多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/6 雨は数日に一度に分散して降ってくれないかな。
7/10 誤字がわからない。何度見返しても。自分で書いてすぐはなんでこう分からないんだろうか?
一応、「脈を採る」を「脈をとる」に変更。


予想外

会議室にて、テレサの戦闘の模様がモニタに映し出される。

 

「ヤマザキ先生、わかりますか?」

「『赤魔法』ですな。

しかも、一般的に不可能とされた別種合成と見て間違いありません」

 

シド学園長を始めとして、分析を行う。

 

「噂には聞いていたが、これらがすべてそうだと?」

「すべてではないな。

氷の破片の幾つかに付与しているだけで、礫の3割程度と言ったところだ。

それでもこの速度は尋常ではない」

「単に『ブレイク』が通じたのに、派手な戦闘を求めて最後に回しただけでは?」

 

制服教員の1人が疑問を呈した。

 

「問題はそこだ。テレサ君の様子を映した映像の方を見てみると分かるが、彼女はそもそも『ブレイク』を使用していない」

「この状況ではアンデッドの群れに阻まれてしまうでしょうしね」

「その通りです。だからこそ彼女は、おそらく『ブレイク』の効果を意図して合成したのではないでしょうか。

それも、通常の擬似魔法のような射出という形ではなく、敵の間近で発生させたと考えられます」

「バカな、そんなことが可能なのか?」

 

バラムガーデンにおいて対立する学園長派とマスター派の区別なく、ヤマザキの説明は荒唐無稽に思えたのも無理はない。

 

「それが本当ならば、耐性付与以外で回避不能な異常効果を、好きなタイミングで合成することができることになる」

「そもそも、テレサ君はなぜそのようなことを?」

「これは私の推測ですが、おそらく今回の相手がアンデッドだったからではないでしょうか?」

 

シド学園長が口を挟む。

 

「単独であれほどの力を持ったアンデッドです。

多少のダメージでは即座に再生される、という可能性を考慮したとしても不思議はありません。

だからこそ、ダメージではなく石化、さらにそれを砕くという形で倒すことを選んだのではないかと、考えられないでしょうか?」

「……」「……」

 

皆黙る。

確かに、説得力があったからだ。

アンデッド系の魔物には、とにかくタフなモンスターが少なからずいる。

特に物理攻撃に高い耐性を持つことが多く、総じて厄介な相手と一般的に認識されていた。

 

「……テレサ君の実力は分かった。

それで、その技術を生徒達に教え込むまでに、どれくらい時間がかかる?」

「使用された技術は『赤魔法』の別種合成、それを実現するための『魔法剣』。

そこまでならば、擬似魔法が得意な生徒ならば3ヶ月も訓練すれば習得可能だろう」

「やけに早いな」

「それ自体はただの発想の転換だからな。

しかし、そちらが思うような結果になるという保証はできない」

 

ヤマザキが告げる。

 

「理由は?」

「熟練度がまるで違う。詠唱速度が『連続魔法』の領域だし、あれだけの数の相手に単独で手数で上回るのは、『赤魔法』や『魔法剣』、その他の我々が知る技術では説明がつかない。

さらなる未知の技術と、血の滲むような努力。

その両方が備わらなければ、とても実現はできないだろう」

「もう1つ、この件に関して差し迫った大きな問題があります」

 

優しそうな恰幅のある初老のメガネ男性が言った。

 

「5日後にまた、このクラスの敵が出現するそうです。

たった5日では無理でも、彼女の負担を軽減するくらいの手立ては講じなければなりません。

それがバラムガーデンとトラビアガーデンとの契約であり、彼女が我々に技術を提供する条件です」

「勝手に契約を結んでおいて……!」

「では、トラビア政府との約束を白紙撤回して、テレサ君との契約も破棄し、彼女をトラビアガーデンへ送り返しますか?

