コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
河口湖での日本解放戦線過激派のホテルジャック事件をブリタニア軍を抑えながら解決した黒の騎士団の華々しいデビューから始まった。黒の騎士団は宣言通り弱者の味方を体現する行動を実行し続けた。民間人を巻き込むテロや横暴なブリタニア軍、汚職政治家や悪徳企業に犯罪組織。黒に騎士団が英雄視されるまで然程時間は掛からなかった。リフレイン麻薬の巨大倉庫の破壊の一件で占領地の民衆の支持率は圧倒的であり、黒の騎士団と与するべしとの声が政府内で叫ばれ始めた頃であった。
日本皇国北海道政権中枢に成田連山の日本解放戦線壊滅の報が届いたのは…。
皇歴2017年8月2日
戦時中と言うこともあって大高は高野や桂ならびに源田と言った3軍トップたちといる事が多い。この時も例にもれず彼ら3長官のうちの高野と桂を引き連れて速足で官邸会議室へ向かっていた。
「片瀬少将ら幹部は房総半島の拠点に身を寄せています。」
「藤堂中佐ら四聖剣の者らの消息はつかめていません。」
「日本解放戦線は我が国が支援している最大の協力勢力です。見捨てるわけにはいきません。官僚や議員達の中には黒の騎士団に乗り換えようとしている者達が増えております。ここはそう言った者達を説き伏せて解放戦線の人員を黒の騎士団ではなく皇国軍で抱き込むなり、解放戦線に残留させるなりして対応しなくてはなりません。早急に片瀬少将と接触しなくてはなりません。」
会議では黒の騎士団を持ち上げようとする者と解放戦線を擁護する者達で紛糾した。また、解放戦線を擁護する派閥の中でも皇国の支援で崩壊を防ごうと考える者と大高同様に皇国に抱き込もうと考える者で意見が割れていたのだが挙国一致内閣の強み大高の鶴の一声で大高の意見が通された。かくして皇国は解放戦線の延命へと動き始めた。
皇歴2017年8月5日
大高の命を受けた皇国3軍は解放戦線と接触し解放戦線の脱出作戦を立案。
タンカーによる脱出作戦を囮に陸路にて脱出する計画を計画していた。
成田での戦いで藤堂他四聖剣の所在不明な状況が続きほぼ半壊状態の日本解放戦線であったが総大将である片瀬帯刀少将の健在によって各地の部隊の糾合が行われ戦力の再編が進んでいた。
しかし、この情勢下において日本解放戦線の関東撤退は避けられないものとなっていた。
そしてこの時、キョウト・北海道政権・日本解放戦線の間で今後の対応に関する協議が行われていた。
この会議は日本解放戦線の首魁片瀬帯刀、キョウトの実質的支配者桐原泰三、北海道政権 総理大臣大高弥三郎、キョウトと北海道の名目上のトップ皇神楽耶の4人で行われた。
この会議は日本解放戦線の今後を占うものであったが、その行動を決めるのは桐原と大高の考え次第であり神楽耶はキョウト・北海道の名目上のトップであり日本解放戦線から手を引こうとしている桐原と組織の延命を図りたい大高とで対立するのは必須であり、その間を取り持つ役目でもあった。
「我々北海道政権は日本解放戦線への支援を継続するつもりです。」
「大高首相は日本解放戦線の立て直しが可能と思っておられるので?」
「無論です。桐原翁は新興の黒の騎士団に乗り換えようとされておられるようですが…。地盤…。出自としても市民を中心とするレジスタンスと違い解放戦線は国軍が原型です。抵抗勢力としての練度。旧国軍であるゆえにキョウトによらない旧日本の政治家や企業とのつながりをも持ちます。仮にキョウトが手を引いたとしても弱体化しても組織を維持するでしょう。それだけの力はあるでしょう。」
「それが北海道が日本解放戦線を推す理由か?だが逆を言えば組織の地盤以外の組織の勢い、指導者のカリスマ性、戦力も民兵としては破格の強さ。地盤はわしらキョウトやぬしの北海道で補填すれば問題ないはずだ。むしろ、わしらや北海道から失われつつある勢いを持っているのは黒の騎士団ぞ?」
「七年…七年ですぞ。日本解放戦線は七年もの長い間、ブリタニアの完全な支配を跳ねのけて来たのです。その功績を加味するべきではないでしょうか?」
「しかし、大高の…。その七年での日本解放戦線の疲弊がこの度の日本解放戦線の半壊につながったのではないのかね?」
桐原翁は騎士団に乗り換えようとしており今までの関係を無視したこの動きは他の有力レジスタンスから軽薄と取られるかもしれなかった。しかし、大高も日本悪しき風習である縁故の優先を匂わせるものがありどちらにも一理ありどちらにも一理ない並行する議題でもあった。
桐原と大高の話は完全に平行線で進展が無くなっていた。
片瀬は自身の進退に関わる内容であったが発言を控え、流れを静観する構えを見せていた。
