コードギアス 皇国の再興 作:俺だよ俺
皇歴2017年9月20日23:59 トウキョウ疎開 CODE-Rブリタニア・ドイツ秘匿共同研究施設
実験適合生体であるジェレミア・ゴットヴァルトは意識を取り戻し、研究データを見始める。
「CODE-R。なるほど、活動電位とニューロフィラメントが異常数値でした。理解は幸せ!私を実験体にして再現しようとしましたですね?この病を…」
「CODE-Rは病人ではない。とにかく、大人しくしてくれんか?貴公のウィルスは動脈凛から…」
ジェレミアを説得しようとするバトレーであったがジェレミアは一切聞き入れる様子はなかった。
「言い訳無駄!!あなたを本国送りにした恨み、こんな形でいただきました。」
「わかったから、本国に一度戻ろう。こんな形では話す事すらまともにできん!」
『聞くがよい。ブリタニアよ、我が名はゼロ。力ある者に対する反逆者である!0時までは問う降伏して我が軍門に下れ。』
「うぅうううううううう!!」
ジェレミアは苦しみだし、バトレーは研究員に鎮静剤を打たせ、安定装置を取り付けようとしたが、そこにドイツ側の共同責任者であるマリアがバトレーの服の裾を引っ張る。
「データは確保したのだし、十分ではないかしら。少し早いけど実用試験と行くのはどうかしら?」
「ヴィクリート局長!?ですが、勝手なことは!?」
マリアは重要度の高い紙媒体のデータを部下にカバンに詰め込ませながら、自分の頬に手を当てる。
「もう、この状態じゃあ疎開から逃げるのは無理だと思うの。包囲されてるしね…。」
「だ、だがヴィクリート局長。」
「このまま、CODE-R研究における知識人である私たちが連中の捕虜になることの方が、祖国に対する損害よ。実験体は他の代用品を探せばいいわ。このまま、彼を連れて逃げるより、彼に好きにさせた方が捕まる可能性は低いわ。」
マリアの言葉を聞いてバトレーは少し考えてみる。
マリアの言うことは、ある意味ではありかもしれない。
「FXF-503Yは単機で戦況をひっくり返せる可能性を秘めている。」
使うか。
バトレーはマリアに視線を向けるとマリアも妖しくと笑う。
「じゃあ、こっちはMAN-05を出すわ。脳波リンクは時間的に難しいけど、オート操縦と通常の無線リンクでならFXF-503Yと繋げられるわ。」
「やってみるか。」
バトレーは何やら達観した様子で部下たちに指示を出し、マリアも部下たちと作業を始める。
「オストヴァルト中佐、あれらの牽引の支度をして頂戴。」
「いいのか。アーネンエルベの局長とは言え越権ではないのか?」
「仕方ないでしょ?こんなことになるなんて想定外だもの。日本の艦隊が接近してるんでしょ?あなたたちで対処できるの?」
オストヴァルトは数秒の試案の後、マリアの意見を受け入れる。
「わかった、ヴィクリート局長の意見を受け入れよう。」
マリアとのやり取りでオストヴァルトは艦隊の指揮と周辺のブリタニア艦艇の掌握を始めた。
皇歴2017年9月21日0:16 トウキョウ疎開外苑部
「フハハハハ、これでいい。あとは全世界に、トウキョウ疎開陥落の映像と共に勝利宣言をすれば。嫌でもブリタニア皇帝を引きずり出せる。やつに直接会えればすべてのカードはわが手に落ちる。」
ルルーシュはガウェインの中で嗤っていた。己の勝利を確信しながら…
「突撃!」
藤堂の号令で各部隊がトウキョウ疎開各所へと攻め込む。
時折、北海道政権軍の攻撃機がとどめと言わんばかりに爆撃を行っていた。
「引け引け!!政庁まで引き返して守りを固めろ!!」
コーネリアは後退の指示を出す。
「姫様!!ここはお任せを!!私は姫様に選ばれた姫様を守る騎士!!なればこそ、ここは私が!!」
藤堂に追い詰められたコーネリアを、逃がすためにギルフォード。
「命令だ。生きて帰れよ。我が騎士、ギルフォード。」
「イエス、ユアハイネス!」
ブリタニア軍と黒の騎士団の交戦は激しさを増す。
グラストンナイツも前線に出てきていたが、依然として黒の騎士団有利と言うことは変わっていなかった。
「ディートハルト、航空戦力は片付いた。お前は予定地へ移動しろ。」
『わかりました。』
「吉田は雷光の準備だ。」
『おぅ。』
「井上、皇軍の先導は任せる。」
『了解よ。』
