コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第39話 フィリピン戦線

皇歴2017年10月1日 日本皇国東京都市ヶ谷 大本営

神楽耶天皇と大高弥三郎首相、木戸孝義外相らが臨席する中、高野五十六海軍軍令部総長、桂寅五郎陸軍参謀総長、厳田新吾空軍戦略長官、永野長見海軍軍令部副総長、貝賀友信陸軍参謀次長、黒羽飛出雄戦略空軍参謀長らの話し合いが行われた。

慣例に従い神楽耶は発言せずに様子を見守り、大高・木戸も会議の流れを見守った。

 

「硫黄島への増援は、海防や海保の混成でなんとかなるか。では、後は沖縄か。」

 

永野軍令部副総長の言葉で、議題は沖縄派兵へと変わっていく。

 

「硫黄島のブリタニアを片付ければ、沖縄のブリタニア軍だけだ。」

「むしろ、硫黄島よりも沖縄の方が戦力的には上。沖縄には正規軍を中心とした部隊を送るべきでしょうな。陸軍は海軍の揚陸船団の準備さえ整えば、いつでもかまわん。」

「然り、本土のブリタニア軍は駆逐したと言ってもよいでしょう。」

 

永野の発言に桂寅五郎陸軍参謀総長は陸軍は万全と答え、貝賀友信陸軍参謀次長も然りと答える。陸軍は万全と言って、空軍の方に視線を向ける。

 

「空軍は海軍ほど残党狩りに戦力を割いていないのですが、すぐにとは言えませんな。基地航空隊の増槽装備まで時間が欲しいと言うのが正直なところ。」

「海軍よりは早い段階で作戦行動がとれます。」

 

厳田新吾空軍戦略長官、黒羽飛出雄戦略空軍参謀長は作戦行動はとれると発言する。

 

「沖縄は我が国の領土。空爆で焦土にするわけにはいかんだろう。海軍待ちであろうな。」

桂は高野五十六海軍軍令部総長へ向ける。

 

「・・・白銀艦隊を差し向けたいと思っています。一時的に海防力が落ちることになりますが、沿岸防備局を海軍に組み込んで、再編成した紅玉艦隊とで一個艦隊戦力として扱うと短期的には守れると考えています。防備局の艦艇の改修を行えば長期的にも可能かと考えております。」

 

片桐光男内閣官房副長官が手を上げて、発言する。

 

「沖縄の解放は急務と言えるでしょう。一応、九鬼海兵師団をインドネシアに先発して送り出しましたが、沖縄と言う中間拠点を確保しないとフィリピン・インドネシアに大規模な援軍を送れないのです。現在、フィリピン・インドネシアは蜂起しておりブリタニア軍と戦闘中です。」

 

ここで、大高が片桐を手で制して自分が話し始める。

 

「フィリピン・インドネシアの救援は今後の太平洋戦略の要と言うことをご理解いただきたい。」

 

 

皇歴2017年10月1日 旧フィリピン共和国旧マニラ首都圏

 

10月に入り、日本皇国では琉球諸島奪還のための軍の編成が行われる。伊豆・小笠原諸島の奪還は完了し、マリアナ諸島やカロリン諸島と言ったオセアニア海洋地域のブリタニア軍は勢いを失っていた。

日本国内では白銀艦隊を中心とした奪還軍の編成が進んでいた。

 

琉球諸島。日本とフィリピン・インドネシアをつなぐシーレーン上に存在する琉球諸島駐留のブリタニア軍には、今の日本皇国を押し返す力はない。

ここさえ落とせば、日本皇国はフィリピン・インドネシアに安全に兵を送ることが可能となる。琉球諸島のブリタニア軍には死守命令が出ているが、負けは必須。

だからこそ、エリア10ブリタニア軍はフィリピン・インドネシア地域の反乱を鎮圧しようと必死であった。そして、それが解っているからこそフィリピン・インドネシアの住人たちの抵抗も激しいものであった。

 

ブリタニア軍のサザーランドやグラスゴーに対して、レジスタンスはわずかな鹵獲機と民生ガニメデを改造した機体で立ち向かった。

地の利はレジスタンスにあったが、兵器の質は、間違いなくブリタニア軍の方が上だった。

 

コレヒトドール島や山間部の攻防はいまだ激しく、一部の拠点は陥落したが、その大半の拠点は防戦を継続していた。

 

