コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
日本国軍とブリタニア軍の間の戦端は開かれた。
本来、ブリタニアの占領軍を統括しなければならないトウキョウ疎開のブリタニア政庁は、ユーフェミアの想定外の行動と、黒の騎士団を中心に全国のレジスタンスが決起し、北海道政権軍もすべての戦線で戦闘を開始し、本来それを収めるべきコーネリアは政庁への到着が遅れ事態の掌握に戸惑っていた。
『この度の事態に対し、我々は!我々日本人は断固とした態度を、行動で示さなければなりません!!』
大高の演説に織り交ぜて、ユーフェミアによる富士山麓の大虐殺の映像が流されている。
『ご覧ください!この映像を!!これが!これこそが!!ブリタニアの!奴らのやり方です!突如世界各地に侵攻し、そこに住む人間を奴隷化!そして、意に添わぬ者たちに対しては虐殺と言う名の民族浄化を仕掛ける!この現代においてこんな露骨なやり方を恥じともせず!まるで見世物のようにテレビに流す!あの王朝は!産業革命以前と何も変わっていない!!確かに文明や技術は高いでしょう!ですが内情は理性なき野獣そのものです!』
福島の前線は女皇皇神楽耶率いる、第一師団及び補完部隊改め、暫定呼称近衛師団。
近衛師団は第二第三師団と合流、ブリタニア軍北関東防衛ラインを突破。
福島を完全開放し、戦線は南下し茨城・群馬・栃木へ…
大高は全世界に向けて演説を行う。その内容は穏健な大高からは想像できないレベルの過激な内容であった。
『わたし、大高は国軍に南下を命令し占領地の開放を命令しました。占領地のレジスタンスにも決起を促し彼らは呼応しました。この演説を聞いている各国の皆さん!このような理性なき枢軸に迎合することは正しいことなのでしょうか?今一度考えてください!』
新潟の戦線は第五師団によって押し下げられ、能登半島の霞師団と合流し、関東に集結しているブリタニア軍の頭を押さえた。
『枢軸は、選民的思想に支配され!下らぬ己の都合を他人に押し付け、無辜の民を奴隷とし、挙句の果てには民族浄化をしようとする!私、大高弥三郎は日本国首相としてここに宣言します!枢軸の悪逆非道に断固戦うと!!我々か!枢軸か!正義はどちらにあるか!!我々がこの戦いで明らかにすることでしょう!!』
北海道政権では増援を前線へ送ることが決まり、北海道の雪豹師団と夜豹師団に出動命令が下され、現地への輸送手段のために新兵器である鵬型超大型輸送機2機を投入することが決定した。
さらに、日本の北海道政権と同盟関係にあるロシア帝国は大高の宣言に同調。
すぐに、バグラチオン作戦における予備兵力の一部であるハバロフスク集団の派遣を決定。これはバグラチオン作戦のベーリング海海戦において北海道政権の東郷艦隊の派遣に対する借りを返すとして派遣されるロシア兵の士気も高かった。
ロシア帝国大統領ウラジミール・プーシンも演説を行い、大高演説と合流する形で二画面演説を行う。
『大高は世界に正義を問う勝負に出た!虐殺と言う非道に立ち向かう勇者に我らが祖国、大ロシアは手を取る相手を見誤ることは断じてない!!ロシアは日本と共に枢軸の暴虐に立ち向かうことを宣言する!!』
日本で壮絶な戦いが繰り広げられていた頃、ここハワイ諸島でも壮絶な戦いが始まろうとしていた。
太平洋上では高杉艦隊・坂本艦隊・旭日艦隊がハワイオアフ島の北、230海里の海域に進出。すでに出撃の準備を完了していた。
空母より艦載機が発艦していく、三艦隊の長官たちは各々の乗艦の艦橋からその様子を見守っていた。その一つ、戦略空母武御雷の艦橋で高杉は力強く拳を握る。
「ハワイ諸島…ここを押さえれば、旭光作戦は盤石となる。本国での悲劇…これを止めるためにもハワイ島を抑えることが重要だ。」
日本武尊の艦橋でも大石も強いまなざしで発艦する航空機を見送っていた。
「この戦いは予定されていたとはいえ急な繰り上げがなされたものだ。戦力も予定通りとはいかなかった。だが、矢は放たれた…我々は後には引けない。」