「玉城、ラクシャータは?」
『移動中だ!』
「カレンはバックアップに廻れ!」
『はい!』
「藤堂、対象が現れたら…。」
『解っている。』
「扇、協力者の名は?」
『篠崎佐代子と言って…』
「ん!?」
見知った人物の名を聞いてルルーシュは一瞬眉を顰める。
しかし、すぐに元に戻って指揮を続ける。
皇歴2017年9月21日0:28 サイタマ西部エリア
「統一レジスタンス連合!!前進!!黒の騎士団と合流し一気に首都を開放せよ!!」
統一解放戦線の首魁となっていた片瀬は白襷の姿で指揮車両から身を乗り出して将兵たちを鼓舞しつつ自らも前線で指揮を執っていた。
旧日本解放戦線のカラーリングやレジスタンスごとに、ところどころ改修されている無頼や鹵獲機が前進していく。
「今は守りの時ではない、攻めの時である!一気呵成に攻め立てよ!!」
皇歴2017年9月21日0:36 トウキョウ疎開外苑部
『超電磁式重散弾砲、発射!』
『第一特務隊!突っ込め!!』
戦場の音声を拾いつつ、手元の情報を処理して状況を確認しているルルーシュにC.C.が話しかける。
「コーネリアは政庁に兵力を集中したな。」
「武力の拡散を避け、援軍を待つ。ハワイもパナマもやられた現状、どうかと思うがそれしか選択肢はない。解っていたことだ。」
皇歴2017年9月21日0:48 サイタマ東部及びチバエリア 陸上ホバー戦艦蓬莱山
神楽耶ら師団長陣は、北海道からの増援に含まれていた陸上ホバー戦艦蓬莱山に移乗し、そこから指揮をしていた。
「あと一時間ほどで、トウキョウ疎開です。」
「もう少し急げないのですか?」
乃木の言葉に、たいして急かすような応答をする神楽耶。
「すでに先行している部隊は戦線に加わっているとのことですので…、海軍の東京湾突入と合わせても問題ないかと…。」
「妾たちは後詰ではない。あまり悠長な真似は出来んのじゃ、急げ…。」
「っは。全軍、行軍速度上げい!」
皇歴2017年9月21日1:02 トウキョウ疎開外苑部
「藤堂さん。」
「朝比奈か?卜部の方は?」
「予定取り、エナジーフィラーの保管所を押さえました。」
「仙波と千葉も合流させろ。補給完了後、政庁を包囲。我が本隊は正面から押し出す。」
「承知!」
月下を駆り、トウキョウ疎開外苑部のブリタニア軍をあらかた排除した藤堂たちは、遂にブリタニア政庁攻略を狙う。
皇歴2017年9月21日同時刻 トウキョウ疎開ブリタニア政庁
「クレイン卿には後退を指示、駅構内に防衛線を敷かせろ。」
「イエス、ユアハイネス。」
「政庁前の防衛線はいかがします?」
「そのまま維持しろ。守りに徹するしか打つ手はない。」
「イエス、ユアハイネス。」
政庁のコーネリアは防衛線各所へ指示を出していた。その横にはグラストンナイツの騎士たちが控え指示を待っていた。
「で、援軍に関して兄上の方は何か言っていたか?」
「太平洋艦隊を構成する艦隊の半数以上が失われた現状、援軍の目途が立っていないとのことです。ただ国内で、比較的鎮圧できている伊豆諸島と小笠原諸島の航空部隊がすでに出ています。」
「30分後か。……黒の騎士団に情報をリークしろ。リーク後、お前たちはギルフォードとともに政庁正面を守り抜け!」
皇歴2017年9月21日1:17 トウキョウ疎開学園地区
学園地区を制圧した黒の騎士団はそこに司令部を設営。
北海道政権との通信も密にとられ連携も本格的となっていた。
『この調子ですと皇軍到着前に政庁も陥落できそうですね。』
「ゼロは皇軍を待たずに攻撃を始めました。トウキョウ疎開外苑部の城壁もそうですが、ゼロには秘策があるのだと思います。」
『秘策…。それは是非ともお聞きしたいですね。』
「矢口さん、さすがにそれは…。」
『冗談ですよ。では、後程。』
「はい、後程。」
扇が北海道政権の内閣官房副長官の矢口蘭堂と話し終えると、黒の騎士団の団員が不審者の報告をしてくる。
扇は、最初開放するように伝えたが、裏門からの侵入者と伝えられ視線を向けると、その視線上には自分の見知った女性である千草がいたのだった。
そして、ルルーシュも罠を張りスザクを無力化して機体の身柄を抑えると、自身も政庁へと向かって行った。
皇歴2017年9月21日1:23 東シナ海 中華連邦東海艦隊