ブリタニア軍の報復も過激なものがあり、どこの植民地でも行われている民間人への攻撃はもちろんであり、これに加え籠城者がいる竪穴拠点にコンクリートを流し込み生き埋めにする。

 

「この者は、エリア10の平穏を乱すテロリストである!よって斬首刑を命じる!」

 

前世紀の様なギロチンを用いた処刑などの現地民への威嚇行為も行われた。この行為が逆にかれらの怒りの火に油を注ぐこととなった。

 

前時代的な脅迫による威圧で民衆を押さえようとしたブリタニア行政府の思惑は外れに外れ、地方都市はおろか旧フィリピン共和国旧マニラ首都圏でも、暴動が発生していた。

 

フィリピン民衆によるブリタニア系商店や車両への放火が、各地の都市部では治安部隊と民衆との衝突が発生した。

 

特にマニラ首都圏、通称メトロポリタン・マニラでの暴動は特記すべきほどに激しいものであった。

マニラ首都圏は、フィリピンで最も栄えた地域でありフィリピン人たちの栄光の記録と言える地域であった。そこの富裕地区は、現在ブリタニアの疎開地域とされておりそこに住むブリタニア人は憎悪の対象であった。

 

各市の大通りでは、治安部隊と衝突。民衆は横転させたバスに放火し、炎のバリケードを作り、橋の上からは石やコンクリートブロックを兵士に投げつけた。兵士の一部はデモ隊に巻き込まれ、暴行され、撲殺される者も居た。

 

「殺せ!やっちまえ!」「くらえっ!」

 

民衆に包囲されたブリタニア軍の軽車両から兵士が引きずり出される。

民衆はそれを捕まえ、ガソリンを掛けて燃やし、死体を陸橋にぶら下げるなど、民衆による残忍な行為もあった。

 

民衆たちは一方では野蛮ともいえるが、横暴な態度でフィリピン民衆を抑圧し続けたブリタニア人もある意味、因果応報。のちの歴史家はこれにどう評価を下すのだろうか。それは今を生きる彼らにはどうでもいいことであった。暴力には暴力で返ってくる、ここフィリピンでもインドネシアでも、もちろん日本でもそうだ。しかし、今この時に非暴力で解決できるような英雄・・・ましては神の様な所業ができる者など、今のところはいないのだ。

 

 

マカティ市はビジネス街であった。そのビジネス街では暴徒化したフィリピン民衆によってブリタニア人経営者が路上に引きずり出されて私刑を受け、逃げ惑う。

名誉ブリタニア人たちも、普段の鬱憤を晴らすように上司のブリタニア人をビジネスビルから突き落とすと言った姿が見られた。

 

政治犯収容所のあるモンテンルパ市では1万を超える民衆が集結し、それを押さえようとした治安部隊はナイトポリス数機を持ち出し機銃で応戦。しかし、猛りに猛る民衆はパワーショベルやブルドーザーなどの建機車両30台で応戦。歩兵規模の戦闘でも民衆の火炎瓶や少量の銃と収容所部隊の小銃による火力戦が繰り広げられ、収容所のゲートは大型トラックとバスが突っ込み変形していた。

 

「よし!このまま鎮圧しろ!」

 

ナイトポリスとは言えKMF、建機程度では相手にならない。民衆たちも押され始めていた時、収容所の一角が爆発。そこから3機ほどのナイトポリスが現れる。そのナイトポリスは収容所の守備に就いていたナイトポリスを攻撃した。

このナイトポリスはレジスタンスが奪取したものであった。

 

さらに収容所内部でも収容されていた政治犯のフィリピン人たちが暴動を起こし、状況はさらに変わって民衆側に有利となった。内と外で挟み撃ちにされた収容所の治安部隊は壊滅し、民衆はパルチザンとしてレジスタンスに加わっていく。

 

民衆を吸収して肥大化する構図は、奇しくもブラックリベリオンにおける黒の騎士団と同じ状況になってた。

 

 

さらに、レジスタンスに負けず劣らず民衆パルチザンもブリタニア軍の輸送部隊を襲撃し武装化するなど。エリア10ブリタニア政庁の機能はマヒしつつあった。

 

 

 

皇歴2017年10月2日 フィリピン独立派アジト

 