大石の発言を耳にした原参謀長は大石に声をかける。
「メーサー戦闘攻撃機F-6電征、この機体ならばブリタニアの飛行型のKMFとも十分渡り合えます。大丈夫です…彼らはやってくれます。」
「あぁ…。」
坂本艦隊旗艦、戦艦長門。
「いよいよですな。」
参謀の言葉に、坂本はただ短く「うむ。」と返した。
『全軍突入セヨ!』
無線機から攻撃の合図が流れる。
パイロットたちが、機体のスイッチを押し爆弾が投下され、機銃やメーサーが放たれる。
3艦隊の第一次攻撃隊の目的はハワイ空軍力の殲滅であった。ホイラー航空基地、ヒッカム航空基地、エワ航空基地と言ったオアフ島の各航空基地は壊滅的被害を受けた。
『ワレ 大型艦 雷撃ス! テキ被害甚大!』
パールハーバー海軍基地でも入渠中の大型艦を中心に攻撃した。
そして、3長官は第二次攻撃隊にも攻撃命令を下していた。
第一次攻撃隊に遅れ、15分後の事であった。
「富士でのことは許すまじ!怨敵ブリタニアを討ってやる!」
「いいか!間違っても燃料基地をやってはいかんぞ!」
「っは!」
燃料基地は攻撃しない。これは高野が考えた作戦の要でもあった。
第二次攻撃隊は猛禽のごとく、パールハーバー防空施設に襲い掛かった。
「撃て撃て!奴らを叩き落せ!」
ブリタニア軍守備隊も制空権を奪われながら、良く戦ったが、すでに戦いの大勢は決していた。戦火と戦況は逐一3長官の下に送られていた。参謀から報告を受けた高杉は冷静に答える。
「長官、真珠湾には敵の主力はいませんでした。」
「読み通りだよ。」
一方、オズバンド・キンメル太平洋艦隊長官率いるブリタニア海軍東太平洋艦隊はエリア11で起こった事態の収拾のための増援としてマリアナ沖を北上中だった。
「なに!?ハワイがイレブンの空襲を受けているだと!!」
「提督!直ちに引き返して反撃しましょう!!我が太平洋艦隊はイレブンの艦隊より優れております!」
キンメル長官は動揺していた。
自国皇族の虐殺行為への報復にしては早すぎる。
「信じられん、考えられんことだ。しかも、シュナイゼル殿下と連絡が取れんとは…。」
キンメルは迷いに迷った。
もし、この時シュナイゼルとキンメルが連携できれば、もしくは反撃を即断していればブリタニア軍にも勝機はあった。1個艦隊で3個艦隊に挑むのは苦しすぎる決断であったが、遅滞を前提とした戦いをすれば、ウォレス・F・ハルゼーとアーノルド・フレッチャーやウィリアム・モルガン、アラン・ブロックスの独立航空機動艦隊に中央・西太平洋艦隊や東部南ブリタニア大陸艦隊の援軍も期待できた。
だが、キンメルは1対3の艦隊決戦のリスク。そして、太平洋地域の友軍5艦隊が集結するまでのハワイ島への被害を恐れすぎた。
「提督!ご決断を!」
「いや、近くの友軍と合流してからでも遅くはない!!」
その頃、ブルと異名をとる猛将ハルゼーは窮状を聞きオアフ島120海里を航海中であった。
「何をためらっている!あんたはすぐ引き返して、イレブンの艦隊と戦うべきだ!!我々も合流を急ぐ、生意気なナンバーズに太平洋の塩水をたらふく飲ませてやるチャンスじゃないか!!」
『あぁ、わかった。帰投中のレキシントンと合流し次第すぐに引き返す。』
「そうじゃない!今すぐ引き返すんだ!敵の艦載機は出払っているはずだ!…ちょっと待て!うちの偵察機が敵の偵察機と接触した!!敵の妨害電波ブイでレーダーに頼れんと思って偵察機を出して正解だった。」
『なんだと、位置は?』
「オアフ島沖、西140マイルの海域だ!」
『それで、落としたんだろうな!?』
「いや、逃げられた。北西らしい。」
『北西!?』
「しかし、ツキは俺にあるようだ。敵艦隊は俺の方が近いらしい!カウアイ海峡を北上し先に仕掛ける!挟み撃ちにしてやる!」
『待て!見込みで追撃するのか!?合流するまで待ちたまえ!!』
「レーダーはお互いに使えん!先手必勝だ!賭けてみるさ!」
ハルゼーの蛮勇は裏目に出る。二人の生電話は日本の電子偵察機に傍受され、艦隊の位置を把握されてしまうのであった。
