多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/14 エアコン設定温度30℃。科学的にはこのくらいの方がいいらしい。


疑惑の判定

テレサがバラムガーデンに来てから3度目の『次元の魔物』戦。

 

5日前に無数の隕石が降り注いだ傷跡も生々しい戦場の近くには、今回も多くの観戦者が詰めかけていた。

今回は隕石が降ってきてもいいように、最初から擬似魔法で防護している。

もちろん、カメラも魔力の計測器具などなども用意され、余すことなくデータを採ろうという意気込みが見られた。

 

今回、黒い靄から出現したのは、前回と同じく『キングベヒーモス』。

しかし、威圧感が違った。

 

前回は霊体、死んだ後に自律エネルギー体となったものだったのに対し、今回は生体、生きた個体だからだ。

 

「前の奴より、かなり強いようだな」

「同じ魔物ではないのか!?」

「万が一ということもあります。

GFの所持者は攻撃準備状態を維持して待機!

非戦闘員は退避準備を!」

 

騒然となる中、落ち着いた指示が飛ぶ。

 

「すぐ退避させた方がいいのでは?」

「無駄です。テレサ君が敗北し、その後の一斉攻撃でも倒せなかった場合、誰も生き残りません。アレはそういう存在です」

 

過去の経験から覚悟を決めたシド学園長の視線の先で、黒髪少女は独り、強大な相手を前に怖気付く素振りも見せない。

 

 

 

両者の戦いは、一瞬で終わった。

 

「“まず、『アルテマストーン』で『魔法剣アルテマ』を武器に付与します。

『必殺剣空』を構えます。それから敵に物理攻撃をさせます。

相手はカウンター持ちですが、こちらのカウンター行動には反応しません”『(くう)、疲れました』」

 

二次創作ではよくある『魔法剣アルテマ』だが、おそらくこんな使われ方をしたのは初めてだろう。

 

いつの間にか訓練施設から持ってきていた木刀に究極魔法が付与されて輝き、そこに『キングベヒーモス』が巨大な角で少女を突き上げる。

その攻撃を回避するどころか踏み込んで、テレサは究極魔法の籠った木刀を叩き付けた。

 

すると、木刀のくせに巨獣の頭に深々と刺さり、そこで武器強度の限界がきて破裂、内包されていた『アルテマ』のエネルギーが解放され、頭蓋骨が丸ごと吹き飛ぶ大爆発が発生する。

 

爆心地には、角も爆発も直撃だったはずなのに、なぜか無傷なテレサが意識を失って倒れていた。

 

 

 

翌日。

 

「しかし、この『魔法剣アルテマ』もそうだが、我々に理解できる部分は、基礎技術の塊なんだな」

「基礎技術ですか?『魔法剣アルテマ』が?」

 

研究室でビデオを見返していたヤマザキの呟きに、キスティスが怪訝な顔で返す。

 

「『アルテマ』が『魔法剣』として付与できない理由は知っているな?」

「はい。『アルテマ』単体のエネルギーが高過ぎて、耐えられる物質が存在しないか、オーラで補強するにしても、単純計算で上級魔法の20倍とも言われるエネルギーに耐えなければならないため、実用性に乏しいとされているからです」

「やっぱり優秀だな、トゥリープ君」

 

教師として満点回答が返ってきたことを褒め、彼は結論を告げる。

 

「それが、もしも『魔法剣』として実用する気が欠片もなかったらどうなる?」

「間違いなく破裂します。あっ――!」

「そう、それに関しては『魔法剣』の基礎ができるだけでいい。

破裂までの間に、その武器を投げ捨てるつもりなら、維持する必要がない。

『アルテマ』そのものにしても、『アルテマストーン』は『魔導石』に『アルテマ』を封入した品で、使用についても小難しいことは必要ない。

つまり、『魔法剣アルテマ』に関してだけは、再現は難しくないということだ。

もっとも、活用できるかどうかは別問題だが……」

「それは確かに……」

 

2人して渋い顔をする。

 

『アルテマストーン』を入手しているなら、『魔法剣アルテマ』などを使わずに『アルテマ』をそのままぶつけた方が手っ取り早い。

それに、高エネルギーの魔力があんな至近距離で『破裂』しようものなら、即死もありうる。

その上に、『魔法剣アルテマ』を使えば、その武器は必ず破壊されるのだ。

つまり、テレサの不可思議な技術が前提の戦術と言える。

 

「今回重要なのは回避技術の方、というわけですか」

「そういうことだな。あれでなぜ無傷なのか、まったく分からん」

「そういえば、あの子と稽古したサイファーやゼルも、『攻撃や防御がすり抜ける』と言っていました」

「そんな技術があるのなら、どこかの組織が実用化しているだろうな」

「でしょうね……」

 

結局、自分達で解明するしかない、ということらしい。

 

 

 

