コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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血染めのアジア サブタイトル変えます


第38話 南洋蜂起

皇歴2017年9月某日

 

エリア10決起より約1ヶ月前。インドネシアの植民地軍士官らはオランダ軍残留士官と共に山奥の山道を歩いていた。

 

「ここだ。」

 

オランダ軍士官示したところには巧妙に隠された鉄製の扉があり、部下にその扉を開けさせる。

 

「これで全部か。」

「ああ、女王陛下の命令だ。嘘は言わない。」

 

オランダ軍士官とインドネシア軍士官がお互いに敬礼する。

 

「これより、インドネシア軍に武器の引き渡しを行う。」

 

 

皇歴2017年9月某日 フィリピン・インドネシア

 

フィリピンのルソン島の北部中央に広がるコルディレラ行政地域には、標高が1,000メートルを越える峰々が多数存在する。コルディレラは、スペイン語で山脈。この山域でもバギオという街は、避暑地としても有名である。このバギオの東北にあるバナウェでは、実に牧歌的で大規模な棚田を見ることができる。また、バダットやボントックも大規模な棚田が広がっている。コルディリェーラの棚田は、天国へ昇る階段とも比喩される。棚田の総延長は20,000kmを越えるとも言われている。この大規模な山間農業地域は、ブリタニアの長年の統治の影で反抗勢力の拠点として着々と拠点化を進めていた。

狭く複雑な山道や農道は車両の行き来が困難で、泥でぬかるんだ田んぼや段差の激しい棚田はKMFのランドスピナーの優位性を殺した。

辺境地域に当たるこの地は、定期的にブリタニアの巡回があったがその都度監視をかわし続けた。

 

 

農民たちが田畑を耕し、水牛が鳴くその陰で、決起迫る皇歴2017年9月。

棚田や山林部分には窪みや稲藁の山で巧妙に隠された榴弾砲やカノン砲。

 

山道を行く編み帽を被った小太りの農夫が運転するトラクターは山砲を牽引して、これまた迷彩偽装で隠された砲兵陣地に運び込む。それを運んできた彼自身も背中に小銃を背負っていて、ただの農民ではなく民兵であることが解った。

辺りを見回せば、水牛の引くリアカーには迫撃砲が乗せられ、時折すれ違う三輪オートにも機銃が載せられ、老若男女の農民達は銃火器を肩にかけ、耕作作業をするもの達に紛れ土嚢や土塁で簡易陣地を作っていた。

自宅や納屋の地下には銃火器が隠されていた。

 

フィリピン・インドネシアの豊富な森林地域には多くの旧軍人やレジスタンスが潜み、数多くのトラップゾーンや防御陣地が築かれ、奴隷同然に扱われたプランテーション地域の農民達は食料をレジスタンスへと流し、ブリタニアに対する憎しみから彼ら自身も武装化し決起の日に備えた。ゲットーと化した破壊された都市部には日本同様にレジスタンスが地下組織を築く素地ができていた。

 

 

フィリピン・インドネシアの独立派武装組織は旧軍や旧植民地軍、蘭印軍が降伏前に隠した武器のだけでは抗いきれなかったために、レジスタンスやゲリラの間で多くの急造兵器が投入されていた。

零細機械工場の倉庫ではピックアップトラックや軽トラック、三輪オートには迫撃砲や機銃を乗せ、鉄板を張り付けたハンドメイドの装甲車両が作られていた。

零細ではないフィリピン・インドネシア由来の企業もブリタニアに面従腹背の姿勢であらゆるものを横流しし続けた。

 

皇歴2017年9月20日~

 

日本ではユーフェミアの日本人虐殺から始まる黒の騎士団の決起と皇国軍の南進が始まり、太平洋で皇国海軍とブリタニア海軍が激突し、パナマ運河を日露の特務艦隊が襲撃を行うしばらく前。日本皇国北海道函館では日本皇国首相大高弥三郎は全アジアを揺るがす大きな決断をしていた。

 

「皆さん!!我々は、この度のブリタニア副総督の民族浄化宣言に断固として立ち向かわんくてはなりません!!桜坂総務大臣!!連絡の取れるレジスタンス全てに決起を促してください!!」

「すべてですね。」

「はい、全てです!!」

 

赤坂官房長官の緊張した面持ちでの確認の問いに、大高は力強く言い放った。

 

大高の檄は日本中のレジスタンスの下に伝わり、彼らはこれに応えた。

 

大高の檄は遠く離れた、フィリピン・インドネシアにも伝わったのだ。

通信機の前に待機していた旧フィリピン軍の通信兵が電文を立ち上がり読み上げる。

 

