コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第15話 黒の騎士団

皇歴2017年6月15日

紺碧艦隊司令前原一征の姿は高野の呼び出しを受け函館の軍令部総長室にあった。

前原もインド洋海戦の結果は聞いている。双方ともに出血を強いた引き分けに近い戦いであった。紅玉艦隊の壊滅、旭日・白銀両艦隊からも少なくない被害が出ている。

若年もしくは年少の者達が多い白銀艦隊からも戦死者が出ており戦時だからこそ不満が表に出ていないが平時なら内閣が吹っ飛んでもおかしくない。大高や高野たちもこのことには胸を痛めたが戦時と言うこの状況下において国民からの表立った非難がなかった事は不幸中の幸いであった。

また、この戦いにおいて皇国艦隊が壊滅し完敗した訳ではなく。戦果としてはイタリア紅海艦隊を半壊させ、ナチスドイツとユーロブリタニアの艦隊に半壊とは言わずともそれなりに大きな傷を与え無視できない被害を与えた。ナチスドイツやイタリアそしてユーロブリタニアは海軍戦略における停滞を余儀なくされた。これはナチスドイツやイタリアと言った枢軸国がブリタニアが触手を伸ばすアジア太平洋地域への介入時期が遅れることを意味していた。

 

前原は高野から勧められたコーヒーを飲みながら向かい合う。このコクと苦みは豆から挽いたものだ。

 

「気が付いたかね。このコーヒーは豆から挽いた高級品だ。要望を出せば士官階級なら誰でも飲める。国土の多くを失ったがそれでも我が国は未だに資源国で要られている証拠でもあるわけだ。」

 

「物資が枯渇していてはこうはいきませんな。」

 

元来この北海道と言う地域は農業・水産業と言った一次産業と観光業・情報関連業と言った第三次産業が強い土地柄で総生産も中堅国家並の経済規模を有していた。日本本土陥落後は臨時政府の拠点となり多くの梃入れがなされ三次産業が若干の後退を見せた代わりに二次産業鉱業・製造業が驚異的な発展を見せた。石炭や金・銀・銅・亜鉛と言った鉱山は以前から採掘されていたが、特にサクラダイトに関しては北海道の採掘場の発見が北海道開拓が終わりかなりの時が経っていた時期であった為。既存のサクラダイト採掘場である富士鉱山や浅間山鉱山等と言った既存の大規模採掘場が優先され、鉱山開発が遅れ気味だったことが幸いしたと言った所か北海道政権は未採掘の多い北海道の採掘地を丸々手に入れられたのだ。

 

そう言った意味でも今の北海道政権は世界の他の抵抗勢力に比べ比較的好条件な物であった。

2人は軽い軽口を叩き合ってから本題に入る。

 

「旭日艦隊と白銀艦隊は各地のドックを総動員して修理に当たらせている。それでも足らんので工作船も動員しているがな。それと、残念だが紅玉艦隊の再建の目途は立っておらん。詰るところ皇国海軍は6個の海上艦隊の内の3つが使用不能、さらにうち一つは復帰の可能性すら薄い。海軍内では旭日艦隊と白銀艦隊を一時的な措置として統合する案も出ているが編成にも時間がかかる。やはりしばらくは高杉・坂本・東郷の3艦隊で戦わなくてはならなくなってしまったと言う事だ。オランダの亡命艦隊もあるにはあるが、あれはあくまでも他国の艦隊。数に入れるわけにもいかん。」

 

「なるほど、そこで我々の出番という訳ですな。」

 

「そうだ。今までの様に積極策でブリタニアと言った枢軸に圧力を与える戦術はしばらく使えそうにないからな。表だった艦隊は今後しばらくは防御に徹することになるだろう。幸いなことに皇国…北海道政権における海上防衛ラインの水中固定聴音装置の設置は完了している。敵がどこに現れるかは把握できるだろう。これを活用して今ある艦隊で対処して行けば何とかなると大高首相も私も考えている。だが、ブリタニア本国が動いた7年前の様な大規模な攻勢に出た場合その限りではない。今の皇国ではとても支えきれない。」

 

我が国で開発した水中固定聴音装置は陸上基地とソナーを内蔵した海底ケーブル群から構成されており、水中音響的に最適な位置で敷設される。これによって通常の外航船であれば数百kmでの探知が可能である。また、これらを取り扱う陸上基地は存在そのものが極秘とされた。そのため、海軍内においても機密保持のレベルが高く、海軍でも限られた要員が装置の運用を行なっている。この水中固定聴音装置のおかげで日本皇国了解及び一部の日露共同管理海域に侵入した敵艦を察知することが出来た。

 

「故に、神出鬼没な我が潜水艦隊にブリタニアの艦を襲えと言う事ですな。」

 