エクスデスは新たな反動(のろい)を受け、用意しておいた解呪法を試す。

それは一度だけ、魔法円の中に入るだけで呪いを解くというものだ。

 

しかし、『○○○(好きなんすねえ)に毛が絡まる呪い』は解けなかった。

実験とはいえ、用意した魔法円はかなり気合を入れていたのに、だ。

つまり、今までは単に条件を満たしたから解けていただけだったのである。

 

「神に等しい力を得たこのエクスデスに、解けん呪いだと……?」

 

黙考する。

 

クリスタルをも制し、『暁の四戦士』の加護に守られた『光の四戦士』を下した力は、決して神に届かないものではない。

その気になれば、新たなクリスタル(無の制御装置)を創り、無から世界を創り出すことすら可能なのだ。

そんな存在が、解ける条件を満たす以外にどうしようもない呪い。

その内容からしても、明らかに何者かの意図が入り込んでいた。

 

「まさか、異世界の神……?」

 

そう考えれば、偵察に送り込んだ戦力が報告も返さないことについても説明できる。

そんな上位の存在が相手ならば、妨害がなければ世界を滅ぼせるという程度の戦力ではまるで相手にならないだろう。

 

エクスデスは選択を迫られる。

先に今ある戦力で潰しにかかるか、慎重に情報を集めにかかるか。

今まではとにかく強い魔物を送り込んでいたが、次からは数を送り込むことを考えた方がいいかもしれない。

 

そんなことを思いながら、彼は○○○(ヌッ)に絡まった毛を処理していた。

 

呪いは解いたが、それまでに絡まった毛は物理的にどうにかするしかないのだ。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。

そういえば、この二次小説のオリ主の転生特典ってスタンド『エニグマ』なんですよねえ。
最初に役に立たないってことが紹介されて以降、一切出番がありませんが。
それどころか、最近はタブレットの出番も……。

まあ、私が書く小説におけるテンプレ設定の扱いなんてこんなもんです。
期待は裏切ってこそと言いますか。
ひねくれ者でしてね。



――――設定

『必殺剣 空』:独自設定
テレサはネタのつもりで言っている。
FF6のカイエンが使用するコマンドアビリティ『必殺剣』の2番目にあるカウンター技。
選択してからゲージが移動するまで待ってから入力するという、なかなかストレスの溜まる方式のため、多くの場合は前半しか日の目を見ない。

この技を利用した『カイエン暴走モード』というバグ技がある。
手順は『必殺剣 空』を選択した状態で、一度戦闘不能にした後、『フェニックスの尾』などで復帰させる。
そうすることで、敵味方の多くの行動に対して『必殺剣 空』を発動させるようになる。
さらにその状態のカイエンをカッパにすることで、敵が死ぬまで延々と通常攻撃を繰り出すことになる。『カイエン暴走カッパモード』と呼ばれる。

ある意味、非常に強力な裏技だが、FF6にはラスボスでさえターンを回す前に仕留めることができる上に、1ターン目に倒す方法なら他にももっと簡単な手順のものが多くあるため、発動すると確殺ではないこのバグ技は陰が薄くなりがち。

本当は『カイエン暴走』状態で倒すつもりだったが、『キングベヒーモス』にカウンターの『メテオ』を発動させないためという観点から、相手の物理攻撃に対して耐性無視の即死カウンターを叩き込むという形にした。

『アルテマ』:最強魔法、独自設定
過去に悲しき歴史(FF2)を持つ究極魔法。
FF8に限らずFFの二次創作界隈では、最強の攻撃魔法としてよく爆発オチのネタにされる。

FF8では攻撃性能もさることながら、むしろジャンクション性能が断トツのトップであることから、よく利用される。
FF8の有名なバグ『マルチジャンクション』にて利用されることが圧倒的に多いが、ラスボス戦ではリスクが高いため、バグ技の利用は相手を選んだ方がいい。

早期入手は中盤にてシュミ族の村の手前の有料ドローポイントがオススメ。
それ以外はドロー回数に制限があったり、時期が遅かったりする。

『魔法剣アルテマ』:独自設定
FFナンバリングタイトルには、『魔法剣アルテマ』は存在しない。
というのも、無属性の『魔法剣』で最も威力が高いのが『魔法剣フレア』であり、『魔法剣』の性質上全体攻撃ができないため、『魔法剣フレア』以上が存在しない。
ある意味『魔法剣フレア』以上の『魔法剣ジハード』は存在するが、あれは闇属性である。

二次創作では最強の決め技としてよく採用されており、何の代償もなく振るわれることが多い。
この小説では、『アルテマ』のエネルギーに耐えられる武器が存在しないという設定にしてある。
また、何気に『アルテマストーン』からの『アルテマ』を『魔法剣』として付与するというのも、難易度をそこそこ高く設定してある。
ヤマザキがそれに言及していないのは、『魔法剣アルテマ』が実用性に乏しく、研究が進んでいないため。
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