多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/12 たまに自分で書いたことを忘れて矛盾した設定を付けそうになる。
フラグ管理ソフトとか設定管理ソフトとかが欲しい。


糸口

キスティス・トゥリープは頭を抱えた。

何度説明を聞いても、何度ビデオを見ても、何一つとしてそこに使われている技術が理解できないのだ。

 

『“大地を割ります、敵を割れた大地に落として潰させます、敵から反撃が来て当たれば死にますが”『させません』』

 

何かの宣言としか考えられない。

詠唱としてはあまりに無茶苦茶だった。

普通、こんな文言で魔法は発動しない。

 

なのに、直後に発生した地割れは、宣言された通りのもの。

 

先輩のルールーが言うには、おそらくテレサが『任意コード』と説明していたもの、らしい。

『任意コード』とは、魔力の感知を高めることで、未来予知や事象改変の領域に足を踏み入れる技術。

 

ビデオに映っている現象としては、強大な魔力を内包した10メートル級のモンスターが、黒い靄から出現して、独りでに大地の裂け目に落ち、潰されて死に、その後に無数の隕石が周囲に降り注ぐ、というもの。

 

『赤魔法』らしき技術が利用された痕跡は、専門研究員でもあるヤマザキ先生でも見つけることができていない。

 

本当に意味が分からないのだ。

 

 

 

「やややややややややっふー」

 

なぜか後ろ向きに吹っ飛んで行く幼児体型の黒髪少女。

ダビングされたビデオの中で、何度も見た姿だ。

 

「待ちやがれ……今度こそ、ぜえ、はあ……」

 

その後を、よく見知った金髪白コートが追って行く。

確か、授業をさぼって昼寝している内に、勝手に風紀委員に決められたのだったか。

おかげで授業はサボらなくなったとか。

 

それでも律儀に、よりによって噂の転校生を追い掛ける辺り、根は真面目なのかもしれない。

 

「確か、研究室の方ね」

 

キスティスはテレサに直接話を聞こうと、件の人物を追って移動を始めた。

 

 

 

「彼女ならルールー君と一緒に食堂へ行ったよ」

「研究室から出るのを見ていないんですが」

「どうやら、また違う移動法で向かったようだ。

『ブリザド』で氷のサイを作って蹴っていたが、相変わらず何がどうなったのかサッパリ分からん」

 

これぞ『サイキックワープ(サイ(動物)を蹴ってワープする)』である。

 

「ああ、テレサ君は大体、食事後は訓練施設で鍛錬を行い、それからまたここへ来る。今後、直接彼女と話したいなら覚えておくといい」

「ありがとうございます」

 

キスティスはぺこりと頭を下げて、それから食堂へ向かった。

 

 

 

「チンッ、チンッ、トゥッ」

「……!」「――!?」

 

食後、いつものように、訓練施設へ瞬間移動する。

 

自分で体験してみて分かることだが、本当に何が起きたのか分からない。

同種合成で『ヘイスト』を重ねていることを最初は疑っていたのだが、そもそも擬似魔法など使っていないのではないか、とさえ思えた。

 

キスティス自身『青魔法』の使い手であり、魔力の残った素材からエネルギーの波長を解析し、本来魔物が使用する特殊な魔法を再現することを得意としているため、魔力の感知能力は鍛えている。

ルールーはその感知能力の高さという才能をキスティスに見出しており、期待をかけていた。

 

だからこそ、テレサの世話役として同行を許したのだが。

 

「自信がないことでも、正直に言いなさい。不確定でも今は貴重な情報よ」

 

ルールーはキスティスに声をかける。

 

目の前では、とても人間業とは思えない、慣性を無視した素振りや擬似魔法の連打が行われている。

その速度は残像が見えるほどであり、詠唱も『赤魔法』の奥義、『連続魔法』でギリギリ説明がつくかどうかといったレベル。

『意味不明』と評した元クラスメイトの言葉が思い出される。

 

「(確かに、理論面を勉強しているほど、『意味不明』と表現したくなるわね。普通科のイロモノな先輩だったから、話半分に聞いていたけれど)」

 

そうして見ていて、気付く。

 

「詠唱が途切れてる……?

