コードギアス 皇国の再興   作:俺だよ俺

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第54話 新総督就任式典事件

 

皇歴2018年9月20日 エリア25ゴールドコースト 太平洋大総督府

 

新総督に就任したナナリーはタブー視されている行政特区構想を発表し、物議を醸しだした。過激派の大総督と穏健派の総督は若干の不協和音を奏で、対立とまでも言わなくても不穏な空気が流れていた。

神聖ブリタニア帝国、ナチス第三帝国、イタリア王国、スペイン共和国が共同統治するオセアニアは現在ティターンズとブルーコスモスの権威を持ってブリタニア主導で纏め上げていたが、ナナリー新総督の発言は枢軸同盟国の不信を煽る物でもあった。

太平洋大総督キャスタール・ルィ・ブリタニアはナンバーズに対する虐殺を推奨する過激派であり、大総督親衛隊キュクロープスを創設し隊長に弟パラックスを据えた。また、祖父はティターンズ総帥ジャミトフ・ルィ・ハイマンで、その後援者にブルーコスモスのムルタ・アズラエル軍産複合体理事と多くの過激派士官がキャスタールを支持し、総督ナナリー・ヴィ・ブリタニアに対して反発は強かったが、スザクやジノ、そしてアーニャと言ったラウンズの支持を受けて絶妙な感覚で均衡を保っていた。

 

その状況はある意味、日本にとって付け入る隙であったが日本は介入に消極的であった。

ナチス第三帝国のインド侵攻に対する援軍準備や中華連邦入りしたシュナイゼルらへの警戒、シュナイゼルに対して東南アジア諸国と対策を協議する等と日本皇国が重要視する物事はオセアニア以外にもあるのだ。

現状、オセアニア方面はパプワニューギニアを最前線として膠着状態に陥りつつあり、オセアニア枢軸も黒の騎士団への対処もあって北上する様子はなく、フィリピン軍やインドネシア軍を援助することで表面上の平穏を維持することが出来ていた。

日本の興味は一時西方へと向けられていたのであった。

 

日本皇国の横槍がほぼないこの時期にゼロは決断する。

スザクの指揮した黒の騎士団討伐作戦が失敗し、ゼロの方から歩み寄る形でナナリーの特区への参加を宣言したのだ。

 

『私はナナリー総督の命令を受け入れよう。そう、特区構想に参加しよう。ゼロが命じる黒の騎士団は全員特区に参加せよ!』

 

だが、ルルーシュは失念していた。ナナリーは確かにエリア25の総督であった。だが、その上の大総督はキャスタールであり、ジャミトフのティターンズでありアズラエルのブルーコスモスであることを…。

 

大総督府の軍令部に詰めるサザーランド大将とバスク・オム中将はナナリー総督の特区構想に対しては侮蔑の感情を持っていた。

 

「全く、愚かなことだ。そうは思わんかねバスク中将。」

「えぇ、その通りです。害虫は踏みつぶす・・・それが正しい判断、蛆虫や蠅に慈悲を与えてもそれを理解する頭はないでしょうからな。」

 

そんな会話をする二人の前にジャマイカン中佐が告げる。

 

「G3の運び込み完了しました。」

「よくやったぞ中佐。」

 

バスクは「グフフ」妖しく嗤った。

 

「ラウンズにも死者が出るかもしれんが、ゼロと黒の騎士団を一網打尽にできるのなら彼らも本望と言うものだろう。」

 

 

 

 

皇歴2018年9月21日 エリア25行政特区式典会場

 

ゼロの言葉もあってオセアニア在住の日本人含め多くのオーストラリア人たちが集まっていた。その数200万、ゼロの言葉は反ブリタニアの人間たちにとって非常に影響力が強いと言う事なのだ。

 

『皆さん、オセアニア行政特区へようこそ。たくさん集まってくださって、私はとてもうれしいです。新しい歴史のためにどうか力を貸してください。』

 

