IS×SAO 黒白と共に駆ける影の少年   作:KAIMU

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 セシリアの戦績について、捏造がありますのでご注意ください。


七話

 「―――あら、逃げずによくきましたわね」

 

 自信に満ち溢れた表情を崩す事なく、セシリアはそう告げた。自分の勝利を信じて疑わない彼女に対して、片刃の近接ブレードを携えた一夏の意識は彼の城を生き抜いたプレイヤー……アインへと切り替わっていた。ISに合わせたサイズの為刃渡り1.6メートル程の長大なものではあるものの、その形は彼にとってよく馴染む刀である。

 

 (これで直剣だったらヤバかったけど……良かった。これなら何とか扱えそうだ……!)

 

 静かな闘志を燃やしつつ、ハイパーセンサーで広がった視界を見渡す。すると丁度本音に連れられるようにして観客席へと顔を出した簪の姿を見つけた。

 

 「ふぃ~、ギリギリ間に合ったよ~かんちゃん」

 

 「う、うん……」

 

 少し意識を向けるだけで、白式は彼女達の会話さえ拾い上げる。負けられない理由が一つ増えたが、だからと言って緊張してしまう程、彼の心は弱くない。

 

 「最後のチャンスを差し上げましょう」

 

 「チャンス?」

 

 セシリアの言葉に答えつつ、剣士としての意識が、一瞬とはいえ相手から目を離した事を叱責する。不意打ちを常套手段とする相手ならばこの一瞬で敗北しているし、正々堂々とした勝負を望む者ならば今の自分の態度は失礼以外の何物でもない。

 

 「このまま戦えば、わたくしが圧勝するのは自明の理。これだけの観衆の前で無様な負け姿を晒したくなければ、貴方の降参を認めてもよくってよ?」

 

 言葉と共に彼女がレーザーライフルのセーフティを解除したのを、白式が確認し伝達する。なら今の言葉は挑発である。同時に冷静な思考回路が彼女の言葉が多くの者達にとっての共通認識である事も理解する。

 

 「……なぁ、お前はそう言われて素直に降参するのか?」

 

 「何ですって?」

 

 訝しむように、セシリアは目を細める。その瞳を正面から見つめ返し、一夏は問いかける。

 

 「お前だって格上の相手……例えば国家代表とか千冬姉相手にそう言われて、はいそうですかって素直に引き下がるのか?」

 

 「そ、それは……」

 

 言葉に詰まる彼女へと不敵な笑みを浮かべて彼は畳みかける。

 

 「オレは……嫌だね、何もしないで逃げるなんて。例えどんなに相手が強くて、敵わなくったって……足掻いて足掻いて、足掻き続けて……オレの想いを、覚悟を……この刃を届かせてみせる」

 

 一度心を折られた一夏だからこそ、もう二度と砕かれぬ決意を抱く事ができた。あの時の挫折に比べれば、例えここで無様な負けを晒す事など大した事ではない。何度打ちのめされようと、這い上がるだけだ。格好悪いだとか、みっともないだとか……そんな姿はSAOで幾度となく簪達に晒し続けたのだから。

 

 「でしたら……これでお別れですわね!」

 

 一瞬不快そうに眉を顰めたセシリアが、試合開始の挨拶がわりとばかりにライフルのトリガーを引く。打ち出された一筋の閃光が、まっすぐに白式へと向かい―――その左肩装甲を掠めた。

 

 「ぐっ!?」

 

 「なっ!?」

 

 一夏はレーザーが予想以上に速かった事に、セシリアは初撃が直撃では無かった事にそれぞれ驚愕する。だがすぐに彼は接近を試み、そうはさせじとセシリアはライフル連射する。

 

 (速い……!いや、それだけじゃない……!)

