コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第44話 ティターンズ起つ

皇歴2018年2月16日 日本皇国沖縄県 万国津梁館

 

この日、沖縄では日本と東南アジア諸国では経済・社会・政治・安全保障・文化に関する地域協力を目的とした大東亜条約を締結した。

 

「ただいまを持って、アジアは新たな段階へと至りました。真の自由と繁栄のために我々は手を取り合いました!」

 

大高は各国首脳と手を取り合って、記者団にアジアの団結をアピールした。

 

大東亜条約締結は、1月8日の中華連邦連邦会議での本国と連邦加盟国との間で決定的な亀裂が走ったことに端を発している。ブリタニア他枢軸に加盟国を生贄に迎合姿勢を見せる本国に対し、加盟各国が見切りをつけたことに他ならなかった。

 

中華連邦本国では、大宦官派と先帝派・天子派の対立や紅巾党の存在が足を引っ張り、東南アジア諸国に対して硬軟ともに有効な対策が取れずにいた。

それでも、両国の国境線には兵力が増員され一定以上の緊張感が張り詰めていた。

すでに、中東や中央アジア諸国が連邦の治世が及ばない時点でかの国の明暗は見えて来たとも言えた。

 

 

 

皇歴2018年2月 枢軸連合共同分割統治領オーストラリア エリア25シドニー

 

 

ここオーストラリアのブリタニア割譲地はエリア25としてブリタニア統治下に置かれていた。ちなみに枢軸連合による割譲区分は、オーストラリア州境がそのまま使用されている。

 

ブリタニア統治範囲はニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州、ニュージーランド。ナチス第三帝国の統治範囲は北部準州、イタリア王国の統治範囲は南オーストラリア州、西オーストラリア州。スペイン王国はタスマニア州が割り当てられた。

 

このエリア25は例外的にブリタニア王族以外の人物が統治している。カリウス・カラレス公爵、彼の就任はクロヴィスとユーフェミアが命を落とし、コーネリアも行方不明となった忌むべき土地となったエリア11の旧国家残党軍と次期に同地及び周辺で大規模戦闘が確実に行われる地域であること。ブリタニア植民地において珍しい数多くの同盟国との共同統治領であり高い外交的センスが求められることもあり、適任者と言えるシュナイゼルに次点のギネヴィアはそれぞれの理由で就任不可。一時は立候補者も現れず、異例として第一皇女ギネヴィアの推挙を受けて総督に就任した人物であった。

 

しかし、そんな彼も所詮は繋ぎ要因でしかなかったのだ。

 

総督位こそ現状維持ではあったが、上位役職が置かれることとなる。ポリネシア、メラネシア、ミクロネシア=エリア09、フィリピン・インドネシア=エリア10、日本=エリア11、オーストラリアブリタニア管理区域・ニュージーランド=エリア25を総括する大総督が置かれることとなり、これは軍の太平洋戦域司令官ダグルイス・マッカード陸軍元帥をも明確に傘下に置く強権を持っていた。

 

遡ること半月前

 

神聖ブリタニア帝国 帝都ペンドラゴン 王宮

 

「我が15番目の息子キャスタール・ルィ・ブリタニアを太平洋大総督に任じる。励むが良い。」

 

「っは。お、お任せください父上。」

 

「うむ。」

 

新役職就任の儀がつつがなく行われる。

キャスタールの就任は意外であった。

 

これは就任の儀に出席している者たちの皇族側の席での密談である。

 

「ルィ家め、これを好機と捉えたか。」

「かの者の私設軍隊なれば・・・あるいは・・・。」

 

他の皇族たちが話しているのを横に、中央の政治情勢に関して継承順位が低いゆえに疎いところがあるマリーベル・メル・ブリタニアは自分の横の席に座るカリーヌ・ネ・ブリタニアに尋ねる。

 

「ねぇ、カリーヌ?キャスタールのルィ家ってそんなにすごいの?あまり表舞台に立った記憶がないのだけど?」

 

それを聞いたカリーヌは少々馬鹿にしたと言うか困惑したと言うか。微妙な表情をしつつも親切心もあるのか一応答える。

カリーヌは視線でルィ家の席の方に視線を送る。その先には一人の老人の姿があった。

 

「ルィ家の歴史は古く初代ブリタニア公の時代よりブリタニア皇家の盟友であり、当代当主はエリア復興公社総裁とインターナショナル国債管理公社総裁を兼任、前貴族院議長でもある。ジャミトフ・ルィ・ハイマン大公、私達皇族を除けば神聖ブリタニア帝国で尋常ならざる権力を握る老人よ。」

 

「そんな、大物なの?ならなんで今まで表舞台に?」

 

マリーベルの問いに、答えたのはカリーヌの隣の席にいたギネヴィアであった。

 

「英国王エリザベス女王から、王位を継承した際に危険視され一時は追いやられたものの先々代あたりから見出され始め次第に権力を回復。今の陛下がルィ家の娘を妻に迎え入れ今の絶頂期を迎えたのよ。ルィ家の席を見て見ると良い。ジャミトフ大公の左の男を・・・。植民地支配政治団体ブルーコスモスの盟主。古くナンバーズ支配政策に最大の出資をしてきたアズラエル財閥の若き御曹司。国防産業連合理事、デトロイトに本拠を置く軍需産業アクタイオン・インダストリーの経営者、ムルタ・アズラエル。そして右の軍人、ナンバーズ政策推進派の急先鋒バスク・オム大佐。彼の第二艦隊は欧州方面所属だったがユーロブリタニア創設で引き揚げて来たばかりの遊兵。これを太平洋に充てるのであろう。」