3長官は帰投した第一次攻撃隊に燃料と弾薬を補給し再出撃させたのであった。
「徹底的にやる。彼らは我々にそれだけのことをしたのだ。そのことを思い知らせてやるのだ。」
高杉は双眼鏡を握ったまま、再出撃した第一次攻撃隊を見送った。
ハルゼー艦隊は正規空母2、軽空母1、巡洋艦5、駆逐艦13からなるものであったが、突然雷撃を受けるのである。
3艦隊所属の潜水艦群による魚雷攻撃であった。ハルゼーはポートマンの出撃を命令する間すら与えられず海の藻屑と散った。
ハルゼーの戦死。そして、空母レキシントンの轟沈もキンメルの精神に打撃を与えた。また、太平洋艦隊においてポートマンを最も多く保有していたハルゼー艦隊の壊滅は彼に焦燥感を駆り立てさせた。
「そ、そんな馬鹿な!?フレッチャーの艦隊は無事だな!」
「は、はい!」
「フレッチャーの艦隊に合流を急ぐように伝えろ!!」
キンメルは自身の艦隊を軸に中央太平洋の第六艦隊を率いるアーノルド・フレッチャーに合流を促した。
一方で、艦隊の指揮権を一時大石に委譲し高杉は直掩の空母を除く主力空母と共に後方に下がる。
大石は、坂本艦隊と高杉艦隊の主力を引き受ける。
一方で、フレッチャーの艦隊と合流したキンメルは遂に日本艦隊との艦隊決戦を決意した。
「長官!今こそ反撃の時です!」
「あの程度の空母の艦載機などハエのようなものです!」
「位置は?」
「おそらく、パールハーバーを目指しているでしょう。」
「なぜだ?」
「パールハーバーの燃料基地には450万バレル液体サクラダイトが手つかずにあります。これを叩かれると、我々は向こう六カ月動けなくなります。」
「それか!それが奴らの狙いか!よし!全艦を急行させろ!!ブリタニア海軍の面子にかけてイレブンの艦隊を殲滅するのだ!!」
「敵艦隊は、カウアイ海峡にいるとのことです!」
「全艦、カウアイ海峡に急行するのだ!」
ブリタニア軍
戦艦ウェストヴァージニア他8隻、巡洋艦ニューオリンズ他17隻、空母ロンドン他3隻、駆逐艦58隻。
日本軍
超戦艦日本武尊、戦艦信玄他7隻、巡洋艦虎狼他18隻、空母尊氏他3隻、駆逐艦66隻。」
一方、連合艦隊を率いる大石は…
「キンメル艦隊はカウアイ海峡に進路を取りました。」
「よし。進路このまま!前時代的ではあるが戦艦同士の殴り合いだ!諸君気合を入れていけよ!」
「「「っは!!」」」
これより、日本とブリタニアそれぞれの連合艦隊による壮絶な砲撃戦が始まる。
大石とキンメルの号令は同時であった。
「「砲撃はじめ!!」」
双方の妨害電波の影響でその戦いは正に前時代の戦いそのものであった。
自軍艦隊から放たれる砲撃の音と、砲弾が作り上げる様々な高さの水柱が海の男たちを猛らせた。
「撃て!撃て!!イレブンの艦隊など敵ではないわ!!!でかい戦艦など的にしてやれ!!」
「ブリタニア軍に日本武尊の鉛玉を食らわせてやれ!!日本武尊は伊達ではないと教えてやれ!!」
この艦隊決戦は新たな展開を迎える。
キンメルに新たな報告が寄せられる。
「左舷16度!新たな艦隊群接近!!戦艦3、空母1、巡洋艦7!駆逐艦を前衛に高速接近中!」
「ば、バカな!?イレブンの艦隊がまだいたのか!?」
新たに出現したこの艦隊は本国陥落を受けて各地から艦艇が合流し強化された、カレル・ドールマン提督率いる亡命オランダ艦隊であった。
北海道政権の要請を受けて本海域に秘密裏に進出していたのであった。
「大石提督。オランダ艦隊の援護は入用かな?」
「もちろんだ!」
キンメル艦隊は日本艦隊とオランダ艦隊に挟撃され、激闘3時間。キンメル艦隊はことごとく轟沈、もしくは撃沈されていた。
カウアイ海峡に砲声の音が止んだころ。護衛艦部隊に守られた上陸部隊は全ハワイ諸島を占領。上陸部隊はわずかな抵抗を排除し、真珠湾の各軍港を制圧。
ブリタニアとアジアを繋げる中継地点を寸断した。
日武艦隊決戦は日本の勝利に終わった。この戦いの勝利は今後の戦いにおける重要な役割を果たすことになるのであった。
そして、場面は時間軸を巻き戻し日本へと変わる。