いえ、1つの詠唱の途中で効果が発動しているということかしら……?」

「何か分かった?」

「はい。ただ、確証はありません」

 

そう断る。

 

「どんな荒唐無稽なことでも構わないわ。

今までの理論で考えていたら、絶対に説明がつかないのは分かってる」

 

返ってきたのは、そんな言葉。

本当にどうしようもない、という状況を吐露する言葉でもあった。

 

「魔力の感じが繋がっているんです。

『連続魔法』や『ダブル』は1つの詠唱に一度の魔法で魔力を切りますが、彼女は魔力を出しっぱなしで制御しています。

あんなことをしたら、普通は前に発動した擬似魔法の影響に邪魔されて、まともに発動さえしなくなるのに……」

「やっぱり、あなたは天才よ、キスティス」

「えっ?」

 

突然褒められて、キスティスは驚いた。

 

「単に早さを突き詰めても、再現できないわけね。

1つの詠唱の途中で効果が発動している、言い得て妙だわ」

 

ルールーやヤマザキは、どうしても『赤魔法』、『連続魔法』で考えてしまっていたために、その常識に縛られていたのだ。

 

「その理屈が本当なら、『状況再現』までは何とかなるかもしれない」

 

それは上る予定だった山の麓がようやく見えた程度だったが、何の手がかりもなかった状況からすれば、大きな前進だった。

 

 

 

エクスデスは次の準備を始める。

まだ複数体を同時に送り込むことはできないものの、徐々に強い魔物を送り込むことができるようになりつつあった。

 

ただ、反動のようなもののこともあるため、対策を練らなくてはならない。

それまでは大したものではなかったために放置していたのだが、『肝心なところでうっかりする呪い』を受けたことで、対策せざるを得なくなっていた。

 

対策というのは、呪いが自動的に解けるように準備しておく、ということだ。

『無』を手に入れたエクスデスは、『光の四戦士』との戦いの際、『無』に呑み込まれかけた。

そのリスクに対策した際に、様々な魔法儀式に『無』を利用できることに気付き、先達である『エヌオー』の知恵を借りて、異世界に渡る儀式の実験を開始した。

 

ただ、順調に行っていたのはそこまでで、それ以降は原因不明の『無』の不安定化や反動のような呪いに悩まされ続け、少しずつ経験を重ねて改善し、現在に至る。

その過程で、一応は呪いについても研究はしていた。

 

『無』を利用する必要はあるものの、エクスデスの強固な耐性を突き抜けてくる呪いを解除することは可能なのだ。

 

ただし、そのための詠唱に問題があった。

 

「“オチ○チ○ビロ~ン”」

 

もしもこの呪いが誰かの意図によるものだとしたら、そいつだけは魂も残さずに滅ぼすと、エクスデスは心に誓った。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
テレサはこれで完成しているように見えるかもしれませんが、まだ不完全です。
だからこそ黒い靄、つまり『次元の穴』の解析を進めているわけですね。
本当に完成すると、色々な意味でもっと理不尽なことを始めます。

『サイキックワープ』というのは、悪魔城TASシリーズのネタです。
結構最近のものなので、一応。
最初はサイに乗って振り向き時に壁にめり込むというものだったんですが。



――――設定

キスティス・トゥリープ:原作プレイヤーキャラ
原作2年前の現時点で16歳。正Seed。
原作ゲーム中にファンクラブができるほどの人気を持つキャラクターで、プレイヤーからも『モルボルおばさん』の愛称で親しまれている。おっぱい。
当時は大人な金髪美女が日本で大きな人気があった。しかし、その後にロリコンブームが隆盛し、18歳で『おばさん』と呼ばれるようになってしまった、ブームの変遷のせいで割を食ったキャラでもある。

この小説でも、やや幼さは残るものの美貌の持ち主であり、むしろこの時代においては今が旬とも言える洋風金髪美少女。
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