コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
陸上自衛隊幕僚監部× 皇国陸軍参謀本部○
皇歴2017年8月26日 宮城県仙台平野
第一師団師団長乃木希祐大将、第二師団師団長後藤茂中将、第三師団師団長坂東萬長中将らとこれを支援する現地レジスタンスによって構成されている軍団は仙台平野で戦闘を開始する。
仙台平野は7年前の戦いで皇軍の撤退戦の際に駅への列車自爆特攻やビル倒壊による足止め、複数のダムの決壊などによって水没している所や廃墟になっている所が多く残っている。ブリタニア軍はそこを最低限整地して軍事拠点としていた。
庄内での戦いでブリタニアの中核戦力であったコーネリアの近衛軍やダールトンの軍団が敗北して、ブリタニア軍は奥羽の放棄を決断しており仙台平野には然程多くの兵力は配置されていなかった。
しかし、地上戦においてはKMFも戦闘車両も足を取られるなど、遮蔽物が多くて泥沼化が予想された。
「敵中核戦力は庄内に散った!!敵は過少なり!!全軍攻勢に出よ!!」
この軍団の軍団長に就任した乃木大将は皇国空軍各基地へ爆撃要請を出しており攻勢を強めていたがブリタニア軍は粘り強く耐えていた。
「このままでは相当長引くな…。オランダ艦隊のドールマン提督に連絡!秋山大佐の隊を投入せよ!!」
宮城県仙台沖 オランダ亡命艦隊
「撃て!撃ちまくれ!ブリタニア軍を押しつぶすんだ!!祖国の仇を討て!!」
故郷を奪われたオランダ亡命艦隊の攻撃は苛烈を極めた。
オランダ亡命艦隊提督カレル・ドールマンは旗艦デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェンの艦橋で指揮を執る。
ドールマンは声を張り上げ兵を鼓舞する。
「待ちに待った反攻の時だ!!この戦いもひいては祖国解放につながる。総員奮起せよ!!」
彼の言葉と共に空母ナイナラから旧式化したフォッカーD32の改修機であるフォッカーD32改が次々と飛び立っていく。
付け加えておくと、オランダ亡命艦隊は日本から艦艇を譲り受け、さらに改修を受けるなど、時の流れ相応に強化されている。
「乃木大将より秋山隊を投入させよとのことです!」
「あの奇抜な奴をか?お手並み拝見と行くか。」
翌27日には宮城県が完全に開放されることとなった。ブリタニア軍はダールトン将軍主導の下で新潟県越後平野、福島県会津盆地、郡山盆地、常磐道沿い拠点に強固な防衛線を構築。これを境界に両軍は睨み合いを始めるのであった。
宮城県仙台沖 スーパーX
秋山功大佐率いるスーパーX隊。正式には皇国陸軍参謀本部付実験航空隊首都防衛移動要塞T-号MAIN SKY BATTLE TANKスーパーXはオランダ空母ナイナラから浮上する。
特異な兵器であるためか甲板からも艦橋からもオランダ人士官達がスーパーXを注視した。
「スーパーX発進する。」
スーパーXが戦域に突入すると敵戦闘機の攻撃を受けるがチタン合金製の固い装甲がミサイルや銃弾をすべて弾く。KMFの銃火器による射撃も同様だ。
「30ミリバルカン、発射。」
「了解、バルカン発射。」
スーパーXから撃たれたバルカンがブリタニアの戦闘機を粉砕する。
「敵ミサイル確認、レーザー連続発射。」
「了解、レーザー連続発射。」
ハイパーレーザーCO2タイプがミサイルを迎撃し、KMFをも撃破する。
庄内でも皇国軍の新兵器が猛威を振るったこともあり、スーパーXの登場は決定打だった。ブリタニア軍の攻撃が一切効かず、一方的に上空より火力で圧倒されブリタニア軍は恐慌状態となりブリタニア軍は潰走した。
一部のブリタニア軍が勇戦したが庄内に続き仙台でも総合的に見て大敗北。この結果はブリタニア政庁をもってしても情報統制できるものではなかった。ブリタニア人はおおいに震え、占領地の日本人は沸き上がったのであった。
第二次奥州解放戦争作戦よりしばらく前
キョウトと北海道政権の間で通信会談が持たれた。
「ラクシャータ・チャウラー女史ですか?」
大高は怪訝な表情で桐原を伺う。
『うむ。そうじゃ…ラクシャータ女史を黒の騎士団に送り込みたい。黒の騎士団の強化の一環じゃな。』
「なぜ、そのような話を私に?はっきり言わせていただければラクシャータ女史の様な優秀な人材は我ら北海道政権こそ必要なのですが?」