独立派のアジトでは通信機を前に、日本の大高とフィリピン元大統領ホセ・ドテルレルが連絡を取り合っていた。

 

「ミスタ大高!増援はまだなのか!沖縄を無視してこちらに来ることは出来んのか!」

『沖縄と言う中間拠点を無視するのは、戦略上危険なのです。戦力としては脅威と言うほどではありませんが、無視するにはあまりに大きい。』

 

「だが、大高!これ以上、我らは持たんぞ!フィリピンを囮にでもする気か!」

『プレジデント、ホセ。ご安心を、皇軍の代わりの時間稼ぎをしてくれる有志を確保しています。』

 

それを聞いたホセ・ドテルレル元大統領は興奮する感情を抑え、大高に尋ねる。

 

「援軍だって?本当かい?」

『はい、ピースマークの精鋭とグルカ傭兵を雇い、貴国に先発させています。10日、あと10日持たせてください。沖縄を落とし、フィリピン戦域に到着するのは10日。10日持たせていただければ。状況はひっくり返せます。今が貴国の踏ん張り時ですぞ。』

 

 

 

 

 

皇歴2017年10月2日 旧フィリピン共和国旧マニラ首都圏 上空 大型ステルス輸送機

 

「降下用意!!」

 

ピースマークの大型ステルス輸送機の中では、グルカ傭兵たちが慌ただしく動き回り自身の鋼髏や空挺戦闘車両に乗り込む。

 

その片隅で軍隊然としたグルカ兵たちとは雰囲気の違う少年がいた。

 

軍需物資の箱に腰を乗せているミスXは通信機越しに、機体内で最終調整をしているオルフェウスことコードネームOZに今回の依頼を伝える。

 

「今回のミッションはフィリピンの独立派の援護。一聞すると簡単そうでしょうけど、かなり困難よ。今のところ、独立派が有利に進んでいるわ。でも、一過性の物であることは間違いないわ。大凡の予想では、首都圏の奪還で独立派の勢いは失われ、2週間統制を取り戻したブリタニア軍に鎮圧されるわ。ただし、2週間。この2週間を超えれば状況が変わる。」

 

『状況が・・・変わる?』

 

最終調整を終えた彼の乗るKMF白炎が、グルカの鋼髏たちと同じ開閉ハッチの場所まで移動する。

 

「そう、援軍よ。今から10日後・・・、10日後に日本の援軍の先陣が到着する。そうなれば、独立派の士気は上がるし、そのあとの援軍本隊の到着で一気に独立派の勝利よ。」

 

『なるほど、了解した。』

 

輸送機のオペレータのカウントダウンが始まる。

 

【ハッチ解放まで10・9・8・・・】

 

「それと、今回のクライアントは日本皇国内閣総理大臣大高弥三郎よ。」

 

【2・1・開放!】

 

 

 

 

皇歴2017年10月2日 旧フィリピン共和国旧マニラ首都圏 ケソン市

 

コモンウェルス通りでは、レジスタンス及び旧軍の主力がブリタニア軍と激しい戦闘を繰り広げていた。

 

 

コモンウェルス通りはいくつかのビルが倒壊し、瓦礫や一般車両の残骸をバリケードに独立派の鹵獲機や改造ガニメデ、雑多な装甲車両が、ブリタニア軍のサザーランドやグラスゴーと言った機体と戦っている。

 

グラスゴーのマシンガンで、まるで死の舞踊と言わんばかりに撃ちのめされたガニメデが崩れ落ちて爆散する。数に劣る鹵獲機はナイトポリスとの混成、正規の軍用機であるサザーランドやグラスゴーには敵わない。

一機、また一機。一両、また一両と独立派の機がやられていく。

 

「もう持たない!至急増援を!!」

 

コモンウェルス通りの独立派指揮官が司令部に援軍要請を出す。

 

『こちら、司令部。増援はすぐ来る安心しろ・・・。』

 

「ど、どこから・・・」

 

独立派指揮官は、増援の姿を確認しようと指揮車両から頭を出し見回す。

すると不意に頭上が暗くなる。彼は上を見上げて、その姿を見る。

 

「あ、あれは・・・味方だ!」

 

白い角の生えた機体。品位を感じながらも力強さも感じるそんな機体。

 

『こちら、ピースマークのOZ。任務を開始する。』

 

 

 

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