 

 彼女の正確無比な射撃が幾度となく機体を掠め、ジワジワとシールドエネルギーを削っていく。巧也に見せてもらった彼女の戦闘画像からイメージトレーニングはしていたのだが、想定よりも体の反応が鈍い。スコープ越しに見えるセシリアの目……正確にはその視線から、何処を狙っているのかは分かる。ライフルのエネルギー充填のタイミングは白式が教えてくれる為、彼女の射撃タイミングだっておおよそは掴める。だが―――

 

 (オレと白式の動きがかみ合ってないのか……!)

 

 通常の動作では全く気にならなかったが、コンマ数秒の世界で浮き彫りになった、機体との感覚のズレ。一次移行(ファースト・シフト)が済んでいれば起こらなかった問題が、一夏を苦しめる。ただでさえアバターではなく肉体での動きにラグが発生しているというのに、機体の反応にまでそれが出てきた彼は、早急に感覚を修正しようとする。

 

 「クソッ!」

 

 だがそれは一夏に多大な負荷をかける事に他ならず、とてもではないが短時間でできる事では無い。その為彼が完全な防戦一方へと追い込まれてしまう事は避けようがなかった。

 

 「さあ踊りなさい!わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズが奏でる円舞曲(ワルツ)で!!」

 

 最初こそ動揺したものの、冷静さを取り戻したセシリアは容赦無くレーザーの雨を降らせる。一夏もせめて被弾を最小限に留めようとするも回避が追いつかない。だがそれでも絶対防御が発動してしまう生身への射撃だけは装甲を使い捨ての盾替わりにして何とか凌ぐ。

 

 (目を離すな……考えろ、考えろ……!今のオレにできる事……向こうが得意な戦術……その弱点……勝機はある筈だ……!!)

 

 数十メートルという、ISにとっては瞬時にゼロへとできる距離が、今の一夏にとっては果てしなく遠い。だが彼に「諦める」という選択肢は最初から存在しない。何があろうと食らいついてみせる、その思いで一夏は前進する。

 

 (―――しぶといですわね……男の癖に!)

 

 抑えきれない苛立ちに、セシリアは奥歯を噛み締める。戦況は圧倒的に自分が有利で、勝利は目前の筈なのに……なのに何故、織斑一夏が膝を屈するビジョンが見えないのか。

 

 (あの目……まだわたくしに勝とうとしているとでも……?)

 

 片時も離れる事無く自分を見続ける彼の目には、今まで出会った男達には無かった強い意志と光が、爛々と輝いている。死んだ父とも、遺産目当てで近づいてきた金の亡者共とも違う、媚びる事のない眼差し。幼少の頃から憧れ、いつの間にか忘れていた―――理想の、輝き。それがいつの間にか男を見下す様になっていたセシリアの心を揺さぶり、胸の内に決して不快では無い感情が沸き上がる。

 

 「っ、この!」

 

 段々と制御しきれなくなっていく感情をぶつけるように、必中の意志でライフルのトリガーを引く。打ち出された一筋の閃光は、またしても白式の装甲を掠めるも直撃はしない。先程からずっと同じ事の繰り返しで、決定打が決まらない。とはいえ僅かながらも向こうのシールドエネルギーは減った筈であり、大分消耗しているのは間違いない。だが代表候補生たるセシリアの射撃が、素人である筈の一夏に凌がれているのもまた事実であり、彼女のプライドを逆撫でする。

 

 「ああもうっ!お行きなさい、ティアーズ!!」

 

 遂に痺れを切らした彼女は、一気に勝負を決めるために機体の特殊兵装―――ビットを射出する。主の命を忠実に実行する四機のビットは瞬時に白式を包囲し―――

 

 「―――そこだああぁぁ!!」

 

 「な!?きゃあ!」

 

 一直線に突進してきた白式のショルダータックルを、本体であるセシリアはもろに受けてしまう。咄嗟にライフルを盾替わりにしたものの、IS一機の質量が乗った体当たりの衝撃は大きく、姿勢制御に意識を裂かざるをえなくなる。その結果セシリアは自身の欠点を一夏へと晒してしまった。

 

 ―――ビット及び本体の同時操作の不可を。

 