「日本皇国より、入電です!読み上げます!【夜明ケル】繰り返します!【夜明ケル】です!!」

 

その場にいた将校たちが一斉に立ち上がった。その中の最高位の人物である旧フィリピン陸軍参謀長、現フィリピン独立軍司令長官アルテリオン・リカルテは拳を鳴らしてから周囲の将校たちに指示を出す。

 

「これより!アジアの夜明け作戦を発動する!!第一混成師団にコレヒトドール攻略作戦の発動を伝達!コレヒトドール島の陥落後、全土のレジスタンス及びゲリラを一斉蜂起させろ!」

 

フィリピン・インドネシア独立戦争の開戦の日であった。

コレヒトドール島に旧フィリピン軍兵士たちが襲撃。すでに放棄され、要塞としての機能はあったが重要視されていなかった同地は旧フィリピン軍の手に落ちた。

当時、ブリタニア軍によってコレヒトドール島が奪還されるのは時間の問題とされていた。

旧フィリピン軍はコレヒトドール島の要塞機能の修繕を開始。

 

エリア10のブリタニア軍、旧フィリピン軍双方が戦力を整えている最中、事態を一変される出来事が日本で起きていた。

ユーフェミアによる日本人虐殺から始まる、ゼロ率いる黒の騎士団の蜂起、皇国軍南進であった。

 

このとき、フィリピン共和国元大統領ホセ・ドテルレルによる決起演説が行われ、コレヒトドール島のフィリピン軍の狙いが日本の独立に追随したものだと判断したブリタニア軍エリア10マニラのブリタニア軍指揮官は編成中だった討伐軍を直ちに出撃させた。

コレヒトドール島のフィリピン残党軍がエリア11と連動する前に片づけようとしていたのだ。

 

空軍機を随伴させ、同地の海軍艦艇の大半を出撃させた討伐軍はコレヒトドール島の旧フィリピン軍を攻撃、戦端が開かれた頃。

事体は新たな展開を迎えていた。フィリピンのレジスタンスであるマカピリと旧軍人らがフィリピン各地域で武装蜂起。これに倣えとモロ民族系や共産党系、イスラム系のレジスタンスもこれに続いた。さらには暴徒化した民衆を巻き込んでの大規模なものであった。

 

フィリピンの民衆レジスタンスや旧軍人らは秘匿していたフィリピン軍の武装の他に、東南アジア諸国や日本、ロシアから供与された対KMF兵器を使いブリタニア軍に対しゲリラ戦を展開。

 

山林部のフィリピン民衆は村落義勇隊を結成し、ブリタニアの補給部隊他を襲撃しブリタニア軍の行軍や補給線の阻害を行い。

山林部の旧軍人らは野戦砲を隠し、そこからブリタニア陣地を砲撃して即座に撤収、山道に隠れ穴を作りブリタニア車両に爆薬を張り付けるなどして各地でゲリラ戦を展開。

 

「独立万歳!独立万歳!圧制者を叩き出せ!!」

 

都市部では、激発した民衆を巻き込んで、その激しさを増しレジスタンスが家屋に隠れ窓や隙間から無反動砲や対KMF弾を用いた市街戦を展開、家屋やオフィスビルの一軒一軒を拠点化して、ブリタニア軍を苦しめた。一般民衆も投石や火炎瓶、どこから持ってきたのか猟銃などで武装してブリタニア治安当局と衝突していた。また、オフィスビルからはレジスタンスの銃火器以外にも民衆から机やら椅子が投げつけられ空から物が降ってくる状態で、歩兵単位においては十分に脅威となっていた。

 

『民衆よ!!武器を取れ!!戦うのだ!!今こそ、暴虐な支配者から自由を勝ち取るのだ!!』

 

また、インドネシアでもスカルノよる決起宣言が行われ、インドネシア全地域の民兵組織郷土防衛軍と蘭印時代の植民地兵が決起。パプワ島においても現地レジスタンスが行動を起こした。また、インドネシアではオランダがインドネシア解放後の統治は行わないと声明を出していたこともあり、独立戦争へのオランダ軍残留兵士たちの参加がスムーズに行われた。

決起軍の戦力は59式戦車やT54戦車、民生ガニメデの改造機。

さらには機銃や迫撃砲を積んだ武装ピックアップトラックに山村部では小回りの利くオート三輪を装甲化させたものすら投入させた。

 

 

 

皇歴2017年9月20日 旧フィリピン共和国ルソン島コルディレラ地域

 

