コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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欧州戦線編
第45話 暗雲漂う欧州


EU、厳密にいえばワルシャワ条約機構もいるのだからEUとひとくくりに言うよりはヨーロッパ、もしくは欧州と言った方がいいだろう。

皇歴2012年の開戦から向こう5年程、欧州の状況は最悪だ。

他の地域も似たようなものだが、欧州も例にもれず最悪な状況であった。

2012年の段階ではオランダとブリタニアの戦争であったが、2年後の2014年には欧州は旧来の自由主義を掲げるユーロ・ユニバースEU、ロシア社会主義帝国に寄り添ったワルシャワ条約機構、独裁政治を掲げるナチスドイツを中心とした枢軸連合の3つの勢力に割れた状態となっており、後に枢軸連合にブリタニアが加わった形となって枢軸連合はEUとワルシャワ条約機構に襲い掛かった。

 

枢軸軍が形成されて僅か3年でワルシャワ条約機構は壊滅、EUも大半の国家が壊滅状態となった。2017年時点ですでに、フランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクしか存続しておらず。オランダもすでに本土が蹂躙されつつあった。オランダが亡命政府となった頃にスコットランドが参戦してきたが焼け石に水。その後、ルクセンブルクも降伏した。

 

欧州が枢軸の手に落ちるのは確定していることであった。

 

日本人の扱いは、国によって様々で、北海道政権と関係を持っているオランダの様な親密国では日本人は比較的良好な扱いを受けているが、フランスのように表向きは良好に扱っていても日本人を奴隷兵の如く扱っている所もある。どちらでもない国、旧EU加盟国スカンジナビア連合王国のように難民扱いで放置の国もある。この辺りは一概にこうとは言えない状況だ。

 

また日本侵攻当時、総理経験者2名が外遊中と言うこともあり欧州の邦人組織の形勢が比較的早かったことは、他の被侵略国国民よりは若干マシな状況に落ち着かせられただろう。

 

日本本土で多くのレジスタンスが形成されていたわけだが欧州でも、反ブリタニアの在留日本人義勇軍が創設される。欧州各国が危機的状況のため募集年齢は例によって低い傾向にあった。中高生の年齢の兵士が前線に立つなど、欧州各国も他在留義勇軍も普通であった。政府もそれを推奨している。

 

つまりは、末期的であった。

 

 

 

それでも、2017年末に北海道政権が正式に皇国として返り咲いたブラックリベリオンの前までは、アレクサンダなどと言う多脚戦車な自称KMFによる自爆特攻が当然のように行われていた。

ブラックリベリオンの後で、日本やロシアから第四世代機の雷電やサベージ、そして初芝系輸出用第五世代機の嶺花が導入された。ただし、これはロシアが再構築しているワルシャワ条約機構軍系に流れることがほとんどで、距離的にもEU地域まで流れることは少なかった。大型兵器の輸送は難しい現状であったが銃火器他の物資支援は始まっており、邦人義勇軍の兵器の質は改善された。しかし、EUの新鋭機は当然EU優先となるのだから、義勇軍は旧式兵器で戦っている現状であった。

 

 

また、この義勇軍はヨーロッパ地域友好主要国の駐在武官が指揮を執っていた。

義勇軍の構成員のほとんどは民間人上がりの者たちばかりであり、生粋の軍人は駐在武官たちであり、存続しているフランス、ベルギー、スコットランドの駐在武官以外の主要だった亡命国家付きの駐在武官が指揮を執っており、指揮伝達能力にかなりの不安があった。

 

 

欧州邦人の代表となっている安倍川・麻田の両名は仏首相ポール・レイナールの打診を受けて、EU軍から士官下士官を迎え混成軍化が進めている。

邦人の義勇軍組織は当初、日本本国との連絡が途切れ大使館や安倍川・麻田と言った有力な政府関係者が立ち上げたものに、亡国間近の国がヤケクソで立ち上げた物、純粋に民間の有志による立ち上げの組織など統制が図れていなかった。現在でこそ安倍川・麻田の有力者筋のレジスタンスが中心であったが、そう言ったレジスタンスの中にEUの回し者的な人材も入り込んでおり、そう言った隙があった為にポール・レイナールの打診を受けざるを得なかった経緯がある。

 

このwZERO部隊、正式名称ワイヴァン特殊任務部隊もそう言った部隊の1つであり、EUの意向が強く反映されている部隊であった。

 

 

 

 

 

皇歴2017年10月フランス共和国ノール県リール 陸軍司令部

 

革命歴では228年のこの日、レイラ・マルカル少佐はジィーン・スマイラス少将と共に。陸軍司令官であるジャン・リュック・ド・ゴール陸軍大将の下を訪れていた。

 