 「せぇい!」

 

 セシリアと衝突した次の瞬間に、一夏は痛む左肩に表情を歪めながらも転身し、ビット一機を切り捨てる。爆ぜたビットに驚き彼女の動きが止まっているのを瞬時に確認すると、手近にあった二機目のビットも斬り裂く。

 

 「まさか、わたくしのティアーズが……!」

 

 巧也が教えてくれた情報では、セシリアは一度もティアーズ―――ビットを破壊された事がない。今彼女の眼前に広がる光景は完全に想定外のものであり、思考を僅かな時間とはいえ停止させるには充分だった。

 

 (やっぱり……アイツ、自分の想定外に弱い!!)

 

 試合開始直後の時から観察を続けた一夏がそう判断するのに、さほど時間はかからなかった。先程の突進で左肩装甲が完全に破損してしまったが、ビット二機を破壊する為の経費としては安いものだ。

 

 (いける!これなら勝つ事も夢じゃない!!)

 

 想像以上の手応えが、自然と一夏を昂らせる。漸く巡ってきた勝機を掴むべく、彼は再び剣を構える。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 「はぁ、織斑君はすごいですねぇ……代表候補生のオルコットさんにあそこまで立ち向かえるなんて」

 

 ピットにて。アリーナ内を映したモニターの前で、真耶が溜息と共に感想を漏らす。だがその一方で、和人は呆れたように額に手を当てて天を仰ぎ、明日奈は苦笑した。

 

 「アイツ……情報通りだからって浮かれすぎだろ。ありゃ足元すくわれるぞ……」

 

 「あ、あはは……アイン君の悪い癖が出ちゃったね」

 

 「どういう事ですか、和人?」

 

 何故二人がそんな態度なのかが分からない巧也は、純粋な疑問を抱く。すると彼では無く千冬が変わりに答えた。

 

 「先程から織斑の左手が閉じたり開いたりしているだろう。アレはアイツの昔からの癖でな……アレが出る時は決まって浮かれていて、大抵つまらないミスをする」

 

 「あ、ホントですねぇ。ご姉弟の織斑先生もそうですけど、桐ケ谷君と結城さんも織斑君の事をよく見てるんですね」

 

 感心したように真耶がそう呟くと、三人共ハッとしてモニターへと向き直る。

 

 「ま、まぁ……アレでも私の弟だからな」

 

 「アイツはほっとけないっていうか……手がかかるヤツっていうか……」

 

 「二年間助け合ってきたからねー、細かい癖とかだって自然と覚えちゃったんだよね」

 

 珍しく言葉に詰まった千冬、少々恥ずかしげに頬を掻く和人、おおらかに微笑む明日奈と三者三様の反応に、真耶はついこらえ切れずに笑みを零す。何となくそれが気に入らなかった千冬は、無言で真耶にヘッドロックをお見舞いする。

 

 「い、いたたたたっ!?」

 

 きゃいきゃいと騒ぐ二人に苦笑しつつ視線を戻した巧也は、ふと先程から言葉を発していない箒に気付いた。一夏の健闘に喜んでいるであろう彼女だが、心なしかその表情は険しい。ダメージが蓄積した機体はボロボロに見え、追い込まれているのは誰の目にも明らかなのに―――

 

 (一夏……!)

 

 ―――彼の瞳が灯す闘志が消える気配は無く、何度でも立ち上がる。一夏に傷ついてほしくない。だが諦めずに立ち向かってほしい。相反する二つの想いが胸中に渦巻き、両手を握りしめながらも、彼女は一層モニターに映る一夏の姿を目に焼き付けるのだった。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 一夏は高揚する心とは逆に、体が荒くなった呼吸を隠せなくなっていた。最初から懸念されていた体力不足が頭をもたげてきたが、それを踏まえたうえでも充分チャンスはあると彼は確信していた。シールドエネルギーは半分ほど削られてはいるが、漸くセシリアの射撃にも慣れたのか反応できるようになっている。あと数分、それだけ保てば充分。