旗艦の艦橋から、馬駒辺はゲスト席に座って様子をうかがう。
その横には宇羅玩准将が、司令官席には東海艦隊の司令官である芭魯矛中将が座っていた。
艦隊の援護には艦隊空母の直掩以外に、台湾軍区の空軍基地より経国号戦闘機の編隊が付いており、万全を期していた。
「我々は、いるだけでいい。日本の艦船を見逃して、ブリタニアの艦船を通さなければいい。我々は日本と南洋諸国の連携を妨げなければいいのだ。」
馬駒辺は宇羅玩から報告書を受け取り、目を通す。
「ほぅ…、黒の騎士団が学園エリアとメディアエリアを落としたそうだ。決まったな…。」
「はい、そのようですな。」
芭魯矛が会話に加わる。
「では、この機に琉球を押さえますかな?」
「芭魯矛中将、日本との関係を壊したくない。それにブリタニアが巻き返す可能性もある。無駄なリスクは負う必要はない。」
「失礼しました。」
皇歴2017年9月21日1:33 トウキョウ疎開ブリタニア政庁屋上
ルルーシュのガウェインは、ブリタニア軍の増援航空隊を一蹴し、コーネリアと政庁屋上で相対する。
「よぉこそ、ゼロッ!歓迎の宴だ…!」
もともと高い技量を持ち、技量と復讐心に駆られたコーネリアは、スペックに勝るガウェインを圧倒する。
「貴様の命は、正に私の手の中にぃっ!!」
しかし、コーネリアの思いに反して…。コーネリアの機体は背後からのランスによって貫かれる。
「だ、ダールトン…!?なぜ!?」
コーネリアのグロースターは堕ち、ダールトンもガウェインのハドロン砲で塵と消える。
皇歴2017年9月21日同時刻 トウキョウ疎開学園地区アシュフォード学園生徒会室
扇が身柄を保証した女に銃撃された黒の騎士団の司令部は混乱していた。
その隙をついて、ナナリーはミレイたちにスザクを助けるように促す。
彼女たちはナナリーの思いに応え、生徒会室を後にした。
一人残された、ナナリーは背後に気配を感じて振り返る。
「C.C.さん?」
「違うよ。」
「え、でも…?」
自分の予想に反して、男の子の声が返って来て困惑するナナリー。
「ナナリー、君を迎えに来たんだ。」
皇歴2017年9月21日同時刻 トウキョウ疎開旧東京湾 アドミラル・ヒッパー
ドイツ海軍アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦2隻に牽引されるFXF-503Yジークフリート。そして、浮遊状態で追従するMAN-05。それを守る様に展開するドイツ海軍の他のアドミラル・ヒッパー級とブリタニアの駆逐艦数隻。ダインとゲバイとポートマンがその周辺を警戒し、艦船の甲板にもグラスゴーが立っていた。
「コーネリア総督の旗色はかなり悪いみたいね。さて…」
この糾合船団の旗艦アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦1番艦アドミラル・ヒッパー。この艦内にはバトレー・アプリリウス、マリア・ヴィクリート、ハンス・オストヴァルトがいた。
「できそうかしら?ゴットヴァルト卿?」
「ご期待には、沿えるように全力で!!」
「大丈夫そうね。あれを起動させて。」
マリアはジェレミアの状態を確認してから、機体を起動させ、ジークフリートに追従するMAN-05が飛び去るのを見送る。
「さて、私たちは退避よ。オストヴァルト中佐。」
「了解だ。」
それらの様子を見てからバトレーはマリアに尋ねた。
「ヴィクリート局長?そういえば、MAN-05の名称は?試作機とは言え名はあるのだろう?」
「え?あぁ…あれ?…あれの名前は…グロムリン。MAN-05グロムリンよ。」
「では、ジークフリートとリンクさせたのだから、ジークフリート・グロムリンですな。」
「ふふ、そうね。ジークフリート・グロムリンね。」
バトレーの質問にマリアが答え終わると、オストヴァルトがマリアに対応を求める。
「ヴィクリート局長、ブリタニアのヘリが着艦許可を求めているが?君の客だろ?」
「ん?あぁ…そのヘリは2番艦に下ろして頂戴。大切なお客様よ。大切な…ね。」
ドイツ軍先遣派遣戦隊は一部兵力を残して、その多くの艦船は東京湾を離脱した。
それと入れ替わる様に、東京湾に白銀艦隊が来援するのであった。