大高としては珍しく桐原に対して棘のある言い方をする。
『ふむ。主の言いたいことはわかる。じゃが…流石に皇軍と言えど、仙台辺りまでが限界ではないかね。補給線の維持に解放地の復興も急務であろう?キョウトからも多少は融通しようではないか。それに澤崎や野党の馬鹿どもが中華連邦にすり寄って面倒を引き起こそうとしておる。北海道としても手を打っておかねばなるまい?占領地の向こう側はレジスタンスの領分…わしらキョウトが繋いでも良いぞ。』
大高はしばらくの間思案する。
「いいでしょう。要求はなんですか?」
『第一にラクシャータ女史のインド脱出の支援。第二に今後の黒の騎士団を中心とするレジスタンスへの支援の2つ。奥州解放が成った暁には晴れて北海道は最大の抵抗勢力から抵抗勢力を主導する立場になるだろうて…キョウトと共に』
「………わかりました。ですが、さすがにインド洋海戦をもう一度やるわけにはいきません。あそこは、実質ヒトラーの海となってしまいました。インド洋は使えませんな。東南アジアを通り抜けて、日本入りできるように手配しましょう。」
『陸路か?』
「えぇ…。東南アジアの元首たちとはそれなりに繋がりがありましてね。タイ王国のプミンポン国王、マレーシア連邦のナザブ首相、カンボジア王国のシハクーヌ国王の協力が得られます。また、ロシアを介してラオスのバンニャン主席、ベトナムのグエン書記長の協力も受けられると思います。」
『さすがは大高、東南アジアの協力を得たか。ところで中華連邦に唆された馬鹿どものことは…』
「把握しております。とにかく、ラクシャータ女史の件はこれで良いでしょう。黒の騎士団に関しても概ね異存はありません。通信会談の機会でもあれば検討してみましょう。」
北海道政権は奥羽解放後、すぐに南進できるだけの余力はなく。
旧首都や他州解放にはレジスタンスの力が必要不可欠であった。その為の日本解放戦線ではあったが北海道への撤退は占領地内での地盤の揺らぎに繋がり弱体化したことは否めず。実力と名声を兼ね揃える黒の騎士団への支援を北海道の大高政権も認める方向へと舵を切り出すのであった。
奥羽解放後皇国軍は再度膠着状態に陥る。皇国領奥羽と未開放の奥羽福島・富士州新潟を暫定線として皇国とブリタニアの両軍が睨み合っていた。
皇歴2017年8月30日 陸軍参謀本部
陸軍参謀総長の桂は他の参謀達と図面を見て各所に指示を出す。
そんな彼に話しかけてくるスーツを着た男。政治家ではない無論軍人でもない。その正体は皇国の情報機関のひとつ東機関の連絡員であった。
「閣下、ご協力よろしくお願いします。」
皇国の情報機関、キョウトを経由して四聖剣より虜囚の身となった藤堂の救出要請が出ていたのだが、距離的問題で皇国北海道政府及び皇国陸軍は断念した。しかし、皇国陸軍内で日本解放戦線の代表として皇国陸軍の客将のような立場にある片瀬帯刀少将より皇国陸軍参謀総長桂寅五郎元帥に対して強い嘆願が行われ、これを重く受け取った桂より、妥協案として四聖剣の次善の策であった黒の騎士団との救出作戦に対する援護的な意味での陽動作戦の実施を決めたのであった。無論これは大高にも伝わっており即日許可された。
「無論分かっている。だから、能登半島で軍事行動を起こしているのだ。」
桂は再び図面に視線を移し、部下たちに指示を出し始める。その視界にはすでに東機関の連絡員の姿はなかった。
桂たちの見ていた図面には能登半島が描かれており、いくつもの兵棋が並べられていた。
皇歴2017年9月1日
能登半島に千葉州作大佐率いる霞部隊が上陸する。一時は能登半島全域と富山県の一部を制圧したが、その日の午後コーネリア率いる軍が到着し奥能登まで押し返された。
しかしながら、霞部隊の千葉大佐も現地レジスタンスと連携し奥能登を拠点化する動きを見せていた。寧ろ、千葉はコーネリアによって押し返されることは織り込み済みだ。上陸序盤で富山県に掛かるほどの勢いで能登の広範を制圧したのは奥能登での拠点化作業の発覚の引き延ばしが狙いであり、コーネリアが押し返した頃には奥能登がある程度の防御力を持つほどには簡易的な拠点が完成していたのだ。
これにより、コーネリアは能登に暫しの間足止めされることとなる。