フィリピン蜂起の最大拠点であるコルディレラでは、ブリタニアの討伐軍と激しい戦闘を繰り広げていた。

棚田群の各所に設けられた偽装砲台や、トラクターやリヤカーの牽引砲がブリタニア軍に必死の砲撃戦を繰り返す。

ランドスピナーが活かせないこの土地ではKMFも2足歩行で動くしかなく。軍用車両も思うように動けない。農道や山道を動き回る武装三輪オートが火力に欠けるとは言え、ブリタニア軍を混乱させる。

 

棚田の中を歩行するグラスゴー、それを茂みに隠れて様子をうかがう民兵。

 

「来た、今だ!」

民兵の一人の声で、別の民兵が起爆スイッチを起爆させる。

水田内で水柱が上がりグラスゴーが足を取られて倒れる。

すると他の民兵たちがバズーカやグレネードランチャーを一斉にグラスゴーに放ちグラスゴーが燃え上がる。

 

「やったぞ!」

 

また別のところでは、装甲三輪オートや装甲トラックがブリタニア軍の機動戦闘車との打ち合いに負け穴だらけにされている姿がさらされていた。逆に5台の武装ピックアップに袋叩きにされるブリタニア軍装甲車の姿も見られた。

 

「うわぁあああ!?逃げろー!」

 

グラスゴーに追い回される民兵、踏みつぶされる者達も・・・。

偽装砲台の砲弾にあたり爆散する戦車。

 

「撃てぇ!!」

 

リヤカーに据え付けられた迫撃砲を一斉に放ちブリタニア歩兵の集団に打ち込む民兵は頭から血を流しながら弾を装填した。

その横にはリヤカー牽引役の水牛が血を流して倒れていた。

 

「・・・未来のために。」

 

道端に横たわる足のちぎれた重傷で助かりようがない老人は、その横を通り過ぎようとしたブリタニア軍兵士にしがみ付き体に巻いた建築用の発破ダイナマイトを起爆させた。

 

山村や農村部を中心にレジスタンスの決起が始まり、スカルノやドテルレルの民衆総決起を促す檄によって急速にパルチザンと化す民衆。

エリア10ブリタニア軍の対応力を越えんばかりの広がりを見せていた。

 

 

その状態で5日ほど経過する。日本皇国では国内の残党軍の掃討が開始された頃。中華連邦加盟国の一部が動き出す。

 

「今こそ!ブルネイ・ダルサラーム国の旧領をブリタニアから奪還する時!!」

 

ハンサル・ボアキル国王の宣言を受け、ブルネイ軍が旧領回復を宣言。マレーシア連邦共和国国王ハサル・ハリム・シャーはこれを支持、ハフリム・バラビ海軍大佐率いる海防駆逐艦(フリゲート&コルベット)からなる小規模艦隊をボルネオ方面への派遣と言う形で支援を受け決行する。

 

「全艦!ブルネイ軍の上陸を支援せよ!」

 

ボルネオ島へマレー海軍の支援を受けたブルネイ・ダルサラーム国のサゴヤシアンブヤット亡命政府軍陸軍大佐がボルネオ島へ上陸、戦闘を開始する。

 

「全軍突貫せよ!ブリタニア軍は浮足立っている!!一気呵成に攻め立てて旧領を回復せよ!」

 

揚陸艇に乗ったブルネイ軍の部隊が、装甲偵察車や装甲車と共に上陸していく。

幸いKMFの数は少なくブルネイ軍の対KMF兵器で十分対処することが出来たために、ブルネイ軍とブリタニア占領軍は拮抗した戦いを繰り広げた。

 

マレーシア連邦共和国が中華連邦本国の睨みを無視してブリタニアと戦闘を再開。

 

これに巻き込まれるであろうことを予想した、シンガポール市国のトニー・タムケム大統領はマレーシア連邦に同調、シンガポール軍デヴァン・ナザン海軍大佐率いる小艦隊はマレーシア陸軍の砲兵団とインドネシアの蜂起軍支援のためにスマトラ島ブリタニア軍基地を砲撃。

さらにべトナム社会主義帝国のバオ・ダオ帝は軍に南沙諸島の確保を命じた。

軍は空軍編隊と海軍小艦隊を南沙諸島に進出させ、現地ブリタニア軍を排除、南沙諸島を実効支配した。

 

ブルネイ王国やマレーシア連邦共和国はエリア10形勢の段階で領土を奪われているため、すでに戦争状態であったが、シンガーポール市国やベトナム社会主義帝国と言う第三国が介入したと言う事実は周辺事態への拡大を意味していた。

