゃんとシズクちゃんなんだから、ALOと同じ感じでいいよ」
「す、すごい人と知り合ってたんですね、あたし達……」
新たな仲間の正体に仰天し、乙女らしからぬ叫びを上げる里香。彼女の隣では同様に驚愕した
「はいはい。サラマンダーのスズネだろうが、中国代表候補生の凰鈴音だろうが、あたしはあたしよ。中身は一緒なんだから、態度変える必要なんてないわよ」
「そうですわ。せっかく
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
まだ固さこそ残っているが、里香も珪子も鈴音達の厚意に感謝して普段のALOと同じつもりで言葉を交わそうとして……まだ引っ掛かる事柄が残っていた。
「というか本当にいいの?あたし達の事情だって、最近知ったばっかりでしょ?」
「一夏さんが’皆さん良い方だから’と紹介してくださったんですもの。SAO
「そ、そんなの畏れ多いですって!シズクさん、それ簡単に言っちゃダメなんじゃないですか……!?」
「言わせときなさい。そのぐらいコイツが本気なんだってコト。ま、あたしは最初っから分かってたけどね。一夏ってば昔から人との縁には恵まれてるし」
慄く珪子をほぐそうと鈴音が肩を叩く。世間ではあまり良い視線を向けられないSAO
「リ、リズさん……?」
「ふっふっふ……揃ってアインの名が出てきたって事は……も・し・か・し・てぇ~?」
仮にも年頃の女子がすべきではない少々不気味な笑い声と共に、セシリア達と離れた一夏とを交互に見やる里香。そんな彼女の様子に、遅まきながら嫌な予感が二人の少女に走った。
「アインも罪な男ねぇ……キリトと二人で、
「な、ななな……何を仰いますの!?」
「だ、誰があんな朴念仁なんか!?」
「はーい、分かりやすい反応ありがとう……でも、カンザシはああ見えて強敵よ?一途なアインのハートをがっちり捕まえてるし」
悪戯っぽく笑う里香に対して、二人の乙女は赤らんだ頬を抑えながらも視線をそらさない。
「これでも貴族の端くれ、欲したものは正面から奪うつもりですわ……!」
それは単なるハッタリか、あるいは本気か。このまま引き下がる気は無いという意志を見せるセシリアの姿に、一旦は想いに区切りをつけた筈の鈴音も触発される。
「あたしは元々、他の子選んだ事を後悔させてやるつもりだったし?大人しくするつもりはないわよ」
顔の熱は引かないままだが、
そんな彼女達の語らいなど露知らず、一夏は親友との再会を楽しんでいた。
「おう一夏。体の方は順調に肉付いてきたか?」
「まぁな。弾の方こそいい感じだな。アレか、厳さんや蓮さんにガッツリ食わされてるのか」
「あたぼうよ。でねぇとじーちゃんが厨房に立たせてくれねぇからな」
「あのお兄がお爺ちゃんに’本気の料理教えてくれ’って言いだした時は本当にビックリしましたよ。それもすぐに音を上げるかと思えば……全然そんな事ないですし」
「弾も色々あったんだよ。どうあれ兄貴がしっかり家業継ぐって覚悟見せてんだし、少しは尊敬してやれよ。普段は相変わらずだけどな」
そりゃないだろ!?という弾の抗議をスルーして、一夏は彼の妹―――蘭に笑いかける。
「でもこのお兄ですよ?大真面目に何かに取り組むなんて……今まで一度も無かったんですよ?」
「……ぐうの音も出ねぇ……」
想い人からの笑みに頬を染め、照れ隠しにそっぽを向きながら兄に辛辣な指摘をする蘭。しかし事実である為弾は言い返せない。SAOでの日々を経て、弾の心は成長している筈なのだが……兄妹の力関係は不動のようだ。
「そ……それはそうと、虚さん来てないのか……?」
「悪い、どうしても都合がつかなくてな。二次会には絶対行くって言ってたから、それまで我慢してくれ」
項垂れる弾を励ます一夏。親友が想い人と会えない悲しみを紛らわせようと、頭をフル回転させながら話題を振っていく。