「話が早いな前原君。紺碧艦隊はブリタニア海軍にとっては恐怖の存在だ。間違いなく敵もこの動きは読んでいるだろうが、ブリタニア海軍が紺碧艦隊に対して未だに有効な手を打てていないのは事実だ。それと、ついに水中戦闘機海龍の量産の目途が立った。これはブリタニアのポートマンの性能を凌駕していることは保証しよう。先行量産機はすでに海中要塞鳴門に配備済みだ。今までは特呂号潜専用のような扱いであったが今後は随時特呂号潜からこの海龍に切り替える予定だ。そしてこの海中要塞鳴門を君に預ける。これを持ってブリタニアの海軍艦艇及び輸送船を襲撃し常時ブリタニアを圧迫しておいてほしい。」

 

「了解しました。ブリタニア海軍を弄べるように鋭意努力していきます。」

 

「ははは、頼もしい限りだな。」

 

前原の頼もしい言葉を聞いて軽く笑って返す高野であったが前原の次の言葉を聞いて表情を硬くする。

 

「ところで閣下。インド洋で守り抜いた姫君の件ですが、先の事件もあって少々苦しいのではないのですか?」

 

「…その通りだな。大々的に宣伝していたわけではないので表面上問題はないが、閣僚や軍高官は知っていたのでな。今回のブリタニア第三皇子暗殺は喜べないものだ。新興のレジスタンスがやったこととはいえこのタイミングでこの人物を…とは思ったものだよ。」

 

「迎えた第三皇子を亡命政党政府として樹立して揺さぶりを掛けられたかもしれませんでしたからね。」

 

「ああ、我々も少々肩を落としたものだよ。一応言っておくがライラ皇女は死札ではないぞ。彼女自身が枢軸の非道の生き証人であることには変わりない。時期を見計らう必要はあるが彼女には彼女の役割があると言事だ。だがそれはおいておいても大高閣下や桜坂大臣も言っていたがこのゼロと言う人物はただものではない様だな。」

 

「ええ、ブリタニアの臨時統制官の弱みを握る諜報能力。そしてあの一連の作戦を指揮する指揮能力。そして、あの後の他の現地レジスタンスへの影響を見るにカリスマもですな。」

 

「インド洋での結果を見るに彼の登場は不幸中の幸いなのかもしれんな。」

 

「ゼロ…。キョウトは接触するかは検討中らしい。大高閣下も同様に今は様子見の様だ。だが、何者であれ敵には回したくない人物ではあるな。」

 

「はい。」

 

 

 

定例閣僚会議休憩時間休憩室での会話

 

「しかし驚いたな。普段はお飾りに徹している陛下が大高閣下に異を唱えるとは…。」

 

桜坂総務大臣の言に島軍需大臣が「そうですね。」と応じる。

 

「陛下も最近の若者によくいるゼロ支持者だったようだ。確かに口先一つで臨時統括官をあそこまで弄ぶ姿は胸踊らされはしたし、陛下の考えもわからなくはないが…。」

 

「そうですね。最近はパッとしない日本解放戦線でも占領地では最大の抵抗勢力。昨日の今日でゼロに乗り換えると言うのもいいはずがありません。」

 

「大高閣下もゼロとの協力は視野に入れているようだが時期尚早と考えているようで今は様子見と言ってたからな。俺もそれでいいと考えている。ゼロと接触するのはゼロが次に行動を起こしてその結果次第だろうな。ところで聞いたか?ブリタニアのクロヴィス第三皇子の妹の…なんて言ったか…。」

 

「ライラ皇女では?」

 

「そうだ。そのライラ皇女、豪和家が預かるそうだぞ?」

 

「豪和…ああ、雷電の開発企業ですね。ライラ皇女の背景的にあそこが興味を持つ可能性はありましたからね。あそこも数年前までは随分オカルトじみたことをしていましたからね。これを期にオカルト実験を再開するのでしょう。」

 

「いいのか?放っておいて?」

 

「問題はないと思いますが。あそこのオカルト事業は別に非人道的な事をしているわけではありませんしね。何かコード付きのヘルメットかぶって日本舞踊踊るだけのよくわからないことをしていましたが問題はないと軍産複合体理事会で判断しましたので何か成果があったら幸運とでも思っています。豪和インスツルメンツが勝手にやっていることで…気にすることもないでしょう。桜坂大臣?」

「まぁ、そうだな。」

 

 

 

アシュフォード学園寮の一室

 

ブラウス一枚を来ただけの薄緑髪の長髪の少女C.C.はパソコンをいじっているルルーシュに話しかける。

 

「なぁ結局オレンジとはいったい何だったんだ?……なんだ?」

「人の質問には一切答えないくせに俺には質問するんだな。」

 

お互いに皮肉交じりの会話が繰り返されるが不思議とその中に嫌悪感と言った負の感情はない。ルルーシュとC.C.の関係が共犯者であるからなのだろうか。

 

