多分これが一番…   作:ひろっさん

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6/28 最初だけは勢いで続く連続投稿。


転生特典

テレサ・ドゥは転生者である。

神様転生によって、転生特典を与えられている。

 

「その、テンセイトクテンて、これなん?」

「なにこれ、端末?」

「タブレットやね」

 

近未来的な世界観を持ったFF8だが、ある事情から携帯電話、特に電波通信が使用できない。

そのため、セルフィもクレアも、スマートフォンはおろか、ガラケーさえも見たことがなかった。

 

テレサは前世の記憶があるため、慣れた手つきでタブレットを操作する。

これは、彼女が『トラビアガーデン』に引き取られてきた際に、なぜか抱えていたというものだ。

テレサ自身、その辺の記憶はない。

本人としては、気がつくとトラビアガーデンの医務室で目を覚まして、7歳のこの身体になっていたと言ったところ。

 

だから、彼女には自分の素性を示すものが、このタブレット以外に何もない。

もっとも、この世界、この時代はそんな子供も珍しくない。

テレサと違って、自分の素性を示すものが何もない、記憶さえまともに残っていないという子供も珍しくないのだ。

 

「コンピュータみたいやなぁ」

「え、これ、全部画面やけど、どーやって操作してるん?」

「指で、こーやって、ホラ」

 

テレサはルームメイトのセルフィとクレアに律儀に教える。

この時はまだ、彼女は将来のことについてそこまで深く考えていなかったというのもあるが、彼女自身、割と他人を疑わない性格だったのも大きいだろう。

 

「でも、えくすなんたら倒さなあかんのやろ?」

「せやね。コレは便利なんかも知らんけど……」

「まあ、チェックしてみよ。まだなんかあるかもしれへんし」

 

テレサはなぜか魂が眠っていたために、転生する際にロリ巨乳天使?と会話ができず、このタブレット以外の転生特典を知らなかったりする。

 

「なんかブツブツ言ってたけど、聞こえへんかったし」

「やっぱ起きててんやん」

「寝てたよ」

「ホンマにー?」

 

疑いの目を向けるルームメイト2人。

 

どうでもいいのだが、出会って3日目の記憶喪失な少女を相手に、遠慮なくグイグイ寄って来る。

 

「ほら、タブレットで動画見れるねん」

「あー、これ見てたんかー」

「てか、神様もなんでこんなん見せるんやろ?」

「ヒマなんちゃう?」

 

酷い言われようである。

 

「それで、転生特典やねんけど。えーと、確かこっちやったかなー。……あった、これや」

「1つ言ってええかな」

「なんねなんね」

「読めへん」

「へぁ?」

 

よくよく考えれば当たり前だった。

 

この平行世界の公用語は日本語で、テレサは前世で勉強をしていたから読めるものの、そういった土台のない7歳児のセルフィとクレアには、専門用語がズラズラ並んだ説明文が読めないのは、至極当たり前なのだ。

しかも割とネタ全開であり、前世のネタをよく知っているテレサでなければ、おそらく正確には理解できないだろう。

 

「えー、『パラメータアップ』、『原作攻略データ』、『記憶保護』、『エニグマ』。

それとこのタブレットやね。

このタブレットって、状況説明とかも兼ねてるみたい。

なんで『テレサ』って書いてあるんかは分からへんけど」

 

テレサはそれぞれについて一通り解説して聞かせる。

彼女の中に、情報を隠して1人で計画し、完遂するなどという考えは欠片もなかった。

 

ちなみに、『パラメータアップ』は神様からのサービス、『原作攻略データ』はFF8攻略本(アルティマニア)情報、『記憶保護』はGFの記憶障害対策としか書いておらず、大体はFF8攻略本(アルティマニア)のデータベースから検索することになる。

 

「最後のえにぐまってなんなん?なんかの名前っぽいけど」

「スタンドやね。人間を紙にするってやつ」

「……」「……」

 

2人とも、何とも言えない顔をする。

 

「えくすなんたらも紙にできるん?」

「ムリ。怖がらせないかんねんけど、ラスボスよか強いのを怖がらせるって、そんな無理ゲー、あたしにはムリやわ」

「びみょい」

「うん、遠慮ない意見ありがとな」

 

苦笑するテレサ。

 

「まあ、あんまり特典に頼られへんね。だから、自力で鍛えるしかないんやけど」

「とくてんゆーのが頼りになれへんのやね」

「神様に文句言われへんの?

『もうちょいなんかええのくれへんのんか?』って」

「メンドい」

「メンドいって……」

「なんとかできんこともないんよ」

「できるんや?」「えくすなんとかシバけるん?」

 

黒髪少女は頷いた。

 

「この世界の擬似魔法とかGFってやつの特性がエエ感じでな」

 

テレサは何も考えずに情報処理の勉強を選んだわけではない。

 

そこに大きな可能性があるからこそ、である。

元々、彼女には特別な転生特典は必要なかったのだ。

プログラマーである彼女には。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
連載なんて初めてなので、ドッキドキでやっています。

現在、原作開始から10年前の段階で、割とこの時期が都合よかったためにここからスタートとなりました。
この平行世界のエクスデスが超強化されているという情報くらいしかないというのが、本作主人公の現状です。

『エニグマ』は『ジョジョの奇妙な冒険』に出てきたスタンドの名前です。
生物や物体を紙に変えてしまう能力を持ったスタンドですが、どうやら生物が相手の場合は自分が精神的に優位に立ったことを確信する必要があるようです。
ぶっちゃけ、原作通りの相手を恐怖させるという使い方では、肝心のエクスデスに勝てません。
そこをどうにかする必要があるわけですが。

ついでに言うと、セルフィとクレアは7歳児なので、テレサの話を疑ってかかったりしていません。



――――設定

FF8世界(原作)の公用語について。
おそらく英語と思われる。
理由は、魔物に英語名が多く、電波障害の原因である全周波数帯の電波に、英語でのメッセージが流れている上に、看板にも英語が書いてあるから。

この小説の平行世界では日本語としてある。
1つの改変ポイント。
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