 

 「わ、わたくしが……これほど追い込まれるだなんて……!」

 

 悔しげに彼を睨むセシリアに、今の一夏のコンディションを把握する余裕は無い。自身が得意としていた中距離射撃を凌がれ、逆に切り札たるビットの多角攻撃を待ち構えていたなど、予測できなかった。そもそもISに関して素人だった筈の男である。ライフルだけで一方的にシールドエネルギーを削り切れる自信があった。

 それがどうだろう。射撃では決定打を与えられず、ビットに至ってはこちらが弱点を晒すその瞬間を狙われてレーザービット二機を破壊された。

 

 ―――男の癖に。

 

 そう、男に苦戦した代表候補生など、ただの笑い者でしかない。両親の死後、家や遺産……二人が遺した物を守る為に積み重ねてきた努力全てが否定されていくような気がして、セシリアはさらに焦る。

 

 「わたくしは……負ける訳にはいきませんのよ!」

 

 「くっ!」

 

 彼女の心境を表すかのように、ビットの動きは精彩を欠き、放たれるレーザーはもう掠りもしない。一夏は雑な射撃を苦も無く躱し、残る二機のビットを切り捨てて一息に相手の懐へ潜り込む。

 

 (―――獲った!!)

 

 そう確信した彼に生まれた、僅かな気の緩み。その綻びが、セシリアに起死回生の一手を打たせるきっかけになった。

 

 「おあいにく様!ブルー・ティアーズは―――」

 

 今まで一度も見せた事のない、正真正銘の最後の切り札。如何に瞬発力に秀でた近接格闘型であっても、この至近距離ではかわしきれまい。

 

 「―――六機あってよ!!」

 

 「なっ!?」

 

 腰部のスカートアーマーの一部が分離し、ミサイル型ビットとして一夏へと突き進む。彼は咄嗟に一機を切り捨てたが、それは最悪手でしかない。斬り裂かれた瞬間にミサイルビットは爆散し、二機目を誘爆させる。逃れる間も無く、彼は爆炎へと飲み込まれた。

 

 (勝った……とはいえ、なんて無様……お母様、申し訳ございません……!)

 

 ミサイルビットの使用は、本国での稼働試験を除けば初めてだ。素人相手に最後の切り札で勝つなど、情けないどころか自己嫌悪すら抱いてしまう程みっともない。思考がどんどん負のスパイラルに嵌まっていき―――

 

 ―――煙を振り払って姿を現した純白に、目を見開いた。

 

 「……そうか。やっとオレの機体になってくれたんだな」

 

 「な、何を言って……!?」

 

 穏やかに機体へと語りかける彼に思わず首を傾げかけ、セシリアは瞬時にその意味を理解した。

 

 (破損した筈の装甲が修復されて……いえ、姿が違う!これは一次移行(ファースト・シフト)!?)

 

 初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)の完了に伴う、IS最初の形態移行。それが今起こるという事は、つまり―――

 

 「あ、貴方……初期設定の機体で戦っていましたの……?」

 

 「あ~、まぁ……ホントにさっき届いたばっかだったから……」

 

 申し訳なさそうに頬を掻く一夏に、セシリアは唇を噛み締めて俯く。

 

 「か、勘違いしないでくれ!別に手加減してたとか、舐めてたとか……そういうつもりは一切無いんだ!!」

 

 「……わかって、いますわ」

 

 先程までの必死な表情。戦っていたセシリアだからこそ、一夏の言葉が真実である事はすぐに理解できる。そして悟ってしまう。自分では、目の前にいる彼には勝てないと。

 

 (ですが……オルコット家の者として、退く訳にはいきませんわ……!)