「答えたくなければ答えなければいい。私のようにな。」

「でまかせだよ。オレンジなんて…。だが同志とか言いたがる連中程、疑惑と言う棘で簡単に分裂するものだからな。」

 

「っふ。世界中がお前を探している。世界中がお前のために動いている。ルルーシュ、お前はこれが見たかったのか?」

「いや、この騒ぎは手段に過ぎないよ。世界はもっと大きな混乱に叩き込まれる。」

 

 

 

皇歴2017年6月30日

 

中部最大のレジスタンスサムライの血に続き占領地レジスタンスの有力勢力ヤマト同盟壊滅。これ以外にも多くのレジスタンス勢力が壊滅した。

 

日本皇国北海道の首相官邸にいる大高の耳にも届いていた。

 

「サムライの血に続きヤマト同盟もですか。流石はコーネリア・リ・ブリタニア…武断の人と言った所ですな。」

 

「その通りですが、高野総長。我々もただ感心しているだけとはいきませんぞ。陸軍のKMFの更新が遅れており、海軍も3個艦隊がドック入りで運用不能。現状では少々手詰まりとなってしまいました。」

 

高野はコーネリアをそう評したが、大高の評価はそれ以上の様だ。さらに皇国軍の戦力が低下している現状流石の大高にも僅かながら焦りが出ている様だ。

 

「大高閣下。陸軍はKMFこそ遅れておりますがそれ以外の兵器に関しては枢軸に対し優位に立っていると思われます。」

「空軍も新型機の更新が進んでおり制空権の奪還は可能と考えております。」

 

「では、現有戦力で本土奪還は可能ですか?」

「「………」」

 

陸軍参謀総長の桂と戦略空軍長官の源田は大高の言に言葉を詰まらせる。

 

「空海は別として今や陸の主兵力はKMFを中心としています。陸はKMFがない事には始まりません。」

 

「大高閣下。今は各地のレジスタンスと連携しコーネリアの足を引っ張る事が重要かと考えます。この際です少し早いですが近いうちに第五世代機震電の更新が形になると聞いています。ですので雷電の提供を増やしても良いのではないでしょうか?」

 

桜坂の提案に大高は三長官の方を見て意見を求める。

 

「守りに徹するのであればとだけ。」

桂はそう短く答える。

 

「今はただ耐える時と言った所ですな。」

大高の言葉に閣僚たちは黙したまま頷いた。

 

話はひとまず区切りとなり大高含む閣僚たちは一息入れ始める。

大高もお茶に手を伸ばそうと手を動かす。その大高に秘書官が速足で横に立ち耳打ちする。

それを聞いた大高は目頭を強く抑える。

 

「また…ですか。厄介なことは往々にして立て続けに起こるものですな。やってくれましたよ。片瀬君のところの日本解放戦線が…。」

 

「いったい何があったのです。」

桜坂の問いに大高は冷めたお茶を一気に飲み干してから答える。

 

「日本解放戦線の暴発ですよ。サクラダイト生産国会議で民間人を巻き込んでの立てこもりです。」

 

「な、片瀬の阿呆が!部下を掌握できなかったのか!」

「…日本解放戦線は弱体化するな。であれば日本解放戦線の代わりを探さねばなりませんな大高閣下。」

桂は日本解放戦線の片瀬を罵倒し、高野は皇国の次のパートナーをどうするか大高に問いかける。

 

「高野さん。片瀬の次は思いのほか早く見つかりそうです。」

大高は電源の付けられたテレビを見ながら高野の問いに答えた。

テレビには黒い揃いの制服を来た男女が並んで立っており、その中心にいるゼロがテレビの向こう側含む全ての人々に語り掛けていた。

 

『人々よ!我らを恐れ求めるがいい!我らの名は黒の騎士団!!我々黒の騎士団は武器を持たないすべての者の味方である!イレブンであろうとブリタニア人であろうとだ。日本解放戦線は卑劣にもブリタニア人の民間人を人質に取り無残に殺害した。無意味な行為だ故に我々が制裁を下した。クロヴィス前総督も同じだ。武器を持たぬイレブンの虐殺を命じた。この様な残虐行為を見過ごすわけにはいかない。故に制裁を加えたのだ。私は戦いを否定しない。だが強いものが弱いものを一方的に殺すことは断じて許さない。撃っていいのは打たれる覚悟のある奴だけだ。我々は力あるものが力なきものを襲う時、我々は再び現れるだろう。例えその敵がどれだけの力を持っていようとも!力あるものは我を恐れよ!力なきものは我を求めよ!世界は我々黒の騎士団が裁く!!』

 

「黒の騎士団…。」

閣僚の誰かが呟いた。大高・高野と言った一部を除きゼロの姿にテレビ越しであっても圧倒されていたのだ。

 




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