魔女を倒しうる唯一の傭兵部隊。

その巨大な評価を手に入れるチャンスを棒に振るということですよ?」

「ぐっ……!」

 

ノーグ派のリーダー格は、唸る。

 

彼らにとってテレサは、ハイリスクハイリターンなのだ。

シド学園長はハイリスクを承知の上で、魔女に匹敵する力を持ったあの少女を引き受けた。

不思議な力などではなく、血の滲むような研鑽によってその領域へと足を踏み入れた、史上初めての英雄の卵を。

 

 

 

「しらないてんみょ……」

「てんみょ?」

 

少女が目を覚ますと、横幅のある中年女性が怪訝な顔をしながら熱を測り、脈をとる。

 

「……今何時?」

「18時だね。例の戦闘から4時間ってところさ。

身体にどこか、痛いところはないかい?」

「おなかへった」

「おや、食いしん坊だねえ。まあいいさ。今担当を呼ぶから待ってな」

「りょうかい」

 

中年白衣の保健医は、有線通信でテレサの世話役を呼ぶ。

近くで待機していたらしく、すぐに担当者がやってきた。

長い黒髪の大人びた美女、ルールーだ。

 

「2日も目覚めないことがあると聞いていたけれど、案外早かったのね」

「今回は『状況再現』で抑えてん」

 

幼児体型の少女はこともなげにそんなことを言った。

 

「え……?」

 

ルールーは絶句した。

彼女も『赤魔法』の使い手で、ワッカから話を聞いて、下級魔法なら『魔法剣』を使い、安全に別種合成を実験できることに辿り着いていたのだ。

しかし、最先端を行くという年下の少女から飛び出てきた言葉は、まったく別のものだった。そしてその口振りからすると、さらに上があるという。

 

そして、ワッカが以前にテレサの戦いぶりを見て報告した内容をルールーは思い出す。

 

『彼女自身が世界のルールだと言わんばかりの暴れっぷり。

魔女アデルでもアレの相手は厳しいかもしれない』

 

バラムガーデンの教員達は、その報告から『魔女に匹敵する』と考えた。

ルールー自身も、ワッカが普段、いい加減な報告書の書き方をするために、話半分くらいに認識していた。

 

だが、もしも、話の方(・・・)が半分(・・・)だったなら?

 

「(いえ、さすがにそれはないかしら。

いくら物理脳で擬似魔法に疎いと言っても……)」

「おなかへったー」

「はいはい、食堂ね」

「おk」

 

黒髪美女は溜息と共に(かぶり)を振って、空腹を主張する少女を食堂へ案内するのだった。

 

今は、そこまで深く考えても仕方がない。

必要になったならば、いずれ教えてくれるだろう。

それがバラムガーデンと、この天才少女との間で結ばれた契約なのだ。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
今回の敵はFF5のラスダンの雑魚敵、『ネクロマンサー』です。

FF5をプレイするにおいて、味方をゾンビ化させてくる厄介な相手ですが、HP的にはそんなに強くなく、最終的にそこまで記憶に残る敵ではありません。
相手に行動させる前に速攻で倒す、が十分通用しますからね。



――――設定

ルールー・ビサイド:オリキャラ
19歳、正Seed、特殊技は『赤魔法』。
容姿や性格、戦闘スタイルはFF10のルールーにそっくり。
さすがに人形を操ったりはしませんが、擬似魔法中心の戦い方をする。
本作ではテレサの世話役で、同じ『赤魔法』の使い手としてテレサの研究を盗むように指示されている。

ワッカ・ビレッジ:オリキャラ
19歳、正Seed、特殊技は『ブリッツ』。
容姿や性格、戦闘スタイルはFF10のワッカにそっくり。
武器は『モーニングスター』だが、鉄球を投げて攻撃し、特殊技では鉄球を蹴ったり大回転シュートしたりする。
2ヶ月前までトラビアガーデンに雇われ、テレサの負担軽減のために『次元の魔物』との戦いに参加していたが、どんどん強くなる魔物に限界を感じ、両学園長に取り次いでテレサをバラムガーデンに転校させるべく働きかけた。
その関係で責任を感じており、テレサを見かけると何かと世話を焼きたがる。
ルールーとは幼馴染み。

どうしても数人、オリキャラが必要になるため、FFのナンバリングタイトルから作者が知るキャラを引っ張ってくることとした。
名字は両方ビサイドにすることも考えたが、そうすると兄妹か夫婦と勘違いされると思い、別にした。
ビレッジの元ネタはビサイドの英語名ビサイド・ビレッジより。
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