 

 だがそれでも。胸に宿した誇りが、彼女を奮い立たせる。レーザービットを全て失い、残った武装はレーザーライフルと近接戦闘用のショートブレード、次弾を装填したミサイルビット。幸いシールドエネルギーは充分余裕があるが、懐に潜り込まれてしまえば瞬く間に削り切られてしまうだろう。しかしここで降参するつもりも毛頭無い。シールドエネルギーがゼロになるまで戦い続けてみせる。その一心で俯いていた顔を上げ、ライフルを構えなおす。

 

 「随分、いい顔するようになったな」

 

 「は、はい?」

 

 穏やかに微笑みかけてきた一夏に、セシリアは思わず目を瞬く。何故彼がこんな事を言い出すのかが、彼女には分からなかった。

 

 「なんつーかさ……初めて会った時ってこう、男を見下してたっていうか、良く思ってなさそうな感じだったし……さっきまでだって何かに追い立てられてたみたいな苦しそうな顔してた」

 

 「……貴方を、男性を見下していたのは、否定しませんわ」

 

 「代表候補生になる為に、すっげぇ努力したんだろうなってのは、戦ってるうちに何となく伝わってきたよ。それに……譲れない何かがあって、その為にオレに勝つんだって想いも。でもそれ以上に、凄く重たいものを背負って、それに潰されそうなひどい顔してたんだぜ?」

 

 彼の言葉が、胸の奥を真っすぐに貫く。思わず息を吞んだセシリアに、一夏は屈託のない笑みを浮かべてみせた。

 

 「それが今じゃ、憑き物が取れたみたいにスッキリした顔で……それが本当のセシリアだって、オレは思うぜ」

 

 「本当の……わたくし……?」

 

 思わず首を傾げたセシリア。その仕草は年相応の少女のもので可愛らしく、一夏には今の方が好ましく思えた。

 

 「ああ!試合前よりずっと綺麗だぜ!!」

 

 「~っ!?」

 

 純粋な賛辞にセシリアの胸が高鳴る。こうして自分だけを見つめて送られたそれは彼女にとって初めての経験で、聊か刺激が強すぎた。

 

 「あ、相手を称えるのは試合の後にしてくださいまし!」

 

 「うぉ!?」

 

 照れ隠しとしてはかなり物騒だが、咄嗟に彼女はレーザーライフルを撃つ。しかしそれが一夏に当たる事は無く、彼の意識を切り替えさせるスイッチにしかならなかった。

 

 「わりぃ……こっからはオレも全開だ!」

 

 近接ブレード―――雪片弐型(ゆきひらにがた)を握りなおし、スラスターを吹かす。先程までとは打って変わり、まるでアバターを使っているかのように彼の思考をISが読み取り、応えてくれる。

 

 (……行ける!)

 

 凌ぐのがやっとだったレーザーが、思い通りに動ける今では最小限の動きで躱せる。刀使いアインとしての動きを完全に再現できている事を実感した一夏は、かつて浮遊城で好んで使っていた剣技の構えを取る。

 

 ―――右手の刀を左腰へ。左手は刀の鎬へと軽く添える。

 

 鞘があればそれに収めているかのような構え。居合系刀スキル『辻風(つじかぜ)』だ。仮想世界と違いシステムアシストは無いが、今ならば完全に再現する事ができる。

 ライトエフェクトを纏う代わりとばかりに雪片の刀身が開き、レーザー刃が生み出される。セシリアが懐に飛び込ませまいと放った射撃を置き去りにして、一夏の姿が掻き消える。気づいた時には既に彼は懐に潜り込んでいて、逆袈裟に刀を斬り上げていた。遅れてやってきた衝撃に、セシリアは一夏に斬られた事を自覚する。

 

 (あぁ……わたくしの負け、ですわね……)

 

 たった一撃。それだけでゼロになったエネルギーを見て、彼女は胸のつかえがとれたようにため息をついて―――

 

 ―――試合終了。両者シールドエネルギーゼロにより、引き分けとなります。

 

 「え?」

 

 「はい?」

 

 思いもよらない結果に、思わず二人は顔を見合わせる事しかできなかった。




 次はセシリアVSキリトです。お楽しみに。
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