「スマイラス少将、マルカル少佐。アジアでのイレぶ・・・ゴホンッ、日本の本土奪還に南洋アジアの決起は太平洋情勢を大きく変えた。太平洋地域において日本は反枢軸の中心国となった。日本人に対して保護施策を実施したオランダ派閥に対し、我々フランス派閥は隔離政策を選択し、日本との関係にひびが入ってしまっている。さらに、スコットランド派閥と比べても我がフランス派閥は出遅れている。それに我らがフランスは最近加盟し加わったスコットランドとも足並みが揃っておらん。難民政策において隔離政策を選択した政府の失策だよ。民衆によって成り立った民主国家が、他国とは言え民衆を堂々と見捨てた我が国の印象は悪い。」

 

「閣下。」

 

スマイラスの言葉を軽く制したド・ゴールは、軽く口元を釣り上げてわらって見せる。

 

「スマイラス、本当の事だ。どうせ、ここには我々しかおらん、気にするな。さて、マルカル少佐のwZERO部隊は、そう言ったフランスの悪いイメージを払拭すると言う重大な役目を追っていることを自覚したまえ。」

 

「っは!」

 

ド・ゴール将軍の言葉にレイラ・マルカルは力強く敬礼をして応えた。

見届け人のスマイラスは少し離れたところで見守っていた。

 

「今、民主主義と言う尊い理想は枢軸のファシズム独裁によって危機的状況にある。歴史と言うものは栄枯盛衰であり、王権独裁と言う独裁はかつて民主主義に敗れた。時の流れで今度は民主主義が倒れつつある。我々の民主主義は民衆と言う弱者を拾い上げた正義ある理想だ。独裁は民衆の力で倒せる・・・。民の国家である我が国が、それを世界に示すことが必要なのだ。フランスはもう一度立ち上がらねばならん。欧州のナチスやブリタニアから祖国を守るためにも、貴官の働きに期待しているぞ。」

 

ド・ゴール将軍から辞令を受けとったレイラは、スマイラスと共に陸軍司令部を後にした。

 

2人が車に乗り込む姿を窓越しに見ていたド・ゴールは独り言として呟いていた。

 

「民主主義の守護者、強力なフランスが先頭に立つのでなければヨーロッパは存在しないし、その再建もあり得ない。スマイラスめ、ピエウ・アノウの件があったとは言え彼女を推すとは・・・。だが、貴族を捨てて民衆と共に立ったブライスガウの娘、功績を上げればジャンヌダルクにもなれよう・・・が。」

 

ド・ゴール将軍はスマイラスの行動に靄のかかった不安を感じていた。

 

 

 

 

 

フランス共和国パリ 日本大使館義勇軍暫定司令部

 

元首相でありEU邦人組織の代表である安倍川は、安定した日本本国よりの書類に目を通す。

 

「さすがに、太平洋を押さえていない現状援軍は難しいようですね。それでも、動きは驚くほど速いですが・・・。」

 

代わりのKMFの提供は随分と手を廻したようであった。ロシア領を通り、スカンジナビア連合の黙認を経てスコットランドの支援を受けての輸送。

 

「しかし、本郷少佐。この機体をあたるのは君の子飼いらしいですが、随分と若いのですね。それに少々過激な様に思いますが?」

 

安倍川は新聞報道されているギャング団壊滅の記事を、本郷にも解る様に見せる。

本郷は東機関の指揮官本郷義昭少佐である。大高の密命を受けて、現地で諜報機関支部地盤を作ると言う任務を終え、EU東機関の実行部隊の一部を政治的な理由もあってwZERO部隊に出向させることとなっていた。

 

「民間・・・から拾い上げましたのでね。少々堅気じゃないところがありましたので、軍人という訳ではありませんよ。」

 

「まるで、厄介払いですね?」

「いえ、そういうわけではないのです。彼らは諜報部員の割にはスタンドプレーや派手好きな帰来があります。ただし、能力は折り紙付きです。諜報部員としての適性に疑問はありましたが戦士としての適性は間違いありません。」

 

「適材適所ですか?」

「はい、私はそう判断しました。」

 

 

 

フランス共和国ディエップ港

 

日本国旗を掲げた黒潮型軍用輸送船とその護衛の駆逐艦2隻を、さらに護衛して来たスコットランド海軍第一艦隊。艦隊司令長官ステファン・ヘボン中将は、自身の艦に同乗する上司グリーン・ワイアット海軍長官に視線を向ける。

 

「やはり、私はパンツァー・フンメルよりああいった機体の方が好みだよ。本国も日本機を見習ってほしいのだ。」

 

見た目を重視した発言、日本贔屓な発言の目立つワイアット長官である。

そんな彼にヘボン少将は、部下として当り障りない返答をする。

 

「パンツァー・フンメルも彼らの火力戦での勝利に倣って作られた機体ですよ。」

「私が言いたいのは、彼らの武士道の体現と言える精錬された様式美を持って開発して欲しかったと言う意味だよ。赤ちゃんのようにハイハイする人型は好みじゃない。」

 

当り障りない発言をしたつもりだったようだが、ワイアットの機嫌を損ねてしまった様だ。

ヘボンは、今後の事も考え彼の好みのそうな話題を振る。

 

「それほどなのですか?日本の新鋭機は?」

「あぁ、同盟国高官としてある程度のスペックは教えて貰ったよ。あの空戦総力を持たせるために開発された追加飛行ユニット。リフターと言ったか・・・あれはナチスのマッフユニットやフォルグユニットの上を行っているよ。そもそも、我々はマッフの自力開発すら出来てはいないのだ。」

 

「・・・・・・・・・」

 

ワイアットの自嘲ともとれる発言にヘボンは口をつぐむ。

ヘボンの様子を見たワイアットは侍従に渡されたダージリンティーを飲みながらぼやく。

 

「ヘボン君、欧州にとって辛い時代になりそうだ。」

 

 

 

 

皇歴2017年10月末

 

EU軍は大規模な反抗作戦を実施。

作戦はマジノ線を背後に戦線を押し上げ、陥落の憂いにあったオランダの解放を目的としていたのであったが・・・。

 

結果としては反抗作戦は失敗。南部の陽動作戦であった南部ドイツ領の一部に出城的にブライスガウ城周辺を手に入れたがそれだけであり、肝心のオランダは完全に陥落し、EU軍の一角を担っていたオランダ軍は大きく数を減らしたのだった。また、ロッテルダムへのナチス第三帝国空軍による大空襲によって、爆弾の大部分は市の中心部に着弾した。一部は港湾部の植物油タンクに命中して火災を発生させ、市街地への延焼を招いた。その結果、中心部の2.6平方kmが焼け野原になり、3万近い家屋や公共施設が破壊された。正確な人的被害は不明であるが、1000人が死亡し、8万人が住居を失い難民と化した。

この戦いで、EUの一角を担ったオランダは降伏。

降伏後、ウィルヘルミナ女王がスコットランドで亡命政府を樹立した。

 

 

また、この戦いでフランス派閥主導の撤退作戦において、wZERO部隊に自爆特攻作戦を実施させたとして、フランス側に日本大使館より猛抗議が行われる。

 

その結果、wZERO部隊がフランス派閥主導から日本としてはまだ信用できるオランダ派閥主導の部隊へと切り替えられることとなった。ただし、作戦指揮官として所属していたレイラ・マルカル少佐を部隊司令官として格上げし、フランス派閥の影響力を残した形で落ち着かせている。

 

 

皇歴2017年10月30日 EU軍ブライスガウ城 応接室

 

「マルカル嬢、今回の事は他言無用にお願いします。」

「は、はぁ。」

 

wZERO部隊の新米司令官である彼女の前に現れたのは、日本の諜報機関の部門長本郷義明少佐であった。

 

「ド・ゴール将軍よりお聞きかと思いますが、今回の外殻要因の暴走のお詫びとしてwZERO部隊の後方バックアップは東機関が全面的に協力いたします。」

 

紆余曲折で彼女の部隊に入った3人の日本人の少年少女であったが、スラムのギャング上がりと思って受け入れてみれば。日本の諜報組織東機関の外殻要因であった様で、おとがめなしと解っていけしゃあしゃあと顔を出してきた東機関。

と、白い目を向けるなり抗議の声を上げるなりしただろう。無名の人物なら・・・。

目の前にいる本郷少佐は事情通なら顔は絶対わからない。だけど、名前くらいは絶対知っている有名人。あのヒトラー官邸に単身忍び込み、機密文書を奪取した007も真っ青な諜報員なのだから、緊張して冷静を装うことが出来ても緊張している事には違いないのだから・・・。

 

「私たちの部隊は、外人部隊の側面もあり軍内での立場は良くないので助かりますが・・・。」

「彼らは、暴走癖がひどいですが優秀なのでね、東機関としては唾をつけておきたい。もちろん、貴女方にもですよ。」

 

日本人でありながらも日に焼けた姿はどことなくラテン系を想像させるが、陽気な話し方に落ち着いた空気を感じる特殊性が彼が日本人であることを理解させた。

 

「今後はよろしくお願いします。マルカル司令殿。」

「は、はい!」

 

ただ、この取引はスマイラス少将ではなくド・ゴール大将が取り持っていた。

はっきりとは言えないが胸に引っかかるもの感じていたレイラであったが、それを理解するのは以外と早い時期になることを彼女はまだ知らない。

 

 

余談だが、本郷少佐が実質部下になる訳でレイラは少佐から中佐へ昇進した。

 

 

 

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