 

「それにしても、彼らの軍服・・・通常の物とは違うのですね?」

 

マリーベルの質問にギネヴィアは淡々と答えた。

 

「軍属ではあるが、彼らはジャミトフとアズラエルの息のかかった私兵ティターンズよ。」

 

シャルルの命を受けたジャミトフはキャスタールを神輿として、私兵集団ティターンズを率いてエリア25へ入った。旗艦は大型浮遊航空艦ドゴス・ギア、周囲にはアレキサンドリア級浮遊航空艦が守りを固め、独自規格のKMFマラサイ、バーザムが搭載されていた。

これらの兵器はアズラエル財団傘下の企業主導で開発されている。

 

場面は戻りエリア25シドニー。

 

カレラスの迎えを受けて、エリア25入りしたキャスタール、ジャミトフらはカレラスの居城であった総督庁舎を接収、そこに大総督府を置く。

 

「まずは、オセアニアにおける枢軸軍の主導権を握らねばならん。キャスタールよ、煩わしい政治は儂に任せておくがいい。軍の管理もバスクにでもやらせればいいだろう。キャスタールは好きなようにすればいい。」

 

「ありがとうございます、御祖父様。ですが、僕はあの臭いナンバーズの存在が気に入りません。前線での指揮を希望します。」

 

ジャミトフの言葉にキャスタールは血気盛んな言葉を発する。それを聞いていたバスクは低く唸るような地声でガハハと笑いながらキャスタールを褒めたたえる。

 

「さすがはキャスタール殿下ですな!反抗的なナンバーズは根絶やしにせねばならんでしょう!前線で戦いたいとは!男児たれば当然でしょう!殿下には殿下御自信の親衛隊に加え、我らがティターンズの精鋭を率いていただいてはどうでしょう?」

 

ジャミトフは一瞬眉を寄せ、キャスタールの騎士であるヴィレッタの方に目をやってから視線を戻し答える。

 

「よかろう。だが、キャスタール・・・無理はするな。お主は陛下の大切な御子だ。無駄死になどはせんでくれよ。」

 

「御祖父様、僕は他の兄弟みたいに、間抜けな真似はしませんよ。」

「ジャミトフ閣下!キャスタール殿下は我々ティターンズがお守りいたします!!」

 

「うむ、キャスタール。皇子としての役目を果すのだぞ。バスクよ・・・キャスタールを補佐してやるのだ。」

 

「心得ております、御祖父様。」

「お任せください!閣下!このバスク一命を賭して職務に励みます!!」

 

「うむ。」

 

 

 

一連のやり取りの後、ジャミトフはキャスタールの騎士であるヴィレッタを残した。

ジャミトフは従者達も下がらせて2人だけしかいない。

 

「儂は、貴様が裏で何をやろうと構わん。何やら、陛下の密命を受けていることは知っている。儂らにとって少々厄介な代物であることも知っている。しかし、他ならぬ陛下の命令・・・。一介の貴族である儂が手を出そうとは思わん。故に、貴殿の帯びている密命に関して儂らは何ら関与しない。この言葉理解せよ。」

 

「っは、重々承知しております。」

 

ヴィレッタはジャミトフに深く頭を下げた。

 

 

 

皇歴2018年2月 ナチス第三帝国 ベルリン 総統官邸

 

中東の対インド戦線に、新貴族筆頭ワルター・G・F・マイントイフェル陸軍少将が入る。

出世頭である彼の中東入りはインド戦線の開戦間近を示していた。

 

そして、もう一つヒトラーの興味を引いているのはオセアニア戦線であった。

ヒトラーは側近のヒムラーやラインハルトを呼びつけていた。

 

「オセアニアにはそこそこに重要な存在がいる。極東の黄色い猿どもも無自覚にそれらを押さえている。東方の動きには気を払えよ・・・。」

 

「「ハイル!ヒトラー!」」

 

オセアニア戦線での話題はもっぱらオカルトよりであった。

 

 

 

中華連邦某所 ギアス嚮団本拠地

 

ヒトラーの手引きとV.V.の招きを受けて、神秘部アーネンエルベ局長マリア・ヴィクリート武装親衛隊中佐はいた。そしてもう一人、具合悪そうな顔色の金髪の男性ギニアス・サハリン技術少将、先のブラックリベリオンで黒の騎士団に一矢報いたMAグロムリンの開発者であった。

 

「ハインリッヒから聞いているとは思うけど。君らには嚮団に協力してもらうよ。ギニアス少将・・・試作ながらもグロムリンの性能は素晴らしいものだよ。是非教団で君の理想を実現しておくれ。」

 

「はい、サハリン家の家名にかけて完遂して見せます。」

 

ギニアスの返答を聞いたV.V.はマリアに話しかける。

 

「ヴィクリート局長には、今後も僕らのために働いてもらいたい。プルートーンも好きに使ってもらいたい。十分に腕を振るってくれよ。ハインリッヒの落とし子・・・。」

「あら、そこまで知っていらっしゃるのね。V.V.の叔父様?」

「僕の年齢の事を触ってくる時点で、君もハインリッヒから聞いているんだろう?ハインリッヒもだいぶ肩入れしているんだ。」

「えぇ・・・。」

「なら、解っていると思うけど。うまくやってくれよ。」

「はい。」

 

 

つぎの物語の幕が開けようとしていた。

 

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