そんな彼ら彼女らの様子を眺めつつ、和人はカウンターのスツールに腰かけた。
「マスター……バーボン、ロックで」
いい加減なオーダーに対して出されたグラスを、和人は躊躇う事無く手に取り、注がれた液体を一口含む。ただの烏龍茶だった。
「おいおい、おれが本物を置くって疑わねえのか?」
「エギルはそんな野暮な事をするヤツじゃないって信用してんだよ」
「へっ、キリトのくせに言ってくれるじゃねぇか」
店主である
「エギル、おれには本物くれ」
「おいおい、いいのかよ?この後会社に戻るんだろ」
和人が呆れた声で注意するが、当の遼太郎は知った事かと鼻で笑う。
「へっ、残業なんざ飲まずにやってられっかっての」
挙句の果てにはそんなセリフを口にして、出てきたタンブラーの中身を一口煽る始末。その様子に和人はやれやれとため息をつくが、彼の表情は柔らかい。
とある事情から彼がSAO内で本心から安らぎを得られた機会は少なく、
その後はユリエールと入籍したシンカーを祝福したり、’
「―――失礼。ギルバートさん、飲み物の追加をお願いします」
「おう、ちょいと待ってろ。空いたグラスはそこに置いといてくれ」
先程まで一夏達と共に談笑していた筈の巧也が、幾つもの空のグラスを盆にのせてやってきた。相変わらずこういった場でも周囲への気遣いを優先する弟分に、和人は苦笑する。
「偶にはそういうのほっといていいんだぞ?」
「こういう性分ですので、つい」
微笑を崩さぬ巧也は、和人の隣に腰かけた遼太郎やシンカーに向き直ると居住まいを正して一礼する。
「現実でお会いするのは初めてですね。改めて自己紹介を……
「これはご丁寧に。こちらこそ、向こうでシンカーと申します。SAOではキリトさんにとてもお世話になりました」
「へぇ、お前さんが……おいキリの字、ちったぁこいつの礼儀正しさ見習ったらどうだ?」
「よそではちゃんとしてるさ。お前等だから素のまんまでいられるんだよ」
揶揄う気満々のニヤついた顔をする遼太郎に対して、和人はさして気にした様子もなくグラスの烏龍茶を煽る。
「ったく、相っ変わらず愛想のねぇヤツだな」
「それだけ和人が気を許しているという事ですよ。SAOで遼太郎さん達が信頼を勝ち取った証です」
「ゲホッ!?た、巧也ぁ!何余計な事言ってんだよ!?」
「流石は幼馴染。斜に構えて誤解されがちなコイツの本心を掴むのはお手の物、ってか」
せっかく取ったポーズを弟分に呆気なく崩されむせる和人。彼は恨みがましく巧也を睨むが、当の本人はニヤついたギルバートから飲み物のおかわりを受け取って去って行く。
「あいつ……刀奈の悪い所を真似しやがって……」
「いいヤツじゃねぇか。あのくらいの茶目っ気は大目に見るのが兄貴ってモンだろ?」
「そうだそうだ……つーかその刀奈さんてカンザシちゃんの姉貴なんだろ?ついでに言えばホンネちゃんにも姉ちゃんがいて……お前
遼太郎がヤケクソになってタンブラーの中身を全て飲み干すと、ギルバートに勢いよくおかわりを要求する。
「残業あるんだろ。これで最後だぞ?」
「へいへい」
飲み過ぎないようにとマスターに釘を刺された遼太郎。やや適当な返事をしながら二杯目を受け取った、その時―――
「失礼、一夏はいるだろうか」
「千冬姉!?来れないって言ってなかったっけ?」
元
「あー、えーっと……多分殆どの人は初めてだと思うから、紹介するよ。オレの大事な家族……千冬姉です」
「IS学園で教師を務めさせていただいている、織斑千冬といいます。日頃から弟がお世話になっています」
千冬が挨拶を終えたところで、固まっていた皆が漸く動き出す。
「い、一夏ぁ!?どういう事!!」
「織斑先生がいらっしゃるなど、一言も聞いておりませんですわよ!?」
「織斑……千冬、さん……?え、本物?」
「あ、あわわわ……!?」