 

この事態を受け、中華連邦東南アジア閥の盟主国家タイ王国は事態の拡大を防ぐために海軍の空母チャクリナルエベトを中心とした艦隊をタイランド湾から進出させて周辺諸国の自粛を促したが、この時すでに周辺諸国の動きに同調したカンボジア王国とラオス人民民主国、ビルマ社会主義共和国は休暇中の全将兵に招集をかけていた。

 

 

 

皇歴2017年9月2?日 ネパール王国

 

ネパール国王ビギャンドラは、ドゥチャンダ首相と席に着き軍高官が2人ほど控えて、一人の少女にも見える女性と対面していた。彼女はミスXと名乗り、反ブリタニアレジスタンスの支援活動をしているピースマークの交渉役であった。

 

「我が国は、フィリピン・インドネシアにグルカ部隊を派遣してもよいと考えている。」

「しかし、輸送手段はない。それに悪目立ちもしたくはない。」

 

ビギャンドラ国王の言葉に、ドゥチャンダ首相が付け加える。

 

「そういった要望を、ピースマークならば解決できるのかね?」

 

ドゥチャンダ首相の揺さぶりの言葉に対して、ミスXは全く問題ないと意に返した様子はなかった。彼女は手にしたタブレットを起動して、二人に画像を見せる。

 

画像にはブリタニア軍のB-2爆撃機の様な黒い全翼機が映っていた。

ドゥチャンダ首相の横にいた軍高官が、声を震わせる。

 

「こ、これはステルス機・・・。たかがテロ支援集団がなぜ?」

「詮索は禁止よ?で、どうします?ご協力いただけるかしら?」

 

軍高官の追及に対して、彼女は唇に指を当て秘密だとジェスチャーし、ビギャンドラ国王とドゥチャンダ首相に視線を向けた。

 

「わかった。秘匿性を保証してくれるのならグルカ混成大隊を出そう。ただ、ピースマークの兵としての体裁を取ってほしい。」

 

「わかりました。グルカ兵を提供していただけるのなら、そのように致しましょう。」

 

ドゥチャンダ首相らの要望にこたえる形でミスXは応じた。

 

 

皇歴2017年9月30日 ネパール王国

 

ネパール王国はピースマークを通じてグルカ傭兵部隊を派遣する。

ピースマークの大型ステルス輸送機にネパール王国の義勇軍であるグルカ混成大隊が乗り込んでいく。歩兵に装甲戦闘車両、KMFも鋼髏ではあるものの配備されている。

 

グルカ兵を乗せたピースマークの輸送機が飛び立ったのを確認したドゥチャンダ首相は一息つく。

ドゥチャンダ首相は首相邸に戻り通信機を使ってタイ王国府に連絡を入れる。

 

「はい・・・はい。正規の軍を表に出すわけにはいきませんからな。グルカ傭兵の動員は良案でしたな。」

 

 

皇歴2017年9月30日 タイ王国首都バンコク・プラナコーン地区 王宮

 

プミンポン国王とプレーク・ピブーンゾングラーム首相らはネパール王国のグルカ傭兵を中心としたピースマークの参戦に胸をなでおろしていた。

 

「ベトナムやシンガポールが動いたときはどうしたものかと一時は頭を抱えたが、何とか納まりそうだな。」

 

プミンポン国王の言葉に、ピブーンゾングラーム首相もソファーにその身を沈めていた。

 

「ブルネイやマレーシアは直接の交戦国ですので予想していましたが、周辺国がこうも動くとは思わなかったです。カンボジアのシヌハーク王は、シュナイゼルのトモロ機関の排除に動こうとしていたとの情報もありましたので・・・。」

 

別の政府高官が口を開く。

 

「グルカやピースマークの投入で、亡国のブルネイ以外は留飲を下ろしたことでしょう。」

「一時のことだ。」

 

プミンポン国王の言葉にピブーンゾングラーム首相も続ける。

 

「今動けば、中華連邦本国と戦う羽目になっていたかもしれませんしね。」

「まったく、恐ろしいことよ。今の本国軍とでは我らに勝ち目はない。フィリピン・インドネシアは耐えに耐えて、今日の独立戦争がある。我らが動くのなら、もうすこし時間がたってからだ。中華連邦、太平洋戦略、枢軸の動向、世界規模でも事は動く。だが、我らの様な中小国はまず足元を整えねばならん。中華連邦本国の主導権を握るのは大宦官か?天子派か?あるいは紅巾党か。」

 

 

 

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