正直なところ途中から二人の白熱する議論に口が出せなくなっていたというのもあった。
ここで神楽耶が口を開き折衷案とも言えるものを述べる。
「わたくしの意見を申し上げるのであれば…。黒の騎士団の地盤を盤石にするための支援は必要だと思いますし…今後の主導は黒の騎士団であるとも考えております。ですが、日本解放戦線もブリタニアに対する重要な布石であることは変わることありません。であるならば…キョウトと北海道で黒の騎士団と日本解放戦線それぞれの支援を分けることが良いかと思います。一応言っておきますが、これはキョウトと北海道の対立を煽るものではありません。現在、キョウトと北海道では兵器の生産ラインが違い操縦系整備関係で現場が苦慮していると聞きます。そう言った意味でも担当する支援勢力を分けるべきであると思いますがどうでしょう?」
大高と桐原は額を抑えたり顎をしゃくったりして暫しの間思案する。
「…それが妥協点でしょうな。」
「そうだな…」
この4者会議が終了し神楽耶が退席したのを確認した桐原は他の幹部達を集めて合議する。
そこはキョウトでも最重要の富士鉱山の拠点であった。
「北海道は桃園宮、九条宮を皇籍復帰させてから我らから距離を取りつつある。」
「我らの象徴は神楽耶だけで十分であろう?」
「我らも北海道もそう余力があるわけではない。黒の騎士団一本に絞るべきではなかったか?」
「だが、ブリタニアから解放した日本を主導するのは我らキョウトでなくてはならん。北海道の動きは警戒しておくべきだろうな。手を打つべきか…。」
北海道政権は黒の騎士団や日本解放戦線と言った通常の抵抗勢力と違い多くの政治家や経済基盤を保有しておりキョウトと同等に政権運用能力を持っており日本解放後キョウトにとって代われるだけの力を持っておりキョウトの幹部陣は少なからず警戒していた。
幹部陣の意見に桐原は反対する。
「…いや、今はしばし、あやつらを…。そして北海道と日本解放戦線を泳がせておきたい。駒は多いに越したことはないしな。いざとなれば不要なものを切り捨てればよいだけのことだ。どれが残るか?あるいはすべてが残るか?いずれにせよ、我々キョウトがある限り日本独立の灯は潰えない。」
そのころ、大高は高野や桂と言った軍の要人を呼び寄せ片瀬も解放戦線の幹部を呼び寄せる。
北海道政権と日本解放戦線との間での今後の対応における会議であった。
「日本解放戦線の勢力維持は今後の戦いに大きな影響を及ぼすでしょう。片瀬少将には心苦しくは思いますが解放戦線の首脳部を我れらの陸奥港湾要塞に一時避難して頂き戦力の再編に力を注いでいただきたいと思っております。」
「致し方なき事とは理解しているが…。ブリタニアの占領地から離れることは他の目から見て逃げたようにしか思えないのでは?」
「形式的には片瀬少将の陸奥入りは我ら北海道政権からさらなる支援を引き出すと言う形を採ればよいでしょう。」
「無論、あなたの影響力の低下も防がねばなりません。ですので我々、北海道政権は新型の第五世代機を提供します。もちろん東南アジア諸島に送る予定の初芝系ではなく皇国軍が採用している豪和系の震電をです。」
「震電!?震電をか!?」
「本当か!」
大高が新鋭機の震電を提供するとの言葉で解放戦線の列席者に衝撃が走る。
豪和インスツルメンツ製の第五世代KMF震電。見た目こそ雷電と瓜二つであったがその中身は完全に別物でその性能はブリタニアのサザーランドを凌駕するとされ、同盟国ロシア帝国は勿論、ブリタニアと敵対するEUやアラブ諸国に潜在的なブリタニアの対立国中華連邦や北欧同盟にも注目される存在であった。輸出用の第五世代機初芝五洋ホールディングスの嶺花もそれなりに注目されている。
「震電…。それならば成果としても十分…解放戦線の勢力も対して削がれないであろうな。」
「では」
片瀬が大高の案を飲むそぶりを見せる。幹部の一人が片瀬に確認すると頷いて諾の意を示す。
「片瀬少将の方もご納得いただけたようですな。」
「はい。口惜しくもありますが引き際は弁えておりますので…。ですが、脱出するにしてどのようにされるので?」
「もちろん。考えていますとも…そのための彼等です。」
そう言って大高は自身の傍に光る高野たちを示す。
「では、日本解放戦線の撤退作戦の指揮はこちらの黒木君が執り行います。」
三長官のリーダー格である高野五十六が目配せをして前に出るように促す。
高野に促されて一歩前へ歩み出て来た若いがいかにもエリートな士官が自己紹介をする。
「皇国軍特殊戦略作戦室室長、黒木翔特佐であります。本作戦の指揮は自分が取らせていただきます。どうかよろしくお願いします。」