かつて世界最強の座をもぎ取った彼女の知名度は、現役を退いた今なお圧倒的に高い。事前に来る事を聞かされていなかった鈴音やセシリアが一夏に詰め寄り、里香や珪子をはじめ初対面の者達は単純に理解が追いつかず慌てふためくばかり。明日奈や簪等、驚きながらも皆を宥めようとする者もいたが焼け石に水だった。
「この場を乱してしまった事は申し訳ありません。ですが……ですがどうしても、皆さんに直接お伝えしたい事あるのです」
決して大きな声量ではなかったが、千冬が語り出すと不思議と皆静かに耳を傾けていく。
「あなた方のお陰で、一夏は無事にSAOから帰ってきてくれました。私の、たった一人の家族を守ってくれて……支えてくれて……本当にありがとう……!」
この場にいる全ての者に対して、深々と頭を下げる千冬。それは弟を想うただの姉の姿そのもので、これが彼女の本来の姿なのだと誰もが感じた。
「顔、上げてください織斑さん」
「貴方は……」
「おれ……いえ、わたくしは
いつの間にかスツールから立ち上がって姿勢を正していた遼太郎。普段の不真面目な様子は微塵もなく、真っ直ぐに千冬を見つめる姿はまさしく大人。
「確かに弟さんは思った事がすぐ顔や口に出ちまうし、行動も直情的で今まで散々振り回されてきました。ですが何時だって、自分の心に正直に……眩しいくらい真っ直ぐな所にこちらも救われてきたんです。どうか誇ってください、貴女の弟さんは……立派な男なんだって。そして彼をそう育ててくれた貴女に感謝を。こちらこそ、ありがとうございました」
「……はい……!」
遼太郎の言葉に、千冬はもう一度深く頭を下げる。一夏が良き人達と巡り会えた事、そして彼らと心を繋ぎ、認めてもらえた事が自分の事のように喜ばしい。熱くなった目頭を悟られぬよう、こみ上げる感情を抑えるのが精一杯だった。
「……では、私はこれで。無理を言って出てきたので、そろそろ戻らなくては……」
これ以上自分がいる必要もない。そう考えた千冬はこの場を後にしようとするが、その手を握って引き止める者がいた。
「写真撮ろうよ、千冬姉」
「一夏?」
「折角千冬姉と仲間の皆が揃ってるんだ。こんないい時に記念写真残さなきゃ勿体ないって」
少し照れくさそうに、その上で本心からの笑みを浮かべる弟の頼み。今の千冬にそれを断る事はできなかった。
「ま、アインならそう言いだすとは思っていたからな。カメラならウチで用意してある」
「だな。みなさーん、一旦集合でーす」
ニヤリといい笑顔でカウンター奥からカメラを取り出すギルバートと、撮影の為に皆を誘導し始める遼太郎。SAO内でも何かと一夏は写真を撮っていたので、知っていた者達が知らなかった者達を誘導していきスムーズに準備が整う。
「……で、何で俺が中心にいるんだ?言いだしっぺのアインと織斑先生が来る流れだろ」
「いや、後ろにSAOクリアのヤツ映ってますし、ここは
位置について多少揉める事こそあったが、和人の抗議は皆に黙殺され結局は彼が中心に収まった。
「はい、全員入りました。タイマーを起動しますので、皆さん準備を」
カメラの調整を終えた巧也が合図を出す。皆がカメラに向かって笑みを浮かべていく中で、顔を向けずに千冬が口を開く。
「一夏」
「千冬姉?」
「大事にしろよ?」
「当たり前だろ!」
顔を見なくても、
―――後に受け取った写真に写る弟の最高の笑みを、姉は生涯忘れないと誓った。
一人一人の描写が薄味かも……
ちなみに巧也のALO内についての情報。
・キャラネーム:ノウェ
・種族:スプリガン
・容姿:スプリガンらしく浅黒い肌に黒髪黒目の優男風な少年。いつもの面子の中では目立つ特徴が無いのが却って特徴になっている。
・主武装:短剣
・戦闘スタイル:幻惑魔法や各種消費アイテム等を用いたバフ・デバフを駆使した搦め手を得意とし、乱戦時は相手の認識外からの一撃必殺を狙うアサシン。逆にデュエル等の正面切っての戦闘はそこまで強くはない。(キリトやアイン達が強過ぎなのもあるが……)
※名前の由来は苗字の読み替えから。