ナナリーが演説する場所から離れたところで警備の名目で浮遊待機しているアレキサンドリア級浮遊重巡洋艦。

ジャマイカン中佐の横で楽し気にしているパラックス・ルィ・ブリタニア。

 

「うわぁ!!中佐!!ゴミクズ達がこんなにたくさん!!楽しみだね!!」

「左様でございますな。」

 

ナナリーの補佐のアリシア・ローマイヤが取り決めを読み上げる。

 

『それでは、式典に入る前に私達がゼロと交わした確認事項を読み上げます。帝国臣民として行政特区日本に参加する者は特赦として罪一等を減じ、3級以下の犯罪者は執行猶予扱いとする。しかしながら、前総督の殺害など指導者の責任は許しがたい。エリア憲法12条第8項に従いゼロだけは国外追放とする。』

 

『ありがとう!ブリタニアの諸君!!寛大なる処分痛み入る。枢木スザク、忠誠とはなんだ!言語か土地か血の繋がりか!』

 

「違う!それは心だ!」

 

『私もそう思う。自覚、規範、矜持・・・つまり、文化の根底にある心さえあれば。それはその祖国の人間なのだ。』

 

(それと、ゼロだけが追放されることとどう違うんだ。)

 

黒の騎士団やゲットーの住民たちは目くらましの煙幕をまき散らす。

 

警備にあたっていたラウンズやギルフォードらが展開し始める。

一方で、アレキサンンドリアのジャマイカンは混乱していた。

 

「G3は起動していないぞ!」

 

 

煙幕が晴れるとゼロの仮面をつけ群衆。

 

『ナナリーの新総督の御命令だ国外追放処分を受け入れろ!どこであろうと、心さえあればそこが故郷だ!さぁ!新天地を目指せ!』

 

「俺たちはゼロだ!国外追放されようぜ!」

「俺たちはゼロだ!」「いざ!新天地へ!」

 

 

ナナリーを避難させていたローマイヤはその場の指揮を執る。

 

「うろたえるな!ここにはラウンズも・・・!?海氷船!?中華連邦の!?」

「ティターンズのバスク中将からです。」

「こんな時に!?」

 

無線電話を受け取ったローマイヤはバスクと会話を重ねるうちに真っ青になっていく。

「G3ガスですって!?」

 

受話器からバスクの声が聞こえる。

 

『ローマイヤ婦人、このガスマスクはお譲りしよう。今後は、シュナイゼル皇子だけじゃなくキャスタール皇子にも気を利かせてくれればよい。』

 

電話が切れると同時に新たにガスが流れ出す。

今度はG3ガス、毒ガスだ。

 

簡素なゼロマスクでは毒ガスは防ぎきれない。

毒ガスは群衆に迫る。さらに言えばナナリーに従う穏健派とは言えブリタニア将兵は毒ガス攻撃に際しての備えは最低限で人数分は無く。持ち場を離れ逃げだしたり、少ないガスマスクを奪い合うなどの醜い争いをしていたりして指揮系統が崩れかけていた。

 

「どういうことだ!ローマイヤ!」

「わ、私は詳細は知らない!ティターンズがやったこと!だが、見せしめとして殺すのは間違ってはいないでしょう!」

 

『これがブリタニアのやり方か!黒の騎士団!ゼロ達を守れ!!』

 

海氷船の黒の騎士団はG3ガスの噴出口を破壊しつつ、避難誘導を開始する。

 

ギルフォードやスザクらラウンズの指揮下の部隊は機能していたが、ティターンズのやり方に思うところがあり兵士達は黒の騎士団を見逃した。

 

 

これらの要素があったとは言えマスクであるゼロ仮面のおかげで、群衆の多くは助かった。

事件の真相はティターンズが報道規制を行ったため極秘扱いとなり、激発的な伝染病と公表されたが、ティターンズの所業は一定の位の人物達には公然の秘密